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有期雇用の無期転換化ルール!メリットや条件、よくある質問を解説

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有期雇用とは、契約期間1年など、雇用契約の契約期間が定められているものです。
ところが有期雇用が無期雇用に転換すると、契約期間の定めがなくなり、原則として定年まで雇用されることになります。
そのため、有期雇用が無期雇用に転換することは労働者にとって、とても重要な意味を持ちます。
ではどのような場合に、有期雇用が無期雇用に転換されるのでしょうか。
有期雇用の無期転換化ルールについて弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

有期雇用と無期雇用の違い

有期雇用と無期雇用の違いは、雇用されるうえで「期間の定めがあるかないか?」ということです。
例えば、雇用期間が「〇年〇月〇日~〇年〇月〇日まで」となっている場合は、有期雇用となります。

有期雇用契約の場合、契約期間が終了したら「雇用契約が終了する」か「契約更新するか」のどちらかです。
更新後は、原則として次の契約終了まで働き続けることができます。
有期雇用契約は、派遣社員や契約社員、パート、アルバイトなどの非正規雇用に特に多い契約形態です。

他方で、無期雇用契約の場合、契約終了や更新もなく、原則として、各企業が定めた定年まで長く働き続けることができます。
日本社会における終身雇用も、企業が定めた定年まで働ける仕組みを基にしています。

有期雇用の「無期転換化ルール」とは?

有期雇用の無期転換化ルールとは、同一使用者の下で、有期労働契約が更新されてから通算5年を超えた場合、労働者の申込みによって、原則として期間の定めがない無期労働契約に変えられる仕組みです。

2013年4月1日以降に開始された有期労働契約(※新規の契約、更新された契約の両方を指します)が、通算5年のカウント対象となります。

この無期転換化ルールの内容は労働契約法第18条に書かれており、2013年4月の5年後である2018年4月から申込権が本格的に発生することになりました。

参考:はじまります、「無期転換ルール」|厚生労働省
参考:無期転換の準備、進めていますか?|厚生労働省

有期雇用の無期転換化ルールが生まれた背景

この法律の議論が始まった当時、有期労働契約を反復更新し続けることが多い実態がありました。
これは、有期労働契約の社員が多くの会社にとって大事な戦略として定着していることを意味します。
特に20年などの長期雇用されている有期労働契約社員の場合、例えば2年契約だったとしても、実質的には会社の事業運営に欠かせない労働力である可能性が高いです。
それは、ほぼ定期的に、自動的な更新を繰り返しているだけとも言えます。
こうした社員の無期転換化は、実態と形式を合わせるということであり、自然な流れと言えます。
有期雇用の無期転換化をすると、社員側にも、安定的な雇用によるモチベーションアップや、長期的なキャリア形成に臨めるなどのメリットが生まれます。

無期転換申込権が発生する有期雇用契約者の条件

有期労働契約で働いてきた人が以下の3条件に該当したとき、企業側に無期転換化を申し込めるようになります。

参考:無期転換の準備、進めていますか?|厚生労働省
参考:無期転換ルールのよくある質問(Q&A)|厚生労働省

(1)有期労働契約の通算期間が5年を超えている

無期雇用契約に転換するためには、同一の使用者との間で締結された2つ以上の有期労働契約で、契約期間の通算が5年を超えていることが必要です。
この通算される期間のことを、通算契約期間と呼びます。

ただし、契約期間が3年の有期労働契約を1度更新した場合、通算契約期間は6年になります。
例えば、2013年5月に3年の有期雇用契約を締結し、2018年5月にこの3年契約の雇用契約を更新したとします。
この場合は、契約更新をした2018年5月以降に無期転換申込権が発生します。

(2)1回以上の契約更新が行なわれている

同一の使用者との間で、契約更新が1回以上行なわれていることも大事な要件です。
したがって、どんなに長期間の契約であっても、無期転換化の申込みをするには1回の更新を行なう必要があります。

(3)同一の使用者との間で契約更新をしている

「同一の使用者」との間で契約更新をしていることが必要です。
同じ使用者(同じ法人格)の複数の事業場で有期労働契約を順番に締結してきた場合は、同一使用者ですので、この二つの契約を通算することができます。

他方で、使用者が異なる場合は、原則として、グループ会社の間であっても通算できません。
また、派遣元会社で有期雇用されていた労働者が、派遣先に有期雇用で直接雇用された場合でも、使用者が異なりますので、原則として、この2つの契約は通算できません。

ただし、「企業側で無期転換申込権が発生することを避けるために、同じ就業実態であるにも関わらず、労働契約の締結主体を、当該企業の支配下にある実態のない他の使用者に形式的に切り替えた」場合、同一使用者の要件を満たし、通算できると解釈する余地はあります。

なお、派遣社員の場合、いままで直接雇用していた労働者の離職から1年を経過しない内に、その人を派遣社員として受け入れることは、労働者派遣法40条の9第1項で禁止されています。
ただし、労働者が60歳以上の定年で退職した場合、禁止対象から除外されます(労働者派遣法規則33条の10)。

有期雇用の無期転換化ルールでよくある質問

有期労働契約の無期転換化には、契約期間や雇用契約によって多くのパターンがあります。
ここでは、制度概要や無期転換後の労働条件などについて、よくある質問とその答えの解説をしていきます。

参考:無期転換ルールのよくある質問(Q&A)|厚生労働省
参考:はじまります、「無期転換ルール」|厚生労働省

(1)無期転換申込権を行使できるタイミングとは?

2013年4月1日以降に締結した・更新した有期労働契約の通算契約期間が5年を超えている場合、その契約期間の間にいつでも無期転換を申し込めます。
無期転換の申込みをせずに契約更新した場合も、申し込みの権利を失うわけではなく、新たな契約期間中にいつでも申込み可能となります。

ただし、2013年4月1日より前から有期労働契約の締結と更新を繰り返している場合、通算契約期間の考え方に注意が必要です。
例えば、2012年7月1日から1年間の有期労働契約を更新してきた場合、2013年4月1日より前に締結した契約にかかる契約期間は通算契約期間にカウントされません。
したがって、2012年7月1日~2013年6月30日までの契約による契約期間は無期転換ルールの通算契約期間に入りません。
そのため、この事例では2013年7月1日以降に有期労働契約を締結・更新した期間の通算が5年を超えた場合に、無期転換の申込みができるようになります。

(2)無期転換申込みをした場合、いつから無期労働契約になる?

無期転換の申込みをすると、現在の有期労働契約が終了する翌日から無期労働契約に変わります。
例えば、2021年4月1日に開始した有期労働契約の更新で、2026年3月31日に通算契約期間が5年になる場合は、2026年3月31日までに無期転換の申し込みをすれば、2026年4月1日以降に無期労働契約になります。

(3)無期転換の申込みは書面でも大丈夫?

無期転換の申し込みは、法律上は口頭の申込みでも有効です。
ただし、後々「言った・言わない」などのトラブルを防ぐには、書面で申込みをしたほうがよいでしょう。

(4)部署異動を繰り返していても契約期間の通算は可能?

無期転換化の申込みで大切なのは、同一の使用者との間の契約更新であるかどうかです。
そのため、継続して勤めている同じ会社で、営業部、製品開発部、企画部…と部署異動や職務内容の変更があっても、契約期間は通算されます。
ちなみに同一の使用者とは、労働契約を締結した相手のことをいいます。
したがって、東京支社や大阪支社といった事業場単位ではなく、契約の締結の相手が法人であれば法人単位で「同一使用者」かどうかで判断することになります。
個人事業主が契約締結の相手であった場合、個人事業主の単位で「同一使用者かどうか判断することになります。

(5)一度契約期間が終了した後、3ヶ月後に再契約した場合はどうなる?

一度契約期間が終了した後、同一使用者との間で有期労働契約をしていない期間(無契約期間)が一定以上続いた場合、それ以前の期間は通算されず、リセットされます(これをクーリングと呼ぶ)。
クーリングされるかどうかは、無契約期間直前の通算契約期間と、契約がない期間がどのくらいあったかによって変わってきます。

無契約期間直前の通算契約期間が1年未満の場合

以下に該当するとクーリングされます。

  • 無契約期間直前の通算契約期間が2ヶ月以下かつ無契約期間1ヶ月以上
  • 無契約期間直前の通算契約期間が2ヶ月超~4ヶ月以下かつ無契約期間2ヶ月以上
  • 無契約期間直前の通算契約期間が4ヶ月超~6ヶ月以下かつ無契約期間3ヶ月以上
  • 無契約期間直前の通算契約期間が6ヶ月超~8ヶ月以下かつ無契約期間4ヶ月以上
  • 無契約期間直前の通算契約期間が8ヶ月超~10ヶ月以下かつ無契約期間5ヶ月以上
  • 無契約期間直前の通算契約期間が10ヶ月超かつ無契約期間6ヶ月以上

無契約期間直前の通算契約期間が1年以上ある場合

⇒無契約期間が6ヶ月未満の場合:クーリングされない
⇒無契約期間が6ヶ月以上の場合:クーリングされる

(6)会社側から無期転換の案内はある?

法律上は、無期転換の申込みに関する説明や、労働者に周知することは使用者に義務付けられていません。
したがって、上司などから無期転換の案内が声掛けがされなくても違法ではありません。
ただし、厚生労働省では、無期転換申込権の紛争回避や計画的な人事管理をするためにも、あらかじめ労働条件通知書(労働契約を締結する際に交付される書面)において、無期転換申込権に関する記載をすることを勧めています。
そのため、会社によっては、労働条件通知書などに無期転換化のことが書かれている場合もあります。

(7)無期転換の申込みをすると正社員になれるの?

無期転換申込権は、あくまでも有期労働契約から無期労働契約に変わるための権利です。
したがって、無期転換後の雇用区分などは各社が決めるものであり、正社員(※)になれるというものではありません。
就業規則や雇用契約などで特別な定めがない場合、無期転換直前の契約内容と同一条件になります。
※「正社員」とは、法律用語ではなく、その意味するところも様々ありますが(無期雇用+直接雇用+所定労働時間がフルタイムの社員であるとされることが多いです)、無期転換の申込みにより、当然に、会社の定義する「正社員」(例として、無期雇用+直接雇用+所定労働時間がフルタイムの社員のうち、月給制の賃金の支給を受けている労働者のみを「正社員」としているなど)となる訳ではありません。

一部の業種の方は、無期転換のルールが異なることも

次の一部の業種の方は、無期転換のルールが異なることがあります。

  1. 大学等や研究開発法人における一定の研究者・技術者・教員
    ⇒無期転換するために必要な通算契約期間は5年ではなく、10年を超えることが必要
  2. 高度に専門的な技術等を有し、高収入で一定プロジェクトに従事する労働者
    ⇒業務完了までの期間は、無期転換をする申し込みの権利が発生しない
    (業務完了までの期間が10年を超える場合は、10年間は無期転換をする申し込みの権利が発生しない)
  3. 60歳以上の定年に達した後、同一事業主または高年齢者雇用安定法上の特殊関係事業主に継続して雇用される労働者
    ⇒同一事業主または特殊関係事業主に継続して雇用されている間は、通算契約期間に参入しない

※2、3の無期転換の特例を受けるためには、以下の手続きを踏む必要があります。

  • 対象労働者に対し、特例の内容に関する事項など法律に定められた一定の事項を書面により明示
  • 「事業主が厚生労働大臣に対し、対象労働者の特性に応じて適切な雇用管理を行うための契約を提出」+「同計画が厚生労働大臣の認定を受ける」

【まとめ】有期雇用の無期転化でお困りの際には総合労働相談コーナー等にご相談ください

有期雇用の無期転化は、同一の使用者との間において、通算5年以上の有期労働契約を更新した社員が申し込める権利です。
無期転換申込権の行使には、さまざまな条件があります。
使用者への申込み手続きで判断つかない問題などがある場合は、各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などに設置されている総合労働相談コーナー等に相談をしてみましょう。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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