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SNSで誹謗中傷されたらどうしたら良い?3つの対策を弁護士が解説

作成日:更新日:
川手雅

「SNSで誹謗中傷の被害にあったらどうしたら良い?」

近年、インターネット上での人権侵害は増加傾向で、相談件数も高止まり状態にあります。

総務省の支援事業である「違法・有害情報相談センター」における令和2年度の相談件数は5407件で、平成22年度の相談件数(1337件)の約4倍に増加しています。
そのうち、SNSへの投稿に関する相談件数は999件で、ブログ・個人のHPへの投稿に関する相談件数(1807件)に次いで2番目に多い数字でした。

参照:令和2年度インターネット上の違法・有害情報対応相談業務等請負業務報告書(概要版)|総務省

インターネット上における誹謗中傷の投稿は近年社会問題化しており、今般、刑事上では侮辱罪の法定刑が引き上げられると共に、民事上もいわゆる「プロバイダ責任制限法」が改正されて、違法な投稿をした人に対する損害賠償請求がしやすくなることが期待されています。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • SNSで誹謗中傷された時に取りうる3つの対策
  • SNSで誹謗中傷された時に弁護士に依頼した方が良い理由
この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

弁護士 重光 勇次

アディーレ法律事務所

同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

SNSで誹謗中傷される被害にあった時に取りうる3つの対策

SNS上に誹謗中傷の投稿がされ、それが単なる悪口の域を超えて、投稿された側の権利を侵害する違法なものと評価できるような場合、投稿された側は主に次の3つの対策を取ることができます。

(1) サイト管理者に対して投稿の削除を要請する
(2) 投稿者を特定し、投稿者に損害賠償等を請求する
(3) 警察に相談する

それぞれについてご説明します。

(1) 投稿の削除を要請する

SNSに誹謗中傷の投稿をされた場合、まずはその投稿を削除できないか検討します。SNSの投稿の削除を求める場合、主に次の3つの方法があります。

1.「削除依頼フォーム」により削除を求める

SNSには「削除依頼フォーム」が設置されていることが多いです。
「削除依頼フォーム」が設置されている場合にはそこから、もしも設置されていない場合にはお問い合わせフォームなどから、SNSのサイト管理者に投稿の削除を依頼します。

サイト管理者が投稿を確認し、利用のガイドラインに違反していると判断すれば、コメントを削除してもらえることがあります。もしもサイト管理者により投稿を削除してもらうことができれば、この方法が1番迅速に対応できます。

ご自身ですぐに取れる対策ですので、投稿が削除されればそれで良いという場合にはまずはお試しください。ただし、削除依頼に応じるかどうかはサイト管理者次第ですので、必ず削除してもらえるとは限りません。

また、オンラインでの削除依頼を行う場合、問題の投稿が削除されると同時に、その投稿が行われた際のIPアドレスなどの通信記録も消えてしまう可能性があります。投稿者を特定するためにはIPアドレスなどの通信記録が必要ですので、投稿の削除だけでなく投稿者の特定もお考えの場合にはご注意ください。

2.「送信防止措置依頼書」により削除を求める

問い合わせフォームなどを利用して削除を要請しても問題が進展しない場合には、「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」をサイト管理者に送付し、削除を要請することもできます。

「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」とは、いわゆる「プロバイダ責任法」(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)に関し、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会が作成した書式です(冒頭でご紹介した「違法・有害情報相談センター」にもひな型があります)。

送付の方法は、依頼先のサイト管理者によって異なります。
また、本人確認に必要な書面として印鑑証明書や身分証明書の写しが必要になりますので、まずは、個別に送付方法などを確認する必要があります。

サイト管理者が送信防止措置依頼書を受け取った後は、一般的には次のような流れになります。

まずは社内で違法性の有無を検討する

違法性が明らかであれば投稿を削除する

違法性が明らかとまでは言えない場合、投稿者に削除の要否を照会する

7日以内(リベンジポルノに該当する場合には2日)に「削除可」の返信があるor何も返事がない場合には基本的には削除される

「削除不可」の返信があった時は、原則として削除されない

この場合でも、最終的に投稿を削除するかどうかはサイト管理者の判断ですので、投稿を削除してもらえるとは限りません。

3.裁判所に投稿削除の仮処分を申し立てる

これまでの方法で投稿が削除されない場合、裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てることもできます。仮処分が認められると、裁判所からサイト管理者に対して、投稿の削除を命令してもらえます。

「仮処分」とはその言葉のとおり、「仮の処分で暫定的なもの」にすぎませんが、事実上、裁判所から削除を命じられれば基本的にはサイト管理者は削除に応じています。
仮処分の流れは、一般的には次のとおりです。

裁判所に対する仮処分の申立て
裁判所に対して、サイト管理者に「権利侵害をしている投稿を仮に削除せよ」の仮処分命令を出すよう申し立てます。

審尋
裁判所が申立人とサイト管理者の双方から主張・反論を聞く手続です。
裁判所が、双方から提出された証拠を検討したりします。

担保決定
裁判所が申立人の意見を認めると、申立人に対して供託金の金額や納付期限などを告知します。
供託金は、不当な仮処分によりサイト管理者が受ける損害を担保するためのもので、通常は、投稿が削除された後に取り戻せることがほとんどです。

仮処分命令
申立人が供託金を供託すると、裁判所がサイト管理者に対して投稿を削除するよう仮処分命令を出します。
サイト管理者が裁判所の仮処分命令に応じて投稿を削除した場合には、正式な裁判をすることなく問題は解決して終了します。

以上が、投稿を削除するために主に考えられる3つの手段です。

(2) 投稿者を特定して、損害賠償等を請求する

サイト管理者に投稿の削除を要請しても応じてもらえなかったり、せっかく削除してもしつこく誹謗中傷を繰り返される場合には、投稿者を特定した上で、投稿者に対して損害賠償請求をしたり、投稿の削除を求める(※投稿者が削除できる場合)などすることにより、根本的な問題解決ができることがあります。

投稿者の特定は投稿の削除と同時進行して行うこともできます。匿名サイトにおける投稿者に損害賠償請求をする場合、一般的には次のステップが必要です。

サイト管理者によるIPアドレスやログイン日時等の開示

接続プロバイダによる発信者の住所・氏名等の開示

投稿者に対する損害賠償等の請求

それぞれについて、簡単にご説明します。

(1)サイト管理者によるIPアドレスやログイン日時(「IPアドレス等」と言います)の開示

匿名サイトにおける投稿者を特定するためには、まずはサイト管理者から投稿者のIPアドレス等を開示してもらう必要があります。
サイト管理者から、投稿者のIPアドレス等を開示してもらうためには、先ほどの削除の要請と同様、次の3つの方法があります。

  • 「問い合わせフォーム」などにより開示を求める
  • 「発信者情報開示請求書」により開示を求める
  • 裁判所に対して、IPアドレス等の発信者情報開示の仮処分を求める

上の2つはサイト管理者による任意の開示を求めるものですが、強制力はないので開示されないことがほとんどです。

その場合には、やはり裁判所に対する仮処分の申立てが必要になります。裁判所の開示命令があれば、ほとんどのサイト管理者は開示に応じますので、通常は訴訟までする必要はありません。

サイト管理者から投稿者のIPアドレス等が開示されれば、次のステップとして接続プロバイダから、そのIPアドレスを利用した契約者の情報を開示してもらいます。

【コラム~SNSにおける発信者情報開示請求の問題点~】

現行のプロバイダ責任制限法(「現行法」と言います)が想定していたのは、インターネット上の掲示板などに違法な投稿がなされた場合に、サイト管理者に投稿時のIPアドレスを開示させた上、接続プロバイダにそのIPアドレスを使用した契約者の住所・氏名などを開示させて投稿者を特定するという流れでした。
この場合には、通常は開示された契約者の住所・氏名は、違法な投稿をした者の住所・氏名と一致します。

ところが、SNSは、利用者が予めアカウント登録を行った上で、登録したアカウントでログインをして投稿を行う「ログイン型サービス」です。
「ログイン型サービス」は、アカウントのIDとパスワードが分かっていれば、同時に複数名がログインをすることも可能ですから、ログインをした者と投稿をした者が必ずしも同一とは限りません。

そして、このような「ログイン型サービス」の場合、サイト管理者はログイン時やログアウト時のIPアドレスは保有していますが、投稿時のIPアドレスは保有していません。

ですからログイン型サービスでサイト管理者から入手できるIPアドレスは、ログイン時やログアウト時のIPアドレスだけで、投稿時のIPアドレスは入手できないのです。

このような「ログイン型サービス」は、現行法が制定された当時は想定されていませんでした。

そこで、「ログイン型サービス」の場合、そもそも現行法に基づいて管理者サイトからログイン・ログアウト時のIPアドレスの開示請求ができるのかという問題があります。

さらに、サイト管理者からログイン時・ログアウト時のIPアドレスが開示されたとして、それに基づいて接続プロバイダに対する発信者情報開示請求ができるのかという問題があります。

ログイン・ログアウト時のIPアドレスがあるだけでは、接続プロバイダは、ログイン・ログアウトに関わっただけで違法な投稿には関わっていない(厳密には関わっているかどうかが分からない)からです。

この点、実務上は「発信者情報」を拡大解釈して、管理サイトにログイン時・ログアウト時のIPアドレスを開示させています。

さらに、接続プロバイダに対する発信者情報開示についても、問題となっている違法な投稿の直前のログインであれば、ログイン時のIPアドレスをもって接続プロバイダに対する契約者の住所・氏名などの開示請求を認めるなどの方策が取られています。

このような、現行法の制定当時に想定されなかった「ログイン型サービス」が普及している現状などから、2021年4月に現行法が改正され、サイト管理者に対してログイン・ログアウト時などのIPアドレスの開示を請求できることが明文化されました。

さらに、一定の条件下でログイン・ログアウトを媒介した接続プロバイダも、発信者情報の開示義務を負うことが明らかにされました。

(2)接続プロバイダによる契約者の住所氏名等の開示

SNSのサイト管理者からログイン時のIPアドレスを入手できれば、そのIPアドレスから接続プロバイダを調べた上で、判明した接続プロバイダに対して当該IPアドレスを使用した契約者の住所や氏名などの開示を求める訴訟(発信者情報開示請求訴訟)を提起します。

*発信者情報開示請求書を送付して契約者の氏名や住所の開示を求めることもできますが、その場合、接続プロバイダから契約者に対して開示に応じて良いか照会がなされます。ほとんどの契約者は「開示不可」と回答しますので、この方法では投稿者の氏名や住所の開示はほとんど期待できません。

なお、接続プロバイダに対する発信者情報開示請求は、訴訟でする必要があり、仮処分の方法によることはできません。

仮処分には保全の必要性(急がなければ権利が侵害されてしまうという緊急性)がなければいけませんが、接続プロバイダに対する請求は保全の必要性が認められないのです(*急がなければ接続プロバイダの保有するログの保存期間が過ぎてしまうという場合には、別途、ログ保存の仮処分(発信者情報消去禁止仮処分)を申し立てた上で訴訟をします)。

その後、開示を認める判決が出て確定すると、接続プロバイダから契約者の住所氏名等が開示されます。

先ほどご説明したとおり、ログイン型サービスであるSNSでは、ログインをした者と投稿者が異なる可能性があるため、サイト管理者から開示されたログイン時のIPアドレスでは、接続プロバイダによる発信者情報の開示が認められないことがあります。
個別のケースで接続プロバイダに対する開示請求が認められるかどうかは弁護士にご相談ください。

投稿者が判明しないケースとは?

発信者情報開示請求をしても、個人の特定が困難なケースもあります。
具体的には、次のような場合です。

  • ネットカフェから書き込まれた場合
  • フリーWi-Fiを利用して投稿がなされた場合
  • マンションの共有設備としてインターネット回線がある場合  など

その他、接続プロバイダにはログの保存期間があります。
ログ保存期間は各社によって異なりますが、大体3か月~6か月程度です。
せっかくIPアドレスが判明しても、ログの保存期間が経過している場合には、もはや発信者情報の開示はできません。

発信者情報開示請求の訴訟の準備をしているうちにログ保存期間が経過しそうな場合には、接続プロバイダに対してログ保存の依頼をするか、応じてもらえなければ、裁判所にログ保存の仮処分(発信者情報消去禁止仮処分)を申し立てる必要があります。

アカウントが削除された場合には、さらにログの保存期間が短くなりますので、迅速に方針を決めて仮処分の申立てなどをする必要がありますのでご注意ください!

(3)投稿者に対して損害賠償の請求をする

投稿者が判明した場合には、投稿者に次のような請求をします。

  • 損害賠償の請求
  • 投稿の削除(投稿者が削除できる場合)
  • 2度と誹謗中傷の投稿をしないとの約束
  • 謝罪                 など

本人が任意に応じなければ、訴訟を提起する必要があります。

【コラム~プロバイダ責任制限法の改正~】

これまでご説明したとおり、匿名サイトにおいて投稿者を特定するためには、①まずはサイト管理者からIPアドレスを開示してもらい、②開示されたIPアドレスを元に接続プロバイダに契約者の情報を開示してもらうという「2段階」の手続が必要です。

ですが、それでは、時間と手間がかかってしまいます。
そこで、2021年4月、現行法が改正され、発信者情報の開示を一つの手続で行うことを可能とする『発信者情報開示命令事件に関する裁判手続』という非訟手続を新設しました。改正法の施行は2022年10月1日です。

新しい手続は、コンテンツプロバイダへの手続とアクセスプロバイダへの手続を合体して「1回の非訟事件で発信者を特定できる」のが特徴です。
これにより、誹謗中傷の被害にあった方の円滑な救済が期待できます。
参照:プロバイダ責任制限法の一部を改正する法律(概要)|総務省

(3)警察に相談する

SNSによる誹謗中傷の内容によっては、投稿が犯罪に当たるケースもあります。
インターネット上の誹謗中傷の投稿は、主に、次のような犯罪に該当する可能性があります。

罪名法定刑
(1)名誉毀損罪3年以下の懲役
3年以下の禁固
50万円以下の罰金 のいずれか
(2)侮辱罪1年以下の懲役
1年以下の禁固
30万円以下の罰金 のいずれか
拘留
科料
(3)脅迫罪2年以下の懲役
30万円以下の罰金 のいずれか
(4)信用棄損罪3年以下の懲役
50万円以下の罰金 のいずれか
(5)偽計業務妨害罪


従来、「侮辱罪」の法定刑は「拘禁又は科料」でした。
ですが、近年、インターネット上の誹謗中傷が社会問題化していることなどから、2022年6月に刑法が改正され、法定刑に「1年以下の懲役若しくは禁固若しくは30万円以下の罰金」が加わり、侮辱罪の厳罰化が図られました。
※改正刑法が適用される2022年7月6日以前に侮辱罪に該当する罪を犯した場合の法定刑は「拘留又は科料」です。

【コラム~「懲役」・「禁固」・「拘留」・「罰金」・「科料」の違い~】

「懲役」・「禁固」・「拘留」とは、いずれも刑務所などの刑事施設に身柄を拘束されて自由を奪われるという刑罰です。
これらの違いは、拘束される期間です。「懲役」「禁固」の場合は1月以上、「拘留」は30日未満です。

また、「懲役」と「禁固」は、刑事施設内で所定の作業をする義務があるかないかの違いです。所定の作業をする義務があるのが「懲役」、ないのが「禁固」です。

ただし、2022年6月の刑法の改正により、「懲役」と「禁固」を一本化して「拘禁刑」とすることが決まりました。ですので、この点について改正刑法が施行されれば、今後は懲役と禁固の違いがなくなります(拘禁刑に関する改正刑法は、2025年頃までに施行される予定です)。

「罰金」・「科料」はいずれも強制的に金銭を徴収されるという刑罰です。これらの違いは、金額です。「罰金」は1万円以上(減刑されたら1万円未満になることもある)、「科料」は1000円以上1万円未満です。

インターネット上の誹謗中傷について成立する犯罪について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

インターネット上に誹謗中傷を書き込んだら成立しうる5つの罪とは?

今日、インターネット上での誹謗中傷は社会問題化しており、警察もサイバー犯罪への対策を強化しています。あまりにも誹謗中傷の内容がひどく、犯罪に該当するといえる場合には、各都道府県警察に相談しましょう。

ただ、誹謗中傷の投稿はインターネット上にあふれていますから、投稿の内容によっては、警察に相談してもすぐに捜査をしてもらえるとは限りません。

まずは、投稿者の特定などを進めた上で、並行して警察にも相談することをお勧めします。

なお、「名誉毀損罪」と「侮辱罪」は親告罪(被害者の告訴がないと刑事事件として起訴できない罪のこと)ですので、犯人を知った時から6か月以内に警察に告訴しなければいけません。
ですから、発信者情報開示請求により投稿者を特定できた場合には、そこから6か月以内に警察に被害を届けなければ、投稿者の刑事責任を追及できなくなりますので、注意が必要です。

参照:サイバー犯罪対策|警察庁

SNSで誹謗中傷されたら弁護士に相談した方が良い理由

(1) 手続が複雑で専門的知識が必要なこと
SNSによる誹謗中傷の被害にあった時、投稿の削除を求める場合であっても、投稿者に損害賠償などを求める場合であっても、様々な手続が必要になる上、相手が任意に応じなければ仮処分や訴訟などの裁判手続が必要になります。

接続プロバイダにはログの保存期間がありますので、投稿者に損害賠償を求める場合には、迅速に方針を決定して行動しなければならない上に、相手の対応等によっては新たに仮処分を申し立てるなど臨機応変な対応が必要です。

特にSNSのサイト管理者は海外の事業者であることが多いため、IPアドレス開示の仮処分には時間がかかります。
短期間で、海外の事業者に対して裁判手続をとるには、発信者情報開示に詳しい弁護士でなければ、なかなか困難です。

(2) SNSの利用者の電話番号から投稿者を特定できる可能性があること
SNSでは通常、アカウント登録をする際に利用者のメールアドレスと電話番号を登録します。そこで、場合によっては、サイト管理者に対して、IPアドレスに関する発信者情報開示請求をすると共に、電話番号についても開示を求める訴訟を提起するのが有効な場合があります。

この場合、訴訟に勝訴してサイト管理者から利用者の電話番号を入手できれば、接続プロバイダに対する発信者情報開示請求が功を奏さなくても、電話番号に対する弁護士会照会により利用者の氏名・住所が判明することがあります。

弁護士会照会について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

浮気や不倫相手の住所や連絡先がわかる!「弁護士会照会制度」とは?

弁護士会照会は、弁護士でなければ利用できません。
ですから、ご自身で訴訟を提起して電話番号を入手できても電話番号から利用者の氏名・住所を知ることはできません。
投稿者に対する損害賠償をお考えの方は、まずはインターネットの誹謗中傷に詳しい弁護士にご相談ください。

(3) 発信者情報開示請求に伴うトラブルに対応できること
発信者情報開示請求をすると、予期せぬトラブルが生じることがあります。
例えば、次のような場合です。

  • 削除の仮処分が発令されたはずなのに、検索結果には表示されてしまう
  • 接続元のIPアドレスが開示されない
  • 投稿者が格安スマホを使用していたため、接続プロバイダに開示請求をしても「顧客情報はない」などと回答される、など

発信者情報開示請求になれた弁護士であれば、これらのトラブルに対応することが可能ですが、ご自身での対応はなかなか困難です。

【まとめ】SNSによる誹謗中傷の被害にあった時は、投稿の削除を求めたり投稿者を特定して損害賠償を請求できる場合がある

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • SNSによる誹謗中傷の被害にあった場合に取りうる手段は次の3つ。
    (1) サイト管理者に投稿の削除を要請する
    (2) 投稿者を特定し、投稿者に損害賠償等を請求をする
    (3) 警察に相談する
  • サイト管理者が任意に投稿を削除しない場合には、裁判所に削除の仮処分を申し立てる必要がある。仮処分命令にも応じない場合には訴訟をする必要があるが、ほとんどのサイト管理者は裁判所の仮処分命令に応じるため、訴訟まではしなくて良いケースが多い。
  • 投稿者を特定するためには、基本的に管理サイトや接続プロバイダに対して発信者情報開示請求をする必要がある。
  • 発信者情報開示請求は、任意で開示されない場合には裁判所の仮処分や訴訟手続などの裁判手続が必要である。
  • 接続プロバイダのログの保存期間は大体3か月~6か月。接続プロバイダに対して保存期間を超過してもログを保存するように求めることはできるが、そもそもその前にサイト管理者からIPアドレスを開示してもらう必要があるため、投稿者を特定したい場合には、迅速に方針を決める必要がある。
  • SNSにおける誹謗中傷は、「名誉毀損罪」「侮辱罪」「脅迫罪」などの犯罪が成立する場合がある。
  • インターネットの誹謗中傷が社会問題化しており、今般、刑法が改正されて侮辱罪の法定刑が重くなった。
  • 発信者情報開示請求をしても、すぐに投稿者が判明するとは限らない。予期せぬトラブルに対応するためにも、弁護士に依頼するのが良い。

今日、インターネット上には誹謗中傷の投稿があふれ、中には目を覆いたくなるようなひどい内容の投稿も少なくありません。
なかなか第三者には相談しにくいかもしれませんが、次のような相談窓口もありますので、一人で悩まないようにしましょう。

投稿の削除、投稿者の特定、投稿者に対する損害賠償請求のいずれの手段をとるにしても、ご自身での対応には困難を伴うことが多いのが実情です。

例えば、SNSのサイト管理者に削除依頼をしても削除されない場合には、削除するために、裁判上の手続きも検討する必要があります。
裁判上の手続きを行う場合には、専門的な知識が求められることも多くあり、ご自身だけでは対応が難しいのです。

また、弁護士に依頼することで、ご自身だけで誹謗中傷の投稿の削除、投稿者の特定を行う場合よりも、迅速に手続きを進め、より削除請求や投稿者の特定の可能性を上げることができるでしょう。
誹謗中傷の投稿でお悩みの方は、早めに弁護士へ相談するようにしましょう。

アディーレ法律事務所では、SNSでの誹謗中傷する投稿に関し、「投稿を削除したい」、「投稿者を特定したい」などのご相談を何度でも無料で承っています。
投稿記事や検索結果が削除できなかったり、投稿者の情報が開示されなかった場合、弁護士費用は、原則として全額返金しております。

「SNS上で誹謗中傷されて困っている」という方は、お気軽にアディーレ法律事務所にご相談ください。
フリーコール「0120-406-848」にてご予約の電話を承っています。

この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

弁護士 重光 勇次

アディーレ法律事務所

同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。