自己破産のうち(少額)管財事件では、管財人と申立代理人と申立人の3者で話し合いをします。この話し合いを「管財人面接」といいます。破産をすることについて怒られるのではないか、と初めて破産する人は緊張してしまうかもしれません。
そこで、今回の記事では「管財人面接」について説明しましょう。
早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
管財人面接はいつ・どこで行われるの?
(1)申立てから1~5週間後に行われるのが平均的
管財人面接が行われる日時は、各裁判所の運用等によって異なります。
東京地方裁判所の場合には、申立てから1週間程度で行われますが、それ以外の裁判所では申立てから5、6週間かかります。東京地裁では開始決定前に管財人面接が行われることになっているので、申立てからまもなくして管財人面接が行われるのです。
管財人から一方的に日程を指示されるわけではなく、日時についてある程度希望を伝えることができます。転職したばかりで平日に仕事を休めないなどやむを得ない事情がある場合には土日で調整してもらえることもあるので、まずは依頼した弁護士に相談しましょう。
(2)管財人の事務所で行われることが多い
2020年5月に発令した緊急事態宣言により電話やビデオ会議での打ち合わせが増えましたが、一般的には管財人の事務所で行われます。
裁判所は、破産する人(破産者)の自宅の場所も考慮して管財人を選ぶ傾向にあるので、特に都市部では、自宅の近くの法律事務所で管財人面接が行われる可能性が高いでしょう。
それ以外の場所としては、弁護士会館や裁判所、依頼した弁護士の事務所などで行われます。
管財人面接ではどのようなことを話すの?
管財人は、依頼を受けた弁護士が裁判所に提出した申立書をもとに、借金の内容、時期、理由、収入・財産の内容などを尋ねていきます。
通常、30分程度で終了しますが、長い場合には1時間に及びます。また、1度で終わるケースが多いものの2度にわたることも少なくありません。もっとも、管財人面接が3回、4回行われるケースは珍しいでしょう。
これまでに私の携わってきた事件では、通帳の内容について細かく聴取されるケースが多くありました。2、3年前の送金・入金となると覚えていないこともあるかもしれません。しかし、破産者が思い出せないと当時のメモを探したり振込先・送金元に問い合わせることが求められたりするので、特に個人名が通帳に表れる場合にはできる限りの手段を尽くして思い出すことが大切です。
破産者を叱責する管財人がいないとは限りませんが、これまでに私の担当した事件で管財人から破産者が怒鳴られたケースはありません。管財人は、裁判所の代わりとして中立の立場にあるので、淡々と必要事項を聞き取っていくのが一般的でしょう。
管財人面接で注意したほうがいいことってあるの?
管財人面接では、次の2点に注意してください。
- 管財人に対して誠実に回答して嘘を吐かない
- 身なりをきちんとする
服装はスーツで行くのが無難でしょう。スーツがなければ普段着でも構いません。
ただし、ブランド品などで必要以上に着飾るのもよれよれのシャツで行くのもNGです。
常識の範囲で行動できていれば、管財人面接だからといって緊張する必要はありません。
場合によっては破産者が一人で管財人面接に臨むケースもありますが、管財人の質問に素直に、正直に答えていれば何事もなく済んでいく可能性が高いので、あまり気負い過ぎないようにしましょう。