あなたの法律のお悩み一発解決サイト
リーガライフラボ

過失割合修正要素とは?事故別の修正要素における加算要素と減算要素

作成日:更新日:
リーガライフラボ

交通事故の当事者の間で、「どちらがどの程度事故の責任を負うのか」という過失割合が問題になることがあります。
過失割合については、過去の交通事故の類型化により、交通事故の態様別に、基本的な過失割合が定められていますが、具体的な事故状況を考慮して、この基本的な過失割合が修正されることがあります。
これを、過失割合の修正要素といいます。
過失割合の修正要素について知らないと、相手方から自分に不利な過失割合を主張されても適切な反論ができないおそれがあります。
そこで今回の記事では、過失割合の修正要素について詳しく解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

目次

過失割合と過失割合修正の必要性

交通事故による被害(ケガや車の故障など)については、相手方に対して損害賠償請求をすることができます。
しかしながら、相手方が損害賠償をする責任を負うのは、その事故について相手方が過失を負う範囲のみ(過失割合)です。
例えば、交通事故によって自分に100万円の損害が生じたとしても、相手方の過失割合が70の場合には、相手方が責任を負うべきは100万円の70%である70万円であり、残り30%の30万円は自分が負担することになります。
また、相手方にも100万円の損害が生じていた場合には、自分に30の責任がありますので、相手方に対して30万円の損害賠償を支払う責任を負うことになります。

このように、過失割合は自分や相手方からの損害賠償額に直接かかわってきますので、交通事故の損害賠償の話し合いにおいては、双方の過失割合がどの程度かについて、争いが生じることが少なくありません。

(1)交通事故における過失割合とは?

交通事故では、一方が赤信号停車中に後方から追突されたなど、一方的なもらい事故を除き、多くのケースで双方に過失があるとされます。
双方の過失を足して100と考えて、どちらにどの程度過失割合があるのかを決めたうえで、双方が支払う責任を負う賠償額を計算することになります。

(2)過失割合の修正はなぜ必要?

基本的な過失割合は、過去の交通事故紛争の判例の蓄積から算定されたもので、『別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版』(判例タイムズ社)にまとめられています。

過失割合については、通常、相手方加入の任意保険会社から「この事故の過失割合は〇対〇と考えています」などと提案を受けることになります。

任意保険会社は、金融庁の許認可や監督を受ける立場であり、社会的な責任がありますので、判例や上記書籍などを参考に事故類型に合わせた過失割合を提案してきます。しかし、加害者側の言い分を重視していたり、被害者側に有利となる方向での過失割合の修正要素の有無については、十分に検討されていないことがあります。

したがって、保険会社の提案通りの過失割合を、そのまま受け入れなければならないというわけではありません。
過失割合に納得できない場合には、具体的な事情を挙げ、「この事情により過失割合は修正されるはずだから考慮してほしい」と伝えるようにしましょう。

【事故パターン別】過失割合の加算要素と減算要素

自動車同士、自動車とバイク、自動車と自転車の交通事故について、それぞれ、基本的な過失割合の修正要素について説明します。
修正要素は、過失を増やす方向の要素(加算要素)と、過失を減らす方向の要素(減算要素)があります。

(1)自動車同士の事故の場合

自動車同士の事故について、代表的な過失割合の修正要素を紹介します。

(1-1)ウィンカーの合図なし

運転者は、左折、右折、転回、徐行、停止、後退又は同一方向に進行しながら進路を変える場合には、交差点の30m手前または進路変更等の3秒前に、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続する義務があります(道路交通法53条1項、2項、道路交通法施行令21条)。
この義務に反して、合図なしで右折するなどして直進車と衝突した場合には、直進車の過失割合の減算要素として、基本的な過失割合が修正されます。
進路変更の直前や同時に合図を出した場合は、周囲に警告する目的を果さず役に立たない合図ですので通常は「合図なし」の扱いになりますが、車線変更や追越しなどの類型では「合図遅れ」として「合図なし」の半分の修正とする場合もあります。

(1-2)大型車

大型車は普通車に比べて危険な車両であり、高度な運転技術を求められます。大型車であることが事故発生の危険性を高くしたと考えられる態様の事故では、大型車側の過失が5%程度加算されます。

(1-3)見通しがきく交差点

見通しがきく交差点とは、見通しがきかない交差点以外の交差点をいいます。
見通しがきかない交差点とは、交差点進入直前において沿道の建物、駐車車両、看板その他道路の状況等により、車両が進行している道路と左右に考査資する道路の見通しがきかない交差点のことを言います。このような交差点では、原則として、車両は徐行する義務があります(道路交通法42条1項)。
基本的に、交通整理の行われていない交差点における出会い頭事故は、この見通しがきかない交差点であることを前提に、基本的な過失割合が定められています。
したがって、見通しがきく交差点である場合には、左方にある車両を認識するのが容易であり、左方優先の原則を適用することができますので、右方車の過失を加算する要素となります。

(1-4)右折禁止違反

右折方向への進行が禁止されている交差点において、右折することをいいます。
このために事故が発生した場合には、右折禁止違反をした右折車の過失を加算する要素となります。

(1-5)徐行なし

交差点における右折車は、当該交差点において直進、又は左折しようとする車両の進行妨害をしてはいけません(道路交通法37条)。
このように直進車は、右折車に優先しますので、右折車は交差点に進入する際には、進路妨害をしないよう、徐行(右折車に期待される通常の速度)すべきと考えられています。
したがって、徐行せずに右折したことにより直進車と衝突して事故が発生した場合には、右折車の過失を加算する要素となります。

道路交通法上要求される「徐行」(同法34条1項2項、2条1項20号)は、「直ちに停止できる速度」で、時速8~10㎞程度とされています。しかしこの「右折時の過失割合の修正要素としての『徐行』」は、交通を阻害せず安全を確認しつつ右折できる速度で、それより少し速くてもよいと考えられています。

(1-6)右折

大回り右折(あらかじめ道路の中央によらない右折、道路交通法34条2項)、早回り右折(交差点の中心の直近の内側を進行しない右折、同法34条2項)直近右折(直進車の至近距離で右折)は、右折車の行動により事故の危険性が増大するので、右折車の過失を加算する要素となります。
既右折(直進車が交差点に進入する時点で右折車が右折を完了している)で直進車と衝突した場合には、右折車に有利な事情として、右折車の過失を減算する要素となります。

(1-7)夜間

夜間とは、日没時から日出時までの時間をいいます。
夜間は、自動車のライトにより交差道路からの車両があることを容易に認識することができますので、同幅員の道路の交差点において右方車に不利な修正要素となります。

(1-8)道路交通法50条違反の直進

交通整理の行われている交差点に進入しようとする車両は、前方の車両等の状況により、交差点に進入すると交差点内で停止することとなって、交差道路における車両等の通行の妨害となる恐れがあるときは、交差点に進入してはなりません(道路交通法50条1項)。
この義務に反して交差点に進入し、右折車と事故を起こした場合には、直進車に不利な事情として、過失の加算要素となります。

(1-9)著しい過失、重過失

著しい過失とは、通常想定されている程度をこえる過失をいい、重過失とは、著しい過失よりもさらに重いものをいいます。
著しい過失の例としては、わき見運転等著しい前方不注意(道路交通法70条)、概ね時速15㎞以上30km未満の速度違反(高速道路を除く)、酒気帯び運転(同法65条1項)などがあります。
重過失の例としては、時速30㎞以上の速度違反、酒酔い運転(同法117条の2第1号)、居眠り運転、無免許運転などがあります。

そもそも、まったく「わき見」や「前方不注意」がなければ事故は起きませんので、通常の範囲の不注意は基本的な過失割合に含まれていると考えられます。
過失割合を修正する「わき見運転等著しい前方不注意」は、基本的に「運転には不要な方向やモノを見ていたこと」を意味すると考えるのが妥当です。
例えば、「カーナビやラジオを操作していた」「交差点にある店が気になって見てしまった」などです。
「右から横断しようとする歩行者が気になってしまい、左側の安全確認が不足した」というような場合は、運転者として必要な注意をしようとしてその配分に失敗しただけですので、もちろんその程度にもよりますが、修正要素としての「わき見」には該当しないと考えられます。

(1-10)シートベルト、チャイルドシート未着用

運転者は、運転の際にシートベルトを着用し、同乗者にもシートベルトを着用させなければなりません。幼児はチャイルドシートに着座させなければなりません。(道路交通法71条の3の第1~3項)
2020年以降は後部座席の同乗者にもシートベルトを着用させる義務があるとされています。
交通事故で、シートベルトやチャイルドシートを着用していない同乗者がケガをして、シートベルト未着用やチャイルドシート未使用がケガの程度に影響していた場合は、過失割合が10%程度不利に加算されます。ベルト等をしていればケガをしなかっただろうといえるような場合には、修正割合が大きくなることもありえます。

(2)自動車と歩行者の事故の場合

自動車と歩行者の事故において、歩行者の過失が加算される要素としては、次のようなものがあります。

(2-1)夜間

車両からは歩行者が見えにくくなりますし、歩行者は、ライトのついた車を認識することが容易となりますので、歩行者側の加算要素となります。

(2-2)幹線道路

幹線道路は車両が高速で走行し、通行量が多く、歩行者はより強い注意を払って横断すべきと考えられていますので、幹線道路における事故の場合は、歩行者の過失割合が加算されます。

(2-3)直前直後横断、横断禁止場所における横断、急な飛び出し、立ち止まるなど

歩行者は、車の直前直後で道路を横断してはなりません(道路交通法13条1項)し、横断が禁止されている道路では横断することはできません(同法13条2項)。
したがって、歩行者のこのような行為により事故が発生した場合には、歩行者の過失割合が加算されます。
また、歩行者の急な飛び出しや、道路上での立ち止まりによって事故が発生した場合にも。歩行者の過失割合が加算されます。

一方で、自動車の過失が加算される要素としては、次のようなものがあります。

(2-4)歩行者が児童・高齢者、幼児・身体障碍者等

このような歩行者は、判断能力や回避能力が少なく、自動車の運転者が配慮して運転することによって保護する必要性が高いので、自動車側の過失割合が加算されます。
児童は6歳以上13歳未満、幼児は6歳未満、高齢者はおおむね65歳以上の方とされています。

(2-5)集団横断、通行

歩行者が集団で道路を横断、通行している場合には、車から発見が容易であることから、事故が発生した場合には自動車の過失割合が加算されます。

(3)自動車とバイクの事故の場合

自動車とバイクの事故において、過失の修正要素の考え方は、基本的に自動車同士の事故のケースと同様です。
ただし、バイクの運転手は、自動車の運転手と異なりヘルメットの着用が義務付けられていますので(道路交通法71条の4第1項、2項)、ヘルメット未着用が損害拡大に寄与している場合には、著しい過失に準じてバイク側の過失割合が加算修正されます。
また、高速道路におけるヘルメット不着用は、重過失とされ、バイク側の過失割合が加算修正されます。

(4)自動車と自転車の事故の場合

自転車は、軽車両に該当し(自動車交通法2条1項11号)、灯火、酒気帯び運転の禁止など、自動車やバイクと同様の規制を受けます。
また、自転車は、並進ができない、二段階右折などの特有の規制がされており、免許がなくても運転できるなどの特色があります。
したがって、自動車と自転車の事故の過失割合は、自動車とバイクの事故の場合と同様に考えられますが、自転車の特色が過失割合に影響することがあります。

例えば、自転車の過失が加算される要素としては、次のようなものがあります。

(4-1)自転車側の並進や、二人乗り、片手運転

著しい過失として、過失割合が加算されます。

(4-2)自転車側の酒酔い運転や、ピスト等の制動装置不良

重過失として、過失割合が著しい過失よりも加算されます。

一方で、自動車の過失が加算される要素としては、次のようなものがあります。

(4-3)自転車が自転車横断帯や横断歩道を通行中

自転車が通る場所であることが警告されていますので、自動車側の過失割合が加算されます。

(4-4)自転車が児童等、高齢者

歩行者の場合と同様に、保護の必要性が高いことから、自動車側の過失割合が加算されます。

過失割合についての示談交渉を行う場合の注意点

相手方の任意保険会社との間で、過失割合を含めた示談交渉を行うにあたって、注意すべき3つのポイントを紹介します。

(1)過失割合は当事者の話し合いが基本

相手方の任意保険会社から過失割合の提案を受けても、そのまま応じる必要はありません。
提案された過失割合に納得できない場合には、修正要素があることなどについて話し合って、納得の上で過失割合について合意できるようにするとよいでしょう。

ただし、自分に有利となる事情については、自分が証明する必要があると考えられていますので、相手方に否定されている場合には、証拠によって証明する必要があります。
また、複数の修正要素がある場合は、原則としてそのまま加算・減算されますが、裁判所は、単純に加算・減算すると妥当でない結果になるような場合には、そのまま加算・減算せずに調整することがあります。

妥当な過失割合がわからない場合には、弁護士に相談してアドバイスを受けるのもよいでしょう。

(2)示談成立は納得してから

一度示談を成立させてしまうと、後で「過失割合がこちらに不利な内容だった」と気づいても、基本的に示談をなかったことにすることはできません。
したがって、示談を成立させる前に、過失割合は適切か、請求できる損害賠償に漏れはないか、損害賠償額は適切かなど、後で後悔しないように、しっかりと示談内容について理解することが必要です。
示談内容について適切かどうかわからない場合には、示談成立前に、弁護士に相談することをお勧めします。

(3)損害賠償請求権には消滅時効がある

交通事故を原因とする加害者に対する損害賠償は、いつまでも請求できるものではありません。
加害者と損害を知った時から、人身損害で5年、物損で3年の消滅時効があり、消滅時効を過ぎると基本的に請求が困難になりますので、その期間内の示談成立を目指すようにしましょう。
もし、話し合いがうまくいかずにその期間内での示談成立が難しいと思われる場合には、消滅時効期間を延ばす方法もありますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

【まとめ】過失割合の修正でお困りの場合弁護士にご相談ください

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故の過失割合は過去の判例の蓄積から算定されたもの。
  • 相手方の任意保険会社から提案された過失割合は、自分に有利となる修正要素が考慮されていない場合がある。
  • 修正要素の有無と割合は、事故の状況や被害者の属性などによって異なる。

相手方と話し合っても、過失割合について合意できない場合や、個別具体的な事故状況における過失の修正要素について知りたい方は、交通事故を扱う弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

交通事故に関するメリット満載

弁護士による交通事故
ご相談は何度でも無料

メールでお問い合わせ

ご来所不要お電話や、オンラインでの法律相談を実施しておりますご相談の際、ご来所いただく必要はありません!
お電話、もしくはテレビ電話などのオンライン環境を使って、ご自宅からご相談できます。
外出が困難な方・新型コロナウイルス感染への不安で外出を控えていらっしゃる方も、ご安心ください。
ご相談方法については、お気軽にお問い合わせください。
※オンライン相談をご希望の方は、カメラ付きのパソコンやスマートフォン、タブレットなどが必要です。

0120-250-742

朝9時〜夜10時・土日祝も受付中