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借金5000万円!住宅ローン・多重債務の返済が難しい時の対処法

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「一大決心をして住宅ローンを組んで自宅を購入したものの、住宅ローンやその他の借金によって多重債務を抱えその返済が苦しい」

こうしたお悩みをお持ちではないでしょうか?

多重債務の返済が難しい場合、債務整理をするという方法があります。

債務整理には、一般的に、任意整理、自己破産、民事再生の3つの手続がありますが、個人再生は、住宅等の財産を維持したまま、借金の額を大幅に減額できる可能性があります。

この記事では、

  • 住宅ローン等によって高額な負債を背負われている場合の、適切な債務整理の方法
  • 任意整理、自己破産、民事再生の特徴

を知ることができます。

借金5000万円を例に弁護士が解説いたします。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2010年弁護士登録。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。現在、東京弁護士会所属。

借金が高額になるケース

まず、個人の方が借金した場合に、借金の額が高額になってしまうことがあります。

例えば次の場合です。

  1. 住宅ローン
  2. 事業資金
  3. 学費、高級車の購入、ギャンブルなど

これらにつき、詳しくご説明します。

(1)住宅ローン

個人の方の借金が高額になってしまう原因として最も多いのはやはり住宅ローンです。住宅ローンを組む対象としては、分譲マンションや中古マンション、注文住宅等がありますが、国土交通省の調査によると、いずれの種類の住宅の購入価格もおおむね2000万~4000万円台に達しており、令和元年度の注文住宅の購入価格は5000万円を上回っています。

他に、諸費用として数百万円必要になるケースも少なくありません。諸費用とは、登記費用、司法書士への報酬、住宅ローンの保証会社に支払う保証料、仲介手数料、印紙税などの税金、火災保険料などのことです。

これらの諸費用も住宅ローンとしてまとめて借りることも少なくないため、住宅ローンを組む際に借金の額が5000万円に達することもあります。

(2)事業資金

会社が事業資金として数千万円単位の借金をすることはままあることですが、個人の方であっても、例えば中小企業の経営者が会社の借金の連帯保証人になる場合などには、その保証債務が数千万円に達することがあります。

また、会社でなくても、個人事業者の方が事業資金として利用するため、数千万円の借金をする場合もあり得ます。
もっとも、金融機関は、相手がきちんと借金を返済できるのかを審査した上でお金を貸しますので、個人の方が事業資金として数千万円単位の借金ができるのは、医師などの一定の職業の場合や、金融機関以外の支援者から融資が受けられるような場合などでしょう。

(3)学費、高級車の購入、ギャンブルなど

上記以外でも、例えば次の場合に借金の額が高額になる可能性があります。

  •  子供に私立大学等の高額な学費が必要だった場合
  •  ローンを組んで高級車を複数台購入した場合
  •  競馬などのギャンブルにのめり込んで次々に借金を重ねたような場合

また、その借金を返済するため、他の金融機関からの借入れを繰り返したりすると、借金の額はさらに膨れ上がります。

もっとも、そのような原因で借金の額が数千万円にも達するということは、決して多くはありません。

【多重債務】借金5000万円が返済できないなら債務整理

自転車操業にならない、無理のない借金返済が現状では厳しいとなると、借金返済の負担を軽減する債務整理を視野に入れる必要が出てきます。

債務整理には、一般的に、任意整理、自己破産、民事再生の3つの手続があります。

債務整理を行う場合にまず検討することになるのが任意整理です。
任意整理の手続は、一般的に、払い過ぎた利息があった場合には利息制限法で定められた法定金利(15~20%)まで減額し、将来の金利カットや、3~5年間で分割して返済していくことを交渉する手続です。
任意整理により、月々の返済額や、支払の総額を減額できる可能性があります。

また、任意整理の場合、基本的にはどの債権者を任意整理の対象とするのか選ぶことができます。
そのため、住宅ローンは任意整理の対象とせずにそのまま返済を続け、その他の借金を任意整理することにより、住宅を維持したまま債務整理をすることができる場合もあります。

しかし、任意整理は、過払い金によって借金を大幅に減額できるなどしない限りは、基本的には存在する借金を分割払いで返済していく手続ですので、例えば住宅ローン以外で5000万円もの高額な借金があるのであれば、任意整理の手続を進めることが現実的ではないこともあります。

任意整理を行うことができるかどうかの目安は、毎月の返済に充てられる金額×3年分(36ヶ月分)の金額が住宅ローンを除いた借金額を上回るかどうかだと言われています。例えば、毎月の支払い可能額が5万円の場合、債務総額が180万円以下であれば任意整理の目安をクリアしたことになります。

もっとも、債権者との交渉によって返済期間を5年間程度にすることができる場合もありますので、上記はあくまでも目安です。

では、「払いすぎた利息を差し引いても、住宅ローン以外で1000万円の借金が残る場合」を例にして計算してみましょう。
この場合、3年分割の場合で月々約28万円、5年分割の場合でも月々約17万円を、住宅ローンの返済分以外に支払うことになります。
この返済資金を確保することができないのであれば、任意整理の手続を進めることは現実的ではありません。

払いすぎた利息の有無やその額によって、任意整理ができるかどうかが変わってくる可能性がありますので、借金の額だけで自己判断せず、弁護士などに任意整理が可能かどうか相談するとよいでしょう。

では、次に任意整理が困難な場合に利用可能な債務整理の方法を解説します。

(1)個人再生(民事再生)

個人再生とは、返済困難な方が、裁判所の認可決定を得た上で、基本的に減額された一定の負債を原則3年で分割返済していく手続きです。

負債の額や保有している資産の額などによって異なりますが、任意整理よりも大幅に負債が減額される可能性があります(税金など減額されない負債が一部あります)。

個人再生では、住宅を手元に残したまま、住宅ローン以外の債務を減額する制度(「住宅資金特別条項」の制度)が設けられている点が特徴です(ただし一定の要件を満たさないと当該制度は利用できません)。

住宅資金特別条項について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

民事再生法の住宅資金特別条項でマイホームを残す方法

個人再生には

  • 小規模個人再生
  • 給与所得者等再生

の2種類があります。

いずれにせよ、個人再生では、最低弁済額以上の金額を弁済する必要があります。

(1-1)最低弁済額

小規模個人再生の場合は、次の「最低弁済基準額」と「清算価値」の2つを比較し、高い方の金額を返済することとなります。

  • 最低弁済基準額による計算

    借金総額が
  • 3000万円超え5000万円以下 →  負債総額の10分の1
  • 1500万円超え3000万円以下 → 300万円
  • 500万円超え1500万円以下  →  負債総額の5分の1
  • 100万円超え500万円以下   → 100万円
  • 100万円以下         → 負債総額
  • 自己破産した場合に債権者へ配当される金額(これを「清算価値」といいます。)

一方、給与所得者等再生では、上記の「最低弁済基準額」と「清算価値」の基準の他に、次の「可処分所得」も含めた3つの中で最も高い金額を支払うこととなります。

  • 可処分所得(収入から所得税等を控除し、さらに政令で定められた生活費を差し引いた金額)の2年分


多くの場合、可処分所得の2年分が一番高くなりがちですので、給与所得者等再生の方が小規模個人再生よりも返済金額は高くなります。

(1-2)小規模個人再生と給与所得者等再生、どっちをするべき?

小規模個人再生では、債務者の再生計画について、債権者による書面決議が行われ、過半数の反対がないことが必要ですが、給与所得者等再生ではそのような決議はありません。
そのため、過半数の債権者の反対が予測される場合、給与所得者等再生を進めることを検討することとなります。

もっとも、給与所得者等再生は、給与等の定期的な収入を得る見込みがあり、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれる方しか利用することができませんので、個人事業者の方が利用できるケースは限られるでしょう。

(1-3)通常の民事再生しかできない場合も

個人再生の手続は、住宅ローンや、担保によって弁済を受けることができない債権等の総額が5000万円以下でなければ利用することができません。

したがって、無担保で事業資金を借り入れ、その借金の残高が5000万円を超えている方などが民事再生の手続を進めるには、「通常の」民事再生しか行えないこともあります。
具体的にどのような場合にするとよいでしょう。

個人再生の手続は、個人の方が民事再生の手続を利用しやすいように簡易化された手続であり、通常の民事再生の手続による場合は、個人再生の場合よりも手続が複雑・長期になり、手続に必要な費用も高額になります。

どの手続きを取るにせよ、手続きは複雑なので、再生手続の申立ては、弁護士に依頼することをお勧めします。

(2)自己破産

自己破産とは、財産、収入が不足し、負債を返済できなくなった場合に,債務者の一定の財産をお金に換えて債権者に公平に分配する可能性のある手続です。 これに併せて裁判所から免責許可決定を得ると、一定の負債の返済義務を免れることができます(ただし、税金など一部の支払義務は自己破産をしても帳消しにはなりません)。

配当に充てるべき財産がない場合は同時廃止という簡易な手続を取ることができる可能性がありますが、住宅等の財産がある場合や、事業資金等により高額な借入れがある場合などには管財事件という手続を取ることとなることが多いです。
同時廃止と管財事件の違いについて、詳しくはこちらの記事もご確認ください。

破産手続廃止とは?同時廃止までの手続きの流れや費用を解説


少額管財と通常管財

東京地裁では、管財事件について、「少額管財手続」と呼ばれる運用が行われており、少額管財手続によると、「通常の」管財手続と比較して、簡易・迅速に手続を進めることができます(他の地域でも呼び名は異なるものの簡易的な管財手続きが用意されていることがありますので弁護士などにお尋ねください)。
破産手続のほとんどはこの少額管財手続で進められます。会社とその代表者が同時に破産する場合にも、通常は、この少額管財手続で進めることができます。

少額管財手続を利用することができない場合は「通常の」管財手続(特定管財手続と呼ばれています。)を進めることになりますが、東京地裁の場合、特定管財手続となるのは、債権者数が300名以上の大規模な事件や、弁護士に依頼せず本人が破産の申立てを行う場合などです。

東京地裁の場合、少額管財手続では、手続に必要な費用として破産管財人に引き継ぐ予納金が最低20万円とされているのに対し、特定管財手続では最低50万円とされています。

自己破産手続も、民事再生の手続と同様、多くの法的知識を要しますし、弁護士に依頼することで上記の少額管財手続で進めることも可能になるケースがありますので、自己破産の申立ては、弁護士に依頼することをお勧めします。

【まとめ】多重債務でお悩みの方は債務整理の検討を

今回の記事のまとめは次の通りです。

  • 借金の額が高額になってしまう理由には、住宅ローンや事業資金等が考えられる
  • 多重債務に陥り完済が困難な場合には、債務整理がおすすめ
  • 債務整理には、任意整理や、個人再生、自己破産がある。
  • 住宅ローン以外で借金が5000万円もあるようなケースでは、個人再生または自己破産をするケースが多い。

民事再生や自己破産の申立てには多くの法的知識を要しますので、高額の借金の返済でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。