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交通事故慰謝料の「弁護士基準」とは?増額のポイントも解説

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交通事故で被害にあった場合、加害者に対しさまざまな慰謝料を請求することができます。では、慰謝料の金額はどのように決まるのでしょうか?
実は、交通事故の賠償金額を決める際には3つの基準があります。どの基準をとるかによって金額が大きく変わってしまうのです。
この記事では、

  • 交通事故の被害で請求できる慰謝料の種類
  • 慰謝料を算定する際の3つの基準
  • 慰謝料を増額するポイント

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

交通事故の被害者が加害者に請求できる慰謝料とは

交通事故の被害を受けた場合、治療費や休業損害の賠償のほか、慰謝料も加害者に対して請求することができます。
慰謝料とは、交通事故の被害者が受けた精神的損害(=「痛い」・「つらい」などの苦痛)に対して支払われる金銭です。
交通事故の被害者が加害者に請求できる慰謝料には、以下の3つがあります。

(1)傷害慰謝料(入通院慰謝料)

交通事故でケガを負ったことに対する慰謝料です。入通院慰謝料ともいいます。
傷害慰謝料は、治療期間や実際に入通院した日数に基づいて計算します。基本的に、入通院期間が長くなるほど高額になります。
入通院にかかった治療費や交通費とは別に請求可能です。

(2)後遺症慰謝料

交通事故で受けたケガが完治せず、後遺症が残った場合に発生する慰謝料です。
後遺症が、所定の機関(損害保険料率算出機構など)により「後遺障害」として認定されると請求できます。
後遺障害には、症状の部位や重さなどに応じて1~14級(および要介護1級・2級)の等級があり、どの等級に認定されるかによって慰謝料の金額が変わってきます。最も重い1級が最も金額が高くなります。
後遺症慰謝料は、1の入通院慰謝料とは別に請求が可能です。

(3)死亡慰謝料

被害者が死亡した場合に請求できる慰謝料です。
死亡慰謝料は次の2種類があります。

  • 被害者本人の精神的苦痛に対して支払われるもの
  • 残された遺族の精神的苦痛に対して支払われるもの

このうち、イを請求する権利は被害者本人にありますが、死亡により遺族に相続されるため、通常はイ・ロともに遺族が請求することになります。
死亡に至るまでに入通院した場合、死亡慰謝料とは別に傷害慰謝料も請求可能です。

「弁護士基準」は3種類ある慰謝料算定基準の1つ

以上見てきた慰謝料の金額を決めるには、3つの算定基準があります。
加害者との示談交渉、または裁判においては、これらの算定基準をもとに慰謝料を算定します。
以下、3つの基準についてそれぞれ見ていきましょう。

(1)自賠責基準

自賠責基準は、自動車保有者が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。国土交通大臣および内閣総理大臣が定めます(自動車損害賠償保障法16条の3)。
自賠責基準は被害者への最低限の補償を目的として設けられているので、慰謝料の基準額は3つの算定基準のうち最も低くなります。
加害者との示談交渉では、加害者側(通常は、加害者が加入する任意保険会社)が自賠責基準での慰謝料支払いを提案してくるケースもあります。

(2)任意保険基準

任意保険基準は、各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準です。
加害者側の任意保険会社は、通常は任意保険基準をもとにして慰謝料を提示してきます。基準額は、自賠責基準と同程度か、やや高い程度であると推測されます。

(3)弁護士基準(裁判所基準)

弁護士基準は、過去の裁判例をもとに設定された基準です。裁判所基準とも呼ばれます。
弁護士基準は、弁護士に示談交渉を依頼した場合などに使われる算定基準です。
被害者本人が自分で示談交渉する場合に、弁護士基準に基づく慰謝料の支払いを要求することも可能ですが、加害者側の任意保険会社の合意を取り付けるのは困難です。
その点、弁護士に示談交渉を依頼すれば、弁護士基準が示談交渉の出発点となります。
弁護士基準による慰謝料金額(目安)は3つの算定基準のうちで最も高額となります。
弁護士基準は、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称「赤い本」)や、『交通事故損害額算定基準』(通称「青本」)などに記載されています。

「弁護士基準」とその他の基準では、慰謝料の額がどれくらい異なる?

上でご紹介した3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般的に

弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準

となります。

そこで、弁護士基準とその他の基準とで、慰謝料の額(目安)が実際どのくらい変わってくるのか見てみましょう。
なお、任意保険基準は非公開となっているため、自賠責基準と弁護士基準を比較します。いずれも2020年4月1日以降に起きた事故の場合の金額です。

(1)傷害慰謝料(入通院慰謝料)

まず、傷害慰謝料についてです。

【自賠責基準の場合】
自賠責基準の計算式では、次のイ・ロのうち少ない金額のほうが採用されます。

  • 実入通院日数×2×4300円
  • 入通院期間×4300円

例えば、治療を開始してからが終わるまでに30日、その間の入院が10日・通院が10日だった場合、

  • 20日(入通院日数の合計)×2×4300円=17万2000円
  • 30日×4300円=12万9000円

イとロを比べると、ロのほうが少ないため、ロの12万9000円が採用されます。

【弁護士基準の場合】
弁護士基準では、入院と通院の期間によって定められた算出表があり、その表に従って慰謝料額が算出されます。
2種類の算定表があり、骨折などの場合と、むち打ち症で他覚所見がない場合とでは異なる算定表を用います。
骨折などの場合は別表Ⅰ、むち打ち症で他覚所見がない場合は別表Ⅱを用います。
縦軸が通院期間、横軸が入院期間で、それぞれの期間が交差する箇所が慰謝料額の目安となります。

傷害慰謝料(別表Ⅰ)(単位:万円)

入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院53101145184217244266284297306314321328334340
1月2877122162199228252274291303311318325332336342
2月5298139177210236260281297308315322329334338344
3月73115154188218244267287302312319326331336340346
4月90130165196226251273292306316323328333338342348
5月105141173204233257278296310320325330335340344350
6月116149181211239262282300314322327332337342346
7月124157188217244266286304316324329334339344
8月132164194222248270290306318326331336341
9月139170199226252274292308320328333338
10月145175203230256276294310322330335
11月150179207234258278296312324332
12月154183211236260280298314326
13月158187213238262282300316
14月162189215240264284302
15月164191217242266286

傷害慰謝料(別表Ⅱ)(単位:万円)

入院1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月13月14月15月
通院356692116135152165176186195204211218223228
1月195283106128145160171182190199206212219224229
2月366997118138153166177186194201207213220225230
3月5383109128146159172181190196202208214221226231
4月6795119136152165176185192197203209215222227232
5月79105127142158169180187193198204210216223228233
6月89113133148162173182188194199205211217224229
7月97119139152166175183189195200206212218225
8月103125143156168176184190196201207213219
9月109129147158169177185191197202208214
10月113133149159170178186192198203209
11月117135150160171179187193199204
12月119136151161172180188194200
13月120137152162173181189195
14月121138153163174182190
15月122139154164175183

例えば、

  • 入院を1ヶ月、通院を1ヶ月した場合、別表Ⅰで算定すると77万円となります。
  • 入院を1ヶ月、通院を1ヶ月した場合、別表Ⅱで算定すると52万円となります。

このように、別表Ⅰのほうが金額は高くなります。
基本的に入通院の期間が長くなるほど慰謝料は高くなります。
もっとも、通常、慰謝料の金額は入通院の日数ではなく期間に基づいて算出するため、毎日通院すればそれだけ金額が加算されるということはありません。
また、通院が長期にわたる場合には、上記の表の金額が減額されることがあります。

【自賠責基準と弁護士基準の比較】
例えば、交通事故で骨折などの重傷を負い、入院1ヶ月、通院6ヶ月(実通院日数は60日)だった場合の傷害慰謝料額(目安)は、

  • 自賠責基準:77万4000円
  • 弁護士基準:149万円

となります。

(2)後遺症慰謝料

続いて、後遺症慰謝料についてです。

【自賠責基準の場合】
自賠責基準による後遺症慰謝料の支払い基準は次のとおりです。

自賠責基準

第1級第2級第3級第4級第5級第6級第7級
1150万円998万円861万円737万円618万円512万円419万円
第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
331万円249万円190万円136万円94万円57万円32万円

要介護の場合

第1級第2級
1650万円1203万円

【弁護士基準の場合】
これに対し、弁護士基準を用いた場合の後遺症慰謝料額(目安)は、次の表のとおりです。

弁護士基準

第1級第2級第3級第4級第5級第6級第7級
2800万円2370万円1990万円1670万円1400万円1180万円1000万円
第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
830万円690万円550万円420万円290万円180万円110万円

自賠責基準の金額と弁護士基準の金額を比較すると、次の表のようになります。

【自賠責基準と弁護士基準の比較】(単位:万円)

第1級第2級第3級第4級第5級第6級
自賠責基準1150998861737618512
弁護士基準280023701990167014001180
金額差(倍)2.432.372.312.272.272.30
第7級第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
419331249190136945732
1000830690550420290180110
2.392.512.772.893.093.093.163.44

例えば、交通事故で他覚所見のあるむち打ち症となり、後遺障害12級の認定を受けた場合の後遺障害慰謝額(目安)は、

  • 自賠責基準:94万円
  • 弁護士基準:290万円

となります。弁護士基準のほうが約3倍の金額となっているのがお分かりかと思います。

こちらの記事もご参照ください。

交通事故における慰謝料の相場や計算方法、請求手順について詳しく解説

(3)死亡慰謝料

最後に死亡慰謝料です。

【自賠責基準の場合】
自賠責基準では、
死亡した本人の死亡慰謝料は400万円です。
これに加え、遺族の慰謝料は次のとおりです。

  • 遺族が1名の場合:550万円
  • 遺族が2名の場合:650万円
  • 遺族が3名以上の場合:750万円
  • 死亡した本人から扶養されていた者がいる場合:+200万円

なお、ここにいう「遺族」とは、原則として死亡者本人の父母・配偶者・子に限られます。

【弁護士基準の場合】
これに対し、弁護士基準では、死亡した本人の死亡慰謝料と遺族の慰謝料を合算して算定します。
金額は、死亡した本人の家族内における立場によって変わります。

具体的には、死亡したのが

  • 一家の大黒柱の場合:2800万円
  • 母親、配偶者の場合:2500万円
  • その他の場合:2000万~2500万円

となります。これらを基準にし、個別の事由を考慮して金額が増減されます。
なお、例えば飲酒運転やひき逃げなど、事故の内容が悪質だった場合は、金額が増額されることもあります。

【自賠責基準と弁護士基準の比較】
例えば、サラリーマンの父親と専業主婦の母親、小中学生の子ども2人の家庭で、父親が交通事故により死亡した場合の死亡慰謝料額(目安)は、

  • 自賠責基準:1350万円
  • 弁護士基準:2800万円

となります。

「弁護士基準」に関する注意点

弁護士基準、または交通事故慰謝料そのものに関する注意点として、以下3点ご説明します。

(1)「弁護士基準」に法的拘束力はない

弁護士基準は裁判になった場合にも用いられる慰謝料算定基準ですが、弁護士基準の金額自体に法的な拘束力はなく、この金額が自動的に認められるわけではありません。
したがって、保険会社が提示してくる低い金額を弁護士基準の金額に近づけるためには、粘り強い交渉を続けることが必要です。

(2)弁護士基準を使うために裁判をする必要はない

弁護士基準は、必ずしも裁判に至った場合にのみ使われるというわけではなく、それ以前の示談交渉においても使われます。
弁護士が被害者の代理人として加害者側の任意保険会社と交渉する場合、裁判に持ち込むことなく弁護士基準の満額近い金額の慰謝料で示談する事例は少なくありません。

(3)そもそも慰謝料の対象は原則として人身事故のみ

交通事故には人身事故と物損事故がありますが、慰謝料が認められるのは原則として人身事故のみです。
車やモノが壊れたことの悲しみやショックは、修理などによって賠償できると考えられているため、通常慰謝料の対象にはならないのです。
ただし、ペットの死亡や墓石の損壊など、慰謝料請求が認められた特殊なケースもわずかですが存在します。

「弁護士基準」を根拠にして慰謝料を増額するには、弁護士への相談がおすすめ

被害者が、自分自身(または加入している保険会社の示談代行サービス)で示談交渉を行うと、加害者側の任意保険会社は、自賠責基準や任意保険基準を用いた金額を提示してくるのが通常です。
被害者が自ら弁護士基準で加害者側の任意保険会社と交渉することもできますが、任意保険会社はそもそも被害者本人からの増額交渉に聞く耳を持たないケースも多いです。
これに対し、弁護士が被害者の代理人として交渉する場合、交渉が決裂すれば訴訟に移行することが想定されるため、示談交渉の段階から金額の増額に応じるケースが少なくありません。
また、弁護士に交通事故の解決を依頼すると、次のようなメリットも得られます。

  • 法的な知識不足によって不利益を被る心配がない
  • 面倒な交渉などの負担から解放され、治療などに集中できる
  • 症状に応じた適正な後遺障害の等級認定を受けやすくなる

なお、弁護士や法律事務所にはそれぞれ注力している分野があります。交通事故について相談する際は、交通事故への対応実績が豊富な弁護士や法律事務所を選ぶことが重要です。

【まとめ】弁護士基準での慰謝料請求についてはアディーレ法律事務所にご相談ください

交通事故による慰謝料請求について弁護士に相談すると、慰謝料額の増額や適正な後遺障害等級認定の可能性が高まります。また、面倒な手続きを弁護士に任せてご自身は治療などに専念できるといったメリットがあります。
交通事故による弁護士基準での慰謝料請求については、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修弁護士
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愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

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