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詐欺の二次被害にあわないために|信頼できる弁護士の選び方

作成日:更新日:
s.miyagaki

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

オレオレ詐欺、送り付け詐欺、投資詐欺、フィッシング詐欺、国際ロマンス詐欺など、一般の方を狙った詐欺行為は後を絶ちません。「自分は大丈夫」と思っていても、詐欺集団は一枚上手で、狙いをつけ、心のスキをついて、お金をだましとっていきます。

信用して何度もお金を渡した結果、詐欺被害額は多額になることもあります。老後のためにためていた資金、家族のためにためていた資金を失い、藁にも縋る思いで被害回復できないかと、弁護士に相談する方もいます。

しかし残念ながら、そのような詐欺被害の救済・被害回復をうたいながら、依頼を受けて着手金を受け取ったにも関わらず、適切に事件処理をしない弁護士がいます。
ひどいケースだと、詐欺被害者から大量の依頼を受けて多額の着手金を受け取っておきながら、非弁行為を行っていたとして逮捕される弁護士もいるのです。
弁護士は、依頼者の利益を一番に考えて、解決に向けて尽力するのが職務であり、詐欺被害者に二次被害を与えることは許されないことです。

この記事では、弁護士に依頼して結果として二次被害にあってしまうケース、二次被害にあわないための弁護士選びなどについて解説します。

ここを押さえればOK!

フィッシング詐欺や国際ロマンス詐欺など、多様な詐欺行為が一般の方々を狙っています。詐欺被害に遭った後に、被害回復を望んで弁護士に相談する方もいます。しかし残念ながら、詐欺被害の救済を謳う弁護士が、依頼者から高額な着手金を受け取りながら適切な業務を行わないケースも存在します。ひどい場合には、非弁行為・非弁連携を行って着手金を集め、逮捕者がでることもあります。 このように、詐欺被害者が弁護士に依頼した際に、非弁行為や適切な業務を行わないことで支払った着手金分損してしまうという二次被害が問題視されています。
弁護士に詐欺被害を相談・依頼する際には、次のようなポイントに注意しましょう。
(1) 所属弁護士が少ないのに「24時間365日対応」と謳っている
(2) 所属弁護士が少ないのに「全国対応可能」と謳っている
(3) 広告に不自然な解決事例が掲載されている
(4) 広告に「専門分野」という表現が使われている
(5) 弁護士に直接相談できない
(6) 着手金が極端に高額
(7) 依頼後に音信不通になる
万が一トラブルが発生した場合は、まず弁護士会に連絡し、適切な対応を求めることが重要です。また、消費者センターや警察に相談することも考慮に入れます。 詐欺被害にあって弁護士に依頼する場合には、このようなポイントを踏まえたうえで、冷静に判断するようにしましょう。
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

消費者被害の二次被害とは

消費者被害の二次被害とは、最初の詐欺被害(一次被害)に続いて、被害者がさらに別の被害を受けることを指します。

具体的には、詐欺や悪質商法の被害者が、その情報を元に他の詐欺業者から再度狙われたり、補償や返金を求める過程で追加の費用やトラブルに見舞われたりします。
二次被害は被害者の心理的・経済的なダメージを増幅させ、被害者の生活を一層困難にしてしまいます。

弁護士に依頼して二次被害にあってしまうケース

消費者被害にあった後、弁護士に依頼して結果として二次被害にあってしまうケースは、非常に問題視されています。
例えば、弁護士が大々的に広告を行って被害者の救済を謳い、高額な着手金を受け取っておきながら、実際にはほとんど業務を行わない場合です。
こうした弁護士は、被害者の弁護士に対する信頼を逆手に取り、被害者に対してさらに深刻な経済的・心理的ダメージを与えます。

弁護士に依頼する際には、信頼できる弁護士を選び、契約内容を慎重に吟味・確認することが大切です。

騙されない!信頼できる弁護士の選び方

信頼できる弁護士選びが重要といっても、多くの方にとって、一生に一度の買い物と同じく、弁護士に依頼することもそうあることではありません。
どの弁護士が信頼できずあやしいのか、どの弁護士は信頼できるのかの判断基準もわからないかもしれません。

相談・依頼しようとしている弁護士に、次のような点で疑問に感じたら、それは依頼して着手金を支払うのは一度立ち止まって考え直した方がいいでしょう。

詐欺被害回復は時間の勝負という点もあり(時間がかかるとお金がどこかに流れてしまい、回復が困難になる可能性が高まる)、気が急くと思いますが、別の弁護士に相談する事も検討してください。

①所属弁護士が少ないのに24時間365日対応可能?

詐欺被害の金銭回復を謳う法律事務所の広告に、「24時間365日対応可能」と書いてあることがあります。しかし、その法律事務所に所属する弁護士が1人のケースを考えてみましょう。
被害者の立場から言えば、相談しやすくて助かりますので、大変いいサービスにも思えます。

しかし、弁護士1人が24時間365日法律相談を受けるのは、現実的に考えて不可能です。
基本的に、法律相談など、法律上の権利義務に関する争いなどに関する法律事務は、弁護士のみが行えます。弁護士でない者が、お金のために法律事務を行えば非弁行為として違法・犯罪になります(弁護士法72条)。
弁護士が、非弁行為を行う者から事件の紹介を受けたり、名義を貸したりすることも、非弁連携として違法・犯罪です(弁護士法27条)。双方とも、罰則は2年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
非弁行為・非弁連携が刑罰をもって禁止されているのは、このような行いが横行すれば、被害者がさらに生まれてしまうためです。

法律事務所に弁護士が1人しかいないのに、「24時間365日対応」とうたわれているケースでは、この非弁行為が行われている可能性があります。

②所属弁護士が少ないのに全国対応が可能?

弁護士が詐欺被害者の相談を受ける場合、被害の内容などを細かく聴取したうえで、事件の見通しを説明して相談者の理解を得たうえで、自分で対応可能と判断した場合のみ、依頼を受けます。
弁護士に相談・依頼をお願いしたけど、断られたという方もいるかもしれません。断られると、ショックを受けたり怒りを感じたりすることも理解できます。

しかし、例えば、大阪の法律事務所に所属する弁護士が、詐欺被害にあった東京に住む被害者の依頼を受けるかというと、受けないケースが多いのではないかと思います。
これは、例えば、詐欺被害を回復するために東京で裁判を提起する必要があると判明した際に、事件を継続して担当するのが難しい、あるいは担当できたとしても被害者本人の経済的負担が大きくなる(日当や交通費などが別途かかる)という判断などから来ています。

全国に支店がある法律事務所であれば、支店に所属する弁護士が対応することができます。しかし、特定の地域にある1つの法律事務所で、所属弁護士が1人しかいないのに、現実問題全国の被害者の案件に対応できるでしょうか。
法律事務所に弁護士が1人しかいないのに、「全国対応可能」とうたわれているケースでも、ご説明した非弁行為が行われている可能性があります。

③広告に書かれている解決事例が不自然

法律事務所の広告に、同じような立場の人が依頼しており、解決した事例が紹介されていると、依頼する側としては安心します。

しかし、その解決事例を読んでみて疑問に思ったら、相談・依頼は考え直した方がよいでしょう。
国際ロマンス詐欺の被害回復を謳う法律事務所の広告に、解決事例として、次のような依頼者の感想が記載されていたとします。
「依頼したらしっかり調査してもらえて、さらなる被害を防ぐことができました。大変感謝しています。」
それって依頼したことが解決したことになるの?という根本的な疑問が浮かびませんか。
通常、詐欺被害者は、詐欺被害にあった金額の回収を求めて弁護士に依頼をするはずです。さらなる詐欺被害を防ぐために、加害者の調査を弁護士に依頼し、「やっぱり詐欺だった、それが分かってよかった=解決した」というのは、極めて不自然です。

また、詐欺被害の回復は通常困難であることが多いです。加害者が分かっていても、詐欺で奪われてしまった金銭が他に流れてしまったり、すでに使われてしまったりすると、実際に回収することは難しくなります。また、国際ロマンス詐欺では加害者が集団で、外国で活動している可能性もあることから、加害者の特定すら困難であることも多いです。

詐欺被害の回復は難しいのに、解決事例がたくさんあるように広告で記載されていたり、詐欺被害の回復できた金額が多額に上るケースが多かったりする場合、「これってホント?」と疑ってみてもいいかもしれません。

④広告に「専門分野」という言葉が使われている

広告で、「専門分野」「専門家」という表現が使われているときには、注意しましょう。
広告を見て弁護士に依頼する人が、不当に誘引されたり、誤認して依頼したりするようなことがないように、日弁連は禁止される広告を定めています。

(禁止される広告)
第三条
弁護士等は、次に掲げる広告をすることができない。
一 事実に合致していない広告
二 誤導又は誤認のおそれのある広告
三 誇大又は過度な期待を抱かせる広告
四 困惑させ、又は過度な不安をあおる広告
五 特定の弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士若しくは外国法事務弁護士法人又はこれらの事務所と比較した広告
六 法令又は本会若しくは所属弁護士会の会則若しくは会規に違反する広告
七 弁護士等の品位又は信用を損なうおそれのある広告

引用:弁護士等の業務広告に関する規程

日弁連は、「専門家」「専門分野」という表現を広告で記載することは、この規程3条2号・3号に違反するおそれがあるので控えるべきと考えています(業務広告に関する指針第3の12)。
何をもって「専門家」「専門分野」と認めることができるのか、客観的な基準を定めることが困難で、何ら経験・能力を有しないのに「専門家」「専門分野」と称することで、国民を誤解させてしまうおそれがあるためです。

したがって、通常の法律事務所は、実際に多数受任した経験のある案件であっても、広告で「専門家」「専門分野」と称するのは控えていると考えられます。
「国際ロマンス詐欺を専門分野としています」「所属弁護士は国際ロマンス詐欺の専門家です」などと広告に書かれている場合、広告のルールに反している可能性がありますので、そのような法律事務所には注意する必要があるでしょう。

⑤弁護士に直接相談できない

希望しても、弁護士に直接相談できない法律事務所には注意しましょう。
非弁行為を行っているような法律事務所は、弁護士資格を有しない者が、法律相談を行っているケースが散見されます。

弁護士資格を有しない者が、お金を得る目的で法律相談を行うのは、非弁行為として違法となり、犯罪にもなります。

連絡しても、弁護士と相談できず、いつも事務員やスタッフが対応して契約を勧めてくるようであれば、非弁行為である可能性があります。

⑥着手金の額が極端に高額

着手金の額が極端に高額だと、被害金額を回収できないことを見越して(成功報酬が得られないことを見越して)、着手金で稼ごうとしている法律事務所である可能性があります。

もちろん、弁護士から被害回復は困難であること、成功報酬が見込めないことから着手金が高額になることの説明を受け、それでもできることはやりたいと納得して依頼するケースもあります。

しかし、弁護士が事件の見通しもしっかり説明せず、安請け合いして高額な着手金の支払いを求められたら、一度持ち帰って検討するようにしましょう。

着手金が高すぎるのかどうかは、どのように判断すればよいのでしょうか。

昔、弁護士の報酬は一律で決まっており、現在もその報酬基準を参考に着手金などの弁護士費用を定めている法律事務所が多いです。
したがって、(旧)弁護士報酬基準を参考に、着手金が高いのか安いのか判断するとよいでしょう。

(旧)弁護士報酬基準 着手金について
事件の経済的利益の額が300万円以下の場合 8%
300万円を超え3000万円以下の場合 5%+9万円
3000 万円を超え3 億円以下の場合 3%+69万円
3 億円を超える場合 2%+369万円
※着手金の最低額は10万円
※裁判でなく交渉などの場合は上記の3分の2に減額することもある

旧報酬基準だと、200万円の被害回復を依頼するケースの着手金は、200万円×8%=16万円(税別)です。1000万円のケースの着手金は、1000万円×5%+9万円=59万円です。
自分の依頼しようとしている弁護士が示した着手金の額と比べてみて、高額すぎるようであれば、依頼は考え直した方がいいかもしれません。

⑦依頼後、音信不通になる

依頼後、全く案件の進捗状況の報告がない、電話やメールしても何週間も返事がない、というときは信頼できる弁護士とはいえない可能性があります。
通常の弁護士であれば、依頼を受けた後、タイミングごとに依頼者に対して案件の処理の報告を行います。

また、弁護士は、依頼者の請求があれば、いつでも事件について処理している内容を報告する義務があります(民法645条)。

弁護士に着手金を支払った後にトラブルが発生した時の対処法

誰も、依頼した弁護士が違法行為をするなんて思いません。

しかし、非弁行為により、大々的に広告を打ち、被害者から着手金を得て稼ごうとするスキームは、以前から存在します。このような場合、集めた着手金の多くは、広告費や人件費などとして弁護士資格のない非弁提携業者に流れ、弁護士にわたるお金はごく一部です。

万が一、弁護士に着手金を支払ったが、案件を処理してくれない、非弁行為として弁護士が逮捕された、などという事態に陥った場合の対処法を説明します。

弁護士が所属する弁護士会に連絡する

各都道府県には弁護士会が存在し、弁護士とのトラブル相談窓口を設けています。まずは弁護士会に相談し、適切な対応を求めることが第一歩です。

弁護士は必ず、弁護士会に所属しています。
所属する弁護士会は、広告や法律事務所のホームページに記載されています。

もし記載されていない場合には、日本弁護士連合会の弁護士検索により、所属する弁護士会が分かります。
弁護士会は、依頼者からの相談を受け付け、適切なアドバイスを提供するだけでなく、場合によっては弁護士に対する懲戒請求を行うこともできます。

消費者センターに連絡する

消費者センターは、詐欺被害の二次被害の相談を受け付けています。
お住まいの地域の消費者センターや、消費者ホットライン(188)に連絡をしてみるとよいでしょう。

警察に連絡する

非弁行為・非弁連携は、犯罪です。
したがって、犯罪の被害者が警察に連絡し、被害届を提出するなどすれば、警察が犯罪として捜査して刑事事件として扱われる可能性があります。

警察に相談する際には、広告サイトのURLやスクリーンショット、事務員や弁護士とのやり取り、契約書、着手金を支払ったことが分かる資料など、客観的な資料を持参するようにしましょう。

まとめ

ほとんどの弁護士は、相談者・依頼者と真摯に向き合い、その利益を一番に考えています。しかし、少数とはいえ、非弁行為など違法行為を行う弁護士がいる限り、詐欺被害にあった方が、弁護士に依頼することで結果的に二次被害にあってしまう可能性をゼロにできません。

この記事が、弁護士に実際に相談・依頼する際に役に立ち、安心して法律相談ができる一助となれば幸いです。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。