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親権とは?知っておきたい基礎知識からトラブルの対処法

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離婚する際には、親のどちらが未成年者の子どもの親権者となるか決めなければなりません。
日本の親権制度は、婚姻中の父母は共同親権者となり、親権を共同行使することができますが(民法818条1項、3項本文)、離婚後は単独親権となるためです(民法819条)。
そこで今回は、親権の基礎知識や親権にかかわるトラブルの対処法などについて弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。2016年弁護士登録。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。現在、東京弁護士会所属。

親権とは?知っておきたい基礎知識

親権は、未成年の子を一人前に成熟した社会人とするために養育する、親に認められた権利であり、また義務であると考えられています。
そして、親は「子の利益のために」親権を行使すべきとされています(民法820条)。

日本の親権制度は、婚姻中は父母の共同親権ですが、離婚後は単独親権となります。
婚姻していない両親の場合、原則母が単独で親権を行使しますが、父母の協議により父と定めることもでき、そのときには父が単独親権者となります。

夫婦で話し合って離婚に合意する協議離婚の際には、親権を父母どちらかに指定して離婚届に記載する必要がありますので(民法819条1項、戸籍法76条1項)、親権者を決めなければ離婚することができません。

離婚調停を申立てて、調停で離婚が成立する場合には、通常はその際に親権者も合意して調停条項に記載します。調停で離婚には合意したけれども、親権者だけ合意できないという場合には、離婚は調停で成立させ、親権者の指定のみ審判に移行し、裁判所に判断してもらうこともあります。

離婚訴訟を提起し、判決により裁判上の離婚が成立する場合には、裁判所が父母の一方を親権者と定めます(民法819条2項)。和解で離婚に合意することもありますが、その場合には和解条項で親権者を定めることが多いです。

親権の内容には「財産管理権」と「身上監護権」がある

親権の内容は、財産管理権と身上監護権(しんじょうかんごけん)とに分けられますので、それぞれについて解説します。

(1)財産管理権

親権者は、子どもの財産を保護するため、子どもの法律行為の代理権や同意権を有しており、子どもの財産を管理する権利義務を負います(民法824条)。これを、財産管理権といいます。
未成年者は、一人で法律行為をすることができません。未成年者が法律行為をするためには法定代理人の同意が必要とされていますので(民法5条1項)、それに対応して親権者に同意権があることが定められています。
また、親権者は、財産管理義務を自己のためにするのと同一の注意義務をもって行う責任があります(民法827条)。

例えば、未成年の子どもが、大学入学をきっかけに自立の準備としてアパートの賃貸借契約や携帯電話の利用契約の締結を希望した場合、財産管理権のある親権者は、法定代理人として子どもを代理して契約を締結することができますし、また本人が契約することに同意することができます。

(2)身上監護権

身上監護権は、未熟な子どもを心身ともに健全な大人に養育するために認められる権利義務のことを指します。
具体的には、監護教育権(民法820条)、居所指定権(民法821条)、懲戒権(民法822条)、職業許可権(民法823条)があります。

  • 監護教育権:子を健全に育てるために必要な措置を取ること
  • 居所指定権:子は、親権者が指定した場所を居所(住む場所)とすること
  • 懲戒権:子の監護教育に必要な範囲で子を懲戒できること
  • 職業許可権:子は、親権者の許可がなければ職業につくことができないこと

例えば、親権者は、子どもと一緒に住み、日々子どもを養育し、ほめたり叱ったりして教育することで身上監護権を行使していることになります。

(3)身上監護権は「監護権」として親権から分離することがある

民法上、協議離婚の際には、親権者とは別に監護権者を定めることができるとされています(民法766条1項)。
監護権者を親権者と別に定めた場合、その権限の範囲は身上監護権と同一だと考えられています。
したがって、親権者でなくても監護権者であれば、子どもと一緒に住み、日々子どもを養育し、ほめたり叱ったりして教育することができます。

昔は、離婚の際の親権は、原則として「家」にある父親が有し、協議で母に監護権を与えることができるとされていました。その後「家」制度の廃止に伴って、母も親権者となることができるようになりましたが、監護権者を定めることができるとの規定は、修正されて残ったのです。

このように、親権と監護権の分離は可能ですが、母親も親権者となることのできる現在では、実務上はあまり利用されていません。
平成31年(令和元年)司法統計・家事事件編(第23表)によれば、離婚の調停や審判において、子の親権者の定めをすべき件数の総数は1万8580件でした。
そして、父を親権者と定めた1727件のうち母を監護権者とするものは87件、母を親権者と定めた1万7358件のうち父を監護権者とするものは25件にすぎません。

親権がないと親はどうなる?

親権がなくても、親子関係が存在する事実に変わりはありません。
子どもは、その利益に反する場合を除き、双方の親と定期的に関係をもち、直接接触する権利があります(子どもの権利条約9条3項)。
現在は、両親の離婚後であっても、子どもが親権者でない親と定期的に接触することが、子どもの健全な育成のために必要であると理解されていますので、その前提で親と子が接触する機会を確保する努力が必要になるでしょう。
子どもとの面会については、親同士の話し合いで頻度や時間帯を合意しますが、話し合いがうまくいかない場合には、面会交流について調停を申立てて、調停の場で話し合うこともできます。

また、親権者でなくても、親として子どもに対する扶養義務を負っています(民法877条)。
したがって、親権のない親は、子どもを現実に養育している親権者に対して、子どもの生活費として一定の養育費を支払う責任があります。

親権者が決まるまでの流れ

親権者が決まる流れは次の通りです。

協議離婚の場合は、夫婦で話し合いどちらか片方を親権者と決める。
夫婦の話し合いで親権者が決まらない場合は、離婚調停の申立てに加えて親権者指定の申立てを行うことも多く、中立的な第三者である調停委員の仲介のもとで、家庭裁判所調査官による必要な調査も経たうえで、親権についても話し合って解決を目指す。
調停でも離婚や親権者の合意ができず、調停が成立せず、審判にも移行しなかった場合には離婚訴訟を提起して、裁判所の判決で離婚や親権者について判断してもらう。
調停で離婚に合意はできたが、親権者の指定だけ合意できなかった場合には、離婚だけを成立させて親権者指定の審判を求めることもできる。審判では、裁判所が、どちらが親権者として相応しいかを調査したうえで親権者を指定する。
親権者の指定についての審判の結果が当事者に告知された後、異議のある当事者が審判日から2週間以内に即時抗告をしなければ審判は確定する。

親権者を定める判断基準

親権者について話し合いで合意できず、審判や裁判になった場合には、どのような判断基準で親権者が指定されるのでしょうか。
親権は、子の利益のために行使されるべきものですので、親権者を父母どちらに指定するかどうかの判断も、どちらに指定すればより子の利益にかなうかという観点からなされます。
具体的には、次のような父母側の事情や子どもの事情が考慮され、父母どちらがより親権者として相応しいかを判断します。

(1)父母側の事情

  • 過去及び現在の監護状況(過去実際に子どもをどの程度世話していたか)
    過去及び現在の監護状況が子の利益の観点から問題がないのであれば、監護状況を変更することは望ましくないと考えられています。
  • 離婚後の監護能力(年齢、健康状態など)・監護意欲
  • 子どもを養育する環境(資産、収入、職業、住居、生活スタイルなど)
    ただし、資産や収入、職業は離婚の際の財産分与や養育費などで解決されるべきですので、そこまで重要視されるものではありません。
  • 教育環境
  • 子供に対する愛情
  • 親族の援助(経済的支援や自分が病気や仕事で子育てできないときに代わりに子育てを手伝えるかなど)

(2)子ども側の事情

  • 子の年齢や性別
    子どもが幼い場合には、母性優勢の原則から母親に親権を認めるべきとする考え方もありますが、子どもが父親と母性的繋がりを有していることもありますし、過去及び現在の監護を主に父親が担っていることもあります。母親だから必ず親権が認められるかというと、決してそうではありません。
  • 兄弟姉妹の関係
    兄弟姉妹はできるだけ分離しない方がよいと考えられています。
  • 従来の環境の適応状況
  • 環境の変化への適応性
    従来の環境が子の利益の観点からして問題がなく、子どもが適応している場合には、一般的に、子どもの環境を変化させることは望ましくないと考えられています。
  • 子どもの意向
    親権は子の利益のために行使されるべきですから、当然子どもの意向は考慮されます(家事事件手続法65条、258条1項)。言葉で表現される意向だけではなく、父母といるときの態度など、非言語的なコミュニケーションからも意向を読み取ります。特に15歳を越えると、一般的に自分の意思で自分の意見を伝えられると思われますので、子どもの意向は重視される傾向にあります。

親権に関するQ&A

親権に関して、よくある疑問に回答します。

(1)親権も監護権もなく、同居もしていない場合でも子供に会える?

父母の離婚により、子どもと共に住む監護者(「監護親」といいます)ではなく子どもと離れて暮らしている父または母(「非監護親」といいます)も、定期的・継続的に子どもと交流することを求めることができます。
これを、面会交流といいます。
面会交流の方法としては、実際に子どもに会って一緒に遊んだり食事をしたりするだけでなく、電話やメール・手紙などで連絡を取りあうこと、監護親が子どもの写真や様子を送るなどして子どもの状況を連絡するなどが挙げられます。

協議離婚の際に、面会交流についても話し合って合意することができます。
子どもの状況は父母が最も理解しているはずですので、面会交流については、父母がその内容についてよく話し合い、納得したうえで取り決めることができれば理想的です。双方納得の上での合意であれば、自主的に合意内容を守ろうという意識も働きます。
話し合いで合意すべき面会交流の条件としては、面会交流の場所、子どもの受け渡し場所、面会の頻度や時間などです。
後々争いとならないよう、できるだけ具体的に決めておくべきですが、子どもの意向や体調などで変更が必要なこともありますから、代替日を設定することも話し合っておくとよいでしょう。

しかしながら、夫婦関係が破綻しており、父母相互が信頼関係を失ってしまい話合いが困難になると、父母間の話し合いによって面会交流を取り決めることは簡単ではありません。
父母間での話し合いが困難な場合は、家庭裁判所に対して、面会交流についての調停や審判を申立てて、面会交流についての話し合いや裁判所の審判を求めることができます。

面会交流について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

面会交流は親子の義務?取り決めておきたい条件や拒否したい・拒否されたときの対処法

(2)一度決まった親権を変更することはできる?

離婚の際に子どもの親権者を定めた後も、子の利益のために必要であるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができます(民法819条6項)。
仮に、離婚の際に「親権者を変更しない」と合意したとしても、そのような合意は子の利益のために定められた民法819条に違反し、無効となります(東京高裁判決昭和24年7月29日・家月1巻9・10号9頁)。
親権者の変更は、当事者の話し合いによってすることはできず、必ず家庭裁判所の調停・審判が必要です。

調停においても、父母の合意があればすぐに親権者変更の調停が成立するわけではありません。
家庭裁判所は、「子の利益のために親権者を変更する必要性があるか」という観点から、親権者を定める判断基準と同じ考慮事項について検討し、最終的に判断することになります。なお、親権者変更の審判をする場合には、満15歳以上の子ども意見を必ず聞かなければならないとされています(家事事件手続法169条2項)。

親権者の変更の手続きでは、親権者が既に子どもと生活し監護している状況にありますので、子の利益の観点から特に過去の監護状況に問題がなければ、現状を維持するのが適切とされ、親権者を変更しないと判断される可能性が高くなります。

(3)子供が小さい場合、父親が親権者になることは難しい?

乳幼児については、親権の争いについては母親が有利だといわれています。これは、児童心理学などでは、母性たる母親の存在が子供の情緒面から不可欠であるという考え方に基づいていると考えられます。
ただし、親権者の指定においては、母親だからといって無条件で優先されるものではなく、当然過去及び現在の子供の実際の監護状況や、離婚後の監護能力や意欲などの事情も考慮されます。父親が、過去及び現在、主に子どもの面倒を見ており、離婚後の監護能力や意欲も十分だと判断されれば、他の事情も考慮したうえで、父親の方が親権者として相応しいと判断される可能性もあります。

(4)親権者が死亡した場合はどうすればよい?

親権者が死亡した場合、一方(父又は母)が生存している場合には、当然に生存する他方が親権者となるわけではありません。
未成年者については、親権を行う者がいないものとして、未成年後見が開始されます(民法838条1号)。
生存する他方は、親権者を変更する審判を申立て、親権者変更の審判により親権を行う者が改めて存在することとなれば、未成年後見は終了することになります。

【まとめ】親権問題は子供のためにも早めの解決を!お困りの方は弁護士に相談

離婚の際には、子どもに対する精神的な影響が心配になりますが、親権について争いが続くことも子どもにとって大きな精神的負担になる可能性があるます。
しかしながら、子の利益という観点からして、自分の方が親権者にふさわしいという自信があり、監護能力や意欲も問題ないのであれば、納得できないのに親権者となることを簡単にあきらめるべきではないとも考えられます。
実際、交渉で自分に有利な離婚の条件を引き出すために、監護意欲もないのに親権者の指定を争ったり(親権者を相手方に譲る一方で、他の離婚条件で相手方から自分に有利な譲歩を受けることを期待する)、監護能力も意欲もないのに実家の跡取りが欲しいがために親権者の指定を争ったりするケースも存在します。

夫婦関係が破綻してしまって、親権について冷静に話し合うことができない場合には、親族など信頼できる第三者に間に入ってもらって話し合うのもよいでしょう。
話し合っても親権者について合意できない場合には、調停や審判など裁判所の手続きを利用する必要がありますので、具体的な手続きや親権者と指定される見込みなどについては、弁護士に相談することをお勧めします。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。2016年弁護士登録。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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