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求償債務とは?返済しないと起こることや返済できないときの対処法

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皆さんは、家族や友人が支払うべきお金を立て替えたことがありませんか。
たとえば、ランチをするとき、友人が財布を忘れていたら――?
たとえば、酔いつぶれた恋人がタクシーで帰ってきたのに、代金を支払わずに家に入っていったら――?
たとえば、一人暮らしを始めた子どもの携帯電話代金の請求がそれまでどおり実家に送られてきてしまったら――?
このようなとき、お金を立て替えた人は、後日お金を支払うべきだった人にお金を請求できます。お金を支払うべきだった人が負う義務が「求償債務(きゅうしょうさいむ)」です。
今回、弁護士が解説するのはこのような「求償債務」です。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

求償権は不倫の慰謝料トラブルの火種になりやすい?求償権の放棄や注意点を解説

求償債務とはどのような債務か

求償債務がどのようなものかについて解説しましょう。

(1)求償債務は「債務を肩代わりした人」への債務

本来、債務を弁済する(例:ランチ代金を支払う)のは、契約当事者である債務者です。
しかし、何らかの事情によって第三者がお金を払うことがあります。このようなとき、一定の条件の下で、第三者は債務者に対して「立て替えたお金を払って」と請求することができます(第三者の弁済が無効となる場合には、お金を請求できません)。このように請求できるのは、債務者が立て替え払いをした第三者に対して求償債務を負っているからです。

一般的に、銀行からお金を借りるとき、消費者金融がその債務について保証をします。
保証とは、債務者が弁済できなくなったときに代わりに支払うと約束することです。
保証契約により、いざ債務者が実際に返済できなくなり期限の利益を喪失すると、保証会社が債務者に代わって債権者に一括してお金を返します。これを「代位弁済」といいます。
代位弁済後、債務者は保証会社が代わりに支払ってくれた分を保証会社に支払わなければなりません。この支払義務を「求償債務」といいます。

ここで、具体的なケースを想定してみましょう。

X銀行から300万円を借りたAさん。Aさんは、なんとか150万円までは返済できたものの、その後支払いができなくなって、ついにX銀行の保証会社であるY消費者金融がX銀行に代位弁済をしました。

この場合、AさんはX銀行ではなくY消費者金融に返済をすることになります。
利息や遅延損害金を含めて返済する必要があることに注意しなければなりません。

銀行からお金を借りた当初の返済計画では分割して支払っていくことになっていても、代位弁済をした消費者金融からは基本的に一括返済を求められることになるでしょう。

(2)なぜ一括返済を要求されるのか

お金を借りている間、借りたお金を全部まとめて返済できる人は多くありません。
そのため、一般的には数ヶ月間ないし数年にわたって、それぞれの返済期限を設けたうえで、分割されたお金を返済していくという契約をするのが通常です。
つまり、債権者は、債務者がきちんと返してくれると“信じて”、借金全部の返済をある程度待っていてくれるともいえるわけです。しかし、契約通りの期限での支払いがなされなかったため、その信頼が裏切られたとき、債権者は「もう待てないから一括で返して!」と請求してくることになります。このような状態を「期限の利益を喪失する」といいます。

通常、ローン契約書には、次のような期限の利益の喪失条項が記載されています。

乙(債務者)が次のいずれかに該当した場合、乙(債務者)は、当然に期限の利益を失い、甲(債権者)に対して本契約に基づいて負担する一切の金銭債務を直ちに弁済するものとする。

  • 一回でも支払いを怠ったとき

通常、保証会社が代位弁済をするのは、本来の債権者に対する支払いが遅れたケースです。
この時すでに債務者は期限の利益を喪失していますので、保証会社から債務者への請求も一括となるのです。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

期限の利益とは?期限の利益喪失通知が届いたときの対処法を解説

求償債務を返済しないとどうなるか

では、代位弁済通知や請求書が届いても、求償債務を返済しないとどうなるのかをみていきましょう。

(1)裁判を起こされる

保証会社からの請求を無視し続けていると、裁判を起こされてしまうリスクがあります。
基本的に裁判所から訴状や支払督促状が特別送達にて自宅に届きます。お金を借りたことが事実であれば、弁済したことなどの証拠がない限り、いずれ「お金を返しなさい」との判決が言い渡されてしまうでしょう。もっとも、裁判上で残金を分割払いとする和解契約を結べることもあるので、強制執行を極力防ぐためにも裁判所に行きましょう。

また、全く無関係の会社が「お金を返せ」という裁判を起こしてくることがあります(いわゆる架空請求)。この場合でも、本物の裁判所から訴状や支払督促状が届いているにもかかわらず無視をすると、相手方の主張をすべて認めたものとして扱われ、「お金を返しなさい」との判決が言い渡され、強制執行されるリスクがあります。
心当たりなどがなく不安な場合には、あくまで送られてきた書類に記載された電話番号ではなく、書類に記載された「〇〇裁判所」の電話番号をインターネットなどで調べて、本物の裁判所に電話をかけ、事実かどうかを確認しましょう。

参照:督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください|法務省

(2)強制執行手続きを取られる

裁判所の判決が言い渡されると、給与や預貯金、不動産や自動車などの財産を対象として、強制執行をされるリスクがあります。給与や退職金を差し押さえられると、勤務先に借金の存在や借金を滞納している事実がばれてしまうので、判決が言い渡されてしまう前に早めに対応したほうが良いでしょう。

保証会社は支払った分のお金を債務者に請求できるだけでなく、債権者が債務者に対して持っていた抵当権などの担保権も求償権の範囲内で行使できます。そのため、住宅ローンにつき代位弁済が行われた場合には、抵当権が実行され、住宅が競売にかけられるリスク等があります。なんとかして住宅を残したい場合、代位弁済から6ヶ月以内に個人再生を申立て、その後再生計画案等に従い、住宅ローンを含めた負債を完済できれば、住宅を手元に残せるかもしれません。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

住宅ローンの巻き戻しは民事再生(個人再生)で自宅を維持する制度

求償債務の返済が難しいときはどうする?

代位弁済通知を受け取ってもなお返済が難しい場合には、どうしたらいいのでしょうか。

(1)保証会社との交渉

弁護士に依頼しなくても、保証会社に対して、一括返済ではなく分割返済にしてもらえるように交渉することはできます。もっとも、保証会社がその交渉に応じてくれるかどうかはわかりません。代位弁済をした時点で信用を失ってしまっているため、債務者が自ら交渉することは一般的に難しいといえるでしょう。

(2)債務整理の検討

債務者自ら交渉しても保証会社との間で返済計画を見直すことは難しいともいえるため、弁護士に債務整理を依頼することをおすすめします。債務整理とは、借金などの負債を免除・減額したり、支払いに猶予を持たせたりすることにより、負債の返済の負担を軽減するための手続のことです。基本的には、任意整理・民事再生(個人再生)・自己破産の3種類があります。

(2-1)任意整理

任意整理とは、原則として

  • 引き直し計算(適正な利息で負債残高や払いすぎた利息を計算すること)をして、払いすぎたお金があれば、その分負債残高を減らし、
  • 引き直し計算しても残った負債については、今後発生する利息(将来利息)をゼロにして、元本だけを分割で払っていくことを、借入先と交渉する

手続きです。

任意整理をすることにより、返済の負担を現状よりも減らすことができる可能性があります。

※なお、和解できるかどうか、どのような和解内容になるかは、相手との交渉次第ですので、必ずしも希望する通りの和解に至るわけではありません。

(2-2)個人再生

「民事再生(個人再生)」とは、返済困難な方が、裁判所の認可決定を得た上で、基本的に減額された一定の負債を原則3年で分割返済していく手続きです。

負債の額や保有している資産の額などによって異なりますが、任意整理よりも大幅に負債が減額される可能性があります(税金など減額されない負債が一部あります)。

負債の減額幅は負債総額及び保有している資産などによって決まっております(保有している資産や負債額などによっては、減額されないケースもありえます)。

民事再生(個人再生)では、住宅を手元に残したまま、住宅ローン以外の債務を減額する制度が設けられている点が特徴です(ただし一定の要件を満たさないと当該制度は利用できません)。

(2-3)自己破産

自己破産とは、財産、収入が不足し、負債を返済できなくなった場合に、債務者の一定の財産をお金に換えて債権者に公平に分配する手続です。これに併せて裁判所から免責許可決定を得ると、一定の負債の返済義務を免れることができます(ただし、税金など一部の支払義務は自己破産をしても帳消しにはなりません)。

【まとめ】借金などの負債でお困りの方はアディーレ法律事務所にご相談ください

保証会社が銀行に代位弁済をしたときなどに債務者が負うことになるのが「求償債務」です。
通常、代位弁済がされてしまうと、遅延損害金をカットしてもらうことなどはできず、支払金額は増えてしまうリスクがあります。そのため、できることなら代位弁済がなされ、求償債務を負う前に、弁護士に相談することをおすすめします。
借金などの負債についてお困りならば、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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