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交通事故で手指が曲がらない!後遺障害等級と慰謝料請求について解説

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交通事故のケガが原因で生じることの多いものに、手指の後遺障害があります。手指のケガにより後遺障害が認定されると、事故の相手方(加害者)に対して後遺症慰謝料などを請求できるようになります。
この記事では、

  • 手指のケガによる後遺障害の種類
  • 手指のケガと後遺障害等級
  • 手指の後遺障害で請求できる慰謝料の相場
  • 示談交渉などを弁護士に依頼するメリット

について、弁護士が解説します。

目次

手指の後遺障害とは

交通事故による手指の後遺障害には、大きく分けて

  • 欠損障害:手指の一部分を失ったことによる障害
  • 機能障害:手指の関節の可動域制限(=動きにくい)や感覚麻痺による障害

の2つがあります。

手の骨と関節

手指の後遺障害は、手の骨・関節の部位に着目して症状が判断されます。そこでまず、手の骨と関節の構造について見てみましょう。

【手の骨と関節】

  • 末節骨:指の最も先端部分の骨です。
  • 中節骨:指の真ん中の部分の骨です。親指にはありません。
  • 基節骨:指の根元の骨です。
  • 中手骨:手の甲にある骨です。
  • DIP関節(遠位指節間関節):指の先端から数えて最初の関節です。親指にはありません。
  • PIP関節(近位指節間関節):指の先端から数えて2番目の関節です。親指にはありません。
  • IP関節(指節間関節):親指の先端から数えて最初の関節です。
  • MP関節(中手指節関節):指の根元部分の関節です。
  • CM関節(手根中手関節):手の甲の根元部分の関節です。

手指のケガで認定される後遺障害とは?

手指のケガで後遺障害と認定されると、事故の相手方(加害者)に対して後遺症慰謝料や逸失利益(=障害によって得られなくなった将来の収入)を請求できるようになります。
もっとも、手指に何らかの症状が残れば常に後遺障害に認定されるというわけではありません。
そこで、後遺障害等級認定とは何かについて説明します。

(1)後遺障害等級認定とは

事故後、治療を続けても手指の曲がり具合などがもとに戻らず、症状が固定してしまうことがあります。これを「症状固定」といいます。
この場合、所定の機関(損害保険料率算出機構など)に申請をすることにより、後遺障害の認定を受けることができます。
後遺障害は、症状の部位と程度などによって、1~14級(および、要介護1級・2級)の等級に分類されます。
1級の症状がもっとも重く、症状が軽くなるに従って2級、3級……と等級が下がっていきます。

参考:後遺障害等級表|国土交通省

認定される等級が上位になるほど、加害者に対して請求できる慰謝料なども高額になります。
以下では、手指に関する後遺障害の認定基準について説明します。

(2)欠損障害の場合

手指のケガのうち、欠損障害の場合に認定される可能性のある後遺障害等級は、次のとおりです。

等級認定基準
3級5号両手の手指の全部を失ったもの
6級8号1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
7級6号1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
8級3号1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
9級12号1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
11級8号1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
12級9号1手のこ指を失ったもの
13級7号1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
14級6号1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

以下、それぞれ具体的に説明します。

(2-1)3級5号 両手の手指の全部を失ったもの

「手指を失ったもの」とは、

ア 中手骨もしくは基節骨で切断された場合、または
イ 近位指節間関節(PIP関節)(親指の場合は指節間関節(IP関節))において、基節骨と中節骨とを離断した場合

をいいます(他の等級においても同様です)。
つまり、「両手の手指の全部を失ったもの」とは、両手の全ての指について、第二関節(親指の場合は第一関節)よりも根元の部分から失った状態をいいます。

(2-2)6級8号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの

片方の手の全部の指、または親指を含む4本の指を失った状態です。

(2-3)7級6号 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの

片方の手の親指を含む3本の指、または親指以外の4本の指を失った状態です。

(2-4)8級3号 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの

片方の手の親指を含む2本の指、または親指以外の3本の指を失った状態です。

(2-5)9級12号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの

片方の手の親指、または親指以外の2本の指を失った状態です。

(2-6)11級8号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

片方の手の人差し指、中指、薬指のうち、いずれか1本を失った状態です。

(2-7)12級9号 1手のこ指を失ったもの

片方の手の小指を失った状態です。

(2-8)13級7号 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの

「指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失ったこと(骨が離れて遊離する状態を含む)がX線写真により確認できる状態をいいます。
13級7号は、片方の手の親指の指骨の一部を失った状態を指します。

(2-9)14級6号 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

片方の手の親指以外の指の指骨の一部を失った場合です。

(3)機能障害の場合

手指のケガのうち、機能障害の場合に認定される可能性のある後遺障害等級は、以下のとおりです。

等級認定基準
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの
7級7号1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
8級4号1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
9級13号1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
10級7号1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
12級10号1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
13級6号1手のこ指の用を廃したもの
14級7号1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

以下、それぞれ具体的に説明します。

(3-1)4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの

「手指の用を廃したもの」とは、

ア 手指の末節骨の半分以上を失った、または
イ 中手指節関節(MP関節)もしくは近位指節間関節(PIP関節)(親指の場合は指節間関節(IP関節))に著しい運動障害を残すもの

をいいます。
具体的には、少し専門的になりますが、

ア 手指の末節骨の長さの2分の1以上を失った状態
イ 中手指節関節(MP関節)または近位指節間関節(PIP関節)(親指の場合は指節間関節(IP関節))の可動域が健側(=正常な側)の可動域角度の2分の1以下に制限される状態
ウ 親指については、橈側外転又は掌側外転のいずれかが健側の2分の1以下に制限されている状態
エ 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚(=体の内部で感じる感覚)及び表在感覚(=皮膚の表面で感じる感覚)が完全に脱失した状態

をいいます(他の等級においても同様です)。
4級6号は、両手の全ての指がこれらア~エのいずれかにあたる場合に該当します。

(3-2)7級7号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの

片方の手の5本の指、または親指を含む4本の指の用を廃した状態です。

(3-3)8級4号 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの

片方の手の親指を含む3本の指、または親指以外の4本の指の用を廃した状態です。

(3-4)9級13号 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの

片方の手の親指を含む2本の指、または親指以外の3本の指の用を廃した状態です。

(3-5)10級7号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

片方の手の親指、または親指以外の2本の指の用を廃した状態です。

(3-6)12級10号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

片方の手の人差し指、中指、薬指のいずれか1本の指の用を廃した状態です。

(3-7)13級6号 1手のこ指の用を廃したもの

片方の手の小指の用を廃した状態です。

(3-8)14級7号 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

「遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」とは、

ア 遠位指節間関節(DIP関節)が強直した状態
イ 屈伸筋の損傷等原因が明らかであって、自動で屈伸できない状態またはこれに近い状態

のいずれかにあたる状態をいいます。
つまり、片手の親指以外の指がこれらア・イのいずれかにあたると14級7号に該当することになります。

(4)機能障害の検査

手指の関節の機能障害の検査は、関節の可動域を測定し、健側(=正常な側)の可動域または参考可動域の角度と比較することによって評価します。
測定値は、5度ごとの切り上げで記載します。
原則として他動運動(=外部から力を加えて動かす)により測定しますが、他動運動による測定が適切でないものについては、自動運動(=自力で動かす)による測定値を参考にします。
検査は、親指とそれ以外の指で異なります。

(4-1)親指の場合

親指関節の可動域については、角度計を用いて橈側外転、掌側外転、屈曲・伸展(合計値)の角度を計測します。

【親指関節の参考可動域角度】

運動方向橈側外転掌側外転屈曲(MP)伸展(MP)屈曲(IP)伸展(IP)
参考可動域角度609060108010

※MP……中手指節関節 IP……指節間関節

(4-2)親指以外の指の場合

親指以外の指の関節の可動域については、角度計を用いて屈曲・伸展(合計値の角度を計測します。外転・内転の角度を測ることもあります。

【親指以外の指関節の参考可動域角度】

運動方向屈曲(MCP)伸展(MCP)屈曲(PIP)伸展(PIP)屈曲(DIP)伸展(DIP)
参考可動域角度90451000800

※MCP……中手指節関節 PIP……近位指節間関節 IP……指節間関節 DIP……遠位指節間関節

(4-3)深部感覚・表在感覚について

手指の末節の指腹部および側部の深部感覚・表在感覚については、当該部分の感覚神経が断裂し得るような外傷を負ったことを確認するとともに、筋電計を用いた感覚神経伝導速度検査を行い、感覚神経活動電位(SNAP)が検出されないことを確認することにより認定します。

交通事故による手指の後遺障害で慰謝料の相場は?

交通事故によるケガが上記の後遺障害等級のいずれかに認定されると、事故の相手方(加害者)に対して後遺症慰謝料を請求できるようになります。
通常は、後遺障害等級が認定された後、加害者が加入する保険会社と金額などについて示談交渉を行うことになります。

後遺症慰謝料の金額(相場)を決める基準には、次の3つがあります。

  • 自賠責基準……自動車損害賠償保障法(自賠法)で定められた、必要最低限の賠償基準
  • 任意保険基準……各保険会社が独自に定めた賠償基準
  • 弁護士基準……弁護士が、加害者との示談交渉や裁判の際に用いる賠償基準(「裁判所基準」ともいいます)

どの基準を用いるかによって慰謝料の額が変わります。
3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般に、

弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準

となります。
手指のケガが後遺障害と認定された場合の後遺症慰謝料(相場)を、自賠責基準と弁護士基準で比べてみると、下の表のようになります。

等級自賠責基準弁護士基準
3級5号861万円1990万円
4級6号737万円1670万円
6級8号512万円1180万円
7級6号・7号419万円1000万円
8級3号・4号331万円830万円
9級12号・13号249万円690万円
10級7号190万円550万円
11級8号136万円420万円
12級9号・10号94万円290万円
13級6号・7号57万円180万円
14級6号・7号32万円110万円

(2020年4月1日以降に起きた事故の場合)

いずれの場合にも、弁護士基準のほうが自賠責基準よりも高額となることがお分かりでしょう。
被害者が、自分自身(または加入している保険会社の示談代行サービス)で示談交渉を行うと、加害者側の保険会社は、自賠責基準や任意保険基準を用いた低い金額を提示してくるのが通常です。
これに対し、弁護士が被害者の代理人として交渉する場合、金額の最も高い弁護士基準を用いて交渉します。
つまり、示談交渉を弁護士に依頼すると、後遺症慰謝料を含む賠償金の増額が期待できるのです。
こちらの記事もご確認ください。

交通事故慰謝料の「弁護士基準」とは?増額のポイントも解説

交通事故による手指の後遺障害で逸失利益も請求できる

交通事故による手指のケガが後遺障害として認定されると、加害者に対して逸失利益も請求することができます。
逸失利益とは、後遺障害によって得られなくなった将来の利益のことをいいます。
例えば、大工として生計を立てている人が、交通事故による手指の機能障害のため大工の仕事ができなくなってしまった場合、大工業により将来得られるはずだったのに得られなくなってしまった収入をいいます。
逸失利益の金額は、

基礎収入×後遺障害による労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

という計算式で算出します。

「基礎収入」は、原則として事故発生前の収入の金額が採用されます。
「労働能力喪失率」とは、後遺障害により労働能力がどれだけ失われたのか、その割合をいいます。後遺障害等級ごとに目安が定められており、手指の後遺障害(3~14級)の場合は次のとおりです。

【労働能力喪失率】

3級4級6級7級8級9級10級11級12級13級14級
100%92%67%56%45%35%27%20%14%9%5%

つまり、100%の労働能力のうち、3級では100%、4級では92%、6級では67%……が失われたとみなされることになります。
ライプニッツ係数」とは、被害者が将来得られたはずの利益を前もって受け取ったことで得られた利益(利息など)を控除するための数値です。

逸失利益の計算についても、特に労働能力喪失期間について加害者側と争いになることが多くなります。
その際も、弁護士に依頼すれば法律的な観点から妥当な労働能力喪失期間を算定し、適正な逸失利益額を主張することができます。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

逸失利益とは?休業損害や慰謝料との違いと逸失利益の計算方法を解説

交通事故による指のケガで後遺障害認定を受けるポイント

後遺障害認定を受けるためには、等級に関わらず

  • 交通事故と後遺症の間に因果関係があること
  • 医師により、症状固定(=これ以上治療しても改善も悪化もしないこと)の診断を受けること
  • 医師により後遺障害診断書を作成してもらうこと

の3つが必要となります。
この点を踏まえた上で、交通事故による指のケガで後遺障害認定を受けるポイントを説明します。

(1)検査を早めに受ける

後遺障害の原因が交通事故にあると証明するためには、事故後すぐに検査する必要があります。期間があくと、本当に交通事故が原因なのか因果関係を疑われてしまうからです。
事故後すみやかに、レントゲン検査などを受けるようにしましょう。

(2)後遺障害診断書の内容が肝心

後遺障害の認定を受けるためには、医師により、これ以上治療しても改善の見込みがない(これを「症状固定」といいます)という診断を受ける必要があります。目安としては、事故から半年~1年以上経っても症状が改善されないようなら、症状固定の可能性が高いでしょう。
後遺障害の認定を申請する際には、後遺障害診断書に症状固定の旨を記載してもらう必要があります。
また、後遺障害の認定を受けるためには、交通事故と手指の欠損障害・機能障害との因果関係を記載してもらうことが特に重要となります。

【後遺障害診断書】

手指の欠損障害・機能障害について弁護士に依頼するメリット

以下では、後遺障害の認定手続きについて、弁護士に依頼するメリットをご紹介します。

(1)弁護士は、後遺障害が認定されやすくなるコツを知っている

交通事故案件を担当してきた弁護士は、後遺障害の認定率を高める後遺障害診断書の作成方法や、資料収集のコツを知っています。
適正な等級認定がなされるよう、後遺障害診断書の内容に何を書くべきかアドバイスを受けることができます。
したがって、後遺障害認定の手続きを被害者本人でするよりも、弁護士に依頼するほうが認定される確率は高まります。

(2)後遺障害認定の手続きを任せられる

また、後遺障害認定の手続きを弁護士に依頼すれば、申請のための面倒な作業を任せられ、ご自身は治療に専念できます。

(3)慰謝料などの増額が期待できる

上で述べたように、加害者側との示談交渉などを弁護士に依頼すると、弁護士基準を用いた金額の算定により慰謝料などを増額できる可能性があります。

【まとめ】交通事故による手指の関節障害にお悩みの方は弁護士にご相談ください

交通事故による手指のケガで後遺障害が認定されるかどうかは、加害者に対して後遺症慰謝料や逸失利益を請求できるかどうかに関わるため、非常に切実な問題です。
手指のケガが後遺障害に認定されるためには、適切な治療・検査の受け方、後遺障害診断書の書き方にも工夫が必要です。
また、後遺障害に認定された後、加害者側との示談交渉を弁護士に依頼すれば、賠償額を増額できる可能性が高まります。
交通事故による手指のケガでお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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