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休業手当に残業代は含まれる?計算方法や支払われない時の対策も解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「会社側の都合で休まされて休業手当を受け取っているけれど、正確な額が支払われているのかな?会社を休まされる前には残業が多かったけど……」

実は、休業手当の計算をするにあたっては、残業代も含めて計算しなければなりません。

このことを知っていれば、受け取るべき休業手当の正確な額を知ることができます。

この記事を読んでわかること
  • 休業手当とは何か
  • 休業手当の計算方法
  • 休業手当が正しく支払われていない場合の対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

休業手当とは?

そもそも休業手当とは何かということや、休業補償との違いなどについて解説します。

(1)休業手当の意義

休業手当とは、「会社側の都合」(使用者の責に帰すべき事由)によって労働者を休ませた場合に会社が労働者に対して支払わなければならない手当のことを言います(労働基準法26条)。

休業手当が支払われる「会社側の都合」(使用者の責に帰すべき事由)には、例えば、次のような場合があります。

  • 会社の機械設備が故障して作業ができなくなったために休業させられる場合
  • 業務の量が減少したことに伴って休業させられる場合      など

(1-1)休業手当はいくらもらえる?

休業手当は、法律上、「平均賃金」の60%以上の額が支払われなければなりません。
平均賃金の詳しい計算方法などは、後でご説明します。

(1-2)休業手当がもらえないケースは?

会社から仕事を休むように言われた場合でも、全ての場合で休業手当が支払われるとは限りません。「使用者の責に帰すべき事由」が認められない場合には、休業手当の支払を受けることができません。

「使用者の責に帰すべき事由」が認められない場合としては、次のような場合があります。

  • 地震や台風などの自然災害が原因で休むこととなった場合
  • 業務とは無関係に病気にかかったりけがをしたりしたことが原因で休むこととなった場合  など

(2)労災保険の「休業補償給付」とは異なる

休業手当は、労災保険の「休業補償給付」とは異なります。
休業補償給付とは、労働者災害補償保険法14条に定められた補償のことです。

休業補償給付は、次の要件を全て満たしている場合に支払を受けることができます。

  • 労働者が業務または通勤に起因して負ったけがや病気のために療養していること
  • 療養のため労働ができないこと
  • 賃金の支払を受けていないこと        

休業手当は、会社側の都合で休まされた場合の手当であり、会社から支払われます。

これに対して、休業補償給付は、業務上あるいは通勤中のけが・病気の療養のために休む場合の給付であり、労災保険から支払われます(業務上のけが・病気について、会社の安全配慮義務違反等の落ち度の有無は問われません)。

このように、両者は、支給される場面や誰から支払われるかなどが異なります。

休業補償給付について、詳しくこちらをご覧ください。

休業手当の計算方法

それでは、休業手当をもらえる場合には、いったいどれだけの額をもらうことができるのでしょうか。

さきほどご説明したとおり、休業手当は、「平均賃金」の60%以上の額を支払わなければならないこととされています(労働基準法26条)。

休業手当=「平均賃金」×60%以上

そこで、休業手当の計算方法について、詳しくご説明します。

参考:休業手当の計算方法|厚生労働省

(1)平均賃金の計算方法

「平均賃金」は、労働基準法12条1項柱書本文において、次のように定められています。

この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

参照:労働基準法12条1項柱書本文|e-Gov法令検索

つまり、平均賃金の計算は、次の式で求められることになります。

平均賃金=所定の期間の「賃金の総額」÷「その期間の総日数」

具体的にこれがどのような意味なのかについて、ご説明します。

(1-1)「算定すべき事由の発生した日」

休業手当の場合、「算定すべき事由の発生した日」とは、休業した日のことを言います。
休業した日が2日間以上になる場合には、その最初の日です。

(1-2)「発生した日以前三箇月間」

「発生した日以前三箇月間」とは、算定事由が発生した日(休業した日)の前日から3ヶ月間のことを言います。
賃金の締切日がある場合には、直前の締切日から遡って3ヶ月間になります(労働基準法12条2項)。

(1-3)「賃金の総額」

「賃金の総額」とは、算定期間中に支払われた賃金の全てのことを言います。
基本給だけでなく、通勤手当や残業手当などの各種手当も含まれます。
また、税や社会保険料などを控除する前の金額で考えます。

ただし、次の賃金は、平均賃金の計算で用いる「賃金」には含まれません(労働基準法12条4項)。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当、私傷病手当など)
  • 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(6ヶ月ごとに支払われる賞与など)
  • 労働協約で定められていない現物給与

(1-4)「その期間の総日数」

「その期間の総日数」とは、その期間の暦日数のことを言います。
原則として、労働日数のことではありません。
ただし、賃金の一部または全部が日給制、時間給制または出来高制の場合、労働日数で計算した金額が最低保証額となります。

このため、この場合に労働日数で計算した金額が暦日数で計算した金額を上回る場合には、例外的に労働日数で計算した金額が平均賃金となります。

暦日数には、労働日以外の休日も含みます。

ただし、次の期間は、直前3ヶ月間の暦日数から除きます(労働基準法12条3項)。

  • 業務上のけがや病気による療養のために休業した期間
  • 産前産後の休業期間
  • 使用者の責に帰すべき事由によって休業した期間
  • 育児・介護休業期間
  • 試用期間

また、勤務期間が3ヶ月に満たない場合には、勤務開始日からの暦日数を計算します。

平均賃金について、詳しくはこちらをご覧ください。

休業手当とは?金額の計算方法や休業補償との違いも解説

(2)休業手当に残業代は含まれる?

ここまでで述べたとおり、平均賃金を計算するにあたって、「賃金の総額」の中には基本給だけでなく各種手当を含めなければなりません。
そして、この含めなければならない各種手当には、残業に対して支給される手当(残業代・残業手当など)も含まれます。

これには、法律上の割増賃金はもちろん、会社内のルール(就業規則や個別の労働契約)で定められた時間外手当も含まれます。

休業手当が正しく支払われていない場合の対処法

「法律上は休業手当が支給されなければならないことは分かったけれど、現実には残業代分が差し引かれて計算されて、ちゃんと支給されていない……」
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、会社の都合で仕事を休まされたにも関わらず、休業手当が支給されなかったり、支給されたとしても支給された休業手当の計算に残業代が含まれていないという場合の対処方法についてご説明します。

(1)対処法1|休業手当の支払を求めて会社と交渉する

まずは、会社に対して未払いの休業手当を支払うように請求してみましょう。

会社に対して休業手当の支払を請求するにあたっては、会社都合で休むように指示されたメールなどの履歴や直近3ヶ月の給与明細など、休業手当の証拠となるものをできるだけ準備します。

自分ひとりで請求するのが不安であるという場合には、労働組合に相談してみるのも良いでしょう。
労働組合は労働者の利益のために活動してくれる組織です。
労働組合に相談すれば、労働組合があなたに代わって交渉を行ってくれることもあります。

請求後も会社を辞めるのではなく勤務を続けるつもりだという場合には、その後の会社内での立場が悪くなることが心配になるかもしれません。
しかし、休業手当を請求することは労働者の権利でもあることから、毅然とした態度で対応しても全くおかしなことではありません。

また、仮に報復人事を受けるようなことがあれば、そのような報復人事は場合によっては無効となることもあります。

報復人事やその被害にあった場合の対処法について、詳しくはこちらをご覧ください。

(2)対処法2|弁護士に相談する

休業手当が支払われない場合には、弁護士に相談するのも良いでしょう。

弁護士に相談するメリットには次のようなものがあります。

  • 休業手当の支給対象になるかどうか判断してアドバイスしてくれる。
  • 支給されるべき休業手当の額を正確に計算してくれる。
  • 労働者個人で請求しても相手にされないという場合であっても、弁護士が代理人として請求すれば会社が話し合いに応じてくれる可能性が高まる。
  • 会社が請求に応じない場合に、労働審判や訴訟を起こして請求する場合でも、代理人として活動してくれる。

特に、個人で請求しても相手にされないという場合であっても、弁護士が間に入ると話し合いに応じてくれる会社は少なくありません。
弁護士が間に入ることで、話し合いで解決することができ、訴訟などに発展させずに解決することもできる場合があります。

訴訟などをしないで解決したいという場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。

【まとめ】休業手当に残業代は含まれる

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 休業手当は、会社の都合で労働者を休ませた場合に会社が労働者に対して支払わなければならない手当のこと。
  • 休業手当は、「平均賃金」の60%以上の額を支払わなければならない。
  • 休業手当の計算の基礎となる「平均賃金」は、残業代も含めて計算される。

休業手当の支払を求めて労働者個人で会社と交渉しても相手にされない場合は、労働組合や労働問題を取り扱っている弁護士などに相談しましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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