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うつ病と診断されたら仕事は休職できる?休職中の収入はどうなる?

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yamazaki_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「疲れがひどくて受診したら『うつ病』と診断された。休職できるのかな……?」

「うつ病」と診断された場合には、会社に休職制度があれば、仕事を休職できる可能性があります。また、要件を満たせば、一定のお金を受け取れる場合もあります。

この記事を読んでわかること
  • 休職制度の意義
  • 休職中の給付
  • うつ病と診断された場合の対処法
  • 休職や解雇のトラブルにあった時の相談先
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

うつ病になったら休職制度を活用して休職できることがある

うつ病になってしまいました。仕事を休職できるでしょうか?

会社に休職制度があれば、それに従って仕事を休職できる可能性があります。

休職制度は、法律で会社に義務付けられたものではなく、会社の就業規則により定められていることが一般的です。

休職制度の内容(休職の要件や休職できる期間など)も、会社によって異なるため、休職を考える方は、あらかじめ就業規則を確認したり人事部に休業制度の内容を確認しましょう。

では、一般的な休職制度はどのようなものでしょうか。

休職とは、労働者を働かせ続けることができなくなり、または働かせ続けることが不適切となる事情が生じたときに、雇用契約関係を維持しながら、働く義務を免除したり禁止したりするものです。
たとえば、病気になって働くことができない場合に、雇用関係を解消しないまま会社がその従業員を働かせないようにするのです。
傷病休職(けがや病気を理由とする休職)であれば、私傷病(仕事とは関係のない原因によるけがや病気)による欠勤が一定期間以上になった段階で行われることが多いです。

うつ病で働けなくなっても、休職制度があればすぐに仕事を解雇されてしまうわけではないのですね!

そうですね。休職制度を使ってゆっくり仕事を休み、うつ病の治療に専念しましょう。

多くの会社では、うつ病などにより一定期間働くことができないことを理由としてすぐに解雇してしまうのは酷であるとして、休職制度を採用しています。
そして、休職期間の満了時になっても、うつ病などが治らず、復帰して働くことができないときには、その時に初めて自動退職にしたり解雇したりするなどとして就業規則等に規定されている場合が多いようです。

うつ病で休職するときは、収入面のセーフティーネットを利用しましょう

うつ病で仕事を休職できるのはうれしいのですが、収入がなくなってしまうのが心配です。どうしたらいいのでしょうか?

うつ病などで仕事を休職している間の収入を補う制度が使えるかもしれませんよ!

うつ病で仕事を休職できるとしても、収入がなくなることを心配される方は多いです。
基本的に、休職中の給料は「ノーワークノーペイの原則」(会社は労働者が働かない間の給与は支払う必要がないという原則)が適用されるため、給料は支払われないことが一般的です。
ただし、会社によっては、休職中も給料の一部が支払われる旨が休職制度で定められている場合もあります。休職制度の内容を確認してみましょう。

休職期間中に給料が支払われない場合であっても、一定のセーフティーネットがあります。

  • 傷病手当金
  • 休業補償給付

これらについてご説明します。

(1)健康保険の傷病手当金

まずは、健康保険から給付される傷病手当金があります。
傷病手当金の受給要件は次の5点です。
ア 健康保険に加入している者であること
イ 業務外の事由による病気・ケガの療養のために仕事を休むこと
ウ 仕事に就いて働くことができない状態であること
エ 4日以上連続して仕事を休んでいること
オ 給料の一部または全部が支払われないこと

傷病手当金の支給期間は、支給開始日から「通算して」1年6ヶ月までです。支給期間途中で出勤して傷病手当金が支給されない期間があるときは、支給開始日から起算して1年6ヶ月を超えても、繰り返し支給可能になります(2020年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金の場合)。
傷病手当金の支給額は、給料のおおむね3分の2に相当する額です。

傷病手当金について、詳しくはこちらをご覧ください。

傷病手当金と有給休暇はどっちが得?選ぶ際のポイントや違いを解説

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会

(2)労災保険の休業補償給付

うつ病になったことが業務に起因する(仕事が原因である)など一定の要件を満たす場合には、そのうつ病が労災(労働災害)と認定されることがあります。
労働基準監督署に労災認定されると、労災給付を受けられます。

うつ病の労災認定要件は、次のとおりです。

  1. 発病前のおおむね6ヶ月の間に業務による強い心理的負荷があったこと
    →発病直前の1ヶ月におおむね160時間以上の時間外労働を行った、生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをしたなどの事情があると、「特別な出来事」があったとして、強い心理的負荷があると認められます。
  2. 業務以外の心理的負荷による発病ではないこと
    →業務以外で私的な出来事による心理的負荷があるか否かを確認する要件です。
  3. 個体側要因による発病ではないこと
    →精神障害の既往歴やアルコール依存状況がなかったかどうかを確認する要件です。

うつ病による労災認定は、上記のような認定要件を満たす証拠を取り揃える必要があるため、簡単ではありません。
労災申請をするにあたって必要な証拠としては、うつ病発症前の労働状況を示す資料、タイムカード等、カルテ、診断書などが必要となります。

労災と認められた場合に、補償される休業補償給付の支給期間は、休業4日目から休業が続く間です。
そして、1日あたりの休業補償給付の金額は、給付基礎日額の80%となります。
労災保険から休業補償給付を受けると、健康保険の傷病手当金の一部または全部が調整されることとなります。

参考:精神障害の労災認定|厚生労働省

労災保険の認定基準や申請方法は、こちらもご覧ください。

労災とは?労災保険の認定基準や申請方法を解説

休職する?退職する?うつ病と診断されたときの検討ポイント

では、うつ病だと診断された場合、どうしたらよいでしょうか。

まず、うつ病と診断されたら、医師の助言にしたがって療養することをおすすめします。
我慢して会社で仕事を続け、うつ病が悪化してしまうこともあります。
まずはうつ病を治すことを第一に考えましょう。

それでは、療養するためには、仕事はどうしたらよいのでしょうか。
仕事から離れるについては、「休職」と「自主退職」があります。

ここからは、休職か退職かを検討する際に押さえておきたいポイントを説明します。

(1)ポイント1|休職期間満了後に解雇されるとは限らない

会社に休職制度はあるけれども、休職制度を利用すると休職期間満了後に解雇されてしまうのではないかと心配される方も多いのではないでしょうか。

休職期間の満了までにうつ病が回復し、復職が可能な状態になれば、復職することができます。

休職期間満了時点で復職が可能な状態でなければ、解雇可能と社内規程で定めている会社も少なくありません。

休職期間満了前の休職事由の消滅は、就業規則等で「治ゆ」等と規定されます。
「治ゆ」とは、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したときを意味するとされております。その状態に達しない場合、会社がその従業員を解雇したとしても基本的には違法とはされません。

この「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復した」といえるのか判断は、雇用契約に職種や従事する業務内容を限定する特約があるか否かにより異なります。

そうした特約があるときは、従前の業務を遂行できる程度に病状が回復しているかが問われます。うつ病がその程度に回復しており、復職の申出があるにもかかわらず、会社がその従業員を解雇したときには、原則として解雇権を濫用するものとして無効とされます。

そうした特約がないときは、従前の業務を遂行できないとしても、配置される現実的可能性のある他の業務があれば、それを遂行できる程度に病状が回復しているかが問われます。うつ病がその程度に回復しており、復職の申出があるにもかかわらず、会社がその従業員を解雇したときには、やはり解雇権を濫用するものとして無効とされる可能性が高いです。

なお、労働基準法19条1項に定められている解雇制限により、仕事が原因でうつ病となった場合は、会社は休職期間満了後も30日間は解雇できません。

また、会社には、うつ病で休職した労働者がもとの業務に就くほどまでには回復できていない場合でも、回復が見込まれる場合には可能な限り軽減業務に就かせる健康配慮義務があるとされています。

したがって、休職制度を利用した場合、休職期間満了後ただちに解雇されるとは限らないのです。

(2)ポイント2|会社に休職制度がなくても、ただちに解雇されることはない

自主退職をせずに療養のため出勤しないと、それは休職ではなく欠勤として扱われることになります。
うつ病等で就労不能の状態にあれば、会社がその従業員を解雇した場合には、その解雇に合理的な理由があり、社会通念上相当であるとして解雇が有効であるとされることがあります。

もっとも、うつ病等の病状が回復し、復職の可能性があるにもかかわらず、これを考慮することなく、会社がその従業員を解雇したときは、解雇権を濫用したとして無効とされる可能性が高いです。

なお、業務が原因のうつ病ならば、休職制度がなくても会社には次の義務があります。

  • 労働基準法19条1項により、休業しても30日間は解雇できない
  • 可能な限り軽減業務に就かせるなどの健康配慮義務

仕事が原因でうつ病に……どこに相談したらいい?

休職や解雇のトラブル、職場環境の改善は、まずは社内の相談部署や労働組合に相談するのがおすすめです。
これらの相談窓口に持ちかけても期待する対応を得られない場合などは、労働基準監督署内の総合労働相談センターに相談したり、労働問題に精通した弁護士に相談をご検討ください。

【まとめ】休職制度があれば休職でき、要件を満たせば傷病手当金などがもらえる

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 休職制度の有無や内容は、会社ごとに異なる
  • 休職制度がなくても、仕事が原因のうつ病でただちに解雇されるとは限らない
  • 仕事を休んでいる間の収入面のセーフティーネットとして、健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付がある
  • うつ病と診断されたら、医師の助言にしたがって療養するのがおすすめ
  • 休職や解雇のトラブル、職場環境の改善は、まずは社内の相談部署や労働組合に相談すると良い

うつ病の休職トラブル・解雇トラブルにお困りの方は、全国の労働基準監督署内の総合労働相談センターや労働問題に精通した弁護士にご相談ください。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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