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交通事故でむち打ちに|症状や通院期間、慰謝料について弁護士が解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

交通事故による負うケガで、多いのがむち打ち症です。

むち打ちは、多くの場合治療によって完治しますが、病院での治療を経ても、後遺障害が残ってしまう場合もあります。

むち打ち症により後遺障害が残った場合には、次の後遺障害慰謝料を受けとれる可能性があります(弁護士の基準)。

  • 後遺障害12級13号:290万円
  • 後遺障害14級9号:110万円

ただ、この慰謝料は、むち打ちで後遺症が残れば、必ず受けとれるものではありません。適正な慰謝料を受けとるためには、むち打ち症の慰謝料の相場や増額のポイントなどを知っておく必要があります。

この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • むち打ち症の症状
  • むち打ち症の入通院期間
  • むち打ち症の慰謝料の相場と増額のポイント
  • むち打ち症による慰謝料を請求するまでの流れ
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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むち打ち症(むち打ち損傷)とは?

むち打ち症(むち打ち損傷)とは、外部からの衝撃により、日常生活では起こりえない不自然な力を受けて、頸部(首)が大きく「しなる」結果、頸部の筋肉、靭帯、椎間板等の軟部組織や骨組織などが損傷することをいいます。

傷病名は、「頸部捻挫・頸椎捻挫・頸椎挫傷・外傷性頸部症候群」等と診断されます。

(1)むち打ち症の主な3つの種類(分類)

むち打ち症は、大きく分けてその症状から次の3種類に分類されます。

  • 頸椎捻挫型
  • 神経根症状型
  • バレー・リュー症状型

それぞれ説明します。

(1-1)頸椎捻挫型

頸部の筋線維、前後縦靭帯、椎弓間靭帯、棘間靭帯、椎間関節包等の軟部組織が過度に伸びたり、断裂したりしたことによって生ずるものです。

症状としては、首回りや後頭部、肩部の痛みや頸椎の運動制限等が生じます。
むち打ち損傷の70~80%がこの類型と言われています。

(1-2)神経根症状型

頸部には神経根が複数ありますが、この神経根が圧迫された状態になると、神経根症状型となります。

頸部の骨「頸椎」は、7つの小さな骨が積み重なり、自然な湾曲を描いてできています、事故により急な衝撃を受けると、7つの小さな骨のいずれかが自然にある場所からずれてしまうことがあります。

これにより、骨の中を通っている神経根が圧迫されてしまい、様々な症状が出てくるのです。

ただし、年を取ることによっても骨はずれて変性するので、年を取ったことによる症状なのか、交通事故による症状なのか、判断が難しいケースもあります。

(1-3)バレー・リュー症状型

頸部には交感神経が通っていますが、事故による損傷が交感神経に及ぶことがあります。

人間は、自律神経、すなわち交感神経と副交感神経が正常に働いていると、昼は活発的に動き、夜は落ち着いて眠りにつくことができます。
しかし、交感神経が損傷を受けると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまい、身体に、疲労感、倦怠感、めまい、耳鳴り、頭痛、難聴、記憶障害、頭痛、動悸、息切れ、不眠などの様々な症状が現れることがあります。

このバレー・リュー症状型の場合、客観的所見に乏しいことが多く、かつ、症状が多岐にわたることから、診断自体が難しく治療に難渋しているケースも多いのが現状です。
この症状が疑われる場合には、整形外科領域のみにとどまらず、脳神経外科や心療内科、麻酔科などの受診を検討するなど、治療についても一層慎重な態度が必要となります。

※なお、むち打ち症には他に、脊髄症状型や脳脊髄液減少症型がありますが、現在ではむち打ち症の類型の一つというよりも脊髄損傷や脳脊髄液減少症として考えられています。

(2)むち打ち症でよくみられる主な症状

むち打ち症の類型主な症状
頸椎捻挫型
  • 首周りの痛み
  • 後頭部の痛み
  • 肩部の痛み
  • 首の運動制限(上下、左右、回したりしにくい)など
神経根症状型
  • 圧迫された神経根が支配する知覚の障害
    具体的には、顔面、後頭部、首、腕、手の痛み、しびれ、筋力低下など
バレー・リュー症候群
  • 疲労感
  • 倦怠感
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 難聴
  • 記憶障害
  • 動悸
  • 息切れ
  • 不眠
  • 下痢 など

むち打ち症の治療と入通院期間

症状により、治療法や治療にかかる時間は異なります。

軽いむち打ち症であれば1ヶ月、通常でも3ヶ月程度で完治するといわれていますが、症状がその期間以上残る方もおられます。

ただ、治療開始から3ヶ月ほど経つと、事故の相手方の保険会社が治療の終了時期を判断して、治療費の打ち切りが打診されることがあります。これに応じると、それ以降の治療費については保険会社からの支払いが打ち切られてしまいます。

しかし、本来、治療の終了時期は医師が決めることです。

治療期間の長さは、後で述べる後遺障害等級認定を受ける際の判断要素の1つです。治療期間が短いと後遺障害認定で不利になる可能性もあります。
また、慰謝料や休業損害の額も治療期間をもとに算出するため、完治していないのに治療をやめると受け取れる損害賠償の金額も少なくなるおそれがあります。

したがって、適切な額の損害賠償を受け取るためにも、まだ完治していないのであれば治療を続けるべきです。

保険会社からの一方的な治療費打ち切り宣告に従う義務はありません。

保険会社からの治療費の打ち切りを回避した解決事例についてはこちらをご覧ください。

交通事故によるむち打ち症の慰謝料の計算方法・相場

交通事故によりケガをし、病院に通院した場合、加害者に対して、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料(後遺障害が認定された場合)を請求することができます。

入通院慰謝料と後遺障害慰謝料についてそれぞれ説明します。

(1)入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故でケガをしたことに対する慰謝料のことをいいます。傷害慰謝料ともいいます。
入通院の際にかかった治療費や交通費とは別に入通院慰謝料を請求することができます。

入通院慰謝料は、治療期間や実際に入通院した日数に基づいて計算します。基本的に、入通院期間が長くなるほど高額になります(弁護士の基準による場合)。

おおまかに言うと、重傷か軽傷かによって異なる2種類の算定表が使われます。
骨折などの場合は別表Ⅰ、むち打ち症で他覚所見がない場合等には別表Ⅱを用います。

縦軸が通院期間、横軸が入院期間で、それぞれの期間が交差する箇所が慰謝料額の目安となります。

入通院慰謝料(別表Ⅰ)(単位:万円)

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

入通院慰謝料(別表Ⅱ)(単位:万円)

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

参考:日弁連交通事故相談センター東京支部 (編集)『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準 2021上巻 基準編』日弁連交通事故相談センター東京支部 201~202頁

  • 入院を1ヶ月・通院を1ヶ月した場合(別表Ⅰ):77万円
  • 入院を1ヶ月・通院を1ヶ月した場合(別表Ⅱ):52万円

(2)後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、交通事故で受けたケガが完治せず、後遺障害が残った場合に請求できる慰謝料をいいます(後遺障害が残っていない場合には請求できません)。

後遺障害慰謝料の相場(目安)はどの算定基準を使うかによって金額が変わってきます。

交通事故の慰謝料を決める際の基準には、「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準」の3種類があります。

これらの算定基準による相場(目安)を比べると、一般的に次のようになります(一部例外あり)。

※ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、過失割合が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。

そして、実際に、後遺障害慰謝料の目安について、むち打ち症によって認定される可能性のある後遺障害等級12級13号と14級9号について見ていきましょう。

自賠責の基準と弁護士の基準を比較すると次のようになります(2020年4月1日以降に起きた事故の場合)。

自賠責の基準弁護士の基準差額
12級13号94万円290万円196万円
14級9号32万円110万円78万円

慰謝料の相場は弁護士の基準の方が高くなりやすいといえます(一部例外あり)。
適正な慰謝料を受け取るためには弁護士の基準での算定をおすすめします。

弁護士の基準を使うには弁護士への依頼がおすすめです。
被害者本人が加害者側の保険会社と示談交渉しても、加害者側の保険会社が弁護士の基準による増額に応じてくれることはなかなかありません。
これに対し、弁護士が被害者本人に代わって示談交渉を行う場合は、訴訟も辞さない姿勢で交渉するため、弁護士の基準もしくはそれに近い金額での示談が期待できます。

むち打ち症による慰謝料を請求するまでの流れ|事故直後~示談成立まで

交通事故の慰謝料請求の一般的な手順は次の通りになります。

【交通事故~示談までの流れ(※)】

  1. 交通事故発生
  2. 治療・入院・通院~治癒(症状固定)
  3. 後遺症が残った場合には後遺障害等級認定を申請
  4. 2の結果が分かった後に、示談交渉開始
  5. 示談が成立し、慰謝料を含む示談金を受け取る

※なお、示談が成立しない場合は、交通事故紛争処理センターのあっせんなどのADR(裁判外紛争解決手続き)を利用するか、裁判所に訴訟を提起することになります。

治療が終わって完治するか、症状が残って症状固定と判断された後が、慰謝料の請求を考えるタイミングです。

なぜなら、治療が終わるまでは、完治するかどうかもわからず、後遺症が残るかどうかもわかりませんので、請求できる慰謝料の額や種類が確定しないからです。

なお、生活が苦しい場合には、まず自賠責保険から賠償金の一部(仮渡金)を受け取ったり、任意保険会社に治療費や休業損害の内払(前払い)を求めたりすることもできます。

交通事故の発生から示談までの流れについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

交通事故によるむち打ち症で弁護士へ依頼は決して、大げさではない!

交通事故のむち打ち症で弁護士へ依頼することは決して大げさではありません。
むしろ、交通事故の被害に遭ったのですから、被害を回復して適切な賠償を受けるために、弁護士の力を借りることは、当然といってもよいでしょう。

弁護士への依頼することで、次のようなメリットを受けられる可能性があります。

  • 慰謝料について一番高額となりやすい「弁護士の基準」もしくはそれに近い金額での示談できる可能性がある
  • 加害者側保険会社との面倒な交渉や手続きについて弁護士に任せることができる
  • 弁護士が、診断書など提出書類の記載内容を精査し、足りない書類については追加で取得を指示したりするため、適切な後遺障害等級認定の可能性をさらに高めることができる

弁護士に依頼するメリットについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【まとめ】むち打ちの後遺障害慰謝料は290万円(12級13号)もしくは110万円(14級9号)が相場

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • むち打ち症(むち打ち損傷)とは、外部からの衝撃により、日常生活では起こりえない不自然な力を受けて、頸部(首)が大きく「しなる」結果、頸部の筋肉、靭帯、椎間板等の軟部組織や骨組織などが損傷すること。
  • 軽いむち打ち症であれば1ヶ月、通常でも3ヶ月程度で完治するといわれているが、症状がそれ以上残るケースもある。
  • 後遺障害慰謝料の相場(目安)
  • 後遺障害等級12級13号:290万円(弁護士の基準)、94万円(自賠責の基準)
  • 後遺障害等級14級9号:110万円(弁護士の基準)、32万円(自賠責の基準)
  • むち打ち症による示談成立までの流れ
  1. 交通事故発生
  2. 治療・入院・通院~治癒(後遺症が残った場合には症状固定)
  3. 後遺症が残った場合には後遺障害等級認定を申請
  4. 2の結果が分かった後に、示談交渉開始
  5. 示談が成立し、慰謝料を含む示談金を受け取る

確かに、自分で加害者や加害者の保険会社と交渉し、解決することも不可能ではありません。しかし、相手方の提案する示談額は、弁護士が代理人として交渉して得られる賠償額に比べて、かなり低く抑えられている可能性が高いです。

アディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。

実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年9月時点)

交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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