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介護保険料はいくら?仕組みと延滞によるリスク、対処法を解説

作成日:
ito-d

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「介護保険料の金額やしくみについて詳しく知りたい!」

40歳を迎えると介護保険料の支払が始まります。
40歳になったのを機に、「介護保険料とは何なのだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。

介護保険とは、一定の被保険者が費用の一部を負担することで介護サービスを受けられるというものです。
介護保険料は、市町村ごとに、年齢区分や所得段階に応じて異なる額が設定されています。

この記事を読んでわかること
  • 介護保険制度のポイント
  • 介護保険料がいくらか
  • 介護保険料の納付方法
  • 介護保険料を延滞した場合のペナルティ
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

介護保険料から見る「介護保険制度」のポイント

「介護保険制度」とは、要介護認定や要支援認定を受けた被保険者(介護保険料を支払っている方)が、費用の一部を負担することで、安い価格で介護サービスを受けることができる制度です。
介護サービスにはさまざまな種類があり、サービスごとに所定の利用料金が設定されています。

ここからは、介護保険制度のポイントについてご説明します。

(1)介護保険の保険者は市町村

介護保険の保険者(実施主体)は、市町村です。
国などではありません。
介護保険は、市町村が保険料と公費を財源にして運営しています。

このことから、市町村によって保険料が異なることとなります。
また、介護サービスの充実度合いも、市町村によって地域差があります。

(2)満40歳を迎えた方は、生涯、介護保険の被保険者となる

介護保険は、強制加入の保険です。
強制加入とは、所定の要件を満たした方であれば必ず加入しなければならないということです。

満40歳になると、介護保険に加入しなければなりません。
満40歳以上の方は、その後生涯にわたって保険料を負担し、被保険者となり続けます。

また、介護保険の保険料は所得に応じて決まることとされています。

介護保険料はいくら?納付方法は?

40歳になったら介護保険料を支払わなければならないということは漠然と知っていたのですが、いったいいくらの介護保険料を支払わなければならないのでしょうか?

介護保険料は、年齢区分や所得に応じて変わってきます。
そのため、一概にいくらということを言うことはできません。

介護保険料の決まり方や、納付方法についてご説明します。

(1)介護保険料は、年齢区分や所得によって異なる

介護保険の被保険者は、年齢によって次の2つに区分されます。

  • 第1号被保険者(満65歳以上)
  • 第2号被保険者(満40〜64歳で、国民健康保険や職場の健康保険に加入している方)

(1-1)第1号被保険者

第1号被保険者の介護保険料は、各市町村が所得段階ごとに決定します。
介護保険料は、市町村ごとに異なる額となります。

例えば、東京都豊島区の場合には、所得段階が16段階に分けられており、年間保険料額は2万2320円~26万400円と幅広く設定されています(2022年11月現在)。
生活保護を受けている方など、世帯全員が住民税非課税世帯で老齢福祉年金を受給している方などは、最も安い額とされます。

本人が住民税を課税されていて、合計所得金額が1500万円以上の方が、最も高い額とされます。

参考:介護保険の保険料について|豊島区公式ホームページ

(1-2)第2号被保険者

第2号被保険者の介護保険料は、各市町村(国民健康保険)・各医療保険(職場の健康保険)が決定します。

国民健康保険を除く、協会けんぽなどの健康保険に加入している第2号被保険者は、給与・賞与に介護保険料率を掛けて介護保険料を算出します。
算出された介護保険料は、事業者と被保険者とで折半して支払います。

  • 給与に対する介護保険料:標準報酬月額×介護保険料率
  • 賞与に対する介護保険料:標準賞与額×介護保険料率

標準報酬月額とは、給与を区切りの良い幅で区切って決めるもので、実際にもらっている給与の額とは完全には一致しません。

介護保険料率は、健康保険組合によって異なります。
協会けんぽの場合、2023年3月分からは1.82%とされています。

・具体例
協会けんぽに加入していて(介護保険料率は2023年3月分からの1.82%)、月額の給与が42万円だった場合、標準報酬月額は41万円となるため、介護保険の保険料がいくらになるかは次のとおりとなります。

41万円×1.82%=7462円

この7462円を会社と労働者で折半して支払うので、労働者の負担額は3731円となります。

(2)年齢区分によって、介護保険料の納付方法が異なる

介護保険料の納付方法は、年齢区分に応じて異なります。

第1号被保険者は、「特別徴収」または「普通徴収」です。
特別徴収とは、年金からの天引きのことです。
特別徴収が基本的な納め方となります。

普通徴収は、年金を受給していない方など特別徴収ができない方のための納め方で、納付書により納めることとなります。

第2号被保険者は、健康保険料と合わせて介護保険料が徴収されます。

介護保険は強制加入!介護保険料を延滞するとペナルティを受ける

介護保険は強制加入です。
介護保険料を延滞すると、次のようなペナルティを受けるなどさまざまなリスクがあります。

  • 延滞金が発生する
  • 介護サービスの利用が制限される
  • 財産を差し押さえられる可能性がある

(1)リスク1|延滞金が発生する

介護保険料を納めないまま納付期限を1日でも過ぎると、延滞金が発生します。

延滞金は、次の計算式によって算出されます。

「未納の介護保険料額×延滞金の年率÷365日(または366日)×延滞日数」

「延滞金の年率」は、年によって異なります(最初の1ヶ月と1ヶ月経過後で年率が変わります)。
また、「延滞日数」は、納期限の翌日から納付日の前日までとして計算します。

(2)リスク2|介護サービスの利用が制限される

介護保険料の滞納が1年以上ある場合、介護サービスを利用するときの費用や支払い方法に関してペナルティを受けることとなります。

(2-1)滞納期間1年以上1年6ヶ月未満

滞納期間が1年以上1年6ヶ月未満の場合、滞納がなければ原則1割(所得に応じて2割または3割の方もいます)を支払うことで介護サービスを受けられましたが、原則の1割ではなく全額を支払わなければ介護サービスが受けられなくなってしまいます。

その後、申請をすれば原則9割分の払い戻しを受けることができますが、いったん全額を負担しなければならなくなるのが特徴です。

(2-2)滞納期間1年6ヶ月以上2年未満

滞納期間が1年6ヶ月以上2年未満の場合、いったん全額を支払った介護サービス費用のうち、原則9割分が払い戻されるはずであったのに、その払い戻しが差し止められて介護保険料を支払い終えるまで受けられなくなってしまいます。

(2-3)滞納期間2年以上

介護保険料は、納めないまま2年以上が経過すると、時効により納めることができなくなります。

そして、過去10年間に時効により納めなかった介護保険料がある場合には、通常の負担割合よりも高い負担割合(1割または2割負担の方は、3割。3割負担の方は、4割)となってしまいます。

また、高額サービス費等(自己負担月額が一定額を超えた場合に超えた分を払い戻してもらえるもの)も支払われません。

(3)リスク3|財産を差し押さえられる可能性がある

介護保険料を納付期限までに納めないでいると、市町村から順次催告状や督促状が送られてきます。
催告や督促を受けてもなお支払わずに長期間滞納し続けると、市町村から財産(預貯金や不動産など)を差し押さえられる可能性があります。

(4)介護保険料の支払いが厳しいときの対処法

制度として介護保険料が免除されるケースは、海外に居住していたり特定の施設へ入居している場合など、限定的です。
介護保険料の支払が厳しいときには、市町村が独自に設けている介護保険料の減免措置を利用するなどしましょう。

支払うことが難しいからと言って、黙って支払を放置していては、さきほどご説明したようにさまざまなペナルティが課せられる可能性があります。
必ず放置せずに、市町村の窓口に相談するようにしましょう。

【まとめ】介護保険料は年齢区分や所得によって異なる

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 「介護保険制度」とは、要介護認定や要支援認定を受けた被保険者が、費用の一部を負担することで、安い価格で介護サービスを受けることができる制度のこと。
  • 満40歳を迎えた方は、生涯、介護保険の被保険者として介護保険料を支払う義務を負う。
  • 介護保険料は、年齢区分や所得によって異なる。
    第1号被保険者(満65歳以上)の場合、例えば、東京都豊島区の場合には、所得段階が16段階に分けられている。
    第2号被保険者(満40〜64歳で、国民健康保険や職場の健康保険に加入している方)の場合、「標準報酬月額×介護保険料率」の式で算出される。
  • 介護保険料を延滞すると、介護サービスの利用が制限されるなどのさまざまなリスクがある。

介護保険料は、満40歳から支払う必要が生じるものであり、その後生涯にわたって支払う義務があるものです。
満40歳を迎えるにあたり、介護保険料がいくらなのかや介護保険料のしくみについて詳しく知っておくことで、介護保険料の支払に備えることができます。
この記事を読んで、介護保険料についてしっかりと知見を深めましょう。

介護保険料について分からないことがあれば、市町村の窓口に相談してみると良いでしょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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