ここを押さえればOK!
弁護士会照会制度(23条照会)とは、弁護士の情報収集手段の一つとして認められたものです。各種の団体に対し必要な情報を照会し、報告を求めることができます。
弁護士であっても、弁護士会照会制度を利用できるのは、受任している事件の処理で必要な範囲に限られ、強制力はないため、回答を得られない場合もあります。
「夫と不倫した相手に慰謝料を請求したい」と考えているとします。
しかし、たとえ請求する権利があったとしても、不倫相手の連絡先がわからなければ、請求できません。
連絡が取れなければ話合いすらできず、住所がわからなければ裁判も起こせないからです。
では、連絡先が分からない不倫相手には、「泣き寝入り」するしかないのでしょうか?
そのような状況でお困りの場合、弁護士に慰謝料請求を依頼することで、不倫相手の情報が判明するかもしれません。
弁護士にのみ許された「弁護士会照会制度」を利用すれば、調査対象の連絡先や住所などがわかる場合があるからです。
今回の記事では次のことについて弁護士が解説します。
この記事を読んでわかること
- 弁護士会照会制度とは
- 弁護士会照会制度で得られる情報
- 弁護士会照会制度についてよくある質問(Q&A)
法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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弁護士会照会制度(23条照会)とは
弁護士が受任している事件を解決するためには、さまざまな情報が必要です。「弁護士会照会制度」は、そんな弁護士の情報収集手段の一つとして認められています。
弁護士法の「23条(正確には、23条の2)」に規定があることから「23条照会」と呼ばれることもあります。
(報告の請求)
1 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
引用:弁護士法第23条の2
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
弁護士は、弁護士会照会制度により、各種の団体に対し必要な情報を照会し、報告を求めることが可能です。
なお、照会を行う主体は弁護士会で、依頼した弁護士個人ではありません。
そのため、弁護士「会」照会制度と呼ばれています。
(1)弁護士会照会制度の注意点
弁護士が弁護士会照会制度を利用できるのは、受任している事件の処理で必要な範囲に限られます。
また、弁護士会照会制度に強制力はなく、回答を得られない場合もあります。
(2)弁護士会照会制度の利用は増加傾向にある
日弁連(日本弁護士連合会)が発表したデータによると、弁護士会照会制度の利用件数は2013年以降年々増加しており、2019年においては22万件を超えています。
日々忙しい生活の合間に、時間や手間をかけ、1人で問題を解決するのは容易なことではありません。
また、自分で調べるにも限度があり、時間や労力をかけるよりは、弁護士に依頼したほうがいいと考える人が増えているのかもしれません。
弁護士会照会制度で得られる情報
弁護士会照会制度を利用すると、次のような情報を取得できる可能性があります。
調査対象者の名前・住所
不倫相手の電話番号がわかっている場合、電話番号から契約者の名前や住所がわかることがあります。
電話番号は、固定電話でも携帯電話でもかまいません。
ただし、各電話会社の対応が同じとは限らないため、電話会社によって回答してくれるかどうかが変わってくる可能性があります。
また、不倫相手の自動車のナンバープレートから、自動車の所有者の名前や住所が特定できることもあります。
携帯電話の番号
不倫相手の電話番号はわからないけれど、メールアドレスはわかっている場合、そこから携帯電話の番号がわかることがあります。
わかっているメールが携帯電話のキャリアメールである場合、携帯電話会社にそのメールアドレスの持ち主の電話番号を問い合わせることができます。
一方、判明しているメールアドレスがキャリアメールではなく、海外サービスのPCメールなどの場合、不倫相手の情報を特定することは難しいでしょう。
メールアドレスのみがわかっている場合について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ここでは不倫相手の特定に役立ちそうなケースについて記載しましたが、ほかにも、弁護士会照会制度によって生命保険契約の有無や内容、銀行の取引履歴、出入国記録などがわかる場合があります。
弁護士会照会制度でよくある質問(Q&A)
ここでは弁護士会照会制度についてよくある疑問を紹介します。
(1)Q.弁護士でなくても弁護士会照会制度は利用できますか?
A. 弁護士でない方は利用できません。
弁護士法は、弁護士のみに照会権限を認めています。機密性の高い情報であっても「人権を尊重し社会正義を実現する責務を負う弁護士」に限って特別に開示させる制度です。
そのため、一般の個人に照会権限はありません。
情報を調査したいときは、弁護士に依頼する必要があります。
(2)Q.弁護士に情報の取得だけを依頼することは可能でしょうか?
A. いいえ、依頼することはできません。
弁護士であっても、弁護士会照会制度を利用できるのは「受任している事件」の処理に必要な範囲のみです。受任案件以外の事項を無制限に調査できるわけではありません。
単純に「情報を得たい」というだけの動機で、弁護士に照会手続のみ依頼することは不可能です。
(3)Q.弁護士会照会制度に費用はかかりますか?
A. 費用はかかります。
弁護士会照会制度を利用するときは、所属弁護士会へ負担金を郵送費用と併せて支払います。負担金の金額は、各地の弁護士会によって異なりますが、1件5,000〜1万円程度です。
【まとめ】弁護士会照会制度は、弁護士だけに認められた情報収集手段!不倫相手の住所などがわかるかも?
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 弁護士会照会制度(23条照会)とは、弁護士の情報収集手段の一つとして認められた照会権限であり、各種の団体に対し必要な情報を照会し、報告を求めることができる
- 弁護士であっても、弁護士会照会制度を利用できるのは、受任している事件の処理で必要な範囲に限られる
- 弁護士会照会制度には強制力があるわけではないため、回答を得られない場合もある
- 弁護士会照会制度により、不倫相手の電話番号から名前や住所が、メールアドレスから電話番号が判明することがある
- 自動車のナンバープレートから、その所有者の名前や住所がわかることもある
- 弁護士でなければ、弁護士会照会制度を利用することはできない
- 弁護士に、弁護士会照会による情報の取得だけを依頼することはできない
不倫相手に慰謝料を請求したいと思っても、連絡先がわからないなど、自分の力だけで解決するのが難しい場面は多くあります。
多くの時間や手間が必要となるだけでなく、個人で取得できる情報には限りがあるためです。
そんなときは、弁護士への依頼を検討してみましょう。
今回紹介したように、弁護士には、受任している案件の処理に必要な範囲で、調査対象者の名前や住所、電話番号、銀行の取引履歴などの情報を照会する権限が認められています。
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
(以上につき、2024年3月時点)
不倫の慰謝料請求でお悩みの方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。