「債務整理をしたら、今のスマホは使えなくなる?」
債務整理というと、事故情報が登録される(いわゆる「ブラックリスト」)など、何かと不便になるというイメージが根強いです。
しかし、次の2つのどちらにも当てはまっていなければ、基本的に今持っているスマホを使い続けることができます。
- 携帯料金の滞納を解消できていない
- スマホの端末代を分割払いにしている
また、これらに当てはまっている場合でも、例えば次のような方法で今のスマホを使い続けられる可能性はあります。
- 任意整理で、携帯料金(滞納分)や端末代を手続きの対象から外す
- 家族などの第三者に、携帯料金(滞納分)や端末代を支払ってもらう
この記事を読んでわかること
- 債務整理をしても、今のスマホを使い続けられる場合はあること
- 今のスマホを使い続けられない可能性がある2つのケース
- 2つのケースに当てはまっている場合の対処法
- 「ブラックリスト」に載っている間の機種変更

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
債務整理に関するご相談は何度でも無料!

費用の不安を安心に。気軽に相談!3つのお約束をご用意
国内65拠点以上(※1)
ご相談・ご依頼は、安心の全国対応
「債務整理=スマホが使えなくなる」ではない!
借金返済などの負担を減らすための債務整理をすると、事故情報が登録される(いわゆる「ブラックリスト」)などと聞いたことのある人も少なくないかと思います。
「ブラックリストの関係で、スマホにも何か影響が出るのでは……」と思われる方も少なくありません。
ですが、債務整理をしてもスマホを使い続けられるケースが少なくありません。
次の2つのうち、どちらにも当てはまっていなければ基本的に今までのスマホを使い続けることができます。
- 携帯料金の滞納を解消できていない
- スマホの端末代を分割払いにしている
ただし、債務整理をすると事故情報が登録されるため、どこかのタイミングでクレジットカードが使えなくなります。
そのため、携帯料金、端末代をクレジットカード払いにしている場合、支払方法を変更する必要があります。
また、これらに当てはまっていたとしても、今までのスマホを使い続けられる可能性はあります。
それでは、この2つのケースが要注意であることと、当てはまっている場合の対処法についてご説明します。
今のスマホを使い続けられない可能性がある2つのケース
「携帯料金の滞納があるケース」「スマホの端末代を分割払いにしているケース」の場合は要注意である理由についてご説明します。
(1)携帯料金を滞納しているケース
携帯料金を滞納している場合、このままだと今のスマホを使い続けられなくなってしまうおそれがあります。
そもそも債務整理をするかどうかにかかわらず、携帯料金を滞納し続けると、スマホを強制解約されるリスクがあるからです。
携帯料金の滞納から強制解約までは、通常次のような流れとなります。
滞納
督促状
利用停止の予告
利用停止
強制解約
また、強制解約されて以降も滞納分の携帯料金を支払わずにいると、次のようなリスクもあります。
- 給与の一部分や預貯金などの財産を差し押さえられてしまうリスク
- 携帯料金の未払いの事実が「TCA」や「TELESA」に登録され、登録されている期間は他社を含めスマホ、携帯電話の契約をしにくくなるリスク
TCAやTELESAとは、携帯会社などが加入している組織で、携帯料金の未払い・滞納等の情報を管理しているものです。
借金やローンを滞納した場合の「ブラックリスト」(信用情報機関に事故情報が登録されること)の携帯料金バージョンを想像していただけると、分かりやすいかと思います。
携帯料金を滞納し続けた場合の差押えリスクについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
TCAやTELESAに未払いの情報が登録された場合に、スマホの契約をしにくくなることについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)スマホの端末代を分割払いにしているケース
スマホの端末代を分割払いにしているケースでも、今のスマホを使い続けたいときには注意が必要です。
分割払いの残りの代金が債務整理の対象となると(※)、今のスマホが強制解約され、端末を回収されてしまうおそれがあるためです。
※債務整理においては、基本的には「今抱えている全ての負債」が手続きの対象となります(個々の負債について手続きの対象とするかどうかを選べる余地のある、「任意整理」を除く)。
スマホの端末代の残りが債務整理の対象となるということは、減額・免除される可能性があるということです。
そのため、端末代を満額回収できなくなった携帯会社が、スマホを強制解約のうえ回収してしまうおそれがあるのです。

滞納や分割払いの場合の対処法

ここまでは今のスマホを使えなくなってしまうリスクについてご説明してきました。
しかし、「携帯料金を滞納しているケース」「端末代を分割払いにしているケース」ともに、債務整理後も今のスマホを使い続けるための対処法はあります。
それでは、対処法をご説明します。
(1)携帯会社を手続きの対象から外す「任意整理」
まず、「携帯料金を滞納しているケース」「端末代を分割払いにしているケース」両方に対応可能なのが、
任意整理をして、携帯料金(端末代)を手続きの対象から外す
という方法です。
任意整理とは、次のような手続きです。
支払い過ぎた利息がないか、負債の額を正確に再計算
→次のような条件で支払いの負担を軽減することを目指して、個々の債権者と交渉
- 支払期間を長期化することで、毎月の支払額を減らす
- 今後発生するはずだった利息(将来利息)をカットすることで、総支払額を減らす
任意整理でどれくらい負債の額を減らせるかについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
任意整理の大きな特徴の1つに、
それぞれの負債について、手続きの対象とするかどうか選べる可能性がある
というものがあります。
例えば、住宅ローンや車のローンを任意整理の対象から外すことができれば、自宅が競売にかけられたり、車が引き揚げられてしまう事態を回避することが期待できます。
また、奨学金など迷惑をかけたくない保証人がついている負債を手続きの対象から外せば、保証人が一括請求を受ける事態も避けることができます。

そして、滞納している携帯料金や分割払いにしている端末代を任意整理の対象から外すことができれば、今のスマホを基本的に使い続けることができるということになります。
(1-1)どんな場合に任意整理できる?
任意整理では負債を減額できる可能性がありますが、基本的には数年間支払い続けることが前提の手続きです。
また、後ほどご説明する「個人再生」や「自己破産」ほど大幅に減額できない場合もあります。
ですので、安定・継続した収入(支払いの資金)がないと、任意整理を選ぶことは困難です。
(1-2)任意整理で柔軟な対処ができない場合とは?
また、それぞれの負債について手続きの対象とするかどうかを選ぶことができるのは、
特定の負債を手続きの対象から外しても、支払いが滞ってしまう債権者がいない場合
です。
ですので、携帯料金や端末代を任意整理の対象から外しては、支払いが滞ってしまうところがあるという場合、次のような例外を除き、このように柔軟に対処することは基本的にできません。
- 携帯料金や端末代を、家族などの第三者に代わりに支払ってもらう
(2)任意整理が難しい場合には
任意整理が難しい場合には、任意整理よりも大幅な負担減につながる可能性のある、次の2つの手続きを検討する必要があります。
- 個人再生
- 自己破産
それでは、これらの手続き後も今のスマホを使い続けるための対処法をご説明します。
(2-1)個人再生や自己破産では、全ての債権者が対象となるが……
先ほど少し触れたように、これらの手続きの場合、「今抱えている全ての負債」が手続きの対象となるというのが原則です。
ですので、「携帯料金を滞納しているケース」「端末代を分割払いにしているケース」だと、今のスマホを手放さなければならない可能性があります。
個人再生や自己破産後にスマホを使い続けるための対処法は、主に次の2つです。
- 滞納分や端末代の残りを、家族などの第三者に支払ってもらう
- 新しく、安めのスマホを一括で購入する
それぞれについて説明します。
(2-2)対処法1|滞納分や端末代の残りを、家族などの第三者に支払ってもらう
個人再生・自己破産後も今のスマホを使い続けるための方法は、
滞納分や端末代の残りを、家族などの第三者に支払ってもらう
というものです。
裁判所で行う手続きである個人再生や自己破産では、基本的に全ての負債が手続きの対象となります。
そのため、任意整理とは違って、「携帯料金や端末代は手続きの対象から外して、自分で払う」といった柔軟な対処は基本的にできません。
しかし、家族などの第三者が携帯料金や端末代を支払ってくれれば(第三者弁済といいます)、未払いの料金は無くなって、携帯会社は債権者ではないこととなります。
そのため、今のスマホをそのまま使い続けられることとなります。

「本当に債務者自身ではなく、第三者が支払った」ということを示せるように、振込明細書などの書類を手元に残しておきましょう。
厳密な話になりますが、第三者が携帯料金や端末代を支払ってくれた場合、その第三者は債務者に対してその金額を請求できる「債権者」ということになります。
そのため、このままではその第三者が個人再生や自己破産の手続きに巻き込まれることとなります。
多くの場合、代わりに支払ってくれる第三者は債務者を援助するつもりで(債務者に請求する意思なく)支払ってくれています。
ですので、「携帯料金・端末代の分の金額を債務者に対して請求する権利」を「放棄する」という内容の書面を作って、第三者を手続きに巻き込まないようにするのが通常です。
第三者弁済について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2-3)「こっそりスマホの分だけ自分で払ってしまおう」はNG!
「家族とかには極力迷惑をかけたくないから、携帯料金・端末代だけは手続きの前にこっそり払ってしまおう」と思われるかもしれません。
しかし、自己判断で携帯料金・端末代だけ自分で払ってしまうことは原則NGです。
個人再生や自己破産の場合に、携帯料金や端末代だけ自力で支払ってしまうと、次のようなリスクが生じるからです(特に、弁護士に依頼するなど申立ての準備を始めて以降は要注意です)。
- 携帯会社に対して支払った携帯料金や端末代の分の金額が、個人再生で支払うこととなる金額に上乗せされてしまうリスク
- 再生計画を裁判所から認可してもらえず(再生不認可)、個人再生の手続きが途中でとん挫するリスク
- 「管財事件」という、裁判所での手続費用が高い手続きになってしまうリスク
- 裁判所が「免責許可」を出してくれず、全ての支払義務がそのまま残ってしまうリスク
スマホや携帯電話は、現代の生活において必要不可欠なものです。そのため、第三者弁済が困難で自分で払うしかない場合であっても、きちんと裁判所に事情を説明すれば、再生計画が認可となったり免責許可となったりする可能性もないわけではありません。
しかし、法律を厳格に適用すれば、最悪の場合再生不認可・免責不許可となって手続きがとん挫するおそれがあります。
第三者弁済をしてくれそうな人がいない場合でも、自己判断で支払わず、スマホを使い続ける方法について手続きを依頼する弁護士に相談しましょう。
(2-4)対処法2|安めのスマホを現金で一括購入する
今のスマホを使い続けることが難しい場合でも、スマホや携帯電話を日常生活において全く使えなくなってしまうわけではありません。
安めのスマホ・携帯電話を現金で一括購入する
という方法があります。
現金で一括購入する場合、分割払いの場合とは異なり購入の時点で端末代の支払義務は無くなります。
個人再生や自己破産の手続きを始めると、次のような決済方法が基本的に使えなくなります。
- クレジットカードでの購入
- 分割払い
しかし、現金での一括払いであれば、上の2つのどちらにも当てはまらないため、個人再生や自己破産の手続きをするからといってスマホを買えなくなってしまうことは原則としてないのです。
「ブラックリスト」に載っている間の機種変更は、「現金で一括払い」が原則
事故情報が登録されている(いわゆる「ブラックリスト」に載っている)間は、次のようなことが基本的にできなくなります。
- クレジットカードの作成や更新
- 新規のローン契約、分割払いの契約
- 第三者の保証人になること
そのため、事故情報が登録されている間に今のスマホから別の端末に乗り換える場合には、やはり「現金で一括払い」が原則となります。
それぞれの債務整理ごとに、いつまで事故情報が登録されるかについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】債務整理しても、必ずスマホを使えなくなってしまうわけではない!
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 次の2つのどちらにも当てはまっていなければ、債務整理をしても基本的に今のスマホを使い続けられる。
- 携帯料金の滞納を解消できていない
- スマホの端末代を分割払いにしている
- 今のスマホを使い続けられない可能性があるケースと理由は、次のようになる。
- 携帯料金の滞納を解消できていない
←スマホが強制解約されるおそれ - スマホの端末代を分割払いにしている
←スマホの端末代が債務整理の対象となると、強制解約されるおそれ
- 携帯料金の滞納を解消できていない
- スマホを使い続けるための対処法には、次のようなものがある。
- 任意整理で、携帯料金(滞納)や端末代を手続きの対象から除外する
- 個人再生や自己破産で、携帯料金(滞納)や端末代を第三者に支払ってもらう
⇔第三者に支払ってもらえない場合でも、別の端末を現金一括払いで購入すればスマホを持つことはできる
債務整理をすると、一定期間はローンや分割払いを新しく始めることができなくなるなど、不便な点も確かにあります。
しかし、今使っているスマホを手放さなければならない場合は基本的に限られています。
むしろ、債務整理をためらっている間に利息で借金が膨らめば膨らむほど、今のスマホを使い続けられなくなってしまうリスクは高まります。
事故情報は基本的に一定期間が経てば削除されますので、早めに債務整理をして負債を片付ける方が、元の日常に早く戻れる可能性があります(無計画なローン等は控える必要があります)。
アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
また、完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、成果に応じた弁護士費用をいただいておりますので、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません(2023年10月時点)。
債務整理をしようかお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。
