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個人再生と自己破産の違いとは?選択のポイントをアディーレの弁護士が解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「個人再生と自己破産、どっちがいいんだろう?」

どちらの手続きでも、返済の負担を大きく減らせる可能性があるものの、次のような違いがあります。

• 個人再生:返済義務が基本的に残るが、財産を手放す必要は原則ない
• 自己破産:税金などを除き原則全ての返済義務がなくなるが、一定の財産は手放さなければならない可能性もある

どちらを選ぶか決めるためには、個人再生と自己破産の違いを踏まえておく必要があります。

この記事を読んでわかること
  • 個人再生と自己破産の手続きの概要
  • 個人再生と自己破産の6つの違い
  • 個人再生と自己破産のどちらを選ぶかの3つのポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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そもそも、個人再生と自己破産って?

借金などの返済の負担を減らすための方法が、債務整理です。

債務整理には、主に次の3種類があります

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

この中でも、個人再生と自己破産は任意整理以上に返済額を減らせる場合があります。
それでは、個人再生と自己破産についてご説明します。

※任意整理…まず、支払い過ぎた利息がないか、負債を正確に再計算します。次に、残った負債について、返済期間を長期化することで毎月の返済額を減らすことや、今後発生するはずだった利息をカットすることを目指して、個々の債権者と交渉します。

任意整理について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

任意整理しない方がいいのはどんなケース?手続のメリットや流れも解説

(1)個人再生とは

個人再生とは、返済できなくなってしまうおそれがある場合に、基本的に大幅に減額された負債を(※)、裁判所の認可を得たうえで原則として3年間で分割して返済していくという手続です。

※減額の程度は、負債の額、保有している財産などによって異なります。また、税金など一部の支払義務は減額されません。

個人再生の手続きの流れについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

個人再生のスケジュールと手続終了までにかかる時間を解説

(2)自己破産とは

自己破産とは、財産、収入が不足し、返済の見込みがないこと(支払不能)を裁判所に認めてもらい、原則として全て(※)の負債の支払義務を免除してもらう(免責許可決定)ための手続です。

※税金など、一部の支払義務はそのまま残ります(非免責債権)。

非免責債権にどのようなものがあるか、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

非免責債権とは?自己破産しても支払い義務があるものについてくわしく解説

個人再生と自己破産の6つの違い

個人再生と自己破産は、いずれも裁判所を利用した手続きです。個人再生と自己破産における特徴的な違いを6つ挙げると、次の表のとおりです。

個人再生自己破産
返済の要否に関する違い返済が必要原則返済不要
財産処分の違い基本的に財産を処分しなくて済む一定の財産は処分が必要
住宅ローンに関する違い住宅ローンの残った自宅を手放さずに済む可能性がある住宅ローンの残った自宅を残すことは基本的に困難
資格制限に関する違い特に制限なし制限職種が存在する
郵便物の転送に関する違い特に制限なし一定期間中、転送される
(管財事件の場合)
負債の原因による違い基本的に制限なし事情次第では自己破産不可

それでは、個人再生と自己破産の6つの違いについて解説します。

(1)返済の要否に関する違い

原則として借金などの負債の支払義務を免除される自己破産と異なり、個人再生では減額されるものの基本的には支払義務が残ります。

個人再生で支払うこととなる金額は、次の中で最も高い額です。

  • 個人再生の対象となる負債を、法律上の基準により減額したもの(※1)
  • 自己破産の手続きをするとしたら、手放すこととなる財産の価額(※2)

債権者からの同意が不要な「給与所得者等個人再生」という種類の手続きを進める場合、さらに「2年分の収入から税金や最低限の生活費を差し引いた額」という基準が加わります。

(※1)負債は、次のような基準で減額されます。

個人再生の対象となる負債の総額減額の結果
100万円未満全額
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1500万円未満負債総額の5分の1
1500万円以上3000万円未満300万円
3000万円以上5000万円以下負債総額の10分の1

(※2)自己破産の場合、99万円を超える現金など、一定の財産は手放さなければならない可能性があります。

自己破産で手放すこととなる可能性のある財産について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

破産財団とは?該当する財産や手元に残せる財産についてもくわしく解説

個人再生で支払うこととなる金額の決まり方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【弁護士が解説】個人再生の「弁済額」の計算方法

(2)財産処分の違い

個人再生では原則として財産を処分せずに済みます(高額な財産がある場合には、支払うこととなる金額が増える可能性があります)。

一方、自己破産では生活に必要な範囲を超える財産を処分して、その売却代金などを債権者への配当などに充てなければなりません。

もっとも、自己破産でも全ての財産が処分されてしまうわけではありません。生活や仕事に必要な一定の範囲の財産は、手元に残すことができます(自由財産)。

自由財産にはどのようなものがあるか、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

自由財産とは?自己破産をした後でも残せる財産について解説

(3)住宅ローンに関する違い

自己破産の場合、住宅ローンの残った家は手放さなければならない可能性が高いです。
一方、個人再生の場合、条件を満たしていれば、住宅ローンの残った自宅を手放さずに、それ以外の借金を減額できる可能性があります(住宅資金特別条項)。住宅ローンの残った家を維持できる可能性のある点が、個人再生の大きなメリットといえます。

個人再生で住宅ローンの残った自宅を手元に残すための「住宅資金特別条項」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

民事再生法の住宅資金特別条項でマイホームを残す方法

自己破産後も持ち家に住み続けたい場合の対処法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

自己破産したら持ち家は失う?今の家を残す方法を弁護士が解説

(4)資格制限に関する違い

個人再生では、手続き期間中就くことのできない仕事はありません。これに対して、自己破産では手続き中に就くことのできない仕事(制限職種)があります。

たとえば、次のような仕事が制限職種とされています。

  • 公認会計士(公認会計士法4条4号)や税理士(税理士法4条2号)などの士業
  • 警備員(警備業法14条1項)
  • 公証人(公証人法14条2号)
  • 交通事故相談員(交通安全活動推進センターに関する規則4条1項2号)  など

制限職種について、詳しくはこちらの記事もご確認ください。

自己破産後の復権はいつ?権利の制約を解除させるための方法を紹介
破産による欠格事由とは?制限される資格・職業がある?

(5)郵便物の転送に関する違い

個人再生では、特に郵便物についての制限がありません。
一方、自己破産が「管財事件」という方法で進められることとなった場合には、破産者宛の郵便物は「破産管財人」の事務所に転送され、内容を確認されます

※管財事件とは、裁判所から選任された破産管財人が、借金の経緯や財産の調査、債権者への配当などを行うものです。一定以上の財産がある場合や、免責許可決定の出ない可能性がある「免責不許可事由」がある場合などは、管財事件となる可能性が高くなります

そのため、とりわけ仕事で必要な資料や支払期限のある公共料金など早急に受け取る必要のあるものについては、破産管財人に着払いの宅配便で自宅に送ってもらうか、破産管財人の事務所に取りに行くなどする必要があります。このような場合には、あらかじめ破産管財人に伝えておき、スムーズに受け取れるようにしましょう。

(6)負債の原因による違い

個人再生であれば、負債が生じた原因についてはあまり問題視されません。
一方、自己破産であれば、負債の主な原因がギャンブルなどの浪費である場合などには、免責不許可事由というものに該当します。
免責不許可事由があると、免責許可決定が出ない可能性もあります。

ただし、免責不許可事由があっても、裁判所がさまざまな事情を考慮して「裁量免責」を出す場合もあります。そのため、免責不許可事由の深刻さなどにもよりますが、免責不許可事由があっても自己破産を無事終えられるケースも少なくありません

実際に、浪費などの免責不許可事由があったと思われるものの、無事自己破産の手続きを終えることができたケースをご紹介します。

免責不許可事由にどのようなものがあるかについて、詳しくは下記のページをご確認ください。

免責不許可事由があると、免責許可決定を出してよいかの審査は厳しめになることが多いです。もっとも、免責不許可事由があっても免責許可決定が出る(裁量免責)ケースは少なくありません。

免責許可決定が出ることが少なくないことについて、詳しくは下記のページをご覧ください。

個人再生と自己破産のどちらを選ぶかの3つのポイント

個人再生と自己破産のどちらを選ぶかの判断ポイントは、主に次の3つです。

  • 負債総額と財産・収入のバランス
  • 負債の原因や、過去に自己破産の手続きをした事実の有無
  • 自己破産による制約

それぞれについてご説明します。

(1)ポイント1|負債総額と財産・収入のバランス

個人再生は、減額された負債を原則3年間にわたって支払っていく手続きです。そのため、減額の可能性があるとはいえ返済を続けられる見込みがなければ、個人再生を選ぶことは難しいです。

特に、住宅ローンのある自宅を残したい方の場合は個人再生を希望されることが多いです。しかし、負債の総額や返済に充てられる額によっては、個人再生の手続きをしても結局自己破産を選択せざるを得なくなってしまう可能性もあります。

収入を増やしたり、支出を減らしたりすることにより、原則3年間で返済可能かどうか、家計を見直す必要があります。

(2)ポイント2|負債の原因・過去に自己破産の手続きをした事実の有無

例えば、次のようなケースでは自己破産の手続きをしても免責許可決定が出ない可能性があります(免責不許可事由)。

  • ギャンブルなどの浪費により借金をしてしまった場合で、その金額があまりにも高額な場合
  • 過去に自己破産で免責許可決定を獲得していて、まだ7年経っていない場合

手続きを行う裁判所の運用にもよりますが、自己破産の手続きをしても免責不許可となるリスクが高い場合には、個人再生を選択せざるを得ないことがあります

免責許可決定の見込みがないかを自分で判断することは難しいため、負債を抱えてしまった原因を弁護士に素直に話して、弁護士と一緒に方針を検討することがおすすめです。

(3)ポイント3|自己破産による制約

繰り返しになりますが、自己破産には個人再生と比べて次の制約があります。

  • 制限職種に従事している場合、一定期間収入が途絶えてしまう可能性がある(※)
  • 一定の財産は、手放さなければならない可能性がある

※職場で事情を話して相談すれば、資格が不要な部署に配置転換してもらえることもあります。この場合、収入が途絶えずに済む可能性があります。

そのため、これらの制約を避けたい場合には、個人再生できないかを検討することとなります。

どちらを選ぶかは、さまざまな事情を踏まえて検討する必要あり

個人再生と自己破産のどちらを選ぶのかは、このようにさまざまな事情を踏まえて検討する必要があります。

特に、住宅ローンの残っている自宅や、特定の財産を維持したいといった事情から個人再生を希望される方の場合は、本当に返済を続けられるのかを慎重に検討する必要があります。

【まとめ】個人再生では自己破産と異なり返済義務が残るが、財産や住宅ローンの残った自宅を維持できる可能性が高まる

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 個人再生と自己破産とは、それぞれ次のような手続き。
    • 個人再生:負債を返済できなくなってしまうおそれがある場合に、裁判所の認可を得て、基本的に減額された負債を原則3年間で分割して返済していく手続き
    • 自己破産:負債を返済できなくなってしまった場合に、裁判所から原則全ての負債の返済義務を免除してもらう(免責許可決定)ための手続き

※どちらの手続きでも、税金など一部の支払義務はそのまま残る

  • 個人再生と自己破産の主な違いは次の6つ。
個人再生自己破産
返済の要否に関する違い返済が必要原則返済不要
財産処分の違い基本的に財産を処分しなくて済む一定の財産は処分が必要
住宅ローンに関する違い住宅ローンの残った自宅を手放さずに済む可能性がある住宅ローンの残った自宅を残すことは基本的に困難
資格制限に関する違い特に制限なし制限職種が存在する
郵便物の転送に関する違い特に制限なし一定期間中、転送される
(管財事件の場合)
負債の原因による違い基本的に制限なし事情次第では自己破産不可
  • 個人再生と自己破産のどちらを選ぶかの判断ポイントは、主に次の3つ。
    • 負債総額と財産・収入のバランス
    • 負債の原因や、過去に自己破産の手続きをした事実の有無
    • 自己破産による制約

アディーレ法律事務所では、万が一免責不許可・再生不認可となってしまった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております(2023年10月時点)。

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