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SOS!家賃が払えない!住宅を出ていかなければならないのか

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今回採りあげるのは、家賃が払えてなくて困っている方から寄せられたこちらの法律相談。

新型コロナウイルスの影響で収入が減ってしまって、当面の生活費さえままなりません。家賃を2ヶ月滞納してしまって、大家さんからは、「契約は解除する。出ていってほしい。」と言われました。そのときは1ヶ月分の家賃の半額を払ってなんとか待ってもらったのですが、私はこのままこの家を出ていかなければならないのでしょうか。

収入が下がったのは仕方ないことなのに、家を出ていかされるというのは、不合理に感じる方もおられるはず。そこで、家賃を支払わないと法律的にどうなるのか、また、対処法はあるかについて説明しましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

家賃の支払いは、どれくらい待ってもらえるの?

住宅は、生活の基盤となる大切な場所です。もし住宅から出て行くことになれば、生活が一変してしまう人も多いでしょう。
そのため、住宅を借りている人(借主)は、法的に手厚く保護されています。具体的には、1~2ヶ月だけ家賃を支払わないというだけで、すぐに住宅を出ていかされることは原則としてありません。
その意味では、今回の相談者は、家賃を2ヶ月滞納して、半月分は払っているので、これだけでは、出ていかされることはないと考えられます。

ただ、今回の相談にあるような、住宅を借りる契約(賃貸借契約)の解除については、裁判所は、「●ヶ月以上滞納したら、契約を解除してもよい」という明確な基準を示しておらず、「信頼関係が破壊された場合」というあいまいな言い方しかしていません。

そのため、2ヶ月の家賃滞納であっても、過去に何回も滞納しているとか連絡が全く取れないという事情があれば、解除が認められることもあり得るでしょう。ただ、一般的には、家賃を3ヶ月分以上滞納したかどうかが基準とされており、3ヶ月以上の滞納が認められる場合には、契約の解除が認められて、住宅を出ていかされる危険があるとされています。

家賃を支払わないままだと、法的にどうなるの?

今回の相談者の方が、滞納している家賃を支払うことができれば問題は解決しますが、このまま家賃が払えないままの状態が続くと、法的にはどうなってしまうのでしょうか。

(1)連帯保証人に連絡される

住宅を借りる時に、大家さんとの契約で「家賃が支払えない場合に備えて、保証人を付けてください。」と言われることがあります。

両親や親戚の方に、家賃の支払いについての保証人になってもらっている場合、大家さんから、その保証人の方に「家賃の支払いが滞納しているので、代わりに支払ってほしい。」という連絡が入る可能性があります。

「できれば、保証人には、連絡しないでほしい。」とお願いしても、大家さんには、保証人に対して、代わりに支払うように請求する権利がありますので、家賃を滞納したままだと、この連絡自体は、止めてもらうことはできません。

※ただ、両親や親戚の方が保証人に付いていない場合、通常、『家賃保証』といって大家さんが用意した会社が「保証人」として付いている場合があります。この場合には、少し対応方法が異なりますので、注意が必要です。

(2)裁判を起こされる

家賃の滞納が長期間続くと、家を貸してくれる大家さん(=貸主)から裁判が起こされる可能性があります。

裁判を起こされた後でも、裁判所を介して大家さんと滞納した家賃の支払い方などについて話し合いをし、和解で終わることもあります。しかし,和解できなかった場合,裁判は大家さんが勝って終わるのが通常です。その後、大家さんとの間で、出て行く日(=退去日)を決める話し合いをすることもありますが、自発的に退去しない場合、裁判所から退去を命じられて、強制退去ということになってしまいます。

もし破産することになったら家には住み続けられるの?

この記事を読まれている方の中には、「一時的に、消費者金融から借金して、家賃を支払う」という方法を考え付いた方もおられるとは思います。

どうしても現在の家に住み続けたい場合には、借金してでも家賃を支払おうと考えることも仕方ないことでありますが、借金をして支払うというのは、あくまで一時しのぎの方法であり、借金をしっかり返済できる見込みがない限り、弁護士としては、あまりおすすめしません。
なぜなら、家賃を支払うために借金が膨らんでしまって、最終的に自己破産の手続きを取らざるを得なくなるという方もおられるからです。

自己破産の手続きをしなければならなくなった場合、大家さんとの契約の中には、「借り主が破産や民事再生の申立てをした場合には、賃貸借契約をただちに解除できる。」というような条項が入っている場合もあります。

たとえこのような条項があったとしても、自己破産の申立てをしたことのみを理由とする賃貸借契約の解除は、基本的には認められない(無効)と考えられます。

ただし、家賃を滞納していた場合には、自己破産の手続きで免責許可決定が出れば、残っていた滞納分の家賃も原則として支払わなくてよくなります。そのため、家賃を支払わなかったことを理由に賃貸借契約を解除されて、退去しなければならなくなるおそれがあります。
また、免責許可決定が出る前であっても、家賃の滞納が続いていれば、滞納を理由に遅かれ早かれ賃貸借契約が解除されるおそれはあります。

このように、せっかく借金で家賃を調達しても、結局退去しなければならなくなる可能性があります。
そこで、現在の家に住み続けたい場合には、借金以外の方法で家賃の滞納を解消することがおすすめです。

家賃の滞納分をご自身で支払ってしまうと、他の債権者との関係で不公平だと言われて、自己破産の手続き上問題視されるおそれがあります(一部の債権者にだけ優先的に支払うような不公平な返済のことを「偏頗弁済」といいます)。
支払い方については、自己破産を依頼する弁護士にご相談ください。

家賃を払えない場合のための対処法

(1)大家さんと交渉

大家さんに対して、支払う意思はあるけれども新型コロナ感染症で収入が減少して家賃を支払えないことを素直に話すのが一番でしょう。
大家さんによっては、たとえば「月10万円のところを、当面月5万円だけ支払ってもらうことにして、不足分をいつ払うか計画を立てましょう」というように、出来る範囲で対応してくれることもあります。
また、大手不動産会社では家賃の支払いを猶予してくれるところもあるようです。

(2)収入を増やす

もし可能であれば、アルバイトなどの副業をして収入を増やすことも考えられます。ただし、副業を始める前に、勤務先の会社の規則上副業可能かどうかを確認すべきでしょうし、無理に副業をして、体調を崩してしまわないように気を付ける必要もあります。

(3)引っ越し

家賃が高いところに住んでいる場合には、引っ越しを検討してもよいですが、引越しの費用や新しい家の敷金など一時的に多額の費用が掛かる点にはご注意ください。引越しするならば、よく計算してからにしましょう。

(4)「住宅確保給付金」を受け取る

失業したり、給料が下がったりして、生活が苦しくなった場合には、家賃にあたる額を補助してもらえる「住宅確保給付金」という制度があります。

各自治体によって異なりますが、要件を満たせば、原則として3ヶ月の間(最大9ヶ月)、補助が受けられる制度です。
ただ、注意点としては、お金を直接受け取れるのではなく、大家さんの口座に直接振り込まれるという点です。

参考:住居確保給付金のご案内|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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