浮気・不倫の慰謝料請求の示談書の書き方は?
作成日
2023/12/26
更新日
2024/04/15
- ※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。
目次
そもそも、「示談書って何?どんな効力があるの?」と疑問に思われている方もいらっしゃるかもしれません。
そこでこのコラムでは、浮気・不倫の慰謝料請求における示談書の必要性や示談書を作成するメリットに加え、具体的な例文を挙げて示談書の書き方を解説します。
きちんと慰謝料を支払ってもらうためにも、示談書について理解を深めていきましょう。
また、弁護士が監修した示談書のテンプレートも掲載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
浮気・不倫の慰謝料請求における「示談書」とは?
トラブルが発生したとき、裁判をせず当事者が話し合って合意をすることを「示談」といいます。
「示談書」とは、話合いで合意し、約束した内容を証明する書面のことです。「契約書」と同じような効果を持つ書面であり、当事者間において法的な効力が認められます。
この書面は、「和解書」、「合意書」、「契約書」などと呼ばれることもあります。しかし、これらは呼び方が異なるだけで、効果は示談書と同じです。
「示談書」と「誓約書(念書)」の違い
示談書と誓約書(念書)の違いは、「誰が約束を守るか」という点です。
示談書の内容は、示談をした当事者の双方が守らなければなりません。一方、誓約書(念書)の内容は、作成者のみが守るものです。
ただし、浮気・不倫の慰謝料請求について取り決めた内容は、今後のトラブルを防ぐためにも「誓約書(念書)」ではなく「示談書」として残しておくことをおすすめします。
浮気・不倫の慰謝料請求で示談書を作成するメリット
- 示談後のトラブルを防げる
- 不倫の再発防止になる
- 裁判になった場合の証拠になる
示談後のトラブルを防げる
また、金額や支払方法、支払期日などの認識の相違をなくすこともできるでしょう。
浮気・不倫の再発防止になる
ただし、示談書には、相手の行動を制約する力はありませんので注意が必要です。
裁判になった場合の証拠になる
示談で合意した内容が守られなかったときに裁判を申し立てる場合、有利な証拠になるため、あなたの主張が認められる可能性が高まるでしょう。
自分で作成した示談書にも効力はある?
ただし、違法な内容や公序良俗に反する内容は示談書に記載しても無効となります。
また、相手をだまして示談書にサインさせたり、脅迫や暴行をしたりして示談書を書かせた場合も無効となるため注意しましょう。
自分で示談書を作成するときの5つのポイント
- 示談の当事者が署名・押印する
- 示談成立日を明記する
- 示談書の案文は進んで作成する
- 示談書は明確かつ端的に書く
- 示談書は大切に保管する
(1)示談の当事者が署名・捺印する
「示談書」には、示談の当事者本人の署名・捺印が必要です。
これは、示談の当事者ではない人が署名・捺印をすると、あとで当事者本人から「示談したことは知らない」、「示談書は捏造されたものだ」などと言われるおそれがあるためです。
なお、本人の署名・捺印であることをより確実にするには、実印(印鑑登録証明済のもの)を使い、可能であれば印鑑登録証明書を添付してもらうとよいでしょう。印鑑登録証明書は、原則として本人でなければ取得できないため、「本人以外の人が示談書に署名・捺印した」という反論を防ぐことができます。
(2)示談成立日を明記する
示談書の効力は、基本的に示談の成立日から発生します。
後日、示談書に違反する行為があった場合、いつから示談書の効力が発生していたのかが重要になるケースがあるため、示談成立日を明記しておきましょう。
(3)示談書の案文は進んで作成する
本来、当事者のうちどちらが示談書の案文を作成しても構いません。
しかし一般的には、示談書の作成を主導したほうが自分の要求(接触禁止や浮気の口外禁止など)を盛り込みやすくなり、有利な立場で示談交渉を進められます。
(4)示談書の内容は明確かつ端的に書く
曖昧な表現や不十分な記載をしてしまうとトラブルになるおそれもあるため、注意が必要です。
(5)示談書は大切に保管する
【例文あり】浮気・不倫の慰謝料請求の示談書の書き方
- 不貞行為の事実を認めさせる条項
- 具体的な慰謝料の金額・支払方法・支払期限
- 求償権の放棄
- 慰謝料以外の誓約事項
- 示談内容に違反した場合のペナルティ
- 清算条項
(1)不倫行為の事実を認めさせる条項
「誰と誰の間で、いつからいつまで不貞行為があったのか」を端的に記載し、不貞関係にあったことを認めさせます。
この条項を記載するのは、あとで浮気・不倫相手が「不貞行為(浮気・不倫)をした覚えはない」などと反論してくることを防ぐためです。この条項には、謝罪文言を入れることも有効となります。
示談書には、以下のように記載しましょう。
記載例
・ 「乙は、甲に対し、▲年▲月から▲年▲月までの間、甲の配偶者である○○といわゆる不貞関係にあったことを認める」
・ 「乙は、甲に対し、▲年▲月から▲年▲月までの間、甲の配偶者である○○といわゆる不貞関係にあったことを認めるとともに、これについて深く謝罪をする」
※甲は慰謝料を請求する人、乙は慰謝料を請求する相手(浮気・不倫相手)のことを指します。
(2)具体的な慰謝料の金額・支払方法・支払期限
- 金額
- 支払期日
- 支払回数
- 支払方法(手渡し、振込など)
- 振込手数料の負担する人(振込の場合)
具体的に書くことで、あとで慰謝料が支払われなかった場合に、相手が「その金額を支払うとは言ってない」、「支払方法がわからなかった」などと反論してくることを防げます。
記載例
・ 「乙は、甲に対し、本件不貞行為に基づく慰謝料として金○○万円の支払い義務のあることを認め、これを本示談書締結日から〇〇日以内に甲が指定する下記口座に振り込む方法により支払う。また、振込手数料は乙の負担とする。
記
銀行名 ○○銀行○○支店
口座種別 普通
口座番号 ○○○○
口座名義 ○○○○
・ 「乙は、甲に対し、本件不貞行為に基づく慰謝料として金〇〇万円の支払い義務のあることを認め、本金員を下記のとおり分割して、○○銀行○○支店の甲名義の普通預金口座(口座番号○○)に振り込む方法で支払う。また振込手数料は乙の負担とする。
記
第1回支払期日:〇年〇月〇日 金額:〇〇円
第2回支払期日:〇年〇月〇日 金額:〇〇円
第3回支払期日:〇年〇月〇日 金額:〇〇円
(3)求償権の放棄
あなたが浮気・不倫相手だけに慰謝料を請求して慰謝料を受け取った場合、浮気・不倫相手はあなたの配偶者に対し、本来あなたの配偶者が支払うはずだった金額を請求することができます。この権利を「求償権」といいます。
求償権を浮気・不倫相手から行使してほしくないのであれば、浮気・不倫相手に求償権を放棄してもらうという内容を示談書に盛り込むとよいでしょう。
たとえば、以下のように記載します。
記載例
・ 「乙は、〇〇(配偶者の名前)に対する、本件不貞行為に基づく慰謝料支払債務に関して、求償権を行使しないことを約束する。乙が、前項に違反し、○○に対して求償権を行使したときは、乙が〇〇に対して請求した金額と同額を、甲に対して直ちに支払うものとする」
(4)慰謝料以外の誓約事項
- 不貞行為の継続の禁止
- 配偶者との接触禁止(会う、電話、メール、SNSなど)
- 名誉を傷つける行為の禁止(SNSへの書き込み、周りに言いふらす行為など)
- 迷惑行為の禁止(付きまとい行為、嫌がらせ行為など)
記載例
・「乙は、甲に対し、正当な理由なく、今後、メール、SNS、面会など手段の如何を問わず、○○(配偶者の名前)と一切接触しないことを約束する」
・「乙は、甲に対し、本件に関し、インターネットへの書き込み、口頭での伝達、その他いかなる手段によっても、本件に関する情報をみだりに第三者に対し口外しないことを約束する」
・「乙は、甲に対し、甲の居宅を訪問すること、甲の名誉を害すること、その他甲に不利益となる一切の行為を行ってはならない」
(5)示談内容に違反した場合のペナルティ
示談内容に違反した場合のペナルティを定めて、約束がきちんと履行されることを担保しておくこともおすすめです。ペナルティには、以下のようなものが挙げられます。
- 違約金
- 支払いを怠った場合の一括請求(慰謝料を分割払いにした場合)
示談書には、以下のように記載しましょう。
記載例
・「乙は、甲に対し、本件示談書に定めた事項に違反した場合には、1回の違反行為について各○○万円を甲に支払うことを約束する」
・「乙は、本示談書に定める分割金の支払いを怠った場合には、当然に期限の利益を失う」
(6)清算条項
この規定により、再び不倫をしたなどの事実がある場合を除き、あなたから浮気・不倫相手に対して示談書で定めた以外の請求ができなくなります。
一方で、浮気・不倫相手からあなたに対する請求もできなくなるため、「(あなたから)嫌がらせ行為を受けたから賠償金を請求したい」などの主張を封じることができます。
記載例
・「甲と乙は、甲と乙との間には、本示談書に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する」
浮気・不倫の慰謝料請求の示談書のテンプレート
ただし、上記のテンプレートは必ずトラブルが防げることを保証するものではありません。
浮気・不倫の慰謝料請求の示談書は「公正証書」にするのがおすすめ!
浮気・不倫の慰謝料請求の示談書を「公正証書」にすると、以下の3つのメリットがあります。
- 示談書の内容について偽造や変造が疑われるリスクがない
- 公正証書原本は公証役場で原則20年間保管されるため、示談書の紛失を防止できる
- 強制執行受託文言を記載しておけば、慰謝料が支払われない場合も裁判せずに強制執行できる
公正証書を作成するには費用がかかりますが、示談書を公正証書にすることで、のちのさまざまなトラブルを防止できます。
示談後に平穏な生活を送るためにも、示談書は公正証書にしておきましょう。
浮気・不倫の慰謝料請求を成功させるためには
しかし、相手方との交渉や書面の作成は時間的・精神的な負担が大きく、対応方法によってはご自身に不利な条件で合意してしまうおそれもあります。
そのため、浮気・不倫の慰謝料請求や示談書の作成は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
浮気・不倫の慰謝料請求や示談書の作成を弁護士に依頼すると、次の3つのメリットがあります。
・適正な金額の慰謝料獲得を目指せる
・慰謝料の未払いなど解決後のトラブルを防止できる
相手にあなたの本気の怒りを伝えられる
弁護士があなたに代わり慰謝料請求をすれば、あなたの本気の怒りが伝わるため、浮気・不倫相手の態度が一変し、きちんと対応するケースも多いです。
相手にきちんと責任を取らせるためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
適正な金額の慰謝料獲得を目指せる
適切な慰謝料獲得のためには、過去の判例や法律の知識、交渉のテクニックなどが必要です。法律の知識や交渉のテクニックがないと、相手が支払いを承諾せずにトラブルが長期化することや、あなたが負った精神的苦痛に対して低額すぎる慰謝料で合意してしまうこともあります。
弁護士なら、法律の知見を駆使して相手方と交渉し、適切な慰謝料の獲得を目指せます。また、浮気・不倫相手に弁護士がついて減額交渉された場合などにも、適切に対応できます。
【解決事例】
慰謝料の未払いなど解決後のトラブルを防止できる
弁護士であれば、相手との再接触や慰謝料の未払いなど解決後のトラブルを防ぐための交渉や、示談書や合意書などの書面作成も一貫して対応できるため安心です。
また、弁護士があなたの代わりに相手方とやり取りをするため、余計なストレスや心配もなくなります。
【解決事例】
【まとめ】浮気・不倫の慰謝料請求の示談書には記載すべき6項目がある
- 不貞行為の事実を認めさせる条項
- 具体的な慰謝料の金額・支払方法・支払期限
- 求償権の放棄
- 慰謝料以外の誓約事項
- 示談内容に違反した場合のペナルティ
- 清算条項
アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料請求に関するご相談は無料です。
浮気・不倫の慰謝料請求でお悩みであれば、まずはアディーレ法律事務所へご相談ください。
慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。
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