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離婚調停不成立になった場合の手続きや離婚訴訟における注意点などを解説

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離婚する方法はいくつかありますが、離婚する夫婦の約87%が夫婦の話し合いによる協議離婚で、約10%が離婚調停による調停離婚という方法で離婚しています。
両方とも話し合いによる離婚を目指しますので、約97%が話し合いにより離婚していることになります。
協議や調停で離婚できない人は、家庭裁判所に対して離婚訴訟を提起して裁判で離婚を認めてもらう必要があり、時間や手間がかかります。
今回は、特に離婚調停について、調停不成立となる理由や、調停不成立後の手続き、離婚訴訟における注意点などについて弁護士が解説します。

離婚調停不成立とはどのようなことか

日本では、離婚する夫婦のうち、約87%(2017年統計)が当事者や代理人を通じた話し合いで離婚が成立しています。これを協議離婚といいます。
話し合いで離婚や離婚条件の合意ができない場合には、離婚を希望する当事者は、家庭裁判所に離婚調停を申立てることになります。
離婚調停を申立てた側を「申立人」、申立てられた側を「相手方」といいます。
離婚調停では、調停員を交えて話し合いを継続し、話し合いがまとまれば調停成立、話し合いが決裂すると調停不成立となります。
離婚する夫婦のうち、調停離婚による離婚は、約10%(2017年統計)程度です。

参考:離婚の種類別にみた年次別離婚件数及び百分率|政府統計の総合窓口(e-Stat)

離婚調停が不成立になる主な理由

相手方が期日に出席せずに話し合い自体ができなかったり、出席はしたけれども話し合っても合意できなかったりして、審判もなされない場合には、調停は不成立として、調停手続きは終了します。
2015年の司法統計によれば、離婚調停の申立件数が約4万4000件で、そのうち約1万件(約23%)が不成立で調停手続きが終了しています。

不成立となる理由は、調停の当事者によって異なりますが、主な理由は次の通りです。

(1)親権争いをしている

日本では、婚姻中の夫婦は共同親権ですが(民法818条1項、3項本文)、離婚すると単独親権になりますので(民法819条)、離婚の際には、どちらが未成年の子どもの親権者になるのかを決める必要があります。
離婚後、親権者は子どもと共に住み、子どもを監護することになります。
一方、親権者とならない親は、親権者と話し合ったうえで子どもと面会交流することができますが、実際に会うことができるのは1ヶ月に1回程度となることが多いです。
したがって、未成年の子どもがいる場合、どちらが親権者になるのか、という点は離婚の際の大きな争点となりやすいのです。

離婚調停でも、親権者をどちらにするかが争点になることは少なくありません。
調停で離婚が成立する場合には、通常はその際に親権者についても合意して調停条項に記載します。
ただし、調停で離婚には合意したけれども、親権者だけ合意できないという場合もあります。そのような場合には、離婚は調停で成立させ、親権者の指定のみ審判に移行し、裁判所に判断してもらうこともありますが例外的であり、調停不成立で終了することが多いようです。

(2)不倫を認めていない

離婚調停では、次のような理由から、不貞行為(自由な意思で配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと)の存在が争いになることがあります。

  • 離婚したいと希望する側に不貞行為が認められれば、離婚原因を作出した者(「有責配偶者」といいます)として離婚請求が認められない可能性がある。
  • 離婚を拒否する側に不貞行為が認められれば、法定の離婚事由があるため(民法770条1項1号)、最終的には訴訟で離婚が認められる可能性がある。
  • 不貞行為が認められると、不貞行為をした側は配偶者に対して慰謝料を支払う責任を負う。

離婚調停は、調停員の介入はありますが、あくまで当事者の話し合いによる解決を目指す手続きです。
したがって、通常の裁判のように、双方の主張を突き合わせて争点を明確にしたうえで、裁判官が争点について証拠に基づく事実認定をして結論を下す、ということはありません。

不貞行為の有無について、調停の当事者間で争いになり、一方があいまいにしたまま離婚することはできないということであれば、そのために調停不成立となることがあります。

(3)DVの加害者が話し合いに応じない

精神的・肉体的・経済的DVは、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として、不貞行為と同じく、法定の離婚事由となる場合があります。
そして、このようなDVは不法行為に該当しますので、被害者は、加害者に対して、DVが原因で離婚せざるを得なくなったとして、受けた精神的苦痛について慰謝料を請求することができます。

しかし、調停はあくまで話し合いによる解決を目指すものですので、加害者側がDV行為を否定して当事者間で争いになり、あいまいにしたまま離婚できないということであれば、そのために調停不成立となることがあります。

(4)相手と別居しており連絡もつかない

調停は話し合いによる解決を目指すものですので、調停成立には両者の合意が必要です。
したがって、相手方が合意を拒否している場合だけではなく、相手方が裁判所に出廷せずに話し合い自体ができず、離婚についての相手方の意思が不明な場合も調停不成立となります。

(5)慰謝料や財産分与でもめている

離婚をすることについては争いがなくても、慰謝料の有無やその額、財産分与の対象となる財産の範囲やその額について争いがあると、調停不成立となることがあります。
早期の離婚を希望する場合には、離婚調停だけ成立させて、慰謝料や財産分与については審判の判断を求めるか、訴訟を提起することもできます。
しかし、紛争の一回的解決という観点からは、離婚と同時に解決することが望ましいと考えられます。
また、離婚するという意思は、慰謝料や財産分与の合意がなされたあとに形成されることも多いです。
さらに、相手方が強く離婚を希望する一方で、慰謝料や財産分与については一切譲歩しないという態度をとるような場合には、離婚して相手の希望をかなえてしまうと、さらに慰謝料や財産分与の交渉は困難になることが予想されます。

そこで、慰謝料や財産分与に争いがある場合には、離婚調停を不成立としたうえで、訴訟において離婚も含めて裁判所に審理して判断してもらうことが多いようです。

離婚調停の流れ

離婚調停の申立てから不成立となるまでのおおまかな流れを説明します。

  1. 申立人が管轄の家庭裁判所に申立書類一式を提出し、申立費用を納付します(持参又は郵送)。
  2. 家庭裁判所は、申立受理後、事件番号を付与して、担当裁判官、担当調停委員2名(この3名で調停委員会を構成する)を決定します。離婚調停の場合、担当調停委員は男女1名ずつであることがほとんどです。
  3. 家庭裁判所が、第1回調停期日を調整します。
  4. 家庭裁判所から申立人・相手方に呼出状(通知書)が送付されます。
    相手方は、通知書に同封されている答弁書等に記入して、期限までに家庭裁判所に送付します。
  5. 第1回目の調停実施(申立て後1~2ヶ月後)
    申立人、相手方は、裁判所に指定された時間に遅れないように、待合室(申立人と相手方の待合室は別々に用意されている)で待機します。
    調停委員が、申立人、相手方を順に部屋に案内し、申立ての理由や、夫婦の状況、離婚の希望、離婚条件などについて個別に話を聞きます(30分~1時間程度ずつ)。
    話し合いを継続する場合には、当事者双方の次回期日までの検討事項、事前に準備する資料、提出書面などを確認し、通常約1ヶ月後に第2回期日が指定されます。
    相手方が出頭せず、連絡も取れないような場合には、申立人は家庭裁判所と協議の上、第2回期日を指定してもらうか、調停不成立とするかなどを判断します。
  6. 調停委員会による評議・家庭裁判所調査官による調査
    調停委員が中心となり、当事者の間に立って双方の意見の調整を進めます。調停員は、調停委員会にその状況や結果等を報告し、委員会において争点や紛争解決への課題等について評議を重ねます。
    また、当事者間に親権や面会交流など子どもに関する件について対立がある場合には、専門家である家庭裁判所調査官が期日に立ち会い、調査を実施します。
  7. 第2回目の調停以降
    第1回期日と同じく、申立人・相手方がそれぞれ1、2回調停室に案内され、調停委員と話をします。
    話し合いが終わらず調停を続行する場合には、第1回期日と同じように次回期日までの検討事項などを確認し、次回期日を調整します(約1ヶ月後)。
  8. 調停不成立
    相手方が裁判所に出頭しない場合や、話し合っても合意成立が難しい場合には、調停不成立となります。

離婚調停が不成立になるとどうなるのか

離婚調停は不成立となったので、当然、調停で離婚は成立しません。
それでは、離婚を希望する側は、離婚するために次に具体的にどのような手段をとればよいのでしょうか。

(1)再度の協議を行う

離婚調停不成立となった場合、離婚するために離婚訴訟を提起する方法もありますが、訴訟提起しなければならないわけではありません。
再度、相手方に協議を申し込んで話し合いによる離婚を目指すこともできます。また、調停の申立てに回数制限はないため、再度調停を申立てることもできます。
ただし、不成立となってすぐ後に再度申立てても同じ結果となることが予想されるため、ある程度時間が経過し、互いの状況や心境の変化がある場合には、再度の調停で離婚の合意ができることもあります。

(2)離婚訴訟を提起する

調停不成立後も離婚を希望する人は、家庭裁判所に対して離婚訴訟を提起する必要があり、裁判で離婚を認めてもらう必要があります。
離婚訴訟では、離婚そのものに加え、親権者の定めや財産分与、養育費、慰謝料のことなど様々なことについて、裁判官による判決を求めることができます。
離婚訴訟は、調停と異なり、配偶者が出廷しなくても、配偶者が話し合いを拒否しても、裁判所が最終的に判断して判決を下すことになります。

離婚調停が不成立になった後の手続き

離婚訴訟が不成立になった後、調停に代わる審判により、家庭裁判所の判断で審判離婚が成立することもあります。
審判に納得できない場合、当事者が審判の告知を受けた日から2週間の間は、書面で異議を申立てることができ、異議申立てがなされると審判離婚の効力はなくなります。
異議申立てがなされずに2週間経過すると、審判は確定します。

異議申立てが可能であることから、審判離婚は実務上あまり利用されていません。
離婚自体には同意しているが離婚条件にわずかな意見の違いがある場合で、当事者が審判に委ねることに合意している場合や、離婚・離婚条件に争いがないが当事者の一方がどうしても出廷できない場合などに、限定的に利用されているようです。

したがって、離婚調停が不成立となった場合には、通常は離婚訴訟を提起して離婚を目指すことになります。

(1)離婚訴訟を提起する

調停が不成立になったとしても、調停と訴訟は別々の手続きですので、自動的に訴訟が開始されるわけではありません。
離婚を希望する者は、自ら訴状を作成して証拠を準備し、家庭裁判所へ提出して、訴訟を提起する必要があります。
提出すべき書類や証拠などは、裁判を求める内容によって異なりますので一概に説明することは困難ですが、基本的に戸籍謄本は必要となります。
また、訴えには費用がかかり、収入印紙(請求する内容や金額によって異なる)と郵便切手(被告への書類送達などに利用する。家庭裁判所によって異なる)を準備して納付する必要があります。

(2)管轄の裁判所で訴訟の手続きをする

訴訟を提起する裁判所は家庭裁判所になりますが、全国どこの家庭裁判所でも良いわけではなく、管轄の裁判所である必要があります。
管轄は、原則として夫婦いずれかの住所地を受け持つ家庭裁判所です。ただし、その家庭裁判所と調停を行った家庭裁判所が違う場合には、調停を扱った家庭裁判所となることもあります。

離婚調停不成立証明書が必要になることも

離婚調停が不成立となった後、2週間以内に離婚訴訟を提起すると、調停申立て手数料を訴訟提起に必要な手数料に流用することができ、訴状に添付すべき印紙代は、調停申立ての際に納付した印紙代を控除した差額でよいとされています(民事訴訟費用法5条1項)。
そこで、離婚調停と異なる家庭裁判所に訴訟を提起して手数料の流用を希望する場合には、調停不成立証明書の提出が必要となります。
同じような書類として、「事件終了証明書」がありますが、これは離婚訴訟提起前に、離婚調停を経たことを示す書類として必要となります。

(3)裁判が開かれる

一般的な離婚訴訟は、次のように進んでいきます。

  1. 訴状や証拠を準備して、家庭裁判所に訴訟を提起する。
  2. 約1~2ヶ月後に、第1回期日が指定される。
    ※4月は裁判官の人事異動の時期、8月は夏季休暇のため、第1回期日の指定は遅れる傾向があります。
  3. 第1回期日で、被告が答弁書を提出。
  4. 第2回期日以降、当事者が主張や立証を順番に行い、争点を整理する(期日は1ヶ月に1回程度指定される)。
  5. 親権者や面会交流など子どもに関する件で争いがある場合には、家庭裁判所調査官が、裁判官の命令により、適宜専門的知見に基づいて、夫婦どちらに親権を認めるのが子の福祉に資するか、子の様子の調査、子の意向確認など必要な調査を行う。
  6. 当事者尋問・証人尋問を行う。
  7. 裁判所による和解の提案(裁判官は訴訟中どのタイミングでも和解の提案ができるが、尋問前後が多い)。
  8. 和解が成立しない場合は、裁判所が判決を下す。
  9. 判決に納得がいかない当事者は、判決書の通達を受けた日から2週間以内に控訴する。
  10. 控訴なく2週間すれば判決は確定する。

離婚訴訟をする前に知っておきたいこと

離婚訴訟提起を検討している方に向けて、事前に知っておきたい注意点を説明します。

(1)調停を経ていないと裁判離婚に進めない

基本的に裁判離婚を求めるためには、調停を申立てて話し合ったけど離婚が成立しなかったという事情が必要です。
離婚に関する夫婦間の意見が大幅に異なり、調停で話し合いが成立しないことが見込まれても、調停をすることなく訴訟を提起することはできません。
これを、「調停前置主義」といいます。
身分上の問題については、裁判所が公の場で強権的に関与する前に、まずは当事者同士の話し合いで解決することが望ましいと考えられているためです。
調停で話し合ったという事情が存在すれば、調停の終わり方は、調停不成立であっても取り下げであっても問題はありません。

しかし、例外的に、配偶者が行方不明など、離婚について話し合うことが不可能で調停をすることができないケースでは、調停を経ずに離婚裁判を行うことができます。

(2)離婚調停の内容は引き継がれない

離婚調停と離婚訴訟は別々の手続きですので、離婚調停で主張した内容や提出した書類は、訴訟手続きに引き継がれません。
そのため、調停において提出した主張書面や証拠書類等は、訴訟手続きにおいて再度提出する必要があります。

(3)立証が必要

訴訟においては、自分が裁判所に認めてもらいたい事実について、主張し、証拠を提出して証明しなければなりません。
離婚訴訟においては、法定の離婚事由の存在(民法770条1項各号)が極めて重要です。
相手方が離婚を拒否する限り、法定の離婚事由がなければ、裁判所は離婚を認めないためです。
離婚事由など、争いのある事実については、裁判所は証拠に基づいて判断します。
証拠が十分に準備できなければ、事実について証明がないとして、事実の存在は否定されてしまいます。
したがって、訴訟を提起する前に、しっかりと証拠を準備するようにしましょう。

(4)被告の出席は必須でない

調停のように話し合いでの解決を目指す手続きではないため、被告が出席せず、何ら書面を提出しないとしても、最終的な裁判所の判断を得ることができます。
ただし、被告が出席しない場合でも、裁判所に離婚を認めてもらうためには、法定の離婚事由(民法770条1項各号)の主張及び立証が必要です。

(5)敗訴するとしばらく離婚が難しいことも

確定した判決には既判力(後の裁判で、同一事項について、確定した判決の判断について争うことができないという拘束力)があります。
したがって、仮に「離婚しない」という判決が出て確定した場合には、既判力により、同じ理由で離婚訴訟を提起することができなくなりますので、注意が必要です。
夫婦関係は時の経過により変化しますので、また裁判後に新たな事情が生じたとして、離婚を求めることはできますが、どれくらいの期間が経過すれば訴訟を提起することができるのかは、ケースバイケースの判断となるでしょう。
離婚訴訟を提起する際には、この既判力の問題がありますので、勝訴できる見込みについてもある程度検討する必要があります。

【まとめ】離婚調停不成立になった場合には専門知識が必要!お困りの方は弁護士に相談

裁判離婚では、法的知識があることを前提として、法律に基づいた主張・立証を行う必要があります。そのような書類を準備して争うのには、手間や労力がかかりますし、精神力も必要です。
また、敗訴した場合には、しばらくの間離婚訴訟を提起することができないという既判力が生じるというデメリットもあります。
したがって、訴訟を起こす前に、弁護士に相談し、ご自身のケースについて、離婚判決が得られる見込み、和解できる見込みなどについて確認することをお勧めします。
裁判は自分での対応が難しい面もありますので、弁護士に離婚訴訟の依頼を検討している方は、弁護士費用についても詳しく聞くとよいでしょう。

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