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交通事故の慰謝料を「弁護士基準」で受け取るために知っておくべきこと

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

交通事故慰謝料の金額の決め方の一つに「弁護士基準」があります。

では、「弁護士基準」とはどのような基準でしょうか?

弁護士基準とは、過去の裁判例を基に設定された基準です。弁護士基準は、弁護士に示談交渉を依頼した場合や裁判した場合などに使われ、他の基準で算定した場合より一般的に、高額な金額となります。

例えば、むち打ち症で後遺障害12級認定を受けた場合には、自賠責基準では94万円、弁護士基準では290万円となります(後遺障害慰謝料)。

※自賠責保険基準の後遺障害慰謝料額は、2020年4月1日以降に発生した事故における金額を記載しております。

少しでも多くの賠償金を受け取るために、賠償金を請求する前に、「弁護士基準」とはどういった基準なのか、「弁護士基準」を使うにはどうすればよいのか、知っておきましょう。

この記事では、

  • 交通事故の被害で請求できる慰謝料の種類
  • 慰謝料を算定する際の3つの基準
  • 慰謝料を増額するポイント

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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交通事故の被害者が加害者に請求できる慰謝料とは

交通事故の被害を受けた場合、治療費のほか、慰謝料も加害者に対して請求することができます。
「慰謝料」とは、交通事故の被害者が受けた精神的損害(=「痛い」・「つらい」などの苦痛)に対して支払われる金銭です。

交通事故の被害者が加害者に請求できる慰謝料には、次の3つがあげられます。

なお、交通事故には人身事故と物損事故がありますが、慰謝料が認められるのは原則として人身事故のみです。車やモノが壊れたことの悲しみやショックは、修理などによって賠償できると考えられているため、通常は慰謝料の対象にはならないのです。

「弁護士基準」は3種類ある慰謝料算定基準の1つ

慰謝料の金額を決めるには、3つの算定基準があり、「弁護士基準」はその中の1つの基準になります。
加害者との示談交渉、または裁判においては、これらの算定基準をもとに慰謝料を算定します。
3つの基準についてそれぞれ見ていきましょう。

慰謝料算定基準概要
自賠責基準自賠責の基準は、自動車保有者が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。
自賠責の基準は被害者への最低限の補償を目的として設けられているので、基本的には、慰謝料の基準額は3つの算定基準のうち最も低くなります(※)。
任意保険基準任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準です。
加害者側の任意保険会社は、通常は任意保険の基準をもとにして慰謝料を提示してきます。基準額は、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であると推測されます。
弁護士基準(裁判所の基準)弁護士の基準は、過去の裁判例をもとに設定された基準です。弁護士に示談交渉を依頼した場合や裁判をした場合などに使われる算定基準です。
弁護士の基準による慰謝料金額(目安)は基本的には3つの算定基準のうちで最も高額となります。

※ただし、自賠責保険は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。

なお、弁護士基準は、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称「赤い本」)や、『交通事故損害額算定基準』(通称「青本」)などに記載されています。

「弁護士基準」とその他の基準では、慰謝料の額がどれくらい異なる?

上でご紹介した3つの基準を金額の小さい順に並べると、一般的に、次のようになります。

では、弁護士基準とその他の基準とで、慰謝料の額(目安)が実際どのくらい変わってくるのか見てみましょう。

なお、任意保険基準は非公開となっているため、自賠責基準と弁護士基準を比較します。いずれも2020年4月1日以降に起きた事故の場合の金額です。

(1)傷害慰謝料(入通院慰謝料)

まず、傷害慰謝料について説明します。

例えば、骨折で1ヶ月入院し(※)、その後6ヶ月通院した場合(約3日に1度通院し、実通院日数60日)で比較してみましょう。

※この事例ではギプスは入院中のみしていたものとします。

【自賠責基準の場合】
自賠責基準の計算式では、次のイ・ロのうち少ない金額のほうが採用されます。

イ)実入通院日数×2×4300円
ロ)入通院期間×4300円

1ヶ月入院し、6ヶ月通院した場合(約3日に1度通院し、実通院日数60日)で計算すると、

イ)90日(入通院日数の合計)×2×4300円=77万4000円
ロ)210日×4300円=90万3000円

イとロを比べると、イのほうが少ないため、イの77万4000円が採用されます。

【弁護士基準の場合】
弁護士基準では、入院と通院の期間によって定められた算出表があり、その表を目安にして慰謝料額が算出されることになります。

2種類の算定表があり、骨折など軽症でない場合は別表Ⅰ、むち打ち症でレントゲンやMRIといった他覚所見がないなどの軽傷の場合は別表Ⅱを用います。
縦軸が通院期間、横軸が入院期間で、それぞれの期間が交差する箇所が慰謝料額の目安となります(※)。

※通院が長期間にわたるケースなどにおいては、実通院日数を考慮して算定する場合もあります。

傷害慰謝料(別表Ⅰ)(単位:万円)

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

傷害慰謝料(別表Ⅱ)(単位:万円)

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

別表Ⅰで算定すると、1ヶ月入院し、6ヶ月通院した場合の入通院慰謝料の目安は、149万円となります。

【自賠責基準と弁護士基準の比較】
上記の例(1ヶ月入院し、6ヶ月通院した場合)で入通院慰謝料を比較してみると、

  • 自賠責基準:77万4000円
  • 弁護士基準:149万円

と、弁護士基準のほうが自賠責基準の倍近い金額となることがわかります。

(2)後遺障害慰謝料

続いて、後遺障害慰謝料について説明します。

後遺障害慰謝料について自賠責の基準と弁護士の基準を比較してみましょう。

この表をみると、後遺障害慰謝料についても弁護士基準のほうが自賠責の基準よりも高額の金額となっているのがお分かりになるかと思います。

(3)死亡慰謝料

最後に死亡慰謝料について説明します。

【自賠責基準の場合】
自賠責基準では、亡くなった方本人の死亡慰謝料は400万円です。
これに加え、遺族の慰謝料は次のとおりです。

遺族の慰謝料

遺族の人数金額
遺族が1名の場合550万円
遺族が2名の場合650万円
遺族が3名以上の場合750万円
扶養されていた者がいた場合+200万円

なお、ここにいう「遺族」とは、原則として死亡者本人の父母・配偶者・子に限られます。

【弁護士基準の場合】
これに対し、弁護士基準では、死亡した本人の死亡慰謝料と遺族の慰謝料を合算して算定します。金額は、死亡した本人の家族内における立場によって変わります。

具体的には、次のようになります。

これらを基準にし、個別の事由を考慮して金額が増減されます。例えば飲酒運転やひき逃げなど、事故の内容が悪質だった場合は、金額が増額されることもあります。

【自賠責基準と弁護士基準の比較】
例えば、サラリーマンの父親と専業主婦の母親、小中学生の子ども2人の家庭で、父親が交通事故により死亡した場合の死亡慰謝料額(目安)は、次の通りです。

  • 自賠責基準:1350万円
  • 弁護士基準:2800万円

死亡慰謝料についても弁護士基準のほうが、自賠責の基準よりも高額となることがわかります。

慰謝料を増額するポイントとは?

慰謝料を増額するためのポイントは、慰謝料を「弁護士基準」を使って算定することです。

もっとも、「弁護士基準」は裁判になった場合にも用いられる慰謝料算定基準ですが、「弁護士基準」の金額自体に法的な拘束力はなく、この金額が自動的に認められるわけではありません。

では、「弁護士基準」を使うにはどうすればいいのでしょうか。

弁護士基準を使うためには、必ず裁判しなければならないというわけではありません。示談交渉でも弁護士基準で算定した金額に近い金額で示談がまとまるケースはたくさんあります。

もっとも、「弁護士基準」を使うには、弁護士への依頼がおすすめです。

確かに、被害者が自ら弁護士基準で加害者側の任意保険会社と示談交渉することも可能です。しかしながら、被害者本人が弁護士基準で算定した金額で交渉しても、加害者側の任意保険会社は聞く耳を持たないことも多いのです。

これに対し、弁護士が被害者の代理人として交渉する場合、交渉が決裂すれば訴訟に移行することが想定されるため、示談交渉の段階から弁護士基準に近い金額で示談に応じるケースが少なくありません。

また、弁護士に交通事故の解決を依頼すると、次のようなメリットも得られます。

  • 法的な知識不足によって不利益を被る心配がない
  • 面倒な交渉などの負担から解放され、治療などに集中できる
  • 症状に応じた適正な後遺障害の等級認定を受けやすくなる

なお、弁護士や法律事務所にはそれぞれ注力している分野があります。交通事故について相談する際は、交通事故への対応実績が豊富な弁護士や法律事務所を選ぶことが重要です。

【まとめ】慰謝料の増額を目指すなら、「弁護士基準」がおすすめ

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故の被害者が加害者に請求できる慰謝料は「入通院慰謝料」、「後遺障害慰謝料」、「死亡慰謝料」の3つ。
  • 慰謝料算定基準は、一般的に、「自賠責基準」<「任意保険基準」<「弁護士基準」の順で高額となる。
  • 弁護士が被害者の代理人として交渉する場合、交渉が決裂すれば訴訟に移行することが想定されるため、示談交渉の段階から弁護士基準に近い金額で示談に応じるケースが少なくない。

慰謝料の増額を目指すなら、弁護士への相談・依頼がおすすめ。

交通事故による弁護士基準での慰謝料請求については、アディーレ法律事務所にご相談ください。

交通事故の被害に遭った方が、賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりお客様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年3月時点)

交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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