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派遣切りの対処法とは?違法性や企業が派遣切りを行う理由を解説

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ある日突然派遣切りされて、職を失った……。

リーマンショックやコロナ禍など、経済が急速に冷え込むと、派遣切りが急増する傾向にあります。
「簡単に切り捨てることができる存在」として派遣労働者が扱われている実態が伺えます。

しかし、派遣切りは違法になることもあります。

  • 派遣切りの対処法
  • 派遣切りの違法性
  • 派遣切りの理由

について弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

派遣切りとは?

いわゆる派遣切りとは、「契約が解除されたり、契約が更新されないことにより、派遣労働者が、派遣先企業で働けなくなること」をいいます。

派遣切りの仕組みを理解しやすくするため、ここで派遣の基本的な仕組みについてご説明します。
派遣には、派遣労働者と派遣元企業、派遣先企業が登場します。

  1. まず派遣労働者は、派遣元会社と雇用契約を結びます。
  2. 次に派遣元企業は派遣先企業と、労働者派遣契約を結びます。
  3. 1、2により、労働者は派遣先企業で働くことになります。

派遣切りは2の労働者派遣契約が途中で解除されることをいいます。
なお、厚生労働省の定義によれば、1の派遣元企業と派遣労働者との間の雇用契約を途中で解除することは、「解雇」となります。
派遣切りか解雇かで、その違法性の判断基準が異なりますが、一般的には、派遣契約の解除も雇用契約の解除も「派遣切り」と表現されることが多いです。

参考:いわゆる「派遣切り」と「解雇」との関係|厚生労働省

(1)派遣切りの違法性

派遣切りが違法になるかどうかは状況によって異なりますが、派遣元企業と派遣労働者の間の雇用契約が解除(解雇)された場合には、違法となることがあります。

(1-1)労働者派遣契約の解除の場合

派遣元企業と派遣先企業の間で締結されている「労働者派遣契約」が途中で解除されても、派遣労働者との関係では直ちには派遣切りが違法とはなりません。
派遣労働者は労働者派遣契約の当事者ではないからです。

ただし、労働者派遣契約の解除に伴い、派遣元企業から解雇された場合には、後述の通り、派遣元企業からの解雇の部分が違法になることがあります。

また、裁判例上、信義則に反するような労働者派遣契約の解除については、不法行為として違法となることがあります(※)
※不法行為は、契約関係の無い当事者の間にも成立し得ます。

三菱電機ほか事件(名古屋高裁判決平成25年1月25日労判1084号63頁)

  • 契約の更新からわずか10日後にされた労働者派遣契約の中途解約
  • さらに、派遣元企業から、労働者派遣契約の定めに従って派遣労働者のための新たな就業機会の確保を要請されたにもかかわらず、派遣先企業がこれに応じなかった。

以上の事案について、「派遣労働者契約の中途解約の時期・態様などにおいて派遣労働者の雇用の維持や安定に対する合理的な期待をいたずらに損なうことがないようにする」との信義則上の配慮を欠いているため、不法行為が成立すると判断されました(慰謝料50万円が認められました)。

なお、法律ではありませんが「派遣先が講ずべき措置に関する指針」というものが定められており、これには、「労働者派遣契約を中途解除する場合は、派遣労働者の就業機会の確保を図ること(※)」など、一定の措置を講ずるよう指針が定められています。
※派遣労働者の責めに帰すべき事由による解除は除く

参考:派遣先が講ずべき措置に関する指針|厚生労働省

(1-2)雇用契約の解除(解雇)の場合

「派遣元企業と派遣労働者との間に締結されていた雇用契約を中途解除された」という形態の派遣切りの場合、派遣労働者との関係でも違法となることがあります。
雇用契約につき、期間の定めのない派遣労働者と、期間の定めの有る派遣労働者とに分けてご説明します。

1.期間の定めのない派遣労働者の場合
派遣元企業と、期間の定めのない雇用契約を締結している派遣労働者の場合は、雇用契約の中途解除(解雇)に、

社会的相当性客観的な合理性

がなければ解雇が違法・無効になることがあります(労働契約法第16条 解雇権の濫用)。

例えば、嫌いだからという理由や嫌がらせ目的の解雇であると、解雇に社会的相当性と客観的な合理性がないといえますので、解雇は違法・無効となります。

また、解雇しようとする場合には、原則として少なくとも30日前に解雇予告をしなければなりません(労働基準法20条1項)。
解雇予告が30日前に満たない場合は、原則として「不足した日数分の平均賃金」を企業が支払う義務があります(解雇予告手当、労働基準法20条2項)。
※ただし、2ヶ月以内の雇用期間を定められている季節労働者以外の労働者(2ヶ月を超えて引き続き雇用される場合を除く)など、解雇予告義務や解雇予告手当の支払い義務がない場合が一部あります。

これに加えて、事例によっては、法令や裁判例によって解雇には様々な制限が加えられて
います(一定の場合の解雇禁止など)。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

企業から解雇された場合の法的な規定と不当解雇への対処法を解説

2.期間の定めのある派遣労働者の場合
派遣元企業との雇用契約に期間の定めのある派遣労働者の場合、「やむを得ない事由」がないと、期間の途中で解雇することができません(労働契約法17条1項)。
「やむを得ない事由」は、先ほどの「社会的相当性」「客観的合理性」よりも厳格に判断すべきと考えられていますので、期間の定めがない場合の解雇よりも、解雇しにくい、ともいえます。
派遣元企業と派遣先企業との間の労働者派遣契約が中途解除された場合でも、そのことが直ちにこの「やむを得ない事由」に該当するわけではありません。

参考:解雇や雇止めに関するルールについて|厚生労働省

(1-3)雇止め

派遣元企業と期間の定めのある雇用契約を締結している場合で、契約期間が満了するので更新しようとしても、派遣元企業から更新を拒否されることがあります。
このような形態による派遣切りは、雇止めにあたります。
雇止めについては、労働契約法19条にて、次のように規定されています。

  • 期間の定めある労働契約が、過去に反復して契約期間を更新されたことによって、期間の定めのない労働契約と実質的に同じ場合、
    または、
  • 当該労働者が、期間の定めある労働契約の更新を期待することが合理的といえる場合

には、期間満了前に労働者が契約の更新の申し込みをするか、期間満了後すぐに有期労働契約締結の申し込みをすると、簡単には雇止めをすることができなくなります。

このような場合に、有効に雇止めをするためには、使用者が労働者からの契約更新の申し込みなどを拒否することが、客観的にみて合理的な理由があり、社会通念上相当である必要があります。
これらの要件を満たさない場合には、雇止めは違法・無効となります。

例えば、過去に何度も契約が更新されているにもかかわらず、労働者が再度、次の契約の更新を申し出ると、合理性・相当性もなく更新を拒絶された場合には、雇止めが違法・無効の可能性があります。

雇止めが無効となると、労働契約法19条により、従前の期間の定めのある労働契約と同じ労働条件で、雇用が継続することになります。

【雇止めが違法・無効となる場合】

期間の定めのない労働契約と実質的に同じ場合
または
有期労働契約の更新を期待することが合理的な場合

+

期間満了前に契約の更新の申し込みまたは期間満了後すぐに有期労働契約締結の申し込み

+

使用者が上記申し込みを拒否することが、客観的合理性・相当性を欠く

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

雇い止めとは?正しい判断基準と労働者が押さえておくべき対処法

参考:労働契約の終了に関するルール|厚生労働省

(2)自主退職に追い込むケースも

先に紹介した通り、労働者派遣契約の中途解除や雇用契約の中途解除・雇止めといった派遣切りの場合、企業にとっては違法・無効となるリスクがあります。
そのため、派遣労働者に対して、あの手この手で自主退職を求める圧力をかけるケースがあります。
なかには、パワハラやセクハラ、モラハラなどの行為によって自己都合による退職に追い込むケースすらあります。
立場が弱くみられてしまいがちな派遣労働者がこういった被害に遭っているケースは多いです。

企業や派遣会社が派遣切りを行う理由

派遣先企業や派遣元企業によって異なるものの、派遣切りを行う理由には大きく分けて3つあります。
その理由を以下で解説します。

(1)派遣3年ルールから逃れるため

派遣3年ルールから逃れるために派遣切りが行われることがあります。
つまり、次の通り、同じ事務所の同じ組織(部署)で3年を超えて派遣労働をすることができません。

【事業所単位】(労働者派遣法40条の2)
原則として、同じ派遣先の事業所で3年を超えて同一の労働者が派遣労働することはでき
ません。
ただし、3年を経過するごとに当該事務所の過半組織労働組合または、過半数代表者の意見
を聴取等すれば、期間を延長することができます。

【組織単位】(労働者派遣法35条の3)
派遣先の事業所内の同一の組織(「〇〇課」など)の業務について、3年を超える期間継続
して、同一の労働者が派遣労働することはできません。

3年が経過すると、派遣元企業や派遣先企業は、例えば次のような選択肢を取る必要が出て
きます。

  • 派遣先企業が派遣労働者と直接雇用を結ぶ、
  • 派遣先企業は、事業所単位での期間の延長手続きを経た上で、当該派遣労働者を同じ事業所の別の課に異動させる
  • 派遣元企業が派遣労働者と期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)を締結する
    (※無期雇用契約の場合は、3年ルールの適用がないため)
  • 派遣元企業が、別の派遣先企業を斡旋する

派遣先企業としては別の課に異動させると、元のように戦力になるとは限らないというリスクを負うことになります。
また、直接雇用も避けたいとして、派遣切りに及ぶことがあります。
派遣元企業としても、別の派遣先企業を斡旋するのは大変です。
また、無期雇用契約にすると派遣元企業としては基本的に定年まで雇わなければならないというリスクを負うため、無期雇用契約を避けるべく、派遣切りに及ぶことがあります。

参考:労働者派遣法の実務〈派遣元・派遣先用〉|厚生労働省

(2)能力不足や勤務態度の悪さ

派遣社員の勤務態度や能力に理由があるとして派遣切りされるケースがあります。
しかし、これまで能力不足についての言及や指導がなかった場合は、派遣3年ルールから逃れるための後付けの理由であることも多いです。
なお、遅刻や欠勤が著しく多い、就業中に居眠りをするなど勤務態度が著しく悪い場合は、裁判をしても解雇が有効と認められることがありますので注意しましょう。

(3)業績悪化による人件費の削減

業績悪化に伴う人員整理では、正社員よりも先に派遣労働者が対象になることが少なくありません。
先述の通り、派遣先企業と派遣元企業の労働者派遣契約の解除をしても、直ちには、派遣労働者に対する違法行為にはならないため、派遣切りをして手っ取り早く人数調整をしようとするのです。

派遣切りされてしまった時の対処法

派遣切りにあった時の対処法や再就業までのステップを紹介します。

ただし、派遣先企業と派遣元企業の契約解除・終了に起因する派遣切りの場合、派遣社員が取れる対応は限られているため、所属する派遣元企業と今後の対応について話し合うのが基本的な対応方法となります。
企業間での契約がなくなったとしても、必ずしも派遣元企業と派遣労働者の間の雇用契約まで解除されるわけではありません。

そのため、以下では派遣元企業に解雇されてしまったケースについて説明します。

(1)解雇の妥当性について話し合う・弁護士に相談する

先述の通り、企業間の契約がなくなったからといって、直ちに派遣元企業が派遣労働者を解雇できるわけではありません。
それにも関わらず企業間の契約がなくなったことを理由に解雇を一方的に言い渡された場合や即日解雇とされた場合は、不当解雇の可能性があるため、直接派遣元企業と話し合うか、労働問題に強い弁護士やハローワークなどに相談しましょう。

(2)新しい派遣先を探してもらう・転職活動を行う

解雇が無効である場合、その後もその派遣元企業に在籍していることになりますので、新しい派遣先企業を斡旋するように依頼しましょう。
ただし、一度争った派遣元企業で働くことに抵抗がある場合も少なくないため、新しい派遣元企業を探す方も多いです。

そのため、解雇の妥当性について話し合うのと同時に転職活動を行っていくことがおすすめです。

(3)雇用保険(失業保険)の手続きを行う

上記で転職活動を選んだ結果、失業期間が発生する場合は、雇用保険から失業保険を受け取ることができる場合があります。
失業保険を受給できる条件を満たしている方は、失業保険の手続きを行いましょう。

派遣切りの場合、会社の一方的な都合で解雇を言い渡されることが多く、このような解雇の場合、「雇用保険被保険者として退職日以前1年間に最低6ヶ月以上働いた期間があること」という要件などを満たしていれば、通常は約1ヶ月で失業保険の支給が始まります(待期期間+事務手続き等に必要な時間)。

なお、自己都合での退職だと基本的には「雇用保険被保険者として退職日以前2年間に最低12ヶ月以上働いた期間があること」という要件などを満たす必要があり、各要件を満たしていると判断されても、基本的には失業保険の支給までは通常約3、4ヶ月かかります(待期期間+給付制限期間+事務手続き等に必要な時間)
※自己都合退職の具体的理由によって、支給条件や支給時期は異なります。

【待期期間7日+給付制限期間】
⇒この期間が経過すると支給対象となりますが、実際に振り込まれるまでにさらに時間がかかります。

  • 会社都合退職、特定離職者:7日(給付制限期間なし)
  • 自己都合退職:
    2020年9月30日までに離職→7日+3ヶ月
    2020年10月1日以降に離職→原則7日+2ヶ月
                 例外(※)7日+3ヶ月後

※例外(3ヶ月後+7日経過後)となるのは以下の場合です。

  • 自己の責めに帰すべき重大な理由で離職した場合(横領したことで離職した場合など)
  • 5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合退職をした場合

また、会社都合退職の方が自己都合退職よりも失業手当の給付日数の面で有利になることもあります。

自己都合で退職したわけでもないにも関わらず自己都合と離職票に記載されている場合は、離職票をハローワークに提出する際に、不服である旨をハローワークに伝えましょう。
不服である旨を述べるとハローワーク等が退職理由について調査・認定をします。

参考:基本手当について|ハローワークインターネットサービス
参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準|厚生労働省
参考:「給付制限期間」が2ヶ月に短縮されます|厚生労働省

【まとめ】派遣切りのお悩みは弁護士へご相談を

正社員であっても派遣社員であっても不当な解雇が認められないのは同じです。
不当な派遣切りに遭ってしまった場合は、労働関係に強い弁護士に相談するのがおすすめです。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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