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児童扶養手当(母子手当)とは?実家暮らしでも支給される?

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「離婚したら実家に戻ることになっているけど、児童扶養手当(母子手当)はもらえるのかな?」このような疑問をお持ちではありませんか?

離婚後、子どもの親権者となって子どもと同居する人は、実家で暮らす場合であっても、児童扶養手当(母子手当)を受給できる可能性があります。

ただし、同居する家族の所得によっては支給要件を満たさず、支給されない場合もあります。 そのため、児童扶養手当(母子手当)にかぎらず公的支援については、しっかりと情報収集をして、子どものために積極的に利用するようにしましょう。
今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

この記事を読んでわかること
  • 児童扶養手当(母子手当)の支給対象
  • 実家暮らしでも児童扶養手当(母子手当)を受け取れる場合
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

児童扶養手当(母子手当)とはどのようなものか

まず、児童扶養手当(母子手当)の概要と支給対象について説明します。

(1)児童扶養手当(母子手当)とは

児童扶養手当(母子手当)とは、父母の離婚などで、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成されるひとり親家庭等の生活の安定と自立支援を目的として支給される手当のことをいいます。
以前は母子家庭のみが手当支給の対象であったため、母子手当と呼ばれることもありましたが、2010年8月から父子家庭にも支給されています。
18歳に達する日以後最初の3月31日までの児童(障害児※の場合は20歳未満)を監護しているひとり親家庭等の父又は母や、父母に代わってその児童を養育している者(祖父母などの養育者)に対して支給されます。

※対象となる障害は、児童扶養手当法施行令3条1項・別表第一に定められています。

参考:児童扶養手当について|こども家庭庁

(2)児童扶養手当の支給対象

児童扶養手当(母子手当)は、次のいずれかに該当する児童を監護している父、母又は養育者に支給されます(児童扶養手当法4条1項、児童扶養手当法施行令1条の2、2条)。

  1. 父母が婚姻を解消した子ども
  2. 父又は母が死亡した子ども
  3. 父又は母が政令で定める障害状態にある子ども
  4. 父又は母が生死不明の子ども
  5. 父又は母が1年以上遺棄している子ども
  6. 父又は母が裁判所からのDV保護命令を受けた子ども
  7. 父又は母が1年以上拘禁されている子ども
  8. 婚姻によらないで生まれた子ども
  9. 父母とも不明な子どもなど

ただし、次のいずれかに該当する場合には、上記の要件を満たしていても手当の支給はされません(児童扶養手当法4条2項、3項)。

  1. 受給資格者(父又は、母、養育者)が日本国内に住所がないとき
  2. 児童が日本国内に住所がないとき
  3. 児童が里親に委託されているとき
  4. 父又は母の配偶者(事実上の配偶者を含む)に養育されているとき
  5. 児童が父又は母と生計を同じくしているとき(父又は母が政令で定める障害状態にある場合を除く)

児童扶養手当(母子手当)は実家暮らしでも受け取れる?

児童扶養手当(母子手当)は、すべてのひとり親家庭等に支給されるものではなく、所得制限があります。
考慮されるのは受給資格者(父又は、母、養育者)の所得だけではありません。受給資格者と生計が同じで、受給資格者に対して民法877条1項の扶養義務を負う者(直系血族及び兄弟姉妹)の所得額が一定以上あるときは、手当の全部の支給が停止されます(児童扶養手当法9条、10条、11条)。

(1)同居する家族の所得が支給に影響する

実家で暮らしていても、ひとり親である以上、児童扶養手当の申請をすることができます。
しかし、すでにご説明したように、同じ実家で暮らしている直系血族(両親、祖父母)及び兄弟姉妹の所得が、手当支給の有無や額に影響します。
所得制限は、受給資格者と扶養義務者の所得を合算した額にかかるものではなく、別々に考慮されます。

受給資格者の前年の所得(ただし1月から9月に申請する場合は前々年の所得)が一定額未満ならば手当は全部支給され、全部支給の所得制限額を超えると手当は一部支給となり、さらに一部支給の所得制限額を超えると、全部支給停止となります。
また、受給資格者の所得額にかかわらず、扶養義務者の前年の所得額が一定額以上ならば、全部支給停止となります。

所得制限額は、受給資格者や扶養義務者の所得税法上の扶養親族等(例えば、監護する子ども)の数によって異なります。例えば、受給資格者が、子ども以外の人(親など)を扶養に入れていれば、扶養親族数が増えて所得制限額が上がる可能性があります。

したがって、実家で両親などと同居する場合に児童扶養手当が支給されるのかどうか、支給されるとして全部支給なのか一部支給なのかは、あなたと両親それぞれの所得額と扶養親族等の数によることになります。

なお、所得額は税法上の所得とは異なります。児童扶養手当(母子手当)制度における所得をどう計算するかは、児童扶養手当法と政令で細かく決められています。例えば、養育費を受け取っている場合は、その8割が所得に算入されます(児童扶養手当法9条2項、児童扶養手当法施行令2条の4第6項)。逆に、収入から控除される金額もあります。また、災害により住宅や財産などに一定以上の損害を負った場合には、所得制限がなくなり、全部支給を受けられることがあります(児童扶養手当法12条)。 あなたが、実際に支給を受けられるかどうかについては、詳しくは市町村役場の児童扶養手当(母子手当)の担当窓口に問い合わせるようにしましょう。

(2)支給額は子どもの数によって異なる

児童扶養手当(母子手当)の月額は、子どもの数によって異なり、基本的に次のとおりです(2023年4月分から)。
例えば、子どもが2人いて全部支給の場合の支給合計額は、基本的に、5万4560円となります。

児童数全部支給一部支給
児童1人のとき4万4140円1万410円~4万4130円
児童2人のとき1万420円を加算5210円~1万410円を加算
児童3人以上のとき3人目以降1人につき
6250円を加算
3130円~6240円を加算
参考:児童扶養手当法施行令等の一部を改正する政令の施行について | 厚生労働省

実家暮らしで児童扶養手当(母子手当)を受け取れる2つのパターン

このように、実家暮らしでも、受給資格者及び実家で暮らす扶養義務者のそれぞれの所得額と扶養親族数によっては、児童扶養手当(母子手当)を受け取ることができる可能性があります。
具体的に、実家暮らしであっても児童扶養手当(母子手当)を受け取ることのできるケースを紹介します。

ここで紹介するケースは、抽象的な例を前提としていますので、具体的にあなたのケースで受給できるかどうかは、必要資料を準備したうえで、居住する役場の担当窓口で確認する必要がありますので、注意してください。

(1)同居している扶養義務者全員の所得が限度額未満であるとき

受給資格者及び実家に住んでいる扶養義務者全員の所得が、所得制限限度額よりも少なければ、実家暮らしでも児童扶養手当を受け取ることができます。

所得制限額は次のとおりです(2023年11月時点)。
所得は、前年の所得を基本とし、必要な加算・控除をしたうえで、それから得られた額を、下記の所得限度額表と見比べて、制限内であれば手当が支給されます。

所得は、養育費の8割を収入に加算したり、一定の費目を控除したりして計算されますので、具体的にあなたが所得限度額を超えているのかどうかについては、市町村役場の担当窓口に問い合わせください。

<所得限度額表>

本人(請求者)扶養義務者・配偶者
扶養人数全部支給一部支給
0人49万円192万円236万円
1人87万円230万円274万円
2人125万円268万円312万円
3人163万円306万円350万円
4人201万円344万円388万円

参考:「児童扶養手当」についての大切なお知らせ|厚生労働省

実家で子どもの祖父と同居しています。祖母は他界しており、祖父には収入があります。私には小学生の子どもが2人おり、扶養しています。私の前年度の所得は100万円ほどです。児童扶養手当(母子手当)はもらえますか?

子どもが2人で、祖父には収入がありあなたの扶養には入っていないようですので、あなたの税法上の扶養人数は2人です。受給資格者であるあなたの前年の所得額が125万円未満ですので、手当はその年度(11月から翌年10月まで)全部支給される可能性があります。

ただし、同居する祖父には収入がありますので、祖父の収入も所得制限内でなければ、児童扶養手当(母子手当)は受給できません。祖母は他界されているので祖父の扶養人数は0人と考えられます。なので、祖父の前年の所得額が236万円未満であれば、その年度の手当は全額支給されます。

(2)市区町村が「世帯が分かれている」と判断したとき

実家に住み、親に対して家賃や生活費を支払っていたとしても、基本的に世帯は同一とされ、児童扶養手当(母子手当)の支給では、両親などの扶養義務者の所得も考慮されます。
しかしながら、例えば二世帯住宅に住んでいて生活はそれぞれ独立しており、電気・水道・ガスなどの料金も個別に支払っている場合などでは、ひとり親家庭と実家が別の世帯だとされ、実家の両親などの所得が考慮されない可能性もあります。
市町村役場の担当窓口で、あなたの生活実態をなるべく具体的に説明したうえで、このような状況で別世帯と認められるかどうか尋ねてみるとよいでしょう。

【まとめ】児童扶養手当(母子手当)は実家暮らしでも支給される可能性がある!詳しい支給要件は役場へご相談を

  • 児童扶養手当(母子手当)とは、ひとり親家庭等の生活の安定と自立支援を目的として支給される手当のこと。
  • 児童扶養手当(母子手当)は、すべてのひとり親家庭等に支給されるものではなく所得制限がある。
  • 実家暮らしでも受給資格者や同居する家族の所得額によっては児童扶養手当(母子手当)が支給されるケースもある。

あなたが実際に児童扶養手当(母子手当)の支給要件を満たしているのか、全額・一部支給の対象なのかどうかについては、市町村役場の児童扶養手当(母子手当)の窓口で相談してみるようにしましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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