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死亡事故の対応は弁護士に依頼すべき?請求できる慰謝料の相場も解説

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kiriu_sakura

「家族が交通事故にあって死亡した。加害者の保険会社から示談の申し入れがあったけれど、今は何も考えられない。今後どうしたら良いんだろう…。」

交通事故の被害者は、加害者やその保険会社(併せて「加害者側」といいます)に対して、事故により生じた損害の賠償を請求できます。
そして、被害者が亡くなられた場合には、その遺族が被害者の損害賠償請求権を相続し、亡くなられた被害者に代わり、加害者側に賠償を請求します。

さらに、被害者が交通事故で亡くなられた場合には、被害者本人だけでなく、遺族自身も加害者側に対して遺族としての固有の慰謝料を請求することができます。
大切なご家族の命が突然の交通事故で奪われた時の心痛は計り知れません。
事故のことを考えたくないし、加害者の保険会社と交渉する気にもなれないかもしれません。ですが、残念ながら奪われた命は還ってこない以上、せめて、加害者側から受けるべき正当な補償はしっかりと受けることをお勧めします。

今回は、次のことについて弁護士がご説明します。

  • 死亡事故で加害者側に請求できる3つの慰謝料
  • 慰謝料を算出するための3つの基準
  • 死亡事故について弁護士に依頼するメリット
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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死亡事故で加害者側に請求できる3つの慰謝料とは

交通事故で被害者が死亡した場合に、加害者側に請求できる『慰謝料』は主に次の3つです。

  1. 被害者本人の入通院慰謝料(傷害慰謝料)
  2. 被害者本人の死亡慰謝料
  3. 遺族固有の慰謝料

それぞれご説明します。

(1)被害者本人の入通院慰謝料(傷害慰謝料)

入通院慰謝料(傷害慰謝料)とは、被害者が交通事故の被害にあってから死亡するまでに治療が必要となった場合、その期間の被害者の精神的苦痛を慰謝するためのお金です。
ですから、交通事故とほぼ同時に被害者が死亡したような場合には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)は発生しません。
他方、事故後、死亡まで時間があった場合には、たとえ、その間被害者の意識がなかった場合であっても被害者の入通院慰謝料(傷害慰謝料)が発生します。

(2)被害者本人の死亡慰謝料

これは、交通事故の被害者が、事故によって死亡させられたことについての精神的苦痛を慰謝するためのお金です。
交通事故にあってから死亡まで被害者の意識がなかった場合や、事故直後に死亡した場合であっても、被害者の慰謝料が発生します。

被害者本人の入通院慰謝料(傷害慰謝料)や死亡慰謝料を請求する権利は、被害者が死亡すると遺族が相続します。そこで、遺族が相続した慰謝料を加害者側に対して請求することになります。

相続人の範囲などについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通死亡事故で賠償請求できる相続人とは?ご遺族がやるべきことも解説

(3)遺族固有の慰謝料

大切な家族が死亡した場合、その遺族はその精神的苦痛について、加害者側に対して固有の慰謝料を請求する権利を取得します。
固有の慰謝料を取得する遺族の範囲は、加害者の自賠責保険に請求する場合には、「父母・配偶者・子」に限られます。
他方、裁判で加害者本人や加害者の任意保険会社に対して請求する場合には、被害者の兄弟姉妹や祖父母などにも認められることがあります。

慰謝料の相場と計算方法について

次に、慰謝料の相場や慰謝料の計算方法についてご説明します。
まず、ここで知っておいて頂きたいのは、 慰謝料を計算するための基準は「自賠責の基準」・「保険会社の基準」・「弁護士の基準」の3つがあり、それぞれ計算すると最終的な金額が異なるということです。

それぞれの基準の内容は、次のとおりです。

【慰謝料算定のための3つの基準】

自賠責の基準法令で加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準。
被害者への最低必要限の補償を目的としているため、通常は慰謝料の基準額が3つの算定基準のうち最も低くなる。
上限は法令で決められており、交渉により増額される余地はない。
任意保険の基準各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準で、保険会社によって内容は異なる。
交渉により増額される余地がある。
一般的には、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であることが多い。
弁護士の基準過去の裁判例をもとに設定された基準で、弁護士が保険会社と示談交渉をする際に用いられる。
『交通事故損害額算定基準(青本)』(日弁連交通事故相談センター本部)及び『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)』(日弁連交通事故相談センター東京支部)という本が、弁護士の基準を踏襲したものとして、損害賠償額の算定に広く利用されている。
弁護士の基準による慰謝料金額(目安)は3つの算定基準のうちでは基本的に最も高額となる。

(※ただし、自賠責保険は交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、被害者側の過失割合が大きい場合など、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。)

3つの基準を比べると、次のようになります。

それでは、死亡事故の慰謝料について、それぞれの基準で計算すると、その金額がどの程度かご説明します。

(1)1.被害者本人の入通院慰謝料(傷害慰謝料)について

入通院慰謝料(傷害慰謝料)の金額は、事故から死亡までの期間によって変わります。
例えば、次のようなケースでは、自賠責の基準と弁護士の基準では次のような計算になります。

自賠責の基準弁護士の基準
事故後入院し、5日後に死亡した場合2万1500円約8万8000円
事故後入院し、10日後に死亡した場合4万3000円約17万6000円
事故後入院し、20日後に死亡した場合8万6000円約35万3000円

※自賠責の基準は、2020年4月1日以降に発生した事故の場合です。
※自賠責保険で認められる入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、治療費や休業損害などと併せて上限120万円までに限られます。

任意保険の基準は、各会社によって異なる上、公表されていませんが、通常は自賠責の基準よりは高いものの、弁護士の基準には及ばないことが多いです。

(2)2.被害者本人の死亡慰謝料と3.遺族固有の慰謝料について

被害者が死亡した場合の、被害者本人の死亡慰謝料と遺族の慰謝料について、自賠責の基準と弁護士の基準は、次のとおりです。

自賠責の基準弁護士の基準
被害者本人の慰謝料400万円被害者が一家の支柱である場合  2800万円
被害者が母親・配偶者である場合 2500万円
その他の場合   2000万~2500万円
遺族固有の慰謝料請求者が1名    550万円
請求者が2名    650万円
被害者が3名以上  750万円
被害者に被扶養者がいる場合は、上記金額に200万円を加算

※自賠責の基準は、2020年4月1日以降に発生した事故の場合です。
※弁護士の基準は、被害者本人の慰謝料と遺族の慰謝料を含んだ金額です。

被害者が死亡した場合も、任意保険の基準は自賠責の基準よりは高いけれど、弁護士の基準に及ばないことがほとんどです。
被害者が交通事故で死亡すると、通常は、その遺族に対して加害者の任意保険会社から示談金の提示がなされます。

自賠責の上限は法令で決まっていますから、交渉により増額される余地はありませんが、任意保険の場合には、保険会社の提示はあくまでも保険会社の計算で算出した金額であって、それ以上の金額は支払えないということではありません。
弁護士が、弁護士の基準により保険会社と交渉することにより、示談金が増額されることは本当に多いのです。

【コラム~死亡事故と死亡による逸失利益】
交通事故で被害者が死亡した場合、加害者側に「死亡による逸失利益」を請求できます。
「死亡による逸失利益」とは、被害者が死亡したために、被害者が将来にわたって得られるはずであった利益(収入)を失ったことによる損害です。
逸失利益は、次の計算式で算出されます。

「基礎収入」は、原則として交通事故の被害にあう前の収入の金額が採用されます。
「生活費控除率」とは、被害者が生きていたとすれば将来支払うことになったであろう生活費(食費・住居費・光熱費など)分を、逸失利益から差し引くための数値です。
例えば、一家の支柱の方が死亡した場合の生活費控除率は、被扶養者が1人の場合は40%、被扶養者が2人以上の場合は30%が目安となります。

「ライプニッツ係数」とは、被害者が将来得られたはずの利益を前もって受け取ったことにより得た利益(利息など)を差し引くための数値です。
中間利息控除係数における就労可能年数(=働くことができる年数)は、基本的には67歳までとされています。
逸失利益は、もともと被害者の収入が多かったり、被害者の年齢が若い場合などは極めて高額になる可能性があります。
例えば、次のような事例では、逸失利益だけで優に6000万円を超えます。

【死亡逸失利益の具体例】
被害者:Aさん(35歳男性・仮名)
扶養家族:妻と2人の子供(5歳・3歳)
基礎収入額:450万円(事故前の年収)
Aさんの逸失利益を計算すると、次のようになります。
450万円×0.7(1-30%)×20.3888(就労可能年数32年)=6422万4720円
(※2020年4月1日以降に起きた事故の場合です。)

このように、逸失利益は場合によってはそれだけで数千万円になりますので、保険会社との意見も鋭く対立しがちです。
例えば、被害者が若く、今後年収が上がる見込みがあった場合に基礎収入をどうとらえるのか、被害者が共働きの夫婦の一方であった場合に生活費控除率をどう捉えるかなどによって、逸失利益の金額は大きく変動します。
(上の事例でも、例えば生活費控除率を30%でなく40%とすると、それだけで逸失利益は5504万9760円となり、900万円以上も逸失利益が減ってしまうことになります。)

逸失利益は、遺されたご家族の生活にとって、とても重要なお金です。
保険会社の提示にすぐに納得するのではなく、本当にこの金額が適正なのかよくよく検討し、増額可能性はないか、弁護士に相談されることをお勧めします。

死亡事故で被害者が請求できるその他の賠償金

交通事故により被害者が死亡した場合、これまでご説明した各慰謝料や逸失利益のほか、次のような費用についても賠償を請求できます。

治療関係費
治療費・薬代などです。
さらに、けがの内容や程度から必要であった場合には個室利用料なども請求できる場合があります。

入院付添費
医師の指示やけがの程度、被害者の年齢などから必要であった場合に請求できます。

入院雑費
入院中に必要であった日用品雑貨費用、被害者家族の通院交通費、通信費などです。

近親者の治療費
ご家族が死亡したことによりうつ病などを発症し、治療が必要となった場合に認められます。

葬儀関係費用
葬儀・法要・供養などを行うための費用は仏具・仏壇購入費や墓碑建立費などです。

死亡事故で弁護士に依頼するメリット

死亡事故について、保険会社との交渉を弁護士に依頼する主なメリットは次のとおりです。

  1. 最終的に受け取れる示談金が増額される可能性がある
  2. 保険会社との交渉によるストレスが軽減される
  3. 不当な過失割合を割り当てられるリスクを減らすことができる

それぞれご説明します。

(1)最終的に受け取れる示談金が増額される可能性がある

今回ご説明したとおり、保険会社の提示する示談金は、あくまでも保険会社内部で妥当と考える金額です。
保険会社が賠償の必要がないと考える賠償項目についてはそもそも示談金に含まれないこともあります。
提示された示談金に、賠償が必要な全ての賠償項目が含まれているか、金額は適正か、まずは弁護士にご相談ください。
弁護士が全ての賠償項目を検討し、増額する余地のある賠償項目については、徹底的に保険会社と交渉します。

弁護士に示談交渉を依頼するメリットについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

(2)保険会社との交渉によるストレスが軽減される

大切なご家族を交通事故で亡くした上、ご自身で加害者の保険会社と直接交渉をされるのは、とても精神的負担が大きいです。
場合によっては、相手方の刑事裁判の対応などでお忙しくなることもありますし、時には保険会社の担当者の態度に不快な思いをすることもあるでしょう。

ご家族の死について、金額の交渉をするということ自体に抵抗感があったり、複雑な気持ちになる方も多いです。
弁護士に依頼した場合であっても、最終的な判断をする必要はありますが、保険会社との直接のやり取りは全て弁護士がしますので、少しでも事故の話から離れて心を休めて頂けます。

(3)不当な過失割合を割り当てられるリスクを減らすことができる

交通事故が起こった時は、加害者だけではなく被害者にも過失(不注意や落ち度のことです)があったか確認しなければいけません。
というのは、被害者にも過失がある場合、その過失割合に応じて、賠償額が減額されるのです(例えば、賠償額が5000万円だとして、被害者に2割の過失があるとすると、2割分の1000万円が減額され、最終的に受け取れる賠償金は4000万円に減額されます)。

死亡事故の場合、被害者が事故について語れないため、保険会社の提案は加害者の主張に基づいていることが多いです(もともと保険会社は加害者の代わりに示談をしている立場のため、加害者の意思に反することは基本的にはできません)。
ですから、過失割合について保険会社と交渉する際には、加害者の話だけを信用した提案を任意保険会社からされていると感じることも多いでしょう。

こんな時、弁護士に依頼すれば、警察の作成した調書などすべての資料を確認した上で、専門的知識に基づいて被害者側の過失の有無と割合を判断し、必要に応じて過失割合の修正を行います。
ですから、ご自身で保険会社と示談交渉をする場合と比べ、被害者に不当な過失割合が割り当てられるリスクを減らすことができます。

【まとめ】死亡事故について弁護士が保険会社と交渉すると、最終的に受け取れる示談金が増額される可能性がある

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 死亡事故により、加害者及びその保険会社に請求できる慰謝料は次のとおり。
    1. 被害者本人の入通院慰謝料(傷害慰謝料)
    2. 被害者本人の死亡慰謝料
    3. 遺族の慰謝料
  • 交通事故直後に被害者が死亡した場合には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)は基本的には発生しない。
  • 交通事故から死亡するまで被害者の意識がなかった場合であっても被害者の慰謝料請求権は発生する。
  • 被害者本人の入通院慰謝料(傷害慰謝料)と死亡慰謝料は、被害者の死亡により遺族が相続する。
  • 慰謝料を算出する基準は3つある。保険会社の提示する示談金は、保険会社の基準に従って算出しており、弁護士が弁護士の基準に従って保険会社と交渉すると、示談金が増額されることも多い。
  • 被害者が死亡した場合の逸失利益は被害者の年齢や収入によっては極めて高額になる。そのため、保険会社との意見が対立しがちになる。
  • 死亡事故について弁護士に保険会社との交渉を依頼するメリットは次のとおり。
    1. 最終的に受け取れる示談金が増額される可能性がある
    2. 保険会社との交渉によるストレスが軽減される
    3. 不当な過失割合を割り当てられるリスクを減らすことができる

交通事故で大切なご家族を亡くした心の傷が癒えぬまま、保険会社との示談交渉をするのはとても辛いです。
保険会社の提示する金額が適正な金額か分からないという方も多いですし、金額が少ないと感じながらも、亡くなったご家族の死を切り売りするようで増額を言い出せないという方もいらっしゃいます。

ですが、遺族の今後の生活のためにも、適正な示談金を受け取ることはとても大切です。
人の命が奪われている以上、本来受け取るべき金額が不当に減らされることはあってはならないことです。
保険会社の提示する金額が適正なのか、増額される余地がないか、まずは弁護士にご相談ください。

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年10月時点)

死亡事故の賠償金についてお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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