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後遺障害等級11級が認定された場合にもらえる賠償金について弁護士が完全解説します

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「後遺障害等級11級に認定されたら、どんな賠償金を受け取れるのかな。」

後遺障害等級11級に認定されると、基本的に、加害者に対して治療費などのほかに「後遺症慰謝料」と「逸失利益」を請求できます。

ですが、後遺症慰謝料も逸失利益も明確な基準が1つあって、機械的に金額が計算されるわけではなく、加害者側の保険会社によっても提示される金額は異なります。

保険会社の提示する金額を鵜呑みにするのではなく、本来はどの程度までの増額が可能なのか、事前に調べることをお勧めします。

今回の記事では、

  • 後遺障害等級11級の内容
  • 後遺障害等級11級に認定されると受け取れるお金
  • 後遺症慰謝料の基準
  • 逸失利益の計算方法
  • 弁護士に依頼するメリット

などについてご説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

目次

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後遺障害等級11級の内容について

後遺障害等級11級は、次の10種類です。

後遺障害の内容
1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4.10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声で解することができない程度になったもの
6.1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7.脊柱に変形を残すもの
8.1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
9.1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

参考:後遺障害等級表|国土交通省

具体的にどのような症状なのか、ご説明します。

(1)1号 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの

眼球の調節機能障害

調節機能とは、見たい物の距離に応じてピントを合わせる機能です。
調節機能が低下すると、ピントが合わずに物がぼやけて見えるようになります。

「著しい調節機能障害」とは、正常な状態と比較して2分の1以下になってしまう場合をいいますが、目の調節機能は加齢によっても失われてしまいます。

そのため、55歳以上の方の場合、調節機能に問題があっても後遺障害として認定されないケースが多いです。

眼球の運動障害

眼球は、水平・垂直・回旋という3つの運動ができますが、運動障害とはこれらの眼球の運動が制限されてしまうことです。

「著しい運動障害」とは、眼球の運動が制限されて、眼球の注視野(※頭を固定した時に、眼球だけを動かして直視できる範囲のこと)の広さが2分の1以下になってしまう場合です。

注視野の広さの平均は、片目で見る場合は各方向約50度、両目で見る場合は各方向約45度とされています。

(2)2号 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

これは、次のような状態です。

  • まぶたを閉じた時に、角膜(※黒目の部分)を完全に覆えない状態
  • まぶたを開いた時に、まぶたが完全に瞳孔(※黒目の真ん中にある、より黒い部分)を覆ってしまう状態

(3)3号 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

これは、まぶたの欠損により、普通にまぶたを閉じた時に、角膜を完全に覆えない状態です。

交通事故による目・まぶたの障害について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通事故で目、まぶたにケガ|認定される後遺障害等級について解説

(4)4号 十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

「歯科補綴」とは、歯を失った時や、著しく欠けてしまった時に義歯やブリッジ、インプラントなどで歯を補強することをいいます。

失った歯の数と義歯の数が一致しない時は、失った歯を基準に数えます。
また本号は永久歯の話ですので、乳歯は含まれません。

交通事故による歯の障害について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通事故の前歯の欠損は後遺障害になる?歯の後遺障害認定の注意点

(5)5号 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

これは、具体的には、両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上の場合です。

ちなみに、近郊の高層住宅地域の夜間の騒音レベルが平均42dB、図書館内の騒音レベルが平均43dBですので、それらの場所で音が聞こえないレベルです。

参考:騒音の目安(都心・近郊用)|環境省

(6)6号 一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

これは、具体的には平均純音聴力レベルが70~80dB未満、または50dB以上で、かつ最高明瞭度が50%以下のものをいいます。

明瞭度とは、語音聴力検査(※言葉の聞き取りやすさに関する検査)結果を表すものです。
最高明瞭度は100%ですので、最高明瞭度の半分以下になった場合です。

交通事故と耳の障害に関して詳しくはこちらの記事もご参照ください。

(7)7号 脊柱に変形を残すもの

脊柱の図

※解剖学上、仙骨・尾骨は脊柱の一部ですが、障害等級上の脊柱の障害は、頸部・体幹の支示機能・保持機能・運動機能に着目したものですので、それらの機能と無関係な仙骨・尾骨は脊柱には含みません。

「脊柱に変形を残すもの」とは次のいずれかに該当する場合です。

  • 脊椎圧迫骨折などを残しており、そのことがX線写真などにより確認が出来るもの
  • 脊椎固定術が行われたもの(移植した骨がいずれかの脊椎に吸収されたものを除く)
  • 3個以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの

(8)8号 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

「ひとさし指、なか指又はくすり指を失う」とは、それらの指の近位指節間関節(いわゆる第2関節)以上を失う場合です。

なお、親指を失った場合は後遺障害等級9級、小指を失った場合は後遺障害等級12級に該当します。

交通事故と手指の障害について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通事故による手指の後遺障害等級について徹底解説

(9)9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの

「用を廃する」とは、次のいずれかの場合です。

  • 第1の足指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったもの
  • 第1の足指以外の足指を中節骨又は基節骨を切断した場合
  • 第1の足指以外の足指を遠位指節間関節又は近位指節間関節で離断(関節部で分離してしまうこと)した場合
  • 中足指節間関節又は近位指節間関節(第1の足指については指節間関節)の可動域が問題のない足の指と比較して2分の1以下に制限された場合

第一の足指とは親指のことです。
親指+他の指について用を廃した場合に該当します。

交通事故と足指の障害について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通事故で足指が切断・曲がらない!後遺障害等級と慰謝料を解説

(10)10号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

これは、肺・心臓・胃・小腸・大腸・肝臓・すい臓・泌尿器などの内臓機能に障害が残る場合です。

交通事故と胸腹部臓器の障害について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通事故で内臓に機能障害が残った場合に認定される後遺障害等級は?

後遺障害等級認定を受けることにより受け取れるお金について

後遺障害等級認定を受けると、基本的には次の賠償金が受け取れます。

  • 後遺症慰謝料
  • 後遺症による逸失利益

それぞれについてご説明します。

(1)後遺症慰謝料について

後遺症慰謝料とは、交通事故により後遺症が残ったことについての精神的苦痛を慰謝するための金銭です。

けがの治療が終了し、後遺障害等級認定を受けると、最終的な損害賠償金額について保険会社と話合い(=示談交渉)をするかと思います。
その際、後遺症慰謝料について気を付けるべきことをご説明します。

(1-1)後遺症慰謝料の基準は1つではないこと

まず一つ目は、後遺症慰謝料の基準は、絶対的な基準が1つあるわけではないということです。
まず、自賠責保険会社と弁護士の基準によって、それぞれ基準が異なっています。

後遺障害等級11級についての自賠責の基準と弁護士の基準の差は次のとおりです。

自賠責の基準弁護士の基準
慰謝料の金額 136万円(※)420万円

※2020年4月1日以降に発生した交通事故の場合

差額は284万円です。

なぜ、自賠責と弁護士の基準との間でこれほど基準に差があるかと言えば、自賠責保険は必要最低限度の被害者の救済を目的としているからです。
ただ、実際の裁判例がいくつも積み重ねられた結果、弁護士に依頼して交渉などをした場合の基準値として、現在の弁護士の基準というものができたのです。

もちろん、弁護士の基準とは言っても、後遺障害等級11級の場合は全て420万円の慰謝料が認められるというわけではなく、それよりも増額されることもあれば、減額されることもあります。
ただ、一般的には、概ね弁護士の基準から大きくはずれることはありません。

このように、後遺症慰謝料の金額は、絶対的な基準があるわけではなく、自賠責の基準と弁護士の基準には大きな差があるということに注意が必要です。

そして、次にご説明しますが、自賠責や弁護士の基準とは別に、任意保険会社も独自の基準をもっています(基準は保険会社によって異なっているため、一律ではありません)。

(1-2)一般的に任意保険会社の基準は、弁護士の基準には及ばないこと

二つ目の注意点は、任意保険会社の基準は、一般的には自賠責の基準に近い金額であって、弁護士の基準には及ばないということです。
今、まさに保険会社と示談の話合いをしているという方で、任意保険会社の提示した後遺症慰謝料が低額すぎると思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

交通事故の慰謝料は、自賠責の基準・任意保険会社の基準・弁護士の基準がそれぞれ異なり、通常は自賠責の基準が一番低く弁護士の基準が一番高くなるのです(※ただし、自賠責保険金額は交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります)。

任意保険会社としては、自賠責の基準から離れた高額な金額は提示しない傾向があります。

ですが、弁護士が間に入って交渉などをすると、基本的には任意保険会社の基準より増額した金額(弁護士の基準に近い金額)で支払いを受けることが可能になるケースもよくあります。

今まさに保険会社と示談の話合いをしているという方やこれから話合いをするという方は、任意保険会社の提示する後遺症慰謝料の金額を安易に承知せず、弁護士の基準だったらどうなるのか、一度確認してみることをお勧めします。

(2)後遺症による逸失利益について

次に、後遺症による逸失利益についてご説明します。
逸失利益とは、後遺症によって失われる将来分の収入です。
逸失利益は次の計算式で算出します。

逸失利益の計算方法

(2-1)基礎収入について

基礎収入額は、原則として事故前の現実の収入額(年収)を基礎としますが、将来現実の収入額以上の収入を得られる証拠があれば、その収入額が基礎となります。
ですから、基礎収入額は、被害者の年齢や事故前の収入によって変わってきます。

なお、専業主婦(主夫)の方や就労前という方であっても、基本的には全年齢平均賃金から基礎収入が計算されます。

(2-2)労働能力喪失率について

労働能力喪失率とは、後遺障害の影響によってどの程度被害者の労働能力が低下したのか、という労働能力が低下した割合です(例えば、事故にあう前の労働能力は100であったのに、事故の後遺症の影響により、90になったという場合には、労働能力喪失率は10%です)。

労働能力喪失率については、後遺障害の等級ごとに基準が定められており、以下のとおり、後遺障害等級11級の労働能力喪失率の基準は20%です。

労働能力喪失率
11級 20%

参考:労働能力喪失率表|国土交通省

労働能力喪失率は、等級ごとに一律で基準が定められていますが、個別にどの程度労働能力が低下したかということも考慮されますから、後遺障害等級11級に認定されたら必ず労働能力喪失率が20%として計算されるわけではないことに注意が必要です。

個別の後遺障害によって、それほど労働能力の低下が認められないという場合には、基準よりも低い喪失率しか認められない可能性はあります。

特に4号の歯科補綴などは、労働能力自体には関係ないとして保険会社から逸失利益がない提示しかされないことも多いです。

(2-3)ライプニッツ係数について

逸失利益は、本来事故にあわなかったとしたら、就労している全期間中に順次受け取るはずの収入相当額を、事故により一括で受け取ることになりますので、被害者は、その利息分、得をしていると評価されます。

そこで、この不公平を修正するために用いられているのが、一括で受け取る逸失利益から、中間利息の控除をする「ライプニッツ係数」です。

なお、ライプニッツ係数は、2020年4月1日以降に発生した交通事故については中間利息の控除率が5%から3%に変更されました(控除率が低くなりましたので、受領できる金額は従来に比べて増加しました)。

ですから、2020年4月1日より前に事故にあったという方と、同日以降に事故にあったという方では、逸失利益の総額に変更がありますので、注意が必要です。

2020年4月1日以降のライプニッツ係数については、以下のサイトをご参照ください。

参考:就労可能年数とライプニッツ係数表│国土交通省

それでは、例えば、前年度の年収が500万円、40歳の方が2020年4月1日に交通事故にあい、後遺障害等級11級に認定された場合に、加害者に請求できる逸失利益はいくらになるのか考えてみましょう。

原則として、40歳の方の労働能力喪失期間は67歳までの27年間、ライプニッツ係数は18.327(上記サイトのライプニッツ係数表参照)です。
ですから、この場合の後遺症による逸失利益は次のとおりです。

基礎収入500万円×0.2(20%)×18.327=1832万7000円

弁護士に依頼するメリットについて

交通事故の被害にあったという方で、ご自身で加害者の任意保険会社とやり取りをされている方も多いと思います。
軽微な物損事故などであれば、それほど弁護士に依頼するメリットもないかもしれません。

ですが、少なくとも後遺障害が残るようなけがをした場合であれば弁護士に依頼することをお勧めします。

(1)最終的に受領する金員が増額する可能性があること

先ほどご説明したとおり、後遺症慰謝料についての自賠責保険の基準と任意保険会社の基準と弁護士の基準がそれぞれ異なっています。

弁護士に依頼した場合には、弁護士は、もらえる賠償額が一番多くなるように通常は弁護士の基準をベースに交渉します。その結果、弁護士の基準に近い金額で示談できることもよくあります。

他方、弁護士に依頼せずご自身で交渉しても、なかなか弁護士の基準では示談できないことが多いでしょう。
そのため、弁護士に依頼することで、もらえる賠償額が増額する可能性があります。

弁護士に依頼するメリットについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

後遺障害等級11級に認定された方について、賠償金が増額した事例をご紹介しますので、ご参照ください。

(2)煩わしいやり取りから解放されること

ご自身で保険会社との交渉をすべてされるのはなかなか大変です。
時には担当者の態度に不快な思いをすることもありますし、そもそも、日中仕事をされている方であれば、交渉の時間を確保することも難しいでしょう。

弁護士に依頼した場合には、方針について決定すれば、実際の保険会社とのやり取りは弁護士が担当しますので、保険会社との煩わしいやり取りから解放されます。

【まとめ】後遺障害等級11級の後遺症慰謝料は弁護士の基準では420万円

  • 後遺障害等級11級に認定された場合、『後遺症慰謝料』と『逸失利益』の請求ができる。
  • 後遺障害等級11級に認定された場合の後遺症慰謝料の基準は、自賠責の基準は136万円、弁護士の基準は420万円である。
  • 後遺障害等級11級の逸失利益の計算における労働能力喪失率は基準によれば20%である。
  • 弁護士に依頼した場合、最終的に受け取れる金額が増額される可能性があること、保険会社との煩わしいやり取りから解放されること、などのメリットがある。

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

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また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。

実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。

なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年4月時点)

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