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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の主な費用トラブルと対処法

作成日:更新日:
kiriu_sakura

「親がサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に入居することになったけれど、費用に関してトラブルが発生してしまった……。
どのように対処したらいいんだろう?」

サ高住での費用トラブルに見舞われてしまうと、どのようにしたらいいか分からなくなってしまいますよね。
また、親が実際に住む場所でもあるため、できればあまり揉めることなく、スムーズにトラブルを解決したいものです。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • サ高住でよくある費用トラブル
  • サ高住の費用トラブルを回避する3つのポイント
  • サ高住で費用トラブルにあったときの相談先
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)でよくある費用トラブル

サ高住は、有料老人ホームと比較すると、入居一時金や月額費用といった諸費用が低く設定されていることが多いです。
それでも、利用の際にはまとまった費用がかかりますので、費用を巡るトラブルは後を絶ちません。

ここでは、サ高住でよくある次のような費用トラブルについてご紹介します。

  • 契約時に想定していた月額費用と実際の請求額がかけ離れている
  • 月額費用が急に値上げされた
  • 退去時に入居一時金が返還されない
  • 親自身が支払うことになっているが、滞納して督促がきた

参考:サービス付き高齢者向け住宅について | 厚生労働省

(1)トラブル1|契約時に想定していた月額費用と実際の請求額がかけ離れている

契約時に想定していた月額費用と実際の請求額がかけ離れているというトラブルがあります。
契約時に、どのような費用がかかるのか十分に確認できていなかった場合に、このようなトラブルが起こりやすくなります。

このようなトラブルに見舞われたら、まずは実際の請求額の内訳を確認してみましょう。
請求額の内訳や根拠について、事業者側に確認してみるのも良いでしょう。

(2)トラブル2|月額費用が急に値上げされた

月額費用が急に値上げされたというトラブルもあります。
契約時に、どのような場合に月額費用を値上げするのか、明記されていることもあります。
そのような契約内容を見落としてしまった場合に、月額費用が急に値上げされたと驚くことがあります。
まずは当初の契約内容を見直して、値上げについて記載されていないか確認するようにしましょう。
また、契約の根拠が見当たらない場合には、月額費用の値上げについて、詳細や根拠を事業者側に確認してみると良いでしょう。

(3)トラブル3|退去時に入居一時金が返還されない

退去時に入居一時金が返還されないというトラブルがあります。
もともと、当初の契約において退去時に入居一時金が返還される約束になっていたのかを確認しましょう。
入居一時金が返還される約束がなかった場合には、入居一時金の返還を求めることは難しいかもしれません。
入居一時金が返還される約束があった場合には、なぜ今回退去時に入居一時金が返還されないのか、事業者側に詳しく問い合わせるようにしましょう。

(4)トラブル4|親自身が支払うことになっているが、滞納して督促がきた

親自身がサ高住の費用を支払うことになっているが、滞納して督促がきたというトラブルがあります。
この場合、あなたが費用の保証人などの形で費用を負担する義務を負っていたのであれば、支払う必要があります。
そうでない場合であっても、費用を支払わないままでいればサ高住を退去しなければならない結果に陥る可能性が高いため、親に代わって費用を支払うことを検討せざるを得ない場合もあります。

払うとすればいつまでにいくらの費用を支払わなければならないのか、しっかり確認するようにしましょう。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の費用トラブルを回避する3つのポイント

ここからは、サ高住での費用トラブルを避けるためにぜひ把握しておきたい次のようなポイントをご説明します。

  • 短期解約特例(90日ルール)を把握する
  • 重要事項説明書の内容を十分に確認する
  • 契約時のやり取りを記録する

(1)ポイント1|「短期解約特例(90日ルール)」を把握する

2012年の老人福祉法改正により、利用者保護の観点から「短期解約特例(90日ルール)」が設けられました。

「短期解約特例(90日ルール)」とは、有料老人ホームについて、契約日から90日以内に老人ホームを退去する場合には、入居一時金などの前払い金を全額返還してもらえるというクーリングオフの制度です。

これにより、有料老人ホームに該当するサ高住については、契約日から90日以内の解約であれば前払い金を全額返還してもらえるのです。

入居してみたものの思ったとおりのサービスを受けられないなどの場合に、このルールを活用することが考えられます。

(2)ポイント2|「重要事項説明書」の内容を十分に確認する

サ高住に入居するに際しては、入居契約時に「重要事項説明書」を取り交わすとともに、事業者から利用者へ重要事項説明を行うこととされています。

「重要事項説明書」とは、施設・サービスの内容や入居条件など、利用者が契約をするかどうかを判断するために必要となる重要な情報が記載された書面です。

重要事項説明の際には、次のことについては特に確認しておくようにしましょう。

  • 基本料金以外に発生するサービス費用
  • 費用改定に関する項目
  • 退去時に返還される入居一時金の定め
  • 短期解約特例(90日ルール)の適用有無

(3)ポイント3|必要に応じて、契約時のやり取りを記録する

必要に応じて、契約時のやり取りを記録しておくことも有効です。

契約時のやり取りを全く記録していなければ、後から何かを「言った、言わない」の水掛け論が起こってしまうかもしれません。
そのようなことにならないよう、質問内容や回答内容は、メモをとって記録に残しておくことがおすすめです。

場合によっては、契約時の口頭でのやり取りを録音しておいても良いでしょう。

契約時の口頭でのやり取りを録音する際には、必ず事業者側の了承を得てから行うようにしましょう。
無断で録音すると、トラブルの元になってしまいます。
「契約内容を後から自分で確認したいから録音させてほしい」などと申し出ると良いでしょう。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)で費用トラブルにあったときの相談先

サ高住で費用トラブルにあったときに相談できる窓口があります。

  • 消費者ホットライン
  • 一般社団法人高齢者住宅協会
  • 弁護士

サ高住で費用トラブルを含めた何らかのトラブルにあったことを相談窓口に相談すれば、場合によっては老人福祉法に基づく改善命令・事業停止命令が下されることもあります。
改善命令・事業停止命令に至る前に自主的に改善してくれることも多いでしょう。
その意味でも、相談窓口に相談することには意味があります。

参考:行政処分・罰則について|公益社団法人全国有料老人ホーム協会

ここからは、相談窓口ついてご説明します。

(1)消費者ホットライン

消費者ホットラインでは、日本全国お近くの消費生活相談窓口(消費生活センター等)を相談してくれます。
消費生活センターでは、サービスなど消費生活全般に関する苦情や問い合わせなど、消費者からの各種の相談を専門の相談員が受け付けてくれます。

  • 消費者ホットライン
    電話:188(局番なし)

消費者ホットラインから消費生活センター等の電話につながらない場合には、次の相談窓口に相談することもできます。

  • 国民生活センター 平日バックアップ相談
    電話:03-3446-1623

参考:全国の消費生活センター等|独立行政法人 国民生活センター

(2)一般社団法人高齢者住宅協会

一般社団法人高齢者住宅協会は、事業のひとつとして、サービス付き高齢者向け住宅入居者専用相談窓口を設置しています。

専用相談窓口では、サービス付き高齢者向け住宅に入居中の方について、住宅や生活に関する相談を受け付けたり、苦情解決の手助けをしています。
電話・メールで相談することができます。

  • サービス付き高齢者向け住宅入居者専用相談窓口
    電話:03-6433-2200
    受付日時:月~金曜日(祝日を除く)の9~17時

参考:サービス付き高齢者向け住宅ご入居者様向け 電話相談窓口|一般社団法人 高齢者住宅協会

(3)弁護士

住宅トラブルや福祉問題、消費者問題などを中心に取り扱っている弁護士に相談するのもひとつの方法です。

弁護士に相談・依頼すれば、あなたの代理人となってトラブルを解決するために活動してくれます。
単なる相談だけでなく、あなたの代理人となってトラブルを解決するために活動できるのは、弁護士だけです。

【まとめ】サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の費用トラブルは窓口に相談を

この記事のまとめは次のとおりです。

  • サ高住でよくある費用トラブルには、「契約時に想定していた月額費用と実際の請求額がかけ離れている」ことや、「月額費用が急に値上げされた」ことなどがある。
  • サ高住の費用トラブルを回避するには、「短期解約特例(90日ルール)を把握する」ことや、「重要事項説明書の内容を十分に確認する」ことなどがある。
  • サ高住で費用トラブルにあったときの相談先として、一般社団法人高齢者住宅協会や弁護士などがある。

サ高住の費用トラブルに見舞われた際には、この記事でご紹介した相談窓口に相談して費用トラブルを解決するようにしましょう。
費用トラブルは放置せずに、できるだけ早く相談をするようにしましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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