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【自転車事故】未成年の加害者の責任とは?責任能力と損害賠償請求

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ある日の夕方、家族の夕飯の準備をしていたAさんのもとに、とつぜん警察から電話が入りました。何事かと思い話を聞いてみると、高校生の息子B君が、駅から自転車で帰宅途中、歩行者に衝突しケガをさせてしまったとのこと。
こんな時、B君やAさんには、どんな責任が生じるのでしょうか。
この記事では、未成年者が交通事故を起こしてしまった場合の

  • 本人や親に生じる法律上の責任
  • 実際に起きた事故のケース
  • 被害者との示談交渉にあたり知っておきたいポイント

について、弁護士が解説します。

自転車事故の加害者が負う2つの責任

自転車事故を起こし他人にケガなどをさせてしまった場合、法律上、

  • 刑事上の責任
  • 民事上の責任

という2つの責任を負うことになります(※)。
以下、それぞれの内容を見ていきましょう。
(※)悪質な自転車事故を起こした場合、それを理由に自動車運転免許停止処分という行政上の責任も負うことがありますが(道路交通法103条第1項8号)、ここでは省略します。

(1)自転車事故における刑事上の責任

刑事上の責任とは、刑法などに規定された犯罪行為を行い、懲役刑や禁固刑、罰金刑などの刑事罰に処されることをいいます。
自転車事故の場合、事故の様態と結果により、刑法上の

  • 過失傷害罪(30万円以下の罰金または科料)……不注意により他人にケガをさせてしまった場合
  • 過失致死罪(50万円以下の罰金)……不注意により他人を死亡させてしまった場合
  • 重過失致死傷罪(5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金)……重大な不注意により他人を負傷、または死亡させてしまった場合

などの責任を問われます。
また、事故後に被害者を救護する義務や警察に報告する義務を怠ると、道路交通法上の救護義務違反(1年以下の懲役又は10万円以下の罰金)や報告義務違反(3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金)の罪に問われることもあります。

(2)自転車事故における民事上の責任

民事上の責任とは、被害者に与えた財産的・精神的損害を賠償する責任です。
民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めています。
自転車の運転中に、不注意により他人にケガなどを負わせることは、民法709条が定める不法行為にあたります。
したがって、被害者が支払ったケガの治療費や、入院・通院したことによる精神的苦痛等に対し、お金で賠償する義務が発生するのです。
自転車事故であっても、被害者を死亡させたり後遺障害を負わせてしまった場合、損害賠償額は高額になります。

未成年者による自転車事故の損害賠償責任

では、未成年者が自転車事故を起こした場合、被害者は、常に民事上の損害賠償責任を追及できるのでしょうか。
以下で、未成年者の加害者に対する損害賠償請求について解説します。

(1)未成年者の責任能力はおおむね12歳頃から

上で見たように、不注意により他人にケガをさせた加害者には不法行為が成立し、被害者に対して損害賠償する義務が生じるのが原則です(民法709条)。
もっとも、民法は、未成年者について次のような例外を定めています。

「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」(民法712条)

未成年者(20歳未満の者。2022年4月からは18歳未満の者)は、大人に比べ自己の行為を責任をもって行う能力が未熟です。そこで民法は、未成年者が不法行為を行った場合、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能」(これを、「責任能力」といいます)を備えているときに限り損害賠償責任を負わせることとし、未成年者を保護しているのです。
未成年者がこの責任能力を備えるのはおおむね12歳頃とされています。
したがって、一つの目安として、中学生以上であれば事故の損害賠償義務を自ら負うことになります(ただし、12歳というのは絶対的な基準ではなく、あくまで目安であり、個別に判断されることになります)。
これに対し、加害者に責任能力がない(おおむね12歳未満の)場合は本人は責任を負わず、監督義務者である親権者(親)が代わって責任を負うことになります(民法714条)。

(2)未成年の加害者に対する損害賠償請求

上で見たように、自転車事故の加害者がおおむね12歳以上の場合は、加害者本人に損害賠償を請求することが可能です。
もっとも、そうは言っても、例えば15歳の中学生に対して治療費や高額な慰謝料を請求したところで、本人がそれを支払えるだけの資力を有していることはまれです。
そこで、これまでの裁判例では、加害者である未成年者が責任能力を有していた場合でも、本人が事故を起こしたことについて親に監督義務違反があり、その義務違反と事故との間に因果関係が認められるときは、親も損害賠償責任を負うとされています(最高裁判所判決昭和49年3月22日)。

未成年が加害者となった自転車事故の事例

未成年者が加害者となった自転車事故で、高額な損害賠償が請求された事例は少なくありません。以下で、その一例をご紹介します。

【事例1】
男子高校生が自転車で車道を斜めに横断したところ、同じく自転車で対向車線を直進してきた男性(24歳・会社員)と衝突。男性に言語機能の喪失などの重大な障害が残り、賠償額は9266万円となりました(東京地方裁判所判決平成20年6月5日)。

【事例2】
小学5年生の男子児童が自転車で坂道を下っていたところ、散歩中の女性(67歳)と衝突。女性ははね飛ばされて頭を打ち、植物状態となってしまいました。この事故での賠償金は9520万にも上りました。
なお、この事故では男子児童がヘルメットを着用していなかったことなどから、母親が十分な指導や注意をしていたとはいえず、監督義務を果たしていなかったとして、母親の責任が認められました(神戸地方裁判所判決平成25年7月4日)。

自転車事故の加害者側が知っておきたいポイント

以下では、未成年者が自転車事故を起こし、他人にケガなどをさせてしまった場合の注意点を説明します。

(1)警察に事故を報告

事故を起こしたらまず、被害者がケガをしていないかを確認し、ケガをしていればすぐに救急車を呼びましょう。また、最寄りの警察に事故があったことを報告します。
ケガをした被害者を救護せずにその場から立ち去ると道路交通法上の救護義務違反に、警察に報告しないと報告義務違反に該当してしまうので注意が必要です。

  • 救護義務違反:1年以下の懲役または10万円以下の罰金
  • 報告義務違反:3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

警察に事故を報告すると、警察官が現場に来て実況見聞を行います。
実況見分が行われると、後日自動車安全運転センターから交通事故証明書を発行してもらえます。
個人賠償責任保険や、自転車事故も対象となる自動車保険などに加入している場合は、保険会社にも事故の連絡をしておきましょう。
なお、事故の現場では、お互いの住所氏名、連絡先などを確認します。
後日のトラブルを防ぐため、たとえ軽微な事故であっても事故の現場で示談をしてしまうことは避けましょう。

(2)保険未加入の場合の被害者との示談交渉

自動車の場合は任意保険に加入するのが一般的ですが、自転車の場合は保険に未加入であることが少なくありません。
保険に加入している場合は、通常は保険会社が示談を代行してくれますが、保険未加入の場合、本人に代わって親が直接被害者と示談交渉をしなければなりません。
加害者側が示談交渉するタイミングは、相手のケガが完治した、または症状固定(=これ以上治療しても症状が回復も悪化もしない状態)になった後です。
治療が終わった後、全ての治療費が確定した後に示談交渉することが重要です。
示談交渉で合意した内容は、後日のトラブルを防ぐため、口約束だけで済ませず必ず書面(示談書)を作成し、当事者双方が署名・押印します。

【示談書に記載する事項(例)】
ア 加害者・被害者の氏名・住所
イ 事故の詳細
事故の発生日時・場所、事故の状況などです。
これらは、自動車安全運転センターが発行する交通事故証明書のとおりに記入します。
ウ 損害額
事故によって生じた損害額を記載します。
エ 過失割合
事故が発生したことについての各当事者の過失(=不注意)の割合です。例えば被害者の過失が2割、加害者の過失が8割の場合、過失割合は20:80となります。過失割合が大きいほど責任は重くなります。
オ 示談条件
支払われるべき示談金の金額や、その計算の根拠を記載します。
示談書の中では最も重要な部分といえます。
カ 決済方法
示談金の支払期日・支払方法(銀行振込であれば、銀行名・支店名・口座番号など)を記載します。
キ 期日どおりに支払われなかった場合の対応
示談金が支払期日どおりに支払われなかった場合に備えて、違約金の額などについて取り決めておきます。
ク 留保条項
交通事故の場合、示談書を作成した時点では予想できなかった後遺症などが後から発生することがあります。そのような場合に備えて、留保条項を記載します。
具体的には、「示談書の作成後に後遺症が新たに発生した場合、改めて協議する」などと記載します。
ケ 清算条項
清算条項とは、示談によって争いが解決し、以後お互いに金銭請求などは一切しないことを定めた条項をいいます。

(3)保険未加入の場合は損害賠償を自費で支払う

任意保険に未加入で損害賠償請求されると、本人に代わって親が自費で支払わなければならない場合が生じます。
裁判で親の責任が認められると、親の預金や給料を差し押さえられて支払いを強制されることになりかねません。

(4)過失割合の算定は難しい

示談交渉の際に保険会社が間に入らない場合、過失割合は当事者どうしで決めなければなりません。
しかし、過失割合の算定には専門的な知識が必要のため、適正な過失割合の算定は非常に困難となります。

(5)自動車保険の特約を確認

親が加入している自動車保険の特約により、自転車事故をカバーしている場合もあるので確認しておきましょう。
既に加入済みの自動車保険に自転車特約を付帯させるか、自転車保険に別途加入しておくと安心です。
自転車保険の補償内容には、次のようなものがあります。

ア 自転車保険
自転車事故のみに特化した保険です。
自転車運転中に相手にケガなどを負わせてしまった場合の損害賠償と、自転車運転中のケ
ガで自ら入院・通院した場合の補償がセットになっているのが一般的です。
イ 個人賠償責任保険
自転車事故を含め、他人に損害を負わせてしまった場合の損害賠償について広く補償する
保険です。
クレジットカードにサービスとして付帯されている場合や、傷害保険や火災保険の特約と
して付帯する場合が多いです。
ウ 自動車保険に付帯する自転車特約
自身が加入している自動車保険に特約として付帯するものです。
加入者本人だけでなく、家族が起こした事故についても補償されるのが一般的です。
自転車特約は、相手方への損害賠償についての補償をメインとするものと、自身のケガにつ
いての補償をメインとするものとがあります。
自転車保険と異なり、両方の補償を兼ね備えているとは限りません。契約書をよく読んで、どこまでカバーされているのか確認する必要があります。

(6)保険未加入で自転車事故を起こしたら弁護士を依頼

当事者どうしの示談交渉は過失割合の算定も難しいため、合理的な判断が困難となります。
被害者との間で言い分が食い違うと、示談交渉すらまとまらない可能性があります。
弁護士は、過去の裁判例などをもとに、適正な過失割合や賠償金額を算定することができます。
弁護士に依頼することで、妥当な解決になる可能性が高まります。

【まとめ】自転車事故でお悩みの方は弁護士にご相談を

自転車事故で他人にケガなどを負わせた場合、刑事上・民事上の責任を負います。
加害者が未成年者の場合、12歳が賠償責任を負う責任能力の目安となります。
保険に未加入で事故を起こすと、示談交渉は親が行う必要があります。
示談交渉や慰謝料請求でトラブルを避けたい場合、弁護士に相談するのがおすすめです。
お子様が加害者になってしまった親御さん、または事故を起こしてしまった未成年者の方は、弁護士に相談することをおすすめします。

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