あなたの法律のお悩み一発解決サイト
リーガライフラボ

管理監督者に残業代は支払われない?管理職との違いについても解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

「管理職に昇進して給与が上がると期待していたものの、昇進前より下がってしまった」そんな経験をされた方は少なくないのが実態です。

確かに、会社は、管理監督者に対し、深夜割増賃金を除く残業代を法律上払う義務がありません。

しかし、「管理職」=「管理監督者」ではありません。
すなわち、部長など管理職の肩書がついていても法律上残業代を払わなければならないケースも多くあります。

それにもかかわらず、「管理職」という肩書がついているが、実態は管理監督者でない人に対して、残業代を不当に払わないというケースが多く発生しています(いわゆる「名ばかり管理職」)。

「管理監督者」の正しい意味、及び「管理職」との違いを知っておくことで、不当な残業代の不払いを防ぐことができます。

そこで、今回の記事では

  • 管理監督者とは何か(管理職との違い)
  • 名ばかり管理職とは
  • 管理監督者とされるための判断基準
  • 管理監督者とされないための具体的要素

といった点について、弁護士が解説していきます。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

管理監督者とは?

まず、「管理監督者とはどのような立場なのか」という点について、解説していきます。

(1)労働基準法における管理監督者

労働基準法41条は、労働時間、休憩及び休日に関する同法の適用が除外される例外的な労働者を列挙しています。
そして、「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)も、この例外的な労働者として列挙されています(同条2号)。

したがって、管理監督者に該当する労働者に対しては、使用者は、時間外労働や休日労働に対して割増賃金の支払いをする義務がありません(深夜労働に対しては割増賃金を支払う義務があります)。

そして、「管理監督者」とは、行政解釈によれば、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」のことをいうとされています。

またそれは、名称や肩書き、就業規則の定めのいかんにとらわれず、実態に即して客観的に判断されるべきであるとされます。

参考:多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について|厚生労働省 東京労働局

(2)管理監督者の実質的判断要件

実際に管理監督者にあたるか否かを判断するにあたっては、以下の3要件をみたしているかについて、実態に即した具体的な審査が行われます。

裁判例などでは、次のそれぞれの点を考慮して、管理監督者該当性が判断されます(詳しくは後述)。

  1. 経営者と一体性を持つような職務権限を有しているか(職務権限)、
  2. 厳密な時間管理を受けず、自己の勤務時間に対する自由裁量を有しているか(勤務態様)、
  3. その地位にふさわしい待遇を受けているか(待遇)

これらの実態がないとして管理監督者にあたらないと判断されれば、労働時間・休憩・休日に関する規制が、通常の労働者と同様に適用されることになり、時間外労働や休日労働に対する割増賃金の支払いも必要となります。

参考:日本マクドナルド事件 東京地裁判決平成20年1月28日労判953号10頁│裁判所 – Courts in Japan

管理監督者と管理職の違いは?

一般に「管理職」とは、会社が独自に決めた「部長」「課長」などの肩書きを持つ、組織の中で管理業務を行う者とされています。あくまで会社内での地位を示すものであって、法的に意味のある概念ではありません。

他方で、「管理監督者」は、労働基準法で定められている概念です。
管理監督者に該当すれば、労働時間、休憩及び休日に関する労働基準法の適用が除外されることになり、使用者は時間外労働や休日労働に対する割増賃金の支払い義務を負わなくなります。

したがって、割増賃金の有無という観点からして重要なのは、管理職であるか否かではなく、管理監督者であるか否かであるということになります。

管理監督者該当性は、肩書きにとらわれず、実質的な要件をみたしているか否かによって判断されます。

ここで問題となってくるのが、管理監督者に該当しないにもかかわらず、「管理職だから時間外労働や休日労働に対する割増賃金を支払わない」などと会社に言われてしまうケースがあることです。

それが「名ばかり管理職」と呼ばれる問題です。

(1)名ばかり管理職とは?

名ばかり管理職とは、部長や課長といった管理職の肩書がついているだけで、管理監督者としての実態がないにもかかわらず、「管理監督者」であるとして、時間外労働や休日労働に対する割増賃金が支払われていない労働者のことをいいます。

しかし、企業内で管理職とされていても、労働基準法上の管理監督者の実態を有していない場合には、時間外労働や休日労働に対する割増賃金を支払う必要があることになります。

(2)管理監督者を否定する判断要素

管理監督者であるか、名ばかり管理職であるかを区別する上で重要なのは、肩書きではなく、労働の実態です。

そこで次に、管理監督者該当性を否定する、3つの判断要素について解説いたします。

(2-1)職務内容や権限

「経営者と一体性を持つような職務権限を有しているか」という基準です。

経営上の決定に参画していたのか、労務管理上の決定権限があったのかが問題とされます。

例えば次の事実が認められれば、管理監督者としての職務内容や権限がないと判断されやすくなります。

  • 経営会議等に出席したことがないこと。
  • 会社の重要部門の管理(人事や経営といった部門のみならず、複数の店舗を含むエリアや基幹となる支店の管理も含む。)を委ねられていたとはいえないこと。
  • 職場のパートやアルバイトの採用権限や解雇の権利がないこと
  • 部下の人事考課に関する権限がないこと
  • 職場におけるシフトの作成や時間外労働を命ずる権利がないこと

(2-2)勤務態様

「厳密な時間管理を受けず、自己の勤務時間に対する自由裁量を有しているか」という基準です。

遅刻や早退をした場合に減給などの制裁、人事考課での不利益がある場合は、管理監督者としての勤務態様ではないと判断されやすくなります。


注意すべきは、過重労働による健康被害防止などの観点から労働時間の管理を受けている場合には、そのような管理を受けているというだけで管理監督者性を否定することはできないという点です。

また、次のような事情がある場合にも、管理監督者としての勤務態様ではないと判断される可能性があります。

  • 実際には長時間労働を余儀なくされている場合のように、労働時間を自由に決定する裁量がほとんどないと認められる場合
  • 会社が配布したマニュアルなどに従った業務に従事しているといった、労働時間の規制を受ける一般社員と同様の勤務態様が労働時間の大半を占める場合

(2-3)待遇

「賃金等の面で、その地位にふさわしい待遇を受けているか」という基準です。

次のような事情がある場合、管理監督者としての待遇ではないと判断されやすくなります。

  • 時間単価に換算した賃金が、アルバイトやパートなどの賃金額に満たない場合(特に時間単価換算した賃金が最低賃金額に満たない場合、極めて重要な否定要素となる)

また、次のような事情がある場合にも、管理監督者としての勤務態様ではないと判断される可能性があります。

  • 基本給・役職手当が不十分な場合
  • 特段の事情がないにもかかわらず、1年間に支払われた賃金の総額が一般の従業員の賃金総額と同程度以下である場合

管理監督者の残業代と有給休暇についての考え方

会社は、管理監督者に対し、時間外労働や休日労働に対する割増賃金を支払う義務はありませんが、深夜労働に対する割増賃金を支払う義務はあります。

また、会社は、管理監督者であっても、有給休暇を付与しなければなりません。

これらにつき解説いたします。

(1)管理監督者の残業代について

会社は、管理監督者に対し、時間外労働や休日労働に対する割増賃金を支払う義務はありませんが、深夜労働に対する割増賃金を支払う義務はあります。
労働基準法第37条に定められる深夜労働の割増賃金に関する規定は、管理監督者にも適用されるのです。


深夜労働に対する割増賃金とは、22~5時までに働いた場合に払われるもので、25%割増分の賃金のことをいいます。

なお、労働基準法上、会社が支払う義務があるのは通常賃金(1時間あたり)×25%分であって、125%分ではないことに注意が必要です。

管理監督者の場合、所定賃金に深夜労働に対する通常の賃金(100%分)も含まれているからです。

参考:管理監督者の深夜割増賃金の算定|刈谷労働基準監督署

(2)管理監督者の有給休暇と36協定について

まず、管理監督者であっても有給休暇は付与されます。
労働基準法第39条の有給休暇に関する規定は、管理監督者にも適用されるためです。

他方で、管理監督者は36協定(さぶろくきょうてい)は対象外です。
管理監督者については労働基準法の労働時間に関する規定が適用されないため、36協定は適用対象外となるのです。

管理監督者や名ばかり管理職の残業代トラブルの裁判例・事例

それでは、具体例として、管理監督者をめぐる裁判例と、トラブルの事例について紹介しましょう。

(1)判例|アクト事件(東京地判平成18年8月7日・労判924号50頁)

地位:飲食店のマネージャー
争点:時間外労働および深夜労働に対する割増賃金支払い義務の存否

  • マネージャー本人にはアルバイトの採用などについて決定権がなく、決定権を持つ店長を補佐していたに留まる
  • 勤務時間に裁量がなく、アルバイトと同様の業務を行なっていた
  • 基本給の厚遇がなく、役職手当なども不十分だった

判決:管理監督者に該当しない

(2)事例|課長職に残業代は支払わないと言われていたが180万円の解決金を獲得

地位:自動車整備工場のマネージャー(退職)

  • 毎日のように残業があり、ときには深夜におよぶ残業をしていたが、会社から支払われていたのは深夜割増賃金のみ
  • 退職後、弁護士に未払い残業代の請求について相談
  • 弁護士から会社に対して時間外勤務報告書の開示を求め入手したが、会社側が「課長であり管理監督者なので残業代は発生しない」と主張
  • 弁護士は、マネージャーに労働時間の裁量権限や人事権などはなく、管理監督者と呼べる業務を行っていなかった実態を主張し、労働審判を申立てる準備を進めたところ、会社側は未払い残業代の支払いに応じる姿勢を見せ、180万円の解決金を獲得した

【まとめ】名ばかり管理職であれば残業代をもらう権利あり

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 管理監督者とは、労働条件の決定や労務管理において、経営者と一体的立場にある者のこと。肩書だけでは決まらず、実態が大事
  • 管理職とは、会社が独自に決めた役職による区分で、法的に意味のある概念ではない
  • 労働基準法における管理監督者には、基本的には時間外労働・休日労働に対する割増賃金は支払われないが、深夜労働に対する割増賃金は支払われる
  • 会社内で「部長」や「課長」などの役職がついていても、その業務の実態について管理監督者といえない場合は、「名ばかり管理職」であって、一般の労働者と同様に時間外労働や休日労働に対する割増賃金をもらう権利がある

管理職であることを理由に残業代がもらえずお悩みの方は、弁護士等への相談をお勧めします。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2021年9月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

残業代請求・退職代行に関するご相談は何度でも無料

残業代請求のご相談なら、何度でも無料です!

会社に対して、何らかの請求や主張をするお考えがない場合、ご相談をお受けしておりません。あらかじめご了承ください

もしくは

ゼロイチニーゼロ ロウドウ ツヨイ

0120-610-241

朝9時〜夜10時・土日祝も受付中

ご来所不要お電話や、オンラインでの法律相談を実施しておりますご相談の際、ご来所いただく必要はありません!
お電話、もしくはテレビ電話などのオンライン環境を使って、ご自宅からご相談できます。
外出が困難な方・新型コロナウイルス感染への不安で外出を控えていらっしゃる方も、ご安心ください。
ご相談方法については、お気軽にお問い合わせください。
※オンライン相談をご希望の方は、カメラ付きのパソコンやスマートフォン、タブレットなどが必要です。

お気軽にお問い合わせください

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

残業代請求・退職代行に関する
ご相談は何度でも無料

メールでお問い合わせ

ご来所不要お電話や、オンラインでの法律相談を実施しておりますご相談の際、ご来所いただく必要はありません!
お電話、もしくはテレビ電話などのオンライン環境を使って、ご自宅からご相談できます。
外出が困難な方・新型コロナウイルス感染への不安で外出を控えていらっしゃる方も、ご安心ください。
ご相談方法については、お気軽にお問い合わせください。
※オンライン相談をご希望の方は、カメラ付きのパソコンやスマートフォン、タブレットなどが必要です。

0120-610-241

朝9時〜夜10時・土日祝も受付中