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算定表を使えば養育費や婚姻費用分担額の適正な金額は算出できる?

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離婚をする際には、収入の大小に応じて、少ない方が多い方からさまざまなお金を受け取ることができる権利があります。
そういったお金の中に、養育費や、婚姻費用といったものがあります。
こういった費用を決める場合には、一定の基準があります。

そうした基準はどのようなものなのか、多くのお金を受け取るためにはどうしたらよいのか、今回はそのあたりを解説していきます。

養育費・婚姻費用算定表とは

養育費や婚姻費用分担額は、夫婦の収入や子どもの数・年齢などを総合的に考慮して算出するものになります。

そもそも、婚姻費用とは、「夫婦と未成熟の子」という家族が、その収入や財産、社会的地位に応じて、通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。
具体的には、居住費や生活費、子どもの生活費や学費といった費用のことです。

法律上、婚姻費用については、夫婦がその負担能力(収入の大小等)に応じて、分担する義務を負っています。
この義務は、別居していても、法律上の夫婦である限りなくなることはありません。

そのため、夫婦が別居した際に、妻に比べて収入の高い夫が生活費を払ってくれないような場合は、婚姻費用分担請求をすることができます。

個々の家庭で事情が異なるため、逐一計算をしなければなりませんでしたが、2003年に夫婦の年収を当てはめるだけで養育費や婚姻費用分担額の相場がわかる簡易算定表ができました。

(1)養育費や婚姻費用分担額の算定方法

養育費や婚姻費用分担額を算出するときは、以下のステップを踏むことになります。

  1. 義務者(養育費を支払う側)、権利者(養育費をもらう側)双方の基礎収入(総収入から公租公課や職業費、住居費などを差し引いた生活費として使える金額)を算出します。
  2. 子どもが義務者と同居していた場合、その子どものために使っていたであろう生活費の金額を計算します。
  3. 2で算出した生活費を義務者と権利者の基礎収入の割合で按分します。

(2)従来の算定表とその問題点

養育費や婚姻費用分担額を算出する際には、上記のような計算をしなければならなかったのですが、2003年に東京・大阪養育費等研究会が、より簡易迅速に計算できる算定表を発表しています。
家庭裁判所ではこの算定表をもとに養育費や婚姻費用の算定を行っていました。

しかし、算出される金額は非常に低い傾向がありました。

現在では、2003年当時に比べ、食費や光熱費などの費用が値上げされたり、子どもも1人1台携帯電話やスマートフォンを持つようになったりするなど、社会情勢が大きく変化しています。
そのため、「現在の生活実態に合っていない」「金額が低すぎる」「母子家庭の貧困化の原因にもなっている」という指摘がありました。

弁護士会でも2016年、独自に算定表を発表しましたが、実務で使用されることはありませんでした。

2019年12月に発表された改定算定表とは

そして2019年12月23日、社会情勢や実際の支出傾向を反映させた算定表が発表されました。
算定表の改定は16年ぶりのことであります。

そこで、従来の算定表との相違点について解説していきます。

(1)改定算定表とは

「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」をテーマに、東京及び大阪の家庭裁判所所属の裁判官を研究員とする司法研究が行われてきました。

参考:平成30年度司法研究概要│裁判所 – Courts in Japan
参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について│裁判所 – Courts in Japan

この研究報告では、現在、家庭裁判所において養育費又は婚姻費用の算定をする際に活用されている資料(標準的な養育費・婚姻費用の額を簡易迅速に算定するための標準算定方式・算定表)の考え方を踏襲しつつ、基礎となる統計資料を更新するなどした標準算定方式・算定表(2019年版)が提案されています。

改定内容からすると、婚姻費用、養育費の額が改定前よりも増額しているケースが多くなっています。
現代の家庭の支出傾向をできるかぎり反映させる方針で、算定表は作成されています。
これは、従来の算定表との違いを示すために「改定算定表」と呼ばれます。

参考:養育費・婚姻費用の算定表がこう変わる!│東京弁護士会

(2)従来の算定表と改定算定表はどこが違う?

従来の算定表と改定算定表には、以下のような違いがあります。

  • 公租公課(所得税・住民税・社会保険料)は理論値で計算し、8~35%とされました。
  • 職業費は13~18%とされました。
    職業費とは、給与所得者だけが出費を余儀なくされる費用で、被服費・交通費・交際費などがこれにあたります。
    要するに、税務上控除されないものの、実際に出費せざるを得ない経費ということになります。
  • 特別経費は住居費・医療費・保険の掛金で、14~20%となりました。
    特別経費とは、家計費の中でも弾力性、伸縮性に乏しく、自己の意思で変更することが容易ではなく、生活様式を相当変化させなければその額を変えることができない費用のことを言います。

すなわち、養育費の分担よりも優先して支出を余儀なくされる、必然性のある出費がこれにあたります。
これは、実額認定をすると、審理に相当の時間がかかってしまいます。

上記のような事情から、総収入に占める基礎収入割合は以下のように増加したことになります。
給与所得者:34〜42%→38〜54% 事業所得者:47〜52%→48〜61%

生活扶助基準及び教育費に関する厚生労働省の統計に基づく生活費指数は、15歳未満の子が55から62、15歳以上の子が90から85へそれぞれ変更されました。
15歳以上の子の生活指数が下がったのは、国公立高校の学費が下がったためです。

改定算定表の注意点

より実態に即した算定表になったといえども、使うときには注意が必要になってきます。
最近ではいわゆる「ステップファミリー」が増えており、算定表が使えないケースもあります。

改定算定表ができたからといって、それ以前に夫婦間で合意していた内容を変える必要はありませんが、事情が変わった場合には、増額もしくは減額請求できることもあります。

(1)算定表の使えるパターンにあてはまらないと使えない

算定表が使えるのは、以下のパターンのいずれかにあてはまる場合のみとなってきます。

  • 子どもの父親・母親の間に、他に子どもがいない
  • 父親または母親が再婚していない
  • 複数の子供がいるときは、同じ親が全員育てる

また、以下のような場合には、算定表が使えないので、別の計算方法で養育費を計算します。

  • 父親または母がもともと再婚していて、前妻(前夫)との間に子どもがいる場合
  • 子どもが複数いて、たとえば長男と長女は父が、次男は母が引き取るといった場合

(2)成年年齢の引き下げで養育費の終期は変わるか

2022年4月1日より、民法で定められる成年年齢は20歳から18歳に引き下げられることになりました。

協議や調停、和解書、審判、判決で「子どもが成年に達する日が属する月」としていることが多いために、養育費を支払う期間も、2022年4月以降は18歳までになると解釈できることになります。

しかし、最高裁は、民法上の成年年齢が引き下げられても、養育費の終期が18歳に変わることはないと明言しています。
子どもが小さいなどで、いつ経済的に自立するかがわからないケースでは、経済的に自立するのは20歳と考えられるので、義務者は20歳まで支払うということになります。

ただ、高校卒業後に就職して経済的に自立した場合には、18歳の時点で、支払う必要はなくなってきます。

(3)すでに決まっている養育費には影響ある?

最高裁は、改定算定表の発表について、「すでに決められている養育費などの額を変更すべき事情変更にはあたらない」と表明しています。

また、収入の大きな変動、予定外の大きな出費が発生したなど、決められている額を変更する必要がある場合は、新しい算定表が使われるべき、とも発表しています。

子どもが大きくなり、私立の学校に進学することになって教育費が大幅に増えた場合や、ケガや病気で多額の医療費がかかるようになった、などの場合は増額請求が認められる可能性があります。

【まとめ】養育費や婚姻費用の計算に算定表が使えるかは弁護士にご相談ください

養育費や婚姻費用の計算は、算定表を使えば便利でトラブルを生むことも少なくなります。
ただし、個々の家庭の事情も考慮すべきといった注意点もあります。

そのまま算定表にあてはめて算出するのが妥当かどうか心配な場合は、弁護士にご相談ください。

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