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弁護士の成功報酬はどうやって決まる?払えない時の対処法も解説

作成日:
kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「弁護士に依頼してうまくいくと『成功報酬』が必要らしいけど、『成功報酬』って高いのかな…。もしも払えなかったらどうしたら良いんだろう?」

弁護士に何らかの依頼をした場合、弁護士費用がかかります。
弁護士費用には、相談料や着手金などがありますが、弁護士に依頼した案件の処理がうまくいった場合に発生する費用が『成功報酬』です。
成功報酬は、弁護士に依頼した成果があった場合に限り発生する費用ですので、弁護士に依頼した成果が全くなかったという場合には、成功報酬は発生しません。
弁護士に依頼した成果があるのは喜ばしいけれど、成功報酬がいくらくらいかかるのか、もしも払えないくらい高額だったらどうしたら良いのか…、弁護士に依頼する前に気になる方も多いでしょう。

そこで、今回は、次のことについて弁護士がご説明します。

  • 弁護士費用の内訳
  • 成功報酬の決まり方
  • 成功報酬(弁護士費用)を払えない場合の対処法  など
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

弁護士費用にはどんなものがある?

通常、弁護士に依頼した場合の弁護士費用には、次のものが含まれます。

  1. 相談料
    弁護士に相談をした際にかかる費用です。
  1. 着手金
    弁護士に依頼した時点で発生する費用です。
    案件処理の結果に関わらず(成果がなかったとしても)返還されません。
  1. 実費/日当など
    「実費」とは、例えば、裁判になった場合の収入印紙代や郵便切手代、裁判所までの交通費など、案件の処理に実際に支出した費用です。
    「日当」とは、弁護士が案件の処理のために事務所から移動が必要となり、時間的に拘束される際に払われる費用です。出張が必要になった場合の出張日当や、裁判になった場合の出廷日当があります。

直接裁判所に行かずに、事務所内で電話やオンライン会議により裁判の期日に対応することもありますが、その費用について取り決めている事務所もあります。

  1. 成功報酬
    弁護士による処理が成功した場合に、案件が終了した段階で払うものです。
    案件の一部が成功した場合も含まれますが、例えば裁判で全面敗訴した場合など、完全に不成功に終わった場合には払う必要はありません。

その他、トラブルの処理ではなく、事務的な手続を依頼する場合(契約書や遺言の作成や内容のチェックなど)には『手数料』が発生します。
また、弁護士と顧問契約を締結した場合には『顧問料』が発生します。

弁護士費用の金額はどうやって決まる?

弁護士費用について、かつては日本弁護士連合会(日弁連)が基準を定めていましたが、今はその基準は撤廃されています(「(旧)弁護士報酬基準」と言います)。
ただ、現在でも「(旧)弁護士報酬基準」に従って弁護士費用を決めている弁護士事務所も多いので、参考にしてください。

(1)「(旧)弁護士報酬基準」の相談料

基準では、30分ごとに、5000円以上2万5000円以下とされていました。

(2)「(旧)弁護士報酬基準」の着手金

「(旧)弁護士報酬基準」では、「経済的利益」を基礎に着手金が決まります。

「経済的利益」とは何ですか?

弁護士事務所によってとらえ方が違うので、一律には言えません。
例えば、交通事故の被害にあった場合で、加害者側から事前に示談金の提示があった場合には、弁護士に依頼して弁護士の交渉などによって増額した分を「経済的利益」ととらえる事務所もあれば、増額分は考慮せずに最終的に払われる総額分が「経済的利益」ととらえる事務所もあります。

弁護士に依頼する場合、何を「経済的利益」ととらえるのか、後々トラブルにならないように事前にしっかりと確認しましょう。

「(旧)弁護士報酬基準」で決められていた着手金は、何を依頼するかによって決まっていました。例えば、弁護士に民事事件の裁判を依頼する場合の着手金は、次のとおりです。

経済的利益の額着手金
300万円以下8%
300万超~3000万円以下5%+9万円
3000万超~3億円以下3%+69万円
3億円超~2%+369万円
※着手金の最低金額は11万円(税込)です。

現在では、着手金を無料とする事務所も少なくありません。
弁護士に依頼して費用倒れとなる心配がある場合には、着手金無料で、完全成功報酬制の弁護士事務所を探してみても良いでしょう。

(3)「(旧)弁護士報酬基準」の実費・日当など

実費は、実際に発生した費用ですので、特に基準はありません。
日当について「(旧)弁護士報酬基準」では次のとおり定められていました。

半日3万円以上5万円以下
一日5万円以上10万円以下

(4)「(旧)弁護士報酬基準」の成功報酬

「(旧)弁護士報酬基準」で決められた成功報酬は、何を依頼するかによって違いますが、例えば、弁護士に民事裁判を依頼する場合の成功報酬は、次のとおりです。

事件の経済的利益の額着手金
300万円以下16%
300万超~3000万円以下10%+18万円
3000万超~3億円以下6%+138万円
3億円超~4%+738万円

現在、着手金を無料として、成功報酬制とする弁護士事務所もあります。
成功報酬制とする弁護士事務所では、通常は、相手から得られる賠償金などから成功報酬を差し引かれますので、費用の持ち出しを心配する必要がないことも多いです。

成功報酬を払えない場合とは?

今ご説明したとおり、成功報酬は、弁護士による案件の処理が成功した場合に、実際に得た経済的利益に応じて請求されるのが通常です。
ですから、相手にお金を請求しているようなケースで、弁護士に依頼したおかげで払ってもらえたという場合には、相手が払ったお金で成功報酬を払えば良いので、成功報酬を払えないという事態は回避できるでしょう。
ですが、例えば次のようなケースでは、弁護士に依頼した成果があっても、成功報酬が払えないという可能性もあります。

  • 相手から払われるお金で成功報酬を払おうと思って裁判をして勝ったのに、相手が破産をしたために回収できなくなった
  • 相手からお金を請求されているようなケース(弁護士に依頼した成果があっても手元にお金が入ってくるわけではないケース)
  • お金の支払いを求めているわけではないケース(離婚や誹謗中傷の投稿の削除など)
    など

後になって、成功報酬が払えないという事態は避けなければいけません。
弁護士に依頼する場合には、どのような成果があった時に、どのくらいの成功報酬が発生するのか、まずは事前にしっかりと把握する必要があります。

例えば、相手にお金を請求していて、その一部でも支払ってもらえた場合には、払ってもらえた割合で成功報酬が発生します。決して全額払ってもらえた場合にのみ発生するわけではないので注意しましょう。

成功報酬が払えない場合は、どうなるのでしょう?

弁護士に払う成功報酬は、弁護士との委任契約に基づいて発生しているものです。
弁護士次第ですが、成功報酬が発生しているのに払わない場合、弁護士から報酬の払いを求める裁判などを起こされる可能性があります。

成功報酬を含む弁護士費用が払えない場合の対処法は?

成功報酬に限らず、弁護士に依頼をする場合に弁護士費用が払えないかもしれないと心配される方は少なくありません。
弁護士費用は、自由化されていますので、依頼する弁護士によって異なります。
「(旧)弁護士報酬基準」どおりの費用の弁護士もいますが、そうでない弁護士も多いです。
法的トラブルに巻き込まれ弁護士に依頼して解決したいという場合には、まずはどのような弁護士費用が、具体的にいくら発生するのか、予め見積もりをもらうことが大切です。

場合によっては、複数の弁護士事務所の見積もりをもらって検討されることも良いでしょう。

それでは、弁護護士費用を払えない場合の対処法についてご説明します。

(1)相談料無料の弁護士事務所を利用する

正式に依頼する前であっても、無料で相談に応じてくれる弁護士事務所も多いです。
相談料無料といっても、初回相談のみ無料の弁護士事務所もあれば、相談は何度でも無料という弁護士事務所もあります。
1回の相談では方針が決められないと思う方は、何度でも相談無料の弁護士事務所に相談されることをお勧めします。
弁護士に相談する際は、ご自身のケースではどのような弁護士費用がいくら発生するか確認することもできます。
まずは相談料無料の弁護士事務所に相談し、成功報酬を含む弁護士費用を払えそうか払えなさそうか、具体的な金額を把握しましょう。

(2)弁護士費用の後払いや分割払いを利用できないか確認する

弁護士事務所によっては、弁護士費用の後払いや分割払いなど、ある程度、柔軟な支払いに対応してくれる事務所もあります。

ただ、完全に一括払いを求める事務所も多いですし、後払いや分割払いを認めると言っても、依頼する案件によって異なるなど、弁護士事務所ごとに対応が異なります。
ここに依頼したい、という弁護士事務所がある場合には、ご自身のケースで後払いや分割払いができるのか、できるとして具体的な条件について相談してみましょう。

(3)法テラスの『民事法律扶助制度』を利用する

どうしても弁護士費用が捻出できないという場合には、法テラスの『民事法律扶助制度』の利用もご検討ください。

民事法律扶助制度とは、経済的に余裕のない方が法的なトラブルにあった場合に、次のような扶助を受けられる制度です。

  • 無料で法律相談を受けられる(「法律相談援助」)
  • 弁護士や司法書士の費用の立替えを受けられる(「代理援助」「書類作成援助」)
    (※一時的な立替えですので、返済の必要はあります)

先ほどご説明したとおり、弁護士に依頼する時点で、基本的に「着手金」を払う必要があります。経済的に余裕がなく着手金を払えないようなケースでは、次の要件を満たせば法テラスの民事法律扶助制度を受けられる可能性があります。

  1. 資力が一定額以下であること
    (月収+保有資産から判断されます)
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

その他、詳しい条件や提出の必要のある書類などについては、法テラスにご相談ください。

(4)日弁連の「法律援助事業」が利用できるケースも

法テラスによる民事法律扶助制度を利用できない場合であっても、次のような業務については、日弁連による援助を受けられる可能性があります。

  • 刑事被疑者弁護援助
  • 少年保護事件付添援助
  • 犯罪被害者法律扶助
  • 難民認定に関する法律援助
  • 外国人に対する法律援助
  • 子どもに対する法律援助
  • 精神障碍者・心身喪失者等医療観察法法律援助
  • 高齢者・障害者及びホームレスに対する法律援助

これらは、法テラスの民事法律扶助制度や国選弁護制度などによりカバーされない手続を対象としています。
実際に利用したい場合には、委託援助契約弁護士を通じての申込みが必要ですので、これらの援助を受けたい場合には、依頼する弁護士に委託援助契約の有無をご確認ください。

(5)弁護士費用を補償する保険もある

例えば、自動車保険に附帯する「弁護士費用特約」を契約している場合には、交通事故に関する相談・依頼などは基本的に保険会社から弁護士費用が払われます(法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです)。

自動車保険の弁護士費用特約について詳しくは、こちらをご覧ください。

自動車保険の弁護士費用特約とは?適用範囲・利用方法を解説

自動車保険以外にも、火災保険、傷害保険、旅行保険などにも弁護士費用が補償される特約がついているケースがあります。
また、補償される範囲も交通事故に限らないケースもありますので、弁護士に依頼したいという場合には、まずは契約している保険内容をよく確認してみてください。

【まとめ】成功報酬は、弁護士に依頼した案件の処理が成功した時に払うもの。弁護士費用が払えない場合、法テラスの民事法律扶助制度などの利用を検討すべき

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 弁護士費用には、通常、次のような費用が含まれる。
    1. 相談料
    2. 着手金
    3. 実費・日当など
    4. 成功報酬
    5. 手数料
    6. 顧問料
  • 弁護士費用のうち、着手金は弁護士に依頼した時点で発生するが、成功報酬は、依頼した案件処理が成功した場合のみ発生する。
  • 弁護士に依頼した成果がなければ成功報酬は発生しないが、一部でも功を奏した場合には成功報酬は発生する。
  • 成功報酬を含め、弁護士費用が払えない場合には、次のような対処法を検討する。
    1. 相談料無料の弁護士事務所に相談する
    2. 弁護士費用を後払い又は分割払いにできないか相談する
    3. 法テラスの民事法律扶助制度が利用できないか検討する
    4. 日弁連の法律援助事業が利用できないか検討する
    5. 弁護士費用が補償される保険に加入していないか確認する

法的トラブルを弁護士に依頼したいけれど弁護士費用が払えないかもしれない…。そんな方でも、今回ご説明したとおり、弁護士費用を分割払いにできたり、法テラスを利用したりして弁護士に依頼できることもあります。

弁護士費用が払えないかもしれないと思う方でもあきらめず、まずは弁護士の無料相談や法テラスにご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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