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「先払い買取現金化」は違法?何が問題になる?アディーレの弁護士が解説します

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s.miyagaki

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「先払い買取現金化の業者が逮捕されたと聞いた。「先払い買取」って違法なの?」

「先払い買取」とは、一般的にスマホやブランド品、商品券などの品物を撮影して買取業者に画像を送ると、実際に品物を送る前に買取業者から査定金額を振り込んでもらえるサービスです。

これまで、不要となった品物を買取業者に送って査定してもらい、買い取ってもらった経験のある方もいらっしゃるでしょう。

「先払い買取」は、実際に品物を送る前に査定金額が振り込まれるため「先払い」買取と呼ばれますが、このようなサービスの仕組み自体は違法ではありません。

「先払い買取」が問題となるのは、もともと買取業者に品物を買い取るつもりがなく、キャンセル料などの名目で高額な金銭を要求する場合、それが実質的には違法な「闇金」と評価されるためです。

この記事を読んでわかること
  • 「先払い買取」の流れ
  • 「先払い買取」が違法な闇金と評価される理由
  • 違法な「先払い買取」を見分ける方法
  • 違法な「先払い買取」による個人情報流失のリスク

「先払い買取」の流れ

先払い買取の流れは、大まかに次のとおりです。

1.会員登録をする

2.LINEやインターネットのサイト上で買取を希望する品物の写真などを送る

3.買取業者が写真などを確認して査定をする

4.買取業者から査定金額が振り込まれる

5.指定された期間内に査定された品物を送る

このような先払いの買取サービスの仕組み自体は違法ではありません。
査定した品物が送られなかったり、写真では分からない破損などがあるリスクを買取業者が負担する以上、実際に品物を見て買い取るか、写真だけで買い取るかは買取業者の自由です。

違法な「先払い買取」とは?

問題は、このような買取サービスを悪用して、売買を仮装して実質的には違法なお金の貸し借りを行っている業者がいるということです。

違法な「先払い買取」の特徴は、主に次のとおりです。

  • 実際に品物を買い取るつもりはない
  • 後日、品物を送ったとしても届かない仕組みになっていたり、難癖をつけて受け取らない
  • 利用者に売買をキャンセルさせて、キャンセル料や違約金名目でお金の支払を要求する など  

キャンセル料(違約金)は、査定金額の20%~50%程度であることが多いです。

このような手口の「先払い買取」は、査定金額と称して業者が振り込んだお金は実質的には「貸したお金」であって、後日請求されるキャンセル料(違約金)は「利息」と評価できます。

例えば、次のような内容でスマホを買い取ってもらう約束をしたとしましょう。

  • 査定金額は5万円
  • スマホを業者に送る期限は査定から1週間
  • キャンセル料は査定金額の40%

このようなケースでは、5万円は査定後すぐに振り込まれます(※振込時に手数料が差し引かれることもある)。

ですが、実際に業者がスマホを受け取ることは基本的にはなく、もしも受け取ったとしても、何らかの理由をつけて利用者に買取をキャンセルさせます。
そして、1週間後に、振込済みの査定金額5万円とキャンセル料2万円(査定金額の40%)の合計7万円を支払わせるのです。

これって結局、利用者が5万円を借りて、1週間後に2万円の利息をつけて返済しているのと同じだと思いませんか?

このような「先払い買取」の手法は、形式的には品物の売買ですが、実態はお金の貸し借りなのです。

違法な「先払い買取」業者がターゲットにしているのは、主に、適法な貸金業者からお金を借りられない方です。

貸金業者からお金を借りる場合「総量規制」といって、原則として年収の3分の1までしか借りられません。

また、貸金業者からお金を借りて返済を滞納すると、信用情報機関に滞納の事実が登録されて(いわゆる「ブラックリスト」に載る)、貸金業者からお金を借りられなくなります。

そこで、違法な先払い買取業者は、このような方を対象に「ブラックでもOK」などと謳って、実質的にお金を貸しているのです。

実質的にはお金の貸し借り|違法な「先払い買取」何が問題?

違法な「先払い買取」の1番の問題は、法律の制限を超えた違法な高金利を支払わせることです。
人にお金を貸す際の利息の上限は、利息制限法で次のとおり決まっています。

先ほどの、スマホの「先払い買取」の例(査定金額5万円/1週間以内に送付/キャンセル料40%の例)でいうと、1週間で40%の利息は、年利に引き直すと優に年利2000%を超えます。

本来、5万円を貸す時に請求できる利息の上限利率は年利20%です。
年利2000%はその100倍ですので、いかに法を逸脱した暴利を支払わされるのかお分かりかと思います。

さらに、貸金業者が年利20%以上の高金利をとった場合、いわゆる出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)による刑事罰があります(出資法5条2項)。

違法な先払い買取業者の実態は、このような利息制限法や出資法に違反して貸金業を営む、いわゆる「闇金」なのです。

「闇金」とは具体的にどういう業者をいうのですか?

一般的に、法律を守らずお金を貸しつける業者を指します。

人にお金を貸すことを業とする場合、本来は貸金業の登録をして(貸金業法3条1項)、出資法上の上限金利規制(年利20%)を守らなくてはいけません。
登録をせずに貸金業を営むのは「無登録営業」といって刑事罰もある犯罪です(貸金業法11条1項、同法47条2号)。

そこで、そもそも貸金業の登録をせず貸金業を行ったり(しかも、そのような業者は上限金利規制も守りません)、貸金業の登録はしているものの法律の上限を超えた暴利を請求する業者を闇金と呼んでいます。

闇金の取り立ては苛烈です。もとより、違法に貸金業をしているのですから、取り立てについて法を守るという意識はありません。

利用者が闇金から苛烈な取り立てを受けて「闇バイト」に応募して、最終的に犯罪に手を染めるケースもあります。

まずは、絶対に闇金には関わらないことが大切です。

闇金業者の取り立てについて詳しくはこちらをご覧ください。

闇金の取立てで受ける可能性がある6つの行為と対処法を解説

違法な「先払い買取」業者はどうやって見分ける?

「先払い買取」は仕組み自体は違法ではありませんから、闇金とは無関係に、適法に品物を買い取っている業者もいます。

一方、「先払い買取」の実態が闇金である可能性を指摘されて、違法な業者も、警察の摘発を逃れるために適法なリサイクル業者を買い取り、実際に、一部の品物を買い取って法に反しない売買をするなどの対策をしています。

そのためインターネット上の「先払い買取」業者が違法な闇金かどうか完全に見分けるのは難しいですが、少なくとも、次のような業者は、避けた方が良いでしょう。

ホームページ上に「許可を受けた公安委員会名」「許可証番号」「氏名又は名称」の掲載がない

顧客から中古の品物や商品券などを買い取るためには、基本的には古物商として各都道府県の公安委員会の許可が必要です(古物営業法3条)。インターネット上に許可証の番号などを掲載していない業者は、古物商の許可を取っておらずその時点で違法の可能性があります。

各都道府県の公安委員会は、基本的には古物商一覧をインターネット上に公開していますから、掲載されている古物商の許可番号が本当に正しいのか確認することをお勧めします。
実際に古物商の許可番号らしき番号が掲載されていても、各公安委員会の公開する古物商と一致しない場合には違法な業者が勝手に番号を掲載していることがあります。

とはいえ、今日、摘発を逃れるために適法なリサイクル業者を買い取り一部は本当に品物の買取を行っている違法な業者もいますので、古物商の許可があるというだけで完全に違法な闇金かどうかを見分けることは難しいです。

勤務先や収入に関する情報を詳細に入力させる

本来、古物商が品物を買い取る際、利用者の勤務先や収入に関する情報は不要です。
ですが、違法な闇金業者が行う「先払い買取」は、給与明細や給与の振込先口座を写真で送らせたり勤務形態を確認するなど、勤務先や収入に関する情報を詳細に聞いてきます。

聞かれていることが、消費者金融と同じだな…そう感じるような「先払い買取」は、違法な闇金業者の可能性があります。

キャンセルした場合、高額なキャンセル料(違約金)が発生する

買取をキャンセルした場合には高額なキャンセル料(違約金)が設定されているような場合には、今回ご説明したとおり、それは実質的には利息であって、違法な闇金業者である可能性が高いです。

個人情報の流出に注意が必要!

闇金と関わるリスクは、苛烈な取り立てや嫌がらせを受けるにとどまりません。
闇金を利用すると住所や氏名、勤務先などに加えて「この人はお金に困っている」という情報も知られてしまいます。
闇金からお金を借りるとその情報は他の闇金に流出して、別の闇金からも「お金を貸す」などと連絡がくるようになります。

さらに、情報の流出先は、闇金だけとは限りません。

最近、「闇バイト」に応募した人を集めて凶悪犯罪を実行させる「闇バイト強盗」が報道されています。このような犯罪組織はまず「闇バイト」に応募した人の個人情報を取得して、「組織から抜けたら自分や家族などに何をされるか分からない」と思わせて犯罪に加担させます。

もともとお金に困って闇金に関わってしまった方の個人情報は、このような犯罪組織の格好の餌食になり得ます。

違法な闇金業者に個人情報を知られると、他の闇金だけでなく、このような犯罪組織にも情報が流れて犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
違法な「先払い買取」は利用しないことはもちろん、このような業者に買取を申し込んで個人情報を漏らさないよう、十分に注意が必要なのです。

手口を変えて暴利を請求する違法な「闇金」は後を絶たない!

近年、今回の「先払い買取」のように、一見して「闇金」とは分からないような形の闇金業者が横行しています。

例えば、数年前には給与を買い取るという形式の「給与ファクタリング」が横行しました。給与ファクタリングが実質的には違法な闇金として警察に摘発されるなどすると、次は、「後払い買取」が出てきました。

そして、これも実態は違法な闇金として警察が摘発するなどすると、今回の「先払い買取」が出てきたのです。
「先払い買取」は違法な闇金である可能性を指摘して、金融庁、消費者庁、警察庁が公式に注意喚起を行っていますが、違法に「先払い買取」を行う闇金業者の撲滅には至っていません。

今回、「先払い買取」による闇金が警察に摘発されましたが、今後も闇金業者はさらに形を変えて違法に貸金業を続けることに警戒する必要があるのです。

参照:給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!|金融庁
参照:いわゆる後払い(ツケ払い)現金化に要注意!|金融庁
参照:いわゆる「先払い買取」現金化に要注意!|金融庁

給与ファクタリングと闇金について詳しくはこちらをご覧ください。

コロナウイルスの影響で増加!?給与ファクタリングの注意点を詳しく解説

【まとめ】「先払い買取」現金化は、キャンセル料の名目違法な高金利を請求する違法な闇金の可能性がある

この記事のまとめは、次のとおりです。

  • 「先払い買取」とは一般的に、買取業者にスマホなどの品物の写真を送って買取を申し込むと、査定金額が先に振り込まれ、後で品物を送るサービス。
  • 「先払い買取」のサービス自体は違法ではないが、利用者に高額なキャンセル料などの名目でお金を支払わせる場合、実態としては違法な闇金である可能性がある。
  • 「先払い買取」が違法な闇金かどうか見分けるためには、少なくとも次の点を確認すべき。
    • 公安委員会による古物商の許可番号などの掲載の有無 
    • 勤務先や収入に関する詳細な情報を要求されていないか
    • キャンセル料などの名目で実質的には違法な高金利が設定されていないか
  • 闇金にかかわると、苛烈な取り立てを受けるほか、個人情報が流出するリスクもある。

闇金からお金を借りてしまい、違法な取り立てや嫌がらせに悩んでいるという方は、まずは警察(#9110)に相談しましょう。
参照:警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ|政府広報オンライン

※報酬金について:話合いにより過払い金が返還された場合、または犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律、もしくは犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律に基づく被害回復手続により、被害回復分配金または被害回復給付金が支給された場合には、所定の回収報酬金を頂戴します。
報酬金は回収された金額から頂戴しますので、お客さまの手出しはございません。

※他の債務整理事件のご依頼について:ヤミ金融被害を除く債務整理事件を依頼いただく場合には、債務整理事件に関する所定の費用を頂戴いたします。

闇金から借金をしてしまってお困りの方は、闇金への対応を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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