あなたの法律のお悩み一発解決サイト
リーガライフラボ

「過失相殺能力」とは?交通事故の被害者が知っておきたい知識を解説

作成日:
リーガライフラボ

仮名Yさんは、4歳の息子(T君)を連れて歩いて買い物に出かけました。
ところが、ふと目を離した隙にT君が車道に飛び出し、軽自動車と接触してしまいました。幸いT君は軽傷で済みましたが、かかった治療費を事故の相手方に請求しようとしたところ、「そちら側に過失があるから治療費は出せない」と言われてしまいました。

この場合、YさんはT君の治療費を相手方に請求できないのでしょうか。
この記事では、

  • 「過失相殺」とは何か
  • 不法行為責任における「過失」と過失相殺における被害者の「過失」の違い
  • 「過失相殺能力」とは何か
  • 過失相殺について納得できない場合の対処法

について、弁護士が解説します。

「過失相殺」とは何か

まず前提知識として、交通事故における「過失割合」と「過失相殺」の意味を説明します。

(1)過失割合と過失相殺

過失割合とは、事故が発生したことについての各当事者の過失(不注意・ミス)の割合をいいます。

実は、交通事故ではどちらか一方に100%の責任があるというケースは少なく、加害者だけでなく被害者にも一定の責任があるケースがほとんどです。

交通事故の被害者は、加害者に対して治療費や慰謝料などの損害賠償を請求できますが(民法第709条)、被害者にも事故の責任がある場合、その割合に応じて受け取れる賠償額が減額されます(民法第722条第2項)。これを過失相殺といいます。

(2)過失相殺の例

例えばある交通事故で、加害者の過失が8割、被害者の過失が2割の場合、加害者と被害者の過失割合は80:20となります。

この場合、交通事故により生じた損害額が加害者100万円、被害者500万円だったとすると、過失相殺された後に双方が受け取れる額は次のようになります。

加害者被害者
過失割合8020
損害額100万円500万円
相手に請求できる額100万円×20%=20万円500万円×80%=400万円
実際に受け取れる額0円400万円-20万円=380万円

不法行為責任における「過失」と過失相殺における被害者の「過失」の違い

上記で「過失」について説明しましたが、厳密に言うと、不法行為責任における「過失」と過失相殺における「過失」は、その意味が異なります(学問的な話であり、実際の請求に際してさほど影響するわけではありません)。

以下で、それぞれの意味について解説します。

(1)不法行為責任における「過失」

不法行為についての根拠条文である民法第709条にあるように、交通事故の加害者に故意または「過失」があるとき、加害者は不法行為責任を負うことになります。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用:民法第709条

この場合の「過失」とは、法律上要求される注意義務に対する違反を指します。

具体的には、(事故という)結果の発生を予見できたにもかかわらず、不注意のために予見せず、結果発生を回避する措置をとらなかったことをいいます。

(2)過失相殺における被害者の「過失」

他方で、民法第722条第2項は、不法行為における過失相殺について定めています。

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

引用:第722条2項

ここにいう「過失」も、民法第709条の「過失」と同じく法的注意義務違反を指すように思えます。しかし、実際には、過失相殺における被害者の「過失」は法的注意義務違反よりも緩やかなものと解釈されています。

具体的には、過失相殺される場合の被害者の「過失」は、「不注意によって損害の発生を助けた」という程度で足りるとするのが伝統的な見解とされています。

「過失相殺能力」とは何か

民法第712条・第713条では、責任能力がない人は不法行為の責任を負わないと規定されています。

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

引用:民法第712条

精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。(以下略)

引用:民法第713条

この考え方を過失相殺にも適用すると、過失相殺という不利益を負ってもよいのは、それを負える能力がある人だけと考えられます。この能力を「過失相殺能力」と呼びます。

過失相殺能力があるとされるためには、古い判例では「責任能力」があることを求めていましたが、その後判例が変更され、現在は「事理弁識能力」で足りるとされています。

ここで、「責任能力」「事理弁識能力」という耳慣れない言葉が出てきましたが、「責任能力」とは、自身の行為の結果として責任が生じることを認識できる能力をいいます。

これに対し、「事理弁識能力」とは、損害の発生を避けるために必要な注意をする能力いいます。これは、責任能力に比べてより単純な能力といえます。

一般に、「責任能力」は11〜12歳程度、「事理弁識能力」は5~6歳程度で備わるとされています(ただし、あくまで目安であり、実際にこれらの能力が認められるかどうかの明確なラインがあるわけではありません)。

このように、加害者の不法行為責任が成立するための「過失」と、被害者が過失相殺されるための「過失」を比べると、後者のほうがより緩やかに認められることになります。

これは、不法行為において被害者側にも落ち度がある場合、加害者・被害者双方に公平に損害を分担させようという考えに基づいています。

被害者に過失相殺能力(事理弁識能力)がない場合はどうなる?

では、被害者が小さな子どもであるなど、事理弁識能力すらない場合には過失相殺はどうなるのでしょうか。以下で説明します。

(1)「被害者側の過失」という考え方

被害者が小さな子どもであるなど、事理弁識能力すらない場合には原則として過失相殺はなされません。

しかし、「被害者側の過失」といって、被害者以外の第三者にも不注意があった場合、その不注意も過失相殺の過失に含むという考え方があります。

被害者側の過失で過失を考慮される第三者は、被害者と「身分上・生活関係上一体の関係」にある者とされます。

「身分上一体」とは親族関係にある者、「生活関係上一体」とは同居や生計を一にしていることなどを指します。

例えば、未成年の子と親、夫婦などは、通常「身分上・生活関係上一体の関係」にあるとされます。

【被害者側の過失】

(2)「被害者側の過失」の例

例えば、この記事の冒頭で挙げたように、仮名Yさんが目を離した隙に息子の仮名T君(4歳)が道路に飛び出し、仮名Wさんの運転する自動車と接触したというケースで考えてみましょう。

この場合、T君はまだ4歳であり、事理弁識能力すらありません。したがって、たとえT君に飛び出しという不注意があったとしても過失相殺はなされず、事故によりかかった治療費などをWさんに全額請求できるのが原則です。

しかし、YさんとT君は親子であり、「身分上・生活関係上一体の関係」にあります。

そこで、T君に事理弁識能力があるかどうかに関わらず、親であるYさんの過失(=T君から目を離してしまったこと)が被害者側の過失として過失相殺の対象になります。

過失相殺について納得できない場合は弁護士への相談がおすすめ

交通事故により被害にあった場合、被害者は、治療費などの損害賠償について通常は加害者が加入する保険会社と示談交渉を行うことになります。

その際、過失相殺がなされるかどうかは、被害者が受け取れる賠償額に大きく関わります。
いったん示談(=合意)が成立してしまうと、後から賠償額を修正することは非常に困難です。

そこで、示談交渉の中で、加害者側の保険会社から提示される金額などに納得できない場合は、早めに弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士に相談するメリットとしては、次のようなものがあります。

  • 事故の状況を法律的な観点から分析し、問題解決に向けてとるべき方針をアドバイスしてくれる
  • 対応を依頼すると、弁護士が加害者側との示談を進めてくれる
  • 弁護士に依頼すると、こちら側の主張を法律的な知識に基づいてより正確に伝えることができる
  • 弁護士が関与することによって、加害者側の保険会社が主張する過失割合を適正なものに修正できるケースが多い(それにより、こちら側の過失割合が軽減されて受け取れる賠償金が上がる可能性がある)
  • 弁護士に依頼すると、慰謝料などについて通常最も高額な算定基準である「弁護士の基準」により交渉をスタートでき、賠償額を増額できる可能性が高い
  • 加害者側との交渉や賠償金請求に関する面倒な手続きを弁護士に任せることができ、自身は治療に専念できる

なお、慰謝料などの算定基準について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

【自賠責より弁護士基準】交通事故の慰謝料の相場と計算方法を解説

【まとめ】過失相殺に関するお悩みは弁護士にご相談ください

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故において、被害者にも事故の責任がある場合、その割合に応じて受け取れる賠償額が減額されます(民法第722条第2項)。これを過失相殺といいます。
  • 過失相殺能力とは、過失相殺という不利益を負わせてもよいだけの被害者の能力をいい、事理弁識能力があれば足りるとされています。
  • 被害者が小さな子どもなど事理弁識能力がない場合、親の過失に基づいて過失相殺がなされることがあります(「被害者側の過失」)。
  • 過失相殺がなされるかどうかは、賠償額にも関わる切実な問題です。

交通事故の被害にあい、過失相殺についてお悩みの場合はアディーレ法律事務所にご相談ください。

弁護士による交通事故のご相談は何度でも無料

費用倒れの不安を解消!「損はさせない保証」あり

ご相談・ご依頼は、安心の全国対応。国内最多の60拠点以上

もしくは

ゼロイチニーゼロ ジコヲ ナシニ

0120-250-742

朝9時〜夜10時・土日祝も受付中

ご来所不要お電話や、オンラインでの法律相談を実施しておりますご相談の際、ご来所いただく必要はありません!
お電話、もしくはテレビ電話などのオンライン環境を使って、ご自宅からご相談できます。
外出が困難な方・新型コロナウイルス感染への不安で外出を控えていらっしゃる方も、ご安心ください。
ご相談方法については、お気軽にお問い合わせください。
※オンライン相談をご希望の方は、カメラ付きのパソコンやスマートフォン、タブレットなどが必要です。

交通事故被害の慰謝料・示談金増額の ための資料を無料でご提供します!

お気軽にお問い合わせください

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

交通事故に関するメリット満載

弁護士による交通事故
ご相談は何度でも無料

メールでお問い合わせ

ご来所不要お電話や、オンラインでの法律相談を実施しておりますご相談の際、ご来所いただく必要はありません!
お電話、もしくはテレビ電話などのオンライン環境を使って、ご自宅からご相談できます。
外出が困難な方・新型コロナウイルス感染への不安で外出を控えていらっしゃる方も、ご安心ください。
ご相談方法については、お気軽にお問い合わせください。
※オンライン相談をご希望の方は、カメラ付きのパソコンやスマートフォン、タブレットなどが必要です。

0120-250-742

朝9時〜夜10時・土日祝も受付中