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離婚が子供に及ぼす影響は?配慮すべきポイントについても解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「離婚したいけど小さい子供がいて、子供への影響を考えるとなかなか離婚に踏み切れない」
このような方は少なくありません。

日本では、夫婦が離婚に同意し、必要事項を記入した離婚届を区市町村役場に提出すれば離婚することができますので、話し合いによる離婚の手続き自体は簡単です。
しかし、離婚後親権者となり子供を引き取りたいと思うのであれば、離婚前に、離婚が子供に及ぼす影響を考慮して、離婚後の子育ての準備をする必要があります。
離婚後は、一般的に夫(妻)の扶養や協力を得ずに、自立して子育てしながら生活することになりますので、事前にそのための準備をする必要があるからです。また、離婚が子供に与える影響についても、事前に可能な限り配慮することで、できるだけ悲しい思いをさせたくないのが親心でしょう。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 離婚が子供に及ぼす影響
  • 子供のために配慮すべきポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

離婚は子供にどのような影響を与える可能性がある?

離婚前の両親の子育てへのかかわり方や、子供の生育環境や性格、離婚後の環境の変化の有無などにもよりますが、両親の離婚は、次のように子供に何らかの影響を与える可能性があります。

(1)引っ越しをすることによる子供への影響

離婚に伴って夫婦が別居したり、引っ越して生活環境や学校・保育所などが変わったりすると、住み慣れた住環境や友人関係から離れることになり、子供が精神的に不安定になることがあります。
幼い子供でも、親に心配をかけまいと気丈に対応することがあるので、親が気付かないこともあります。
親が直接把握できない、学校生活や生活態度に影響が出るかもしれないので、注意してみる必要がありそうです。
もちろん、子供によっては、離婚しても精神的影響を受けないケースもあります。これは、離婚前の夫婦関係や、親との関係、子供の性格などによるところが多いようです。

(2)離婚により子供の姓が変わることによる影響

例えば、母親が結婚に際して姓を変え、未成年の子供がいて離婚するケースで、母親が元の姓(名字)を名乗るからといって、子も当然に母親の元の姓となるわけではありません子供の姓の変更には、別途手続きが必要です。

離婚により子供の姓を変更する場合、年齢によっては、離婚により自分の名前が変わることに違和感があったり、子供の友人に両親の離婚の事実を知られることを嫌がることもあります。
子供の姓については、離婚してもそのままでいることも可能です。
子供の年齢によっては、離婚の際に姓を変更できることを説明し、今の姓を維持するか、変更するかについて子供の意思を確認して、子供の意向を考慮して判断した方がよいでしょう。

(3)経済状況の変化による影響

離婚後も、子供を引き取って育てる側(監護親といいます)は、基本的に、相手方(非監護親といいます)に対して養育費を請求することができます。
しかし、受け取ることのできる養育費は、相手方収入の一部分にすぎませんので、離婚前の生活費に比べると、かなり低額になることも少なくありません。
また、養育費は子供のための費用に充てるものですので、自分の生活費自体は自分で稼ぐ必要があります

また、離婚前は、家賃や光熱費などは一世帯分で済みますが、離婚後は別居してそれぞれ別世帯になりますので、家賃や光熱費がそれぞれかかるようになります。
したがって、離婚により、ほとんどのケースで世帯収入が下がりますので、離婚後も離婚前と同じような生活レベルを維持することは困難です。
離婚後の収入に合わせた生活をする必要がありますので、子供にかかる習い事費用なども、見直す必要が出てくるでしょう。
子供が私立の学校に通っている場合には、離婚後も継続して通えることが子供の利益につながることを考えると、夫婦間で話し合い、私学の学費を前提とした養育費の負担について話し合うようにしましょう。

(4)離婚により片方の親と離れ離れになることによる影響

離婚後、子供を引き取って育てるのは、親権及び監護権を持つか、親権はないけれども監護権を持つ側の親です。
離婚後は、両親はお互いに別々の家で暮らし、子供は監護親と同居して生活することになります。
子供と非監護親は、離婚後も、面会交流より定期的・継続的に交流することができますが、一般的に面会交流の頻度は月に1度程度であることが多いです。

子供にもよりますが、非監護親と過ごす時間が激減し、喪失感を感じたり精神的に不安定になったりすることがあります。
子供が不安になるようであれば、メールや手紙、ビデオ通話などでの交流を頻繁にしたりすることも検討するとよいでしょう。

(5)離婚により親と過ごせる時間が減ることによる影響

離婚前に、離婚後の生活のために専業主婦(夫)だった親が働く決断をするのは、賢明なことです。
しかしながら、働くことにより、以前より子供が親と過ごす時間が減ってしまうことがあります。
そのため、子供と親の間にすれ違いが起こり、コミュニケーションがうまくいかなくなったりして、子供の情緒が不安定になることがあります。
子供がある程度大きくなっていると、親の状況を理解して「我慢しなければならない」と思い、自分の気持ちを隠してしまう傾向があります。
離婚していなくても、夫婦共働きで子育てしている人は多く、働いているから子供の情緒に悪影響があるということはありません。

しかし、離婚後に子どもの情緒に変化がみられる場合、他に原因がなければ、その原因は環境の変化によるものと考えられますので、注意深く子供の様子を見ながら、愛情を伝えてコミュニケーションやスキンシップをとるようにしましょう。

子供のために離婚を検討した方がよいケース

離婚は、以上で説明したように子供の情緒に影響を与える可能性はありますが、次のように子供のことを第一に考えると、むしろ前向きに離婚を検討した方がよいと考えられるケースもあります。

(1)激しい夫婦喧嘩や家庭内別居で家庭環境が子供にとって悪影響を及ぼす場合

子供の前でも激しい夫婦喧嘩を抑えられない状態が続いていたり、家庭内別居状態で全く夫婦の会話がなかったりするような状況の場合、家で過ごす子供も夫婦関係が悪いことを感じ取ります。そのため、ストレスを感じ、両親が揃っていることが逆に子供に悪影響を与えかねません
このような状況で生活する子供は、親の顔色を窺って行動する癖がついて自分の感情を素直に表現できなくなってしまったり、両親の不仲を自分の責任だと思ってしまったりするおそれがあります。

(2)DVやモラハラがあり心身に悪影響を及ぼす環境の場合

配偶者からDV(身体的暴力だけでなく、精神的DVや経済的DVを含む)やモラルハラスメントを受けている場合、その対象となっている配偶者だけではなく、間接的に子供の心身にも悪影響を及ぼす可能性があります。

暴力や暴言、自尊心を意図的に傷つけるような発言が日常的になされている家庭で育つ子供は、それが普通のことだと思ってしまい、「してはいけないことだ」という認識が育たないことがあります。
結果として、自分が他人に同じようなことをしてしまったり、他人に同じようなことをされても問題だと感じないため、他人とトラブルを起こしたり、逆に自己防衛したり他人に相談できなかったりして不安定になることがあります。

(3)金銭トラブルがあり子供に経済的な悪影響が及ぶ環境の場合

配偶者が借金を繰り返したり、ギャンブルにのめりこんでいるような場合、借金のせいで家を手放さなければならなくなったり、子供のために使うべきお金を使い込まれてしまったりすることがあります。
話し合っても改善が見られない場合には、子供の将来にかかわりますので、離婚を検討した方がよいことがあります。

子供に配慮した離婚の方法はある?押さえておきたいポイント

離婚をする場合には、できる限り子供に負担が少ない方法で離婚をするのが望ましいといえます。次のような点に注意して離婚する時期について検討するとよいでしょう。

(1)離婚のタイミングは子供への影響が少ない時期を選択する

子供が通学している場合には、進級や受験などに配慮して離婚時期を決めるようにします。
引っ越して新しい学校に通い始める場合、新学期に合わせて離婚すると、姓が変わったことを新しい学校で知られずに済みますし(通学当初から新しい姓とする)、新しいクラスになじみやすいというメリットがあります。

また、受験生の子供がいる場合、環境が変わると子供を動揺させてしまい受験に影響する可能性があるため、受験が終わるまでは離婚を待つ方がよい場合があります。
子供が幼く、離婚の意味が分からないような場合には、子供の親に対する記憶もあいまいで、離婚により両親が離れても子供への影響は少ない可能性があります。

(2)離婚後も双方の親と交流できるようにする

離婚後も面会交流をできる限り認めることが、子供の精神の健全な成長に望ましいという理解が一般的となっています。
したがって、離婚の際には、非監護親と子供の面会交流について夫婦でしっかりと話し合って、離婚後も継続的・定期的に非監護親と子供が交流できるようにするとよいでしょう。

できれば、離婚後は子供を夫に会わせたくないのですが…。

面会交流を認めることが子の福祉に反するなどの例外的事情がある場合を除き、非監護親と子供の面会交流は原則として肯定されますので、拒否することは基本的に困難です。

面会交流について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

後悔しないために!面会交流のルール策定のポイント

(3)親の愛情を伝える

子供は、両親が離婚したのは自分が悪い子だからではないかと自分を責めたり、親から大事にされていないと思って親を責めたりすることがあります。
離婚する際には、離婚しても、両親がいることには変わりがないこと、両親とも子供に対する愛情は変わらないことを、何度も伝えるようにしましょう
子供と別居することになる親も、自分の言葉で、別居しても親であることは変わらないこと、愛情も持ち続けること、今後も会えることなどを伝えるようにしましょう。

(4)離婚の伝え方に気を付ける

離婚を決断した後、物心のついている子供に対しては離婚を伝えて説明する必要があります。
離婚は、夫婦の問題であり、子供に責任はないことをしっかりと伝えるようにします。
配偶者に不倫などの離婚原因があり、夫婦仲が悪化している場合でも、子供にとってはどちらも大切な親ですので、子供に対して配偶者の悪口を言わないように心がけましょう。
子供が離婚を理解できる年齢であれば、理解度に合わせて、離婚することや離婚後の生活について説明するようにします。

実際に離婚した後にするべき子供へのケア

離婚後は、子供の様子を注意深く見て、メンタル面でのケアをしっかりしてあげることが大切です。

(1)積極的にコミュニケーションをとり悩みがないかを確認する

離婚後、子供が一見元気そうに変わりなく見えたとしても、悲しみや怒りを抱えながら、親に対して気丈に接している結果であることがあります。
子供が離婚によって精神的ダメージを受けていることを前提として(子供によっては受けていないこともありますのでケースバイケースですが)、子供の様子を把握し、その気持ちにしっかりと寄り添い、積極的にコミュニケーションをとって悩みや不満がないかを把握するようにしましょう。

離婚により、転居や転校などで子供の環境が変わる場合には、子供が困っていることや悩んでいることがないかについて特に注意するようにします。
親も仕事を始めた等の理由で忙しくなった場合でも、できるだけ子供と一緒にいる時間を大切にし、積極的に会話するようにしましょう

(2)周囲の人と協力して子供のケアを行う

1人で子育てをすることは大変ですので、子育てにストレスや悩みが生じるのは当然のことです。
そのような場合には、公的サービスや、協力の得られる親族の助けを積極的に借りるようにしましょう。
公的サービスを利用して自分の時間を確保したり、シングルマザー(シングルファーザー)特有の悩みについて他人の意見や経験談を聞いたりすることで、自分に余裕ができて視野が広がり、子供とよりよい関係を築けるようになる人もいます。

【まとめ】離婚によって環境の変化やなどの影響を与える可能性あり|子供への影響を減らすには離婚のタイミングや伝え方に配慮を

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 離婚によって子供に与える可能性のある影響
    1. 引っ越しをすることによる子供への影響
    2. 離婚により子供の姓が変わることによる影響
    3. 経済状況の変化による影響
    4. 離婚により片方の親と離れ離れになることによる影響
    5. 離婚により親と過ごせる時間が減ることによる影響
  • 家庭環境が子供にとって悪影響を及ぼす場合や経済的に子供に悪影響が及ぶ環境の場合には、子供のためにも離婚を検討してみてもよいでしょう。
  • 離婚するにあたって、子供に配慮すべきポイント
    1. 離婚のタイミングは子供への影響が少ない時期を選択する
    2. 離婚後も双方の親と交流できるようにする
    3. 親の愛情を伝える
    4. 離婚の伝え方に気を付ける

子供がいて離婚を検討する場合、離婚したことによる子供への影響が心配だという方は少なくありません。
自分と子供の将来を考え、離婚したことによる子供への影響を考慮し、それでもなお離婚が正しい選択だと決心したときには、将来のためにも、自分に不利な条件とならないようしっかりと離婚の準備をする必要があります。

離婚を決心した際には、どのような離婚準備が必要か、慰謝料や財産分与、養育費などについて、一度離婚を取り扱う弁護士に相談することをお勧めします。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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