毎月の生活費に悩むあなたへ。
実は、国民年金の保険料も年収次第で免除や猶予が受けられることをご存知ですか?
『支払わなければならない』と頭を抱える前に、まずは自分がどの制度の対象になるのかをチェックしてみましょう。
このコラムでは、免除や猶予が受けられる年収基準や、特別な事情による免除制度について詳しく解説します。知っておくことで、今後の生活に余裕が生まれるかもしれません。
この記事を読んでわかること
- 国民年金保険料の免除や猶予が受けられる年収額
- 国民年金保険料の免除や猶予の対象者
- 国民年金保険料の免除や猶予の申請方法
- 国民年金保険料の免除や猶予を受けられない場合の対処法
ここを押さえればOK!
全額免除: 前年所得が(扶養親族数+1)×35万円+32万円以下
4分の3免除: 88万円+扶養親族控除額+社会保険料控除額等以下
半額免除: 128万円+扶養親族控除額+社会保険料控除額等以下
4分の1免除: 168万円+扶養親族控除額+社会保険料控除額等以下
納付猶予は、本人・配偶者の前年所得が(扶養親族数+1)×35万円+32万円以下の場合に申請が可能です。免除や納付猶予が受けられない場合は分割払いを相談することができます。
特例として、失業、学生、DV被害、被災、産前産後の方は条件を満たせば免除や猶予が可能です。
免除を受けると将来受け取れる年金額は減額されますが、産前産後の場合は影響ありません。
免除期間の追納も可能ですが、一定期間を過ぎると加算額がかかります。
申請は市役所や年金事務所で行い、必要書類を準備してください。年金滞納を避けるために、分割払いや借金の債務整理も検討しましょう。
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早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
国民年金保険料の免除になる年収はいくら?
本人・世帯主・配偶者の前年所得(1~6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額より少ない場合に、本人の申請が承認されれば保険料の支払が免除されます。
前年年収の金額次第で、国民年金の免除される割合が変わってきます。
免除の割合 | 基準となる所得の計算式(※) |
全額免除 | 前年所得が(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円以下であること |
4分の3免除 | 前年所得が88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等以下であること |
半額免除 | 前年所得が128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等以下であること |
4分の1免除 | 前年所得が168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等以下であること |
源泉徴収票・確定申告控等で「扶養親族等控除額」「社会保険料控除額等」を確認しましょう。
国民年金保険料の納付猶予になる年収はいくら?
20歳以上50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1~6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額より少ない場合に、本人の申請が承認されれば支払を遅らせることができます。
基準となる所得の計算式(※) | |
納付猶予 | 本人及び配偶者の前年所得が(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円以下であること |
年収以外の理由で国民年金保険料の免除・納付猶予を受けられる?
国民年金保険料の納付・猶予制度には、いくつかの特例があります。前年所得が範囲外だった方も国民年金の免除・納付猶予を受けられるかもしれません。
【国民年金の免除・納付猶予の対象となる方】
- 失業等した方
- 学生の方
- 被災した方
- DV被害にあった方
- 産前産後の方
これらの制度を詳しくご紹介しましょう。
(1)失業等した方
失業・倒産・事業の廃止で仕事を失った方は、前年所得の金額にかかわらず、免除を受けることができます。免除が認められると、失業等のあった月の前月から翌々年6月まで国民年金の支払が免除されます。
申請が遅れても最大2年1か月前までさかのぼって申請可能です。
(2)学生の方
日本国内に住むすべての方は、20歳になった時から国民年金保険料の納付が義務づけられていますが、学生であれば在学中の保険料の納付が猶予されます。
次の条件をいずれも満たす必要があります。
- 本人が大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学中であること
- 学生本人の所得が
128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等以下であること(家族の所得額は関係ありません)
学生納付特例制度を利用できる方は、障害年金受給者などの法定免除を除き、通常の免除や猶予の制度、その他一部の特例免除の制度を利用することができません。
(3)DV被害に関わる特例免除
配偶者からの暴力(DV)により配偶者(DV加害者)と住居が違う方は、配偶者の所得にかかわらず、本人の全所得が一定額よりも少なければ保険料の全額または一部が免除される可能性があります。
免除される期間は、毎年7月から翌年6月までの1年間で、申請は毎年必要になります。
世帯主(両親など)の年収が考慮される場合もありますので、注意してください。
年金事務所では、免除の申請とあわせて年金記録の秘密保持の配慮の相談も受けてくれます。
(4)被災した方
災害等によって被災し、住宅や家財など財産の被害金額がおおむね2分の1以上である方等は、ご本人からの申請に基づき、国民年金保険料の納付が免除されます。
(5)産前産後の方
2019年4月から開始されたのが産前産後期間の免除制度です(※)。
2019年2月1日以降に出産した場合に、 出産予定日又は出産日が属する月の前月から4ヶ月間 の国民年金保険料が免除されます。
一方、 多胎妊娠の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間の国民年金保険料が免除になります。
産前産後を理由に国民年金の納付が免除された場合、保険料は納付したものとして扱われますので、将来受け取れる年金額が減ることはありません。
※ 国民年金に任意加入している方は対象外です。
国民年金保険料の免除をすると、将来もらえる年金額はどうなる?
国民年金の保険料の支払いを免除されると、将来受け取れる年金額は少なくなってしまいます。
免除・納付猶予 | 将来受け取れる年金額 |
全額免除 | 保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1 |
4分の3免除 | 保険料全額納付した場合の年金額の8分の5 |
半額免除 | 保険料全額納付した場合の年金額の8分の6 |
4分の1免除 | 保険料全額納付した場合の年金額の8分の7 |
もし減額されたくないのであれば、10年以内に追納する必要があります。
ただし、保険料免除・納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に一定の金額が加算されるので、注意しましょう。いわば利子のようなものです。

免除制度や猶予制度の申請方法とは?

申請先は住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口または最寄りの年金事務所です。
申請書と必要書類を郵送するか直接持っていきましょう。電子申請も可能です。
(1)必要書類
必ず必要なものは申請書および年金手帳(基礎年金番号通知書でも可)、印鑑です。
また、所得が審査される免除や猶予制度の場合には、次のような書類も必要です。
- 前年(または前々年)所得を証明する書類
- 所得の申立書
不安な方は、申請する前に市区町村役場の担当窓口か、年金事務所に問い合わせるのが良いでしょう。
(2)失業などによる特例免除の場合の必要書類
失業などによる特例免除の場合、さらに次のような書類も必要となります。
- 雇用保険の被保険者であった方
- 雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し
- 事業の廃止(廃業)または休止の届出を行っている方
- 厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し及びその申請時の添付書類の写し
- 履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書
- 税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し
- 保健所への廃止届出書の控え
- その他、公的機関が交付する証明書等であって失業の事実が確認できる書類
国民年金保険料の免除や納付猶予が受けられないときには、どうすればいい?
国民年金保険料の免除や納付猶予が受けられない場合でも、国民年金の放置は禁物です。
国民年金を滞納してしまうと、延滞金が上乗せされたり、給与や預貯金などを差し押さえられたりするリスクがあるからです。
それでは、国民年金保険料の免除や納付猶予が受けられない場合の対処法を紹介します。
(1)年金事務所などで分割払の相談
既に滞納してしまっている年金があり、一括での納付が厳しい場合には、分納(分割払)にできないか相談しましょう。
相談先は、年金事務所や、「ねんきんダイヤル」(日本年金機構の電話相談窓口)などです。
(2)借金については債務整理も検討
借金があるせいで年金の支払いにまで手が回らないという方には、借金の債務整理の検討をおすすめします。
債務整理をすると、借金を減らしたり、無くしたりできる可能性があります。
債務整理をしても国民年金の納付額を減らしたり無くしたりできるわけではありません。しかし、借金の返済の負担を軽減できれば、家計に余裕ができ、国民年金の納付もその分楽になる可能性があります。
【まとめ】国民年金は年収額次第で免除が可能|借金が苦しい方は債務整理もおすすめ!
国民年金の免除や猶予は、前年所得が一定以下であれば申請可能です。
免除割合は年収に応じて異なり、特例として失業や学生、DV被害、被災、産前産後の状況でも対象になります。
ただし、免除すると将来の年金額が減少しますが、産前産後の免除は影響しません。年金額の減少を防ぐには、10年以内に追納が必要です。これを踏まえ、ご自身の状況を確認し、必要ならば年金事務所で手続きを行いましょう。
また、「借金を抱えて国民年金の保険料支払いに手が回らない」という場合は、債務整理を検討してみましょう。
アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続につき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続に関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております(2024年10月時点)。
借金を抱えて国民年金保険料の支払いにお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。
