お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

自分の子どもがいじめられている…法律に基づいてできる対処法を弁護士が解説

作成日:更新日:
kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「自分の子どもがいじめに…親として何をすれば正しいの…?」

いじめは、被害者である子どもの教育を受ける権利を侵害し、健全な成長や人格の形成に多大な影響を与えます。さらに、いじめは、被害者を精神的・肉体的に傷つけ、その生命又は身体に重大な危険を生じさせる恐れがある悪質な行為です。
わが子がいじめにあっていることに気づいたら、速やかに学校に通報して対策をとるよう依頼しましょう。加害者は悪いと思っているのかなど、加害者やその親御さんのことも気になりますが、あまり気にし過ぎずに自分の子が健全に成長していける環境を整えることに注視するようにします。
わが子がいじめられていると知った時に、親が落ち着いて必要な対処ができると、子どもへの影響を最小限にすることができるかもしれません。

今回の記事では、次のことについて弁護士がご説明します。

  • いじめの定義
  • いじめの態様
  • いじめ発生件数(年間)
  • いじめられていることに気づいた後の対処法
  • 大切な2つの心構え
この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。神奈川県弁護士会所属

いじめの定義とは?

いじめは、法律上次のように定義されています。

第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

引用:いじめ防止対策推進法2条1項|e-gov法令検索

いじめの定義は、固定されたものではなく、過去何度か変遷しています。過去には、いじめというためには「学校がいじめの事実を把握している」「攻撃を継続的に加えている」「相手が深刻な苦痛を感じている」ことなどの厳格な要件が必要とされていたこともあり、必ずしもいじめの実態や被害者の心情に配慮されたものではありませんでした。
いじめとされるための要件が厳格であると、問題があっても「いじめ」として把握されないために対処が遅れて、被害者が受ける被害が拡大するおそれがあります。
このような厳格な要件は、現在のいじめの定義からは削除されています。
今後もいじめの定義は、いじめの実態に即して柔軟に見直していくことが必要となるでしょう。

参考:いじめ定義の変遷|文部科学省

いじめの態様

小学校から高校までの合計で(国公立私立含む)、いじめの態様で多いものは次の3つです。

1位:冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、いやなことを言われる(58.8%)
2位:軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、けられたりする(22%)
3位:仲間はずれ、集団による無視をされる(13.1%)

パソコンや携帯電話等で、誹謗・中傷や嫌なことをされるといういじめは、3.6%となっており、去年の2.9%より増加しています。

インターネットなどを利用したいじめは、次のような特徴があり、特に注意が必要です。

  • 匿名性があり安易にいじめに加担しやすい
  • 不特定多数が利用することで被害が拡大する
  • 流出した写真などは回収が困難である

参考:令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について|文部科学省

文部科学省は、2008年(平成20年)に「『ネット上のいじめ』に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け)」を作成・公表しており、対策に力を入れています。また、東京都教育庁指導部は、2017年(平成29年)に、「考えよう!いじめ・SNS@Tokyo」のウェブサイトを解説し、学校関係者や保護者への資料や情報の提供を行っています。

参考:「ネット上のいじめ」に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け)|文部科学省
参考:考えよう!いじめ・SNS@東京|東京都教育委員会

いじめ発生件数は年間約51万7000件にも上る

学校でのいじめはどれくらい発生しているのでしょうか。令和3年10月に公表された、次の資料に基づいて解説します。

参考:令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について|文部科学省

(1)学校全体の発生件数

令和2年度で、小中高及び特別支援学校(国公私立全体)で発生したいじめ件数は、合計約51万7000件にも上ります。
これは、あくまで学校が認知している件数のみですので、学校がまだいじめと認知していない問題もあることを考えると、実際のいじめの件数は、これよりも多くなると考えられます。
また、いじめを認知した学校数は2万9001校であり、全学校数に占める割合は78.9%、約8割です。約8割の学校でいじめが認知されており、いじめのない学校は少数派であることが分かります。

(2)要注意なのは小学校低学年

資料(28頁<参考8>)によれば、特に、小学校低学年でいじめの認知件数が多くなっていることが分かります。一番多いのは、小学2年生の8万4354件です。

中学校や高校も、それぞれ低学年の方がいじめの認知件数が多い傾向がありますが、小学校と比べて件数は少なくなっています。

小学校でいじめが増えているのは最近の傾向です。2010年と2020年のいじめの認知件数をみてみると、この10年で小学校では約2倍に増加している(7808件→1万6971件)のに対し、中高では微増にとどまっています(中学:6046件→8485件、高校:2332件→3080件)。

子どもがいじめられていることに気づいた後の対処法

わが子が学校でいじめられていると知った時には、親も精神的なショックを受けます。
すぐに相談してくれなかった子どもを責めたり、気づかなかった自分を責めたりするかもしれません。
しかし大切なことは、すぐにいじめられている状況に対して必要な対策をとり、子どもの教育の機会と、健全に成長できる環境を守ることです。
そのために効果的な対処法について解説します。

(1)学校に通報する

まずはすみやかに学校に通報しましょう。親として当然のことではありますが、実は、法律上の義務でもあります(いじめ防止対策推進法23条1項)。

第二十三条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。

引用:いじめ防止対策推進法23条1項|e-Gov法令検索

学校に話すべきかどうか迷っていじめへの対処が遅れ、いじめが深刻化することがあります。特にインターネットでの被害は広がりやすく、対処が遅れると被害回復が困難になることがありますので、速やかな対処が必要です。

学校へ話す際には、次のようなことに注意しましょう。

  • 学校とのやりとり(電話・書面・メールなど)は記録しておくようにする。
  • 学校は、いじめ防止の対策を実効的に行うために、複数の教職員やスクールカウンセラーなどで構成される組織(「いじめ対策委員会」など)があるので(いじめ防止対策推進法22条)、個人の先生ではなく、その組織による対応を求める。
  • 通報を受けた教師も、一人で抱え込まず、学校のいじめ対策のための組織と直ちに情報を共有するものとされていますので、もし「私が個人で対応します」と言われても、組織による対応を求める(文科省「いじめ防止等のための基本的な方針」第2の3(4)3)。
  • 実際に学校の担当者と会って話をする際には、学校側の対応人数も、自分側も複数にするなど、後々「言った・言わない」のトラブルを防止し、話をした内容に誤解がないようにする。

参考:いじめの防止等のための基本的な方針(平成25年10月11日文部科学大臣決定(最終改定 平成29年3月14日)|文部科学省

(2)証拠を集める

いじめによる深刻な被害が生じていることが社会問題になって久しく、いじめを放置せずに速やかに対策をとるべき、という認識が広がってきています。
しかし、まだ、学校が「いじめがある」と認めることに及び腰になることがあります。その理由は、担当者がいじめがあったときに取るべき対策を知らなかったり、大事にしたくないという身勝手な姿勢だったり、様々です。
ネットによるいじめは、仲間はずれや嫌なことを言われると証拠が残ります。一方で、嫌なことを言われたり、物を壊されたりするいじめについて、客観的な証拠があることはあまり多くありません。
しかし、具体的にどのような嫌なことを言われたか子ども本人やその友人に聞き取りをする、壊されたり隠されたりした物を特定してその状態を保存する、ケガをしたのであればケガの写真や診断書を取るなど、出来る範囲で証拠を集めるようにしましょう。

(3)学校にいじめの対応について情報共有を求める

学校にいじめを通報しても、通報を受けた学校の担当者が「自分で何とかしよう」という間違った意識で、いじめ対策の組織などに情報を共有しないという可能性があります。
また、担当者が「検討中です」と繰り返すばかりで、すぐに対策が取られない可能性もあります。
しかし、学校が通報を受けたときには、速やかに、いじめの事実の有無を確認する措置を講じ、その結果を学校の設置者(公立の場合は教育委員会)に報告する義務があります(いじめ防止対策推進法23条2項)。また、文部科学省が公表した「いじめ防止等のための基本的な方針」別添2(3)2では、事実確認の結果は、校長が責任をもって学校の設置者に報告するとともに、被害を受けた子どもと、いじめた子どもの親に連絡することとされています。
したがって、いじめを受けた子どもの親として、通報後いじめに対してきちんと対策をとっているか確認する意味でも、具体的にどのような対策をとったのか、学校に対して情報共有を求めるとよいでしょう。

学校がいじめについてとるべき対策は、いじめ対策推進法や文部科学省が公表した「いじめ防止のための基本的な方針」に細かく定められています。

<いじめについてとるべき主な対策>
  • 学校がいじめの事実を確認したら、いじめをやめさせて再発を防止するために、複数の教職員によって、いじめられた子どもとその親に対して支援を行い、また、いじめた子どもとその親に指導・助言を継続的に行う義務があります(いじめ防止対策推進法23条3項)。
  • いじめられた子どもとその親が支援を受けるためには、その前提としていじめの事実関係について説明を受けることができるのは当然ですので、説明が不十分だと感じたら、具体的に聞くことができます。
  • いじめをすぐにやめさせて再発を防止するためには、いじめをした側の親が事実を把握することも大切であり、文科省が発表した「いじめ防止等のための基本的な方針」別添2(3)4では、学校がいじめたとされた子どもから事実関係を聴取したら、迅速にその保護者に連絡することになっています。
  • 学校は、いじめをした子どもを同じ教室以外で学習を行わせるなど、いじめを受けた子どもが安心して教育をうけられるように必要な措置を講ずる義務があります(いじめ防止対策推進法23条4項)。
  • 学校は、いじめた子どもとその親に指導・助言を行うにあたっては、両保護者間で争いが起きることのないように、いじめにかかわる情報を保護者と共有するための措置を取る義務があります(法23条4項)。

学校と話す際には、いじめの調査はしたのか、その結果はどうだったか、公立の場合は教育委員会に報告したのか、いじめをした側の子どもへの指導や、その親へ助言は行ったかなど、具体的に問い合わせて情報共有を求めるとよいでしょう。

(4)いじめの相談窓口に相談する

いじめは、対処が遅れると被害が広がったり深刻になったりすることがあります。
「何をしたらいいんだろう」と対応に悩んだら、次のような相談窓口に相談してみるのもよいでしょう。

  • 「ネット・スマホの悩みを解決こたエール」|都民安全推進部
    URL:https://www.tokyohelpdesk.metro.tokyo.lg.jp/
    電話番号:0120-1-78302
    受付時間:月~土曜、15~21時(祝日を除く)
    ※メール、LINEでも相談可能

(5)弁護士や警察に相談する

自分で学校と話したり交渉したりすることが、時間的・精神的に難しいと感じる方は、いじめ問題を取り扱っている弁護士に相談して対応を依頼する方法もあります。
また、いじめが次のような犯罪行為にあたるようなひどい態様である場合には、学校は所轄警察署と連携し、援助を求めることになっています(いじめ防止対策推進法23条6項)。このようないじめ行為が確認されているのに、学校が早期に警察と連携し援助を求めない場合には、警察に相談することを検討しましょう。警察に相談するにあたって、事前にいじめ問題を扱っている弁護士に相談・依頼してその場に同席してもらうこともできます。

  • 繰り返し殴ったり蹴ったりする(刑法208条暴行罪)
  • 骨折するようなケガをさせる(刑法204条傷害罪)
  • 断れば危害を加えると脅して汚物を口に入れさせたり、性器を触ったり、金品をたかったりする(刑法223条強要罪、刑法176条強制わいせつ、刑法249条恐喝罪)
  • 教科書等の所持品を盗む(刑法235条窃盗罪)
  • 誹謗中傷するためインターネットで実名をあげて悪口を書く(刑法230条231条名誉棄損罪、侮辱罪)
  • 性器を撮影してインターネットサイトに掲載する(児童ポルノ法7条児童ポルノ提供等罪)

参考:いじめの防止等のための基本的な方針(平成25年10月11日文部科学大臣決定(最終改定 平成29年3月14日)|文部科学省

刑法で罰されるのは14歳以上の人間に限られます(刑法41条)。つまり、13歳以下の者は、犯罪行為を行ったとしても刑法で罰されることはありません。ただし、「触法少年」(少年法3条1項2号)として警察が補導し、調査を行います。

参考:平成25年5月16日 早期に警察へ相談・通報すべきいじめ事案について(通知)|文部科学省 (mext.go.jp)

大切な2つの心構え

「私の子をいじめるなんて許せない!」「謝罪に来ないけどきちんと反省しているの?」と思うのは当然のことです。
学校にいじめを伝えたものの、学校の対応が期待していたより遅かったり、不十分であったりしてストレスを感じることもあるかもしれません。
ただ、いじめに対処するうえで大切なことは、いじめた側に意識を向けるより、いじめられた子どもの気持ちに寄り添うことと、その子どもが健全に成長できるよう環境を整えることです。

(1)加害者側の対応を気にし過ぎない

いじめた子どもはどうなったのか、きちんと教師や親に叱られていじめはダメだと認識したのか、いじめた子どもの親は謝りに来ないけど反省しているのか、など色々気になるんですが…。

またいじめられる可能性を考えると、いじめた子どもが何を考えているのか気になりますね。
ただ、いじめた子どもがいじめをしたとは認めないこともあります。そのような場合はいじめた子どもやその親からの謝罪はないかもしれません。また、いじめた加害者については、いじめの事実確認に踏み込まず、叱らずにいじめを解決するという方法もあります(ノー・ブレイム・アプローチ)。
いじめた子どもへの教育やその親の対応を気にしすぎるよりも、わが子を気に掛けて、安心して学べる環境を整えることに時間を確保することに意識を向けるようにしましょう。

(2)子どもにとってベストな解決方法を考える

子どもの気持ちに共感し、味方であることを繰り返し伝えるようにします。
今後学校で安心して学べる環境を確保するためには、学校とは敵対するのではなく、いじめをやめさせて再発を防ぐチームだと思い、連絡を欠かさないようにしましょう。
もし学校の対応が納得できず、子どもも今の学校をやめて違う学校に行きたいというのであれば、転校も一つの方法です。大切にして守るべきは、「子どもの教育を受ける権利」「健全に成長する環境」であって、「その学校に通わせること」ではないからです。

【まとめ】子どものいじめに気づいたら速やかに学校に通報し、子どもが安心して教育を受けられるように対処する

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「いじめ」の定義は変遷しており、現在は「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」をいう。
  • 全学校の約8割でいじめが認知されている。
  • いじめの認知件数は小学校低学年で特に多い。
  • 子どもがいじめられていることに気づいた後の対処法
    1. 学校に通報
    2. 証拠を集める
    3. 学校に情報共有を求める
    4. 相談窓口に相談
    5. 弁護士や警察に相談
  • いじめの加害者側を気にし過ぎない、いじめられた子どもにとってベストな解決方法を考えるという心構えが大切。

この記事が、いじめにどのように対応したらよいか悩む方の一助になれば幸いです。

この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。神奈川県弁護士会所属

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。