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民事再生法の住宅資金特別条項でマイホームを残す方法

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とある調査によると、新入社員の4人のうち3人が「いずれマイホームを持ちたい」という夢を持っているとのことです。また、ライフプランを立てている人をみると、平均して36歳頃を目標にマイホームを持ちたいと考えていることがわかりました。
マイホームを持つとなると、多くの人が数千万円程度の住宅ローンを組み、数十年にわたって家賃の代わりに住宅ローンの返済をしていくことになります。返済の途中で予想外の事態が起こると、返済ができなくなって、夢だったマイホームを手放すことになるかもしれません。しかし、一定の条件の下でマイホームを手元に残せる可能性もあります。
そこで、今回は弁護士が「民事再生上の住宅資金特別条項」を解説します。

参照:ニュースリリース(2020年度)社会人1年目と2年目の意識調査2020|ソニー生命保険株式会社

民事再生法のおける住宅資金特別条項とは

何らかの事情で借金の返済ができなくなってしまった場合、債務整理をすることができます。債務整理とは、法律で認められた、借金を減額もしくは免除する手続きのことで、基本的に任意整理・民事再生・自己破産の3種類の中から自身の状況に応じて選択します。

マイホームを手元に残したいのであれば、通常、住宅ローン債権者を対象外とした任意整理もしくは住宅資金特別条項を利用した民事再生をします(住宅ローンを完済しており、その価値が20万円を超えないのであれば、自己破産でもマイホームを手元に残せる可能性があります。
自己破産と持ち家に関する関係について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

自己破産したら持ち家は失う?今の家を残す方法を弁護士が解説

それでは、民事再生法のおける住宅資金特別条項について詳しくみていきましょう。

(1)民事再生とは

民事再生とは、住宅等の財産を維持したまま、大幅に減額された借金を(減額の程度は、借金の額、保有している財産などによって異なります)、原則として3年間で分割して返済していくという手続です。減額後の借金を完済すれば、再生計画の対象となった借金については、原則として法律上返済する義務を免除されます。
民事再生は、自己破産のように借金全額の返済義務がなくなるわけではありませんが、自己破産のように高価な財産(主に住宅)が処分されることもありません。

民事再生のうち、個人が利用するもので住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円を超えない場合に、簡略化された手続きで進められるものを個人再生といいます。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。
このうち小規模個人再生で進めるためには、再生計画案が決議に付された段階で、再生債権者の数の2分の1以上の反対がなく、かつ反対した再生債権者の債権額の合計が全債権額の2分の1を超えていないことが必要です(もし、これらの条件を満たした反対(不同意)の意見を出されてしまうと否決となり、手続が廃止になってしまいます)。
そのため、借入れの経緯や債権者の顔ぶれ等から過半数の債権者が再生手続きに不同意の意見を出すと強く予想される場合、小規模個人再生は採れません。
もっとも、多くのケースでは、そもそも過半数債権者がいないか、あらかじめ再生手続きに反対(不同意)の意見を出さないことが推測できるため、小規模個人再生で進めることができるのが現状です。なお、小規模個人再生では、1.法律で定められた最低弁済額か、2.(清算価値として計上される)保有している財産の合計金額のいずれか多い方の金額を支払わなければなりません。
早い話が「個人再生には2種類あるけど、多くの人が小規模個人再生で進められる。その場合には、1.減額した借金の額か、2.保有している財産の合計金額のいずれか高いほうを支払う」ということです。

最低弁済額は、法律で次のように決められています。

借金総額最低弁済額
100万円未満借金総額
100万円以上500万円以下100万円
500万円超1500万円以下借金総額の5分の1
1500万円超3000万円以下300万円
3000万円超5000万円未満借金総額の10分の1

保有財産としては、現金、貯金、保険の解約返戻金、自動車、不動産、退職金(原則8分の1相当額)などがあたります。例えば、相続財産を得た人、勤続年数の長い人は保有財産の金額にご注意ください。特に、被相続人が不動産等を保有していたケースで、相続放棄や遺産分割協議などをまだしていない場合には、法定相続分に従った相続人の持分が、また、まもなく定年退職するような場合には、退職金の4分の1が、それぞれ保有財産として扱われてしまいますので、最低弁済額よりも保有財産の金額のほうが高くなるケースは珍しくありません。

(2)住宅ローン債権者について債務整理をすると……

住宅ローンを組むとき、住宅ローン債権者は住宅に抵当権(ていとうけん)を付けます。
抵当権とは、債務の担保に供した物について他の債権者より優先的に弁済を受けることができる権利をいいます。
そのため、ローンの返済ができなくなると、住宅ローン債権者はその住宅を売却して、その売却代金をローンの返済に充てます。住宅に住んでいる人が「嫌だ」と言っても、ローンの返済ができなくなったしまった以上、住宅の売却を拒否することはできません。

ローンの返済ができなくなる理由として、債務整理をしたかどうかは関係ありません。住宅ローン債権者を対象として債務整理をすると、住宅を手放さざるを得なくなる可能性が高いというわけです。

法的整理である自己破産、民事再生のうち、住宅ローン債権者を対象から外すことができるのが住宅資金特別条項を利用した個人再生です。

住宅資金特別条項でできる3つのこと

住宅資金特別条項でできる3つのことについて解説します。

(1)住宅ローン債権者を民事再生の対象から外す!

住宅資金特別条項を利用すると、住宅ローン債権者を一般的な再生債権としての対象から外すことができるため、住宅ローンについてはそれまで通りの返済を続けていくことになります。
住宅ローンの支払いを基本的に滞りなく行うのと並行して、減額されたほかの債務を完済することができれば、民事再生後も、住宅を手元に残すことができます。

(2)住宅の競売手続きが開始していても停止させられる!

住宅資金特別条項を利用して個人再生を行える見込みのある場合、住宅の競売手続きが開始していても、申立てにより、一定期間競売手続きを停止させられる可能性が高いといえます(民事再生法197条1項、民事執行法183条1項7号)。
ただし、競売手続きが開始される段階まで進むと、遅延損害金や場合によっては合意による競売費用の負担などが重くのしかかるため、住宅ローンの返済を滞納するまでに弁護士に相談することをおすすめします。

(3)住宅ローンの返済期間を延長できる!

住宅資金特別条項を利用した個人再生をする場合、基本的には当初の約束どおり住宅ローンの返済を続けていくことになります(そのまま型・正常返済型)。
いくらか住宅ローンを滞納している場合には、その滞納分をどのように分割で支払っていくのかに関して、支払計画を立てます(期限の利益回復型)。住宅ローンの滞納金額や住宅ローンを除く借金の総額等が多く上記の類型では対応不可能な場合には、70歳までに完済することを条件として住宅ローンの返済期間を最長10年間延長できる可能性があります(リスケジュール型)。ただし、住宅ローン債権者が難色を示すことも少なくなく、支払期間の延長は簡単なことではありません。

住宅ローンの支払いを滞納している場合には、弁護士に相談してみるといいでしょう。

住宅資金特別条項を利用できる条件

マイホームを手元に残すことのできる住宅資金特別条項について、その利用条件をみてみましょう。ペアローンやリレーローンでは、ここに挙げた条件以外にもいくつか条件を満たさなければならないので、弁護士に相談してください。

ペアローンやリレーローンとは、簡単にいうと、次のような制度です。

ペアローン同一物件について複数名がローンを組み、互いに連帯保証人になる方法
(同一時期に複数の住宅ローンが存在する)
リレーローン一定期間返済を続けた後、別の人が引き継ぎローンを返済する方法
(住宅ローンは1つしか存在しない)

なお、住宅ローンを申し込む人が全員条件に適合しなければならない点は共通しています。

(1)住宅資金貸付債権が存在する

住宅資金特別条項の対象となるのは、「住宅資金貸付債権」です(民事再生法196条3号)。

住宅資金貸付債権に該当するには、次の4つの条件を満たさなければなりません。

  • 住宅の建設若しくは購入に必要な資金、又は住宅の改良に必要な資金の貸付けによって生じた債権であること
  • 分割払いの定めがあること
  • 抵当権が当該債権、又は当該再生債権を保証会社が代位弁済した場合の求償権を被担保債権としていること
  • 抵当権が住宅に設定されていること

(2)再生債務者が所有している住宅である

住宅資金特別条項を利用できるのは、再生債務者が自ら所有している居住用の住宅に限られます(民事再生法196条1号)。再生債務者が「現に」居住の用に供していることまでは求められていないため、再生債務者が単身赴任中で再生債務者の家族が住んでいる場合など、居住していないことが一時的な理由によるものであって、将来には自己の居住に要するような場合には、住宅資金特別条項の条件を満たすと考えられています。

(3)住宅に住宅ローン以外の債権のための抵当権が設定されていない

不動産を担保にしたローンなど、別の債権のための担保権が設定されている場合には住宅資金特別条項を利用できません(民事再生法198条1項ただし書)。

(4)保証会社の代位弁済から6ヶ月を経過していない

住宅ローンについて保証会社が代位弁済をした後、再生手続開始の申立てまでに6ヶ月が経過している場合には住宅資金特別条項を利用できません(民事再生法198条2項)。

【まとめ】個人再生で住宅資金特別条項を利用したい場合はアディーレ法律事務所にご相談ください

マイホームを手元に残すためには、完全に支払不能となり自己破産をせざるを得なくなる前に、弁護士に相談することをおすすめします。住宅ローン契約書、住宅の売買契約書、不動産登記簿、対象不動産の査定をお持ちいただけると、その場で弁護士が住宅資金特別条項の条件を満たすかについてある程度の見通しを立てることができ、スムーズに手続きを進めることができます。
マイホームを手元に残して借金返済のプレッシャーから解放されたい方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。