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退職勧奨とは?勤め先から勧められた時の対処法を解説

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退職勧奨は、労働者の自発的な退職を促すものにすぎず、労働者は、退職する義務はありません。
しかし、退職勧奨は、解雇の抜け道として使われることも多く、退職勧奨が、途中から強引なものに変わり、違法な状態になっていることも少なくありません。
違法な退職勧奨に対しては、慰謝料などの請求も可能です。
退職勧奨について、弁護士が解説します。

退職勧奨とは、労働者の自発的な退職を促すこと

退職勧奨とは、勤め先が労働者に対して、自発的に退職をするように働きかける行為のことです。

退職勧奨は、俗に「肩たたき」とも呼ばれています。
一定の退職勧奨に応じて退職した場合は、自己都合退職ではなく、会社都合退職の扱いとなります。

退職勧奨は、社会的に相当と認められる(労働者が納得できる)範囲における説得であれば問題はありませんが、これを超える執拗な退職勧奨は違法となり、損害賠償責任が発生します。

参考:労働契約の終了に関するルール|厚生労働省
参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準|厚生労働省

自己都合退職と会社都合退職の違い

退職の理由は、自己都合退職と会社都合退職の2種類になります。
後述の失業手当の受給に差が出るため、退職理由がどちらに分類されるのかが重要となります。

(1)自己都合退職

自己都合退職とは、例えば以下のように、労働者側の都合で離職する場合をいいます。

  • 家庭の事情(結婚や育児、介護など)による離職
  • より労働条件のよい会社に転職するための離職

(2)会社都合退職

会社都合退職とは、一定の退職勧奨など、会社側都合による離職をいいます。
例えば、以下のような場合、会社都合退職となります。

  • 倒産による離職
  • 退職者が大量に出たことによる離職
  • 事業所の廃止に伴う離職
  • 事業所の移転により、通勤することが困難となったことによる離職
  • 会社から解雇されたことによる離職(自己の責めに帰すべき重大な事由に基づく解雇、例えば故意に会社に損害を与えるなどして懲戒解雇された場合を除く。)
  • 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく違っていたことによる離職
  • 3分の1以上の賃金(退職手当を除く)の不払いがあったことによる離職
  • 労働者が予見できない事由により、15%以上、賃金がカットされたことによる離職
  • あまりにも長い残業による離職
  • ハラスメントを受けたことによる離職
  • 退職勧奨を受けたことによる離職(以前から常設されている早期退職優遇制度等に応募して離職する場合は除く。)
  • 会社のせいで会社の休業が3ヶ月以上となったことによる離職
  • 会社の業務が法令に違反したことによる離職

(3)基本手当(失業手当)の受給に大きな差がでる

自己都合退職と会社都合退職とのどちらであるのかは、基本手当(失業手当)の受給に関して大きな差があります。
次の通り、会社都合退職の方が労働者にとって基本手当(失業手当)を受給する上で、有利です。

1.給付日数
会社都合退職の方が、給付日数が多いため、基本手当(失業手当)の受給額が多くなります。
(就職困難者(障害者等)や65歳以上の方など、一部の方は、下記給付日数の規定は適用されません。)
原則的な給付日数は以下の通りです。

  • 自己都合退職:90~150日
  • 会社都合退職:90~330日

なお、更新を希望したが期間満了により離職した場合には、会社都合退職と同様の給付日数となる場合があります(その他、一定の要件を満たす必要があります)。

2.受給開始日数
自己都合退職は失業手当(基本手当)を受給できるまで2~3ヶ月間の給付制限期間がありますので、その分、受給開始時期が遅くなります。
※下記の待期期間・給付制限期間の他に、振り込まれるまでに約1ヶ月前後かかるのが通常です。

  • 会社都合退職:7日(待期期間)経過後
  • 自己都合退職:
    2020年9月30日までに離職→3ヶ月(給付制限期間)+7日(待期期間)経過後
    2020年10月1日以降に離職→原則2ヶ月(給付制限期間)+7日(待期期間)経過後
    例外(※)3ヶ月(給付制限期間)+7日(待期期間)経過後
    ※例外(3ヶ月+7日経過後)となるのは以下の場合です。
    ・自己の責めに帰すべき重大な理由で離職した場合(横領したことで離職した場合など)
    ・5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合退職をした場合

なお、一定の正当な理由による自己都合退職や、更新されなかったため期間満了により離職した場合など、一定の要件を満たした場合には、会社都合退職と同様に、給付制限期間なしに受給可能です。

参考:「給付制限期間」が2か月に短縮されます|厚生労働省
参考:離職された皆様へ|厚生労働省 東京労働局

勤め先が退職勧奨をする理由

勤め先が解雇ではなく、退職勧奨をするのには理由があります。

まず、解雇の要件は厳しく、勤め先は簡単に労働者を解雇することができませんし、仮に解雇の要件を満たしていたとしても、労働者とのトラブルを生じやすいです。

そのため、退職勧奨を行い、自発的に退職をするように働きかけているのです。

退職勧奨によく使われる4つの手法

退職勧奨によく使われる4つの手法を以下で解説いたします。

(1)労働者の気持ちを誘導する

労働者が退職したいという気持ちになるように、様々な言葉で誘導するという手法があります。
退職勧奨の典型的なパターンといえます。

(例)
・咎める:「もう辞めたらどうだ」「仕事に向いていないのではないか」
・アドバイス:「環境を変えたほうがステップアップできるぞ」
・親切心:「会社を辞めたほうが人生楽しくなる」「お前は広い世界に旅立つべきだ」
・懇願:「どうか僕の顔を立ててくれないか」「みんなのために身を引いてくれ」
・脅し:「辞めなければ強硬手段に出るぞ」

(2)パワーハラスメント

あえて厳しく当たることで、労働者の退職したい、という気持ちを促すという手法があります。

(例)
・ノルマを増やす
・暴言を吐く
・全く仕事を与えない
・無視をする

(3)不利益な措置を与える

退職したいという気持ちを促すため、労働者の不利益となる措置を与えるという手法があります。

(例)
・減給
・降格
・プロジェクトから除外
・適性のない業務への配置転換

(4)外部機関を利用する

勤め先の外部機関を利用することで労働者に退職を促すという手法があります。

(例)
・提携している産業医と共謀し、休業を打診したり、精神疾患ということにして、解雇の理由に当てはめる

退職勧奨に強制力はない

退職勧奨は強制力のある命令ではありません。
退職勧奨に応じるか否かは労働者の自由であり、拒否することが可能です。
「退職勧奨に応じる義務は全くない」ということを覚えておきましょう。

退職勧奨が退職強要に変わることもある

社会的相当性を逸脱した態様による退職勧奨は、違法です。
例えば、労働者に不当な圧力を与えたり、嫌がらせを行ったりして無理やり退職に同意させた場合は、退職強要という違法行為になります。
退職強要は不法行為であり、慰謝料請求権が発生することがあります。
また、強迫に至るような退職強要によってなされた退職の意思表示は取消の対象となることがあります。

退職勧奨が違法と判断された裁判例

退職勧奨が違法と判断された裁判例を紹介いたします。

  1. エール・フランス事件(東京高裁判決平成8年3月27日労判706号69頁)
    希望退職者の募集に同意しない従業員に対して、同人を退職に追い込むために、
    ・職場の上司らが、暴力行為や嫌がらせ行為を頻繁に繰り返し、
    ・また、有用性がかなり低い仕事を割り当てたという行為につき、
    慰謝料請求が認められました(暴力行為等に対し200万円、仕事差別につき100万円)。
  2. 国際信販事件(東京地裁判決平成14年7月9日労判836号104頁)
    従業員を会社の中で孤立化させ、退職させるための長期の嫌がらせが繰り返し行われ、当該従業員がうつ病等に罹患した事案につき、慰謝料150万円、休業損害32万7600円が認められました。

退職勧奨や退職強要を受けた時の対処法

退職勧奨や退職強要を受けた時の対処法について以下で解説いたします。

(1)労働トラブルに強い弁護士に相談する

退職勧奨に合意する前に弁護士に相談しましょう。
退職届にサインをしてしまうと、あとで取消そうにも場合によっては、裁判が必要になってしまうことがあります。
弁護士が代理人につくことで退職勧奨が止まることもあります。

弁護士がやってくれること

弁護士に依頼すれば、例えば以下のようなことをやってくれます。

まず、退職勧奨や退職強要などに対して、弁護士が勤め先と、これらの行為を止めるよう交渉をしたり、慰謝料などの請求を行ってくれます。
交渉では解決しない場合には、裁判所で労働審判手続きをすることがあります。

労働審判とは、労働問題を労働審判官(裁判官)1名と労働審判員(労働関係に専門的知識を有する者)2名が審理し、迅速、適正な解決を図ることを目的とする裁判所の手続きのことです。
労働審判では、双方の主張の整理や必要に応じて証拠調べなどをした後、原則として話し合いが行われ、話し合いがまとまれば調停となります。
他方で、話し合いがまとまらないようであれば、労働審判という判断が下されます。

労働審判に不服の場合には、訴訟手続きに移行することができます。

なお、事件の内容が複雑であるなど、労働審判に適さない場合は、労働審判が終了となり、訴訟に移行する場合もあります。

参考:労働審判手続|裁判所 – Courts in Japan

(2)自己都合退職してしまった場合はハローワークに相談する

退職勧奨を受けて退職した場合は、原則として会社都合退職になるはずですが、退職時に交付される離職票を見ると、勤め先が「自己都合退職」として処理していることがあります。

なぜ「自己都合退職」で処理しようとするのかというと、退職勧奨で退職した(会社都合退職)とハローワークに伝えると、勤め先が受け取ることのできる各種の助成金が、一定期間支給されなかったり、減額されたりすることがあるからです。

しかし、先述の通り、自己都合退職とされてしまうと、労働者側にとっては基本手当(失業手当)で不利益を被ってしまうことがあります。

このように、退職勧奨を受けて退職したのに自己都合退職として届け出がされてしまった場合、異議を出せば、ハローワークが会社都合退職に変更してくれることがあります。
退職勧奨である証拠を集めてハローワークと相談しましょう。
ボイスレコーダーによる録音、メールやメモなどが証拠となることがあります。
ハローワークが会社に事実確認を行い、本当は「退職勧奨による退職である」と判断されると、会社都合退職に変更してくれます。

参考:各雇用関係助成金に共通の要件等|厚生労働省
参考:雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス

【まとめ】退職勧奨や退職強要でお困りの方は弁護士に相談へ

退職勧奨は労働者の自発的な退職を促す行為であり、労働者は拒否することができます。
しかし、なかには退職勧奨が、嫌がらせといった退職強要に変わっていることがあり、このような場合、不法行為として、慰謝料の請求などができます。
また、退職強要が強迫に至る程度にまで達している場合には、退職を取消したりすることも可能です。退職勧奨や退職強要でお困りであれば弁護士へご相談ください。

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