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養育費に連帯保証人をつけることはできる?条件や注意点は?

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yamazaki_sakura

「離婚した配偶者が約束どおり養育費を支払ってくれるのか不安なので、連帯保証人を付けてほしい!」
このように考える方は少なくありません。

結論から言うと、連帯保証人(となるべき人)が了承すれば、養育費に連帯保証人をつけることは可能です。
もっとも、連帯保証人を付ける際には注意すべき点がありますし、養育費の支払いをなるべく確かなものにするには他の手段も考えられますので、是非この記事を参考になさってください。

この記事を読んでわかること
  • 連帯保証人とは?
  • 養育費の支払いに連帯保証人をつけることはできる?
  • 養育費に連帯保証人をつける際に注意すべきこと
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

連帯保証人とは?

分かりやすく、貸金業者や銀行からお金を借りるシーンで説明します。貸金業者や銀行からお金を借りる際、保証人や連帯保証人をつけてほしいと言われることがあります。保証人と連帯保証人は、主債務者(お金を借りた当人)が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負うという点では同じです。
しかし、連帯保証人と保証人では、主に次の3つの点で違いがあります。

1.貸金業者や銀行がいきなり(連帯)保証人に対して請求をしてきた場合には、保証人であれば「まずは主債務者に請求してください」と主張することができます(これを「催告の抗弁」といいます)。一方で、連帯保証人はそのような主張をすることができません。

2.主債務者が返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否した場合、保証人であれば主債務者に資力があることを理由に、貸金業者や銀行に対して主債務者の財産に強制執行をするように主張することができます(これを「検索の抗弁」といいます)。一方で、連帯保証人はこのような主張をすることができず、主債務者に資力があっても貸金業者に対して返済しなければなりません。

3.(連帯)保証人が複数いる場合、保証人はその頭数で割った金額のみを返済すればよい(これを「分別の利益」といいます)のに対して、連帯保証人は他に(連帯)保証人がいても、債務の全額を返済しなければなりません(本来返済すべき額を超えて返済する必要があるわけではありません)。

このように、保証人に比べて連帯保証人にはより重い責任が課せられています。

母子家庭の約7割が養育費を受け取っていない

現状、養育費を受け取っていないシングルマザーは多いのが実情です。

実際、厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査の結果によれば、現在養育費を受け取っている母子家庭は28.1%に過ぎず、母子家庭の約7割が養育費を受け取っていません(※推計値)

引用:令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果|厚生労働省


また、過去に養育費を受け取っていたが、現在は養育費を受け取っていないと回答した母子家庭の割合は14.2%であり、養育費が途中から支払われなくなるということも少なくないようです(※推計値)。

養育費の未払いにお困りの方はこちらの記事をご覧ください。

養育費に連帯保証人をつけることはできる?

養育費請求の相手方である(元)配偶者が養育費を本当に支払うのか、不安がある場合、連帯保証人の候補者(相手方の親族など)が連帯保証人になることを了承すれば、連帯保証人をつけることは可能です。
他方、連帯保証人の候補者の了承なしに、連帯保証人とすることはできません。つまり、勝手に親族の名前を借りて、連帯保証人とすることはできないのです。
また、養育費請求を調停や裁判で行った場合に、連帯保証人をつけるという運用は行われていません。
そのため、連帯保証人を付ける場合は、任意での交渉のみとなります。

養育費に連帯保証人をつける際に注意すべきこと

養育費に連帯保証人を付ける際に注意すべきことは、次のとおりです。

  1. 連帯保証人を付ける場合には書面の合意が必要
  2. 連帯保証人を付けるときの交渉はあくまでお願いベース

(1)連帯保証人を付ける場合は書面の合意が必要

保証契約は書面で行う必要があるとされています(民法446条2項)。
そのため、連帯保証人を付けることについて、連帯保証人(なるべき人)の了承を得られた場合には、連帯保証人(なるべき人)との間で、連帯保証を行う旨の書面を作成する必要があります。
なお、保証契約の当事者は養育費を支払う相手方ではなく、連帯保証人(なるべき人と)と養育費を請求するあなた自身ですから、連帯保証人と(なるべき人と)あなたが保証契約を結び、有効な書面を作成する必要があります。

(2)連帯保証人をつけるときの交渉はあくまでお願いベース

もっとも、法的に支払義務があるのは、子どもの親である相手方のみです。
支払いに不安がある場合には、親や親族に肩代わりをして欲しいと考える気持ちはわかりますが、親や親族が必ず連帯保証人にならなければならないというわけではありません
あくまで連帯保証人になることをお願いして、連帯保証人となり得る人(例えば、子どもの祖父母など)が了承した場合のみ、連帯保証人をつけることができるということに注意してください。
なお、連帯保証人となることは難しい場合であっても、養育費の一部を援助してもらうという方法も考えられます。

養育費請求を支払ってもらえるか不安な場合に公正証書を作成しておくことのメリット

「公正証書」とは、中立公正な立場である公証人が立ち会い、作成する公文書のことをいい、公証役場で作成されます。

養育費請求の合意書を「公正証書」にすべきメリットは次のとおりです。

  • 養育費の支払いの合意と支払う側が強制執行を受諾した旨を公正証書に記載することで、支払いが履行されないときに、裁判所の判決等を得ることなく、ただちに強制執行の申立てが可能になる
  • 連帯保証人となることの合意と強制執行を受諾した旨を公正証書に記載することで、支払いが履行されないときに、裁判所の判決等を得ることなく、連帯保証人に対しても強制執行の申立てが可能になる
  • 公正証書は、公証人や証人が立ち会いのもと作成されるため、偽造や変造が疑われるリスクが小さい
  • 公正証書原本は、公証役場で原則20年間保管されることが決められているため、紛失するリスクを防止できる

強制執行認諾文言を記載した公正証書を作成することで、養育費の支払いが滞った場合には、すぐに相手方や連帯保証人の給料や預金口座などに対する差押えを申し立てることが可能となりますし、後になって、相手方や連帯保証人から様々な反論(例えば、「偽造された」、「そんな合意知らない」など)をされることを防ぐことが期待できます。


公正証書を作成するには、公証役場に支払う費用(5000~1万1000円程度。目的の価額によって異なる。)もかかりますが、合意後の支払をより確実にしたいと思う場合には、合意書は、公正証書にすることを検討すると良いでしょう。
なお、公正証書を作成するには、原則として、公証役場において当事者全員が一堂に会する必要があります。

公正証書について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

公正証書とは?作成するメリットや種類・作る手順を弁護士が詳しく解説

養育費を支払ってもらえるか不安な場合、弁護士に依頼することをオススメします

養育費を支払ってもらえるか不安な場合、弁護士に依頼するメリットは次のとおりです。

  1. 養育費請求に関する交渉を代わりに行ってくれる
  2. 公正証書の作成をサポートしてくれる

(1)養育費請求に関する交渉を代わりに行ってくれる

弁護士が養育費請求に関する交渉を行う場合、弁護士が交渉すべてを代行しますので、あなたが自ら配偶者と連絡を取る必要はありません。
養育費の支払いに不安がある場合にこそ、養育費の金額、支払期日、支払い方法などは感情的にならず、冷静に交渉して決める必要があります。
弁護士に養育費請求を依頼することで、あなたにかかる精神的負担を減らすことができると考えられます。

(2)公正証書の作成もサポートしてくれる

公正証書のもととなる文案の作成は、自ら行うことができます。
そして、公証人は、中立・公正な立場で「法律的に問題がないか」という観点から文案をチェックして、公正証書を作成します。
もっとも、公証人はあくまで中立・公正な立場ですので、あなたの希望を最大限実現するために追加すべき条項や文言のアドバイスをしてくれるわけではありません
弁護士は、あなたの立場からあなたの希望を実現するために必要な条項や文言を考え、公正証書の作成もサポートいたします。
弁護士からのアドバイスを聞いたうえで、きちんとした公正証書を作成しておくことをおすすめします。

【まとめ】候補者が了承すれば、養育費に連帯保証人をつけることは可能!

  • 連帯保証人とは、主債務者が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負うという点では保証人と同じだが、保証人に比べて連帯保証人にはより重い責任が課せられる
  • 連帯保証人の候補者が連帯保証人になることを了承すれば、連帯保証人をつけることは可能
  • 養育費に連帯保証人を付ける際に注意すべきことは、(1)連帯保証人を付ける場合は書面の合意が必要、(2)連帯保証人をつけるときの交渉はあくまでお願いベース
  • 養育費請求の支払いについて公正証書を作成しておくと、次のようなメリットがある
    ・養育費の支払いの合意と支払う側が強制執行を受諾した旨を公正証書に記載することで、支払いが履行されないときに、裁判所の判決を待つことなく、ただちに強制執行の申立てが可能になる
    ・連帯保証人との間で、連帯保証人となることの合意と強制執行を受諾した旨を公正証書に記載することで、支払いが履行されないときに、裁判所の判決を待つことなく、連帯保証人に対しても強制執行の申立てが可能になる

養育費の支払い交渉や相手方の養育費の支払いに不安がある方は、養育費に関する問題を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年3月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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