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不妊を理由に離婚できる?同意なしで離婚できるケースについても解説

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「どうしても子どもが欲しいが、子どもができない…。不妊を理由に離婚をすることはできる?」

不妊問題は非常に悩ましい問題です。子どもができないから離婚をする、というのも一つの選択肢でしょう。
しかし、 不妊それ自体を理由とする場合、基本的には配偶者の同意がなければ、離婚をすることはできません。
ただし、不妊をきっかけに配偶者からDVを受けたなどの場合には、配偶者の同意がなくても、離婚ができる可能性があります。

この記事を読んでわかること
  • 不妊を理由に離婚をすることはできるか
  • 不妊が理由の離婚で慰謝料を請求することはできるか
  • 不妊を理由に離婚を切り出す前におさえておくべき3つの重要ポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

不妊を理由に離婚をすることはできる?

夫婦間で離婚について合意がある場合、離婚の原因がどんなものであろうと、離婚をすることが可能です。夫婦が合意して離婚することを協議離婚と言います。

一方、夫婦間に離婚について合意がないとき、つまり、夫婦のどちらかが離婚に反対しているときには、基本的に、そのままでは離婚をすることはできません。

(1)不妊を理由として離婚をするには、配偶者の同意が必要となる

離婚をするには、主に、3つの方法があります。

  • 協議離婚……夫婦で話し合いをし、離婚の合意をすることで離婚する方法です。
  • 調停離婚……調停という裁判所の手続きを使って離婚をする方法です。調停は、調停委員などの第三者が間に入って、夫婦間の話し合いを手助けする裁判所の手続きのことをいいます。協議離婚と同様、離婚が成立するためには、夫婦間で離婚の合意をすることが必要となります。
  • 裁判離婚……裁判を起こして離婚をする方法です。離婚の請求が認められるためには、「法定離婚事由」(後述)の存在が必要となります。相手の同意は必要ありません。

協議離婚、調停離婚ともに、離婚をするためには、配偶者の同意が必要となります。

これに対して、 裁判離婚では配偶者の同意は必ずしも必要ではありません。
ただし、 裁判離婚が認められるためには、「法定離婚事由」が認められる必要があります。
法定離婚事由は次の5つです。

  • 配偶者に不貞行為があった(配偶者が第三者と肉体関係を持った)
  • 配偶者から悪意の遺棄を受けた(例えば、配偶者が家出をした上、生活の苦しい配偶者に生活費を渡さないなど)
  • 生死が3年以上不明
  • 配偶者が強度の精神病で回復の見込みがない
  • その他婚姻関係を継続できない重大な事由(例えば、配偶者によるDVなどがこれに該当することがあります)

法定離婚事由について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

法律上の「5つの離婚の条件」と離婚協議書を作成する際の注意点

不妊それ自体は、これら法定離婚事由には該当しないと考えられています。
つまり、不妊だけを理由として裁判離婚をすることはできない可能性が高いです。
そのため、冒頭で説明したように、不妊を理由として離婚をする場合には、基本的に配偶者の同意が必要となるのです。

ただし、次で説明するように、 不妊を理由に夫婦間でトラブルがある場合には、それが法定離婚事由の1つである「その他婚姻関係を継続できない重大な事由」に該当する可能性があります。

不妊を理由とする場合、基本的には配偶者が同意していなければ離婚をすることはできません。
ただし、次で紹介するようなケースの場合は、配偶者の同意がなくても離婚ができる可能性があります。

(2)配偶者の同意がなくても離婚できる可能性があるケースも存在する

不妊を理由とする場合で、配偶者の同意がなくても離婚ができる可能性があるケースも存在します。
それは、不妊が原因で夫婦間にトラブルがあり、そのトラブルが法定離婚事由(その他婚姻関係を継続できない重大な事由)に該当すると可能性があるといえるケースです。

例えば次のようなケースです。

  • 不妊が理由で夫婦喧嘩が多発し、一方が他方に対してDV(身体的、精神的な暴力)をするようになった
  • 不妊が理由で夫婦仲が険悪になり、長期間別居している
  • 不妊が理由で、性交渉を一方的に断られるようになった(セックスレス)  など   

DV、別居、セックスレスは、法定離婚事由(その他婚姻関係を継続できない重大な事由)に該当する可能性があります。
そのため、上記のようなケースの場合には、配偶者の同意がなくても離婚ができる可能性があります。
※ただし、「その他婚姻関係を継続できない重大な事由」は、さまざまな事情(別居理由、別居期間、DVの程度、セックスレスの経緯等)を総合的に考慮して、家庭裁判所が判断します。そのため、DV、別居、セックスレスがあったとしても、離婚が認められるかどうかはケースによって異なります

不妊が理由で、DVを受けた、長期間別居した、セックスレスとなったようなケースでは、配偶者の同意がなくても離婚ができる可能性があります。

不妊を理由とした離婚で慰謝料請求はできる?

離婚慰謝料は、夫婦の片方が、婚姻関係を破綻させるような離婚の原因を一方的に作ったといえるような場合しか請求することはできません。

不妊それ自体は、婚姻関係を破綻させるような離婚の原因とまでは言えないでしょう。なぜなら、夫婦の片方に不妊の原因があったとしても、夫婦で仲睦ましく円満に生活をすること自体は不可能ではないからです。
また、慰謝料を請求するためには、相手の「故意・過失」が必要ですが、身体的な症状である不妊について、通常故意・過失は認められません。
そのため、 不妊のみを理由として離婚した場合には、慰謝料請求をすることはできないといえます。

これに対して、次のようなケースでは、夫婦の片方が婚姻関係を破綻させるような離婚の原因を一方的に作ったといえる可能性があります。

  • DVを受けた
  • 一方的に別居された
  • 不妊だけを理由に性交渉を長期間断られ続けた
  • 不倫された

そのため、これらのケースの場合は、慰謝料を請求できる可能性があるといえるでしょう。

不妊を理由に離婚を切り出す前におさえておくべき3つの重要ポイント

不妊がきっかけで、夫婦仲が修復不可能なほど悪化してしまった……
不妊問題という難しい悩みから、離婚を選択する場合もあることでしょう。
しかし、離婚をする場合にはそれ相応の準備が必要となります。

離婚を切り出す前には、次の3つの点をおさえておきましょう。

  • 法定離婚事由に該当するような事情があるかを確認する
  • 離婚条件を確認する
  • 離婚後の生活の見通しを立てておく

(1)法定離婚事由があるか確認する

不妊を理由に離婚する場合、相手が離婚に同意してくれるとは限りません。
先述したとおり、相手が離婚に同意してくれない場合には、法定離婚事由がなければ離婚をすることはできません。
そのため、 法定離婚事由に該当するような事情があるかをまずは確認しましょう。

法定離婚事由があれば、結局裁判になっても離婚をせざるを得ない可能性があるのですから、離婚について同意をしてくれる可能性が高まります。
もっとも、不妊それ自体は、法定離婚事由に該当するような事情にはあたらないことは、すでに説明したとおりです。

これに対して、不妊をきっかけに、DVをされた、長期間別居した、性交渉を一方的に断られ続けたなどの事情は、法定離婚事由に該当する可能性があります。
夫婦間のトラブルが法定離婚事由に該当するかについては、法律の専門的知識が必要となりますので、判断に迷うのであれば一度弁護士に相談するとよいでしょう。

(2)離婚条件を確認しよう

離婚をする際は、離婚それ自体のみならず、財産分与や年金分割などについても夫婦間で話し合いをする必要があります。
財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配するという制度です。

財産分与では、基本的に、(別居をして離婚をする場合)別居時の財産を夫婦間で2分の1に分配することになります。


また、年金分割制度は、離婚後に一方配偶者の年金保険料の納付実績(厚生年金保険および共済年金の納付実績)の一部を分割し、それをもう一方の配偶者が受け取れるという制度です。

夫婦が離婚した場合において、一方の配偶者が婚姻期間中に働いていなかったり、働いていたとしても短期間であったなどのときには、受給できる厚生年金(共済年金)給付額がないか、あってももう一方の配偶者に比べて少ないということになります。

年金分割制度により、一方の配偶者の年金保険料の納付実績の分割を受ければ、これに応じた年金を受け取ることができますので、受け取れる年金の増額が期待できます。

(3)離婚後の生活の見通しを立てておく

後先考えずに離婚に踏み切ると、離婚後の生活が立ち行かなくなる可能性があります。
離婚に踏み切る前に、離婚後の生活の目処をつけておくことをおすすめします。

(3-1)離婚時に必要なお金の目処

転居費用等、離婚に際してはまとまったお金が必要になります。
現在の自分の預貯金に余裕があったとしても、離婚するにあたって必要なお金の目処をつけることで、離婚後の生活への支障の有無を見積もっておくことができます。

(3-2)離婚後の住まいの目処

離婚したら実家に戻りたいと思っていても、実家の家族から受け入れられなかったり、実家の状況等によっては戻ることが難しかったりするケースもあります。
いざ離婚したときに住む場所に困らないよう、現実的な住まいの目処をつけておくことが必要です。

(3-3)離婚後の経済的自立の目処

さらに、離婚後の生活の収支を見積もり、経済的に自立した生活を送っていけるかの目処をつけておきましょう。
また、離婚後の収入に不安があるという方は、離婚後に受けられる公的支援(生活保護など)や、国民健康保険・国民年金の減免制度についても調べておくことをおすすめします。

参照:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構

離婚後の生活について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【まとめ】配偶者の同意がないかぎり、基本的には不妊のみを理由とする離婚はできない

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 夫婦間で離婚について合意がある場合、離婚の原因がどんなものであろうと、離婚をすることは可能
  • 相手の同意がない場合には、最終的には裁判離婚をする必要がある。裁判で離婚の請求が認められるためには、法定離婚事由が必要となる
  • 不妊それ自体は、法定離婚事由にあたらないと考えられている
  • 不妊をきっかけに、相手からDVを受けるようになった、長期間の別居をした、一方的に性交渉を断られ続けるようになったなどの場合、これらの事情が法定離婚事由に該当する可能性がある
  • 不妊だけを理由に離婚した場合、基本的に、慰謝料の請求はできない
  • 不妊を理由に離婚を切り出す前におさえておくべき3つの重要ポイント
  • 法定離婚事由に該当するような事情があるかを確認する
  • 離婚条件を確認する
  • 離婚後の生活の見通しを立てておく

子どもを作らない選択をする夫婦もいる一方で、子どもが作れないから離婚する選択をする夫婦もいます。
重要なのは一人で抱え込まないことです。
「離婚の同意はあるけど、配偶者と具体的に何を話し合えばいいかよくわからない」など、お悩みの方は、離婚問題を取り扱うアディーレ法律事務所に相談してみましょう。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)

また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません(2023年6月時点)。

婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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