仮面夫婦の特徴やきっかけとなった原因は?メリットやリスクも解説

  • 作成日

    作成日

    2023/11/20

  • 更新日

    更新日

    2024/02/15

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目次

仮面夫婦の特徴やきっかけとなった原因は?メリットやリスクも解説
「夫婦で生活時間が違っているから、同じ家に住んでいてもほとんど顔を合わせないし、ほとんど会話もない。これっていわゆる仮面夫婦?」

夫婦関係が冷え切った状態が続いていると、「もしかして仮面夫婦かも?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

仮面夫婦は、今の生活を維持していくうえで一概に悪いこととは言い切れません。しかし、仮面夫婦を続けると疲れてしまったり、リスクが生じたりもします。

そこでこのコラムでは、仮面夫婦の特徴やきっかけに加え、仮面夫婦を続けるメリット・デメリットについてご紹介します。
リスクを見逃さないためにも、ご自身の状況と照らし合わせながら、「仮面夫婦」について理解を深めていきましょう。

仮面夫婦とはどのような夫婦関係なのか

仮面夫婦とは、他人から見れば表面的には仲のよい夫婦だけれども、実態が伴っていない夫婦を指すのが一般的です。

夫婦関係が破綻すると、通常、離婚をして夫婦関係を解消しますが、仮面夫婦は離婚をせず、表面上は一般的な夫婦を演じます。そのため、会話をしたり、親戚付き合いをしたり、お互いのために家事をしたりすることがあります。

ただし、夫婦としての実態がないため、お互いに助け合う精神がなかったり、愛情表現がなかったり、婚姻外の恋愛が自由だったりするようです。

仮面夫婦と家庭内別居の違い

家庭内別居とは、一般的に、離婚するほどに夫婦関係が悪化しているにもかかわらず、離婚はせず同居を続けていることをいいます。

具体的には、以下のような状況を指すことが多いようです。
  • 話をしない
  • 顔も合わせない
  • お互いのための家事をしない
  • 一緒に食事をしない    など
なお、夫婦によっては配偶者のために一定の家事を行うこともあります。

一方で、仮面夫婦は表面上仲のいい夫婦を演じるという同じ目的を持っています。そのため、夫婦の実態がないという点では家庭内別居と同じですが、家庭内別居ほど夫婦関係が悪化しているとは限らないといえそうです。

仮面夫婦の特徴

仮面夫婦には、たとえば次のような特徴があります。

(1)人前では会話やスキンシップをするが家庭内では業務的

仮面夫婦は、対外的には「仲のよい夫婦」を演じているため、人前では自然に夫婦としてのコミュニケーションやスキンシップをとります。
しかし、家庭内では夫婦としてのコミュニケーションやスキンシップはなく、会話は業務的かつ必要最低限であることが多いようです。

(2)お互いに愛情や興味がない

仮面夫婦
仮面夫婦には、夫婦としての愛情はすでに存在しないので、夫婦であれば当然有している相手への興味がありません。
したがって、配偶者の帰宅時間や外出も気にならないことが多いようです。

肉体関係もないことが多く、配偶者が不倫をしても問い詰めずスルーするなど、夫婦によっては婚姻外の恋愛が自由なこともあるようです。

(3)子どもの行事など社会的な活動は夫婦で参加する

仮面夫婦は、対外的には仲のいい夫婦を演じるため、子どもの行事や会社、仲間内のイベントには夫婦そろって参加します。
親族にも仮面夫婦であることを隠すことが多いため、通常の夫婦と同じように、お互いの実家に帰省し、親族の集まりに参加することもあります。

仮面夫婦になったきっかけ

夫婦としての愛情や助け合いの精神を失い、仮面夫婦となったきっかけは何でしょうか。
代表的な理由を3つ紹介します。

(1)生活リズムのズレ

仕事や子育て、親の介護などの事情で長期間夫婦の生活リズムが別々になってしまい、それに慣れてしまった結果、お互いの生活に干渉しなくなり、いつの間にか仮面夫婦になってしまう場合があります。

生活リズムがズレると、配偶者に助けを求めたくても助けてもらえないことがわかっているので、相談したり助けを求めたりすることがなくなり、期待することもやめてしまうのです。
すれ違いの結果、必須事項の連絡や、スケジュール調整などの業務的な連絡のみするような関係に落ち着いてしまうことがあります。

(2)配偶者の不倫

夫婦どちらかが過去に不倫をしていたことをきっかけに、配偶者に対する信頼を失い、夫婦としての愛情が冷めてしまうこともあります。
しかし、世間体や子どもへの影響、経済的事情などを考えて話し合ったうえで、離婚はせずに仮面夫婦となることもあるようです。

(3)価値観が合わなくなった

夫婦であっても、育った環境や考え方も違う他人ですから、結婚して共同生活を送るうちに、価値観や性格が異なる点に気づくと思います。
通常の夫婦であれば、話し合って問題を解消したり、歩み寄ったりできるため、価値観や性格の違いが夫婦関係に大きく影響することはありません。

しかし、夫婦間のコミュニケーションが不十分だったり、一方または双方に歩み寄りの姿勢がなかったりすると、価値観や性格の違いをどうしても受け入れることができず、配偶者に対する信頼や愛情を失ってしまいます。その結果、最終的に仮面夫婦となってしまうことがあるようです。

なぜ離婚しないのか?仮面夫婦を続けるメリットとは

夫婦としての実態が失われているのに、離婚ではなく仮面夫婦という関係を選ぶ人がいることには理由があります。

まず仮面夫婦は、離婚のように家計(家賃、光熱費など)が別々になるわけではありません。
そのため、離婚や別居をするよりも経済的な負担が少ないことが理由として挙げられます。
特に、一方が専業主婦(主夫)の場合、離婚すれば基本的に自立して生活しなければならないため、離婚したくてもできないという事情があるようです。

次に、子どもがいる場合、離婚は子どもの生活にも影響を与えます。

子どもの現在の生活環境を維持したいと考えたり、子どもの気持ちを考えたりして、子どもが大きくなるまでは、離婚せずに仮面夫婦を選ぶこともあります。

また、夫婦によっては、世間体や結婚した経緯などからすぐには離婚に踏み切れない場合もあるようです。このような場合には、当面の策として仮面夫婦を選んで婚姻関係を継続させることもあります。

仮面夫婦を続ける3つのリスク

仮面夫婦として婚姻関係を継続しても、ある意味不自然な夫婦関係になりますので、次のようなリスクがあると考えられます。

(1)子どもに悪影響がある

子どものために離婚せずに仮面夫婦を選んでも、子どもは観察能力が鋭いことが多いため、夫婦関係について敏感に察知してしまうかもしれません。
そして、家庭内と家庭外の夫婦仲の違い、家庭内での夫婦の不仲を感じ取ってしまう可能性もあるでしょう。
子どもによっては、両親が仮面夫婦であるという家庭環境が原因のストレスを受けて精神的に不安定となり、学業や生活に影響が生じてしまうかもしれません。

(2)不貞行為があった場合、慰謝料問題に発展する

仮面夫婦でも婚姻外の恋愛を認めているのは少数派で、不倫されることまでは想定していないことが多いと考えられます。配偶者に不倫されて精神的な苦痛を受けてはじめて、愛情が残っていたことを認識する方もいるようです。
場合によっては、不倫された側の配偶者が、不倫した配偶者やその不倫相手に慰謝料を請求する可能性もあります。

仮面夫婦が不倫をしたらどうなる?

不倫

仮面夫婦でも、法律上は婚姻しているため、自分の自由な意思で配偶者以外の異性と肉体関係を伴う不倫をすることは、不貞行為として原則違法となります(民法第709条)。
したがって、不貞行為をされた側は、被害者として、配偶者およびその不貞相手に対して、精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求できます。
ただし、不貞行為の時点ですでに夫婦関係が完全に破綻していた場合には、そもそも法律によって保護されるべき平和な夫婦関係が存在しないため、不貞行為を原因とする慰謝料請求は認められません。
詳しくは「仮面夫婦なら不倫してもOK?慰謝料って請求できるの?」も参考にしてみてください。

なお、お互いに婚姻外での恋愛を自由とする合意をしていたとしても、結婚していながら婚姻外の交際を自由とする契約が法的に有効なのか、公序良俗に反し無効なのではないかという問題もあります(民法第90条)。 したがって、恋愛自由の合意があるから不貞行為をしても違法ではないと単純に考えることにはリスクがあります。

(3)望まない離婚に発展する

上記のような不貞行為の発覚により、望まない離婚に発展するかもしれません。
また、不倫などはなくとも、仮面夫婦を経て夫婦関係が破綻してしまうこともあるでしょう。
結果として、自分は離婚まで望んでいなかったけれども、最終的に配偶者から「離婚してほしい」と言われてしまう可能性もあります。

仮面夫婦の行く末には熟年離婚の可能性も

離婚せずに仮面夫婦を選択する理由としては、経済的理由や子どもや世間体のためという事情が挙げられます。
そこで、仮面夫婦を選択した事情である経済的な不安がなくなったり、子どもが社会的に自立したり、気にするべき世間体がなくなったりすれば、仮面夫婦を続ける理由はありません。
そうなったとき、自分は離婚するつもりがなくても、配偶者が離婚を考える可能性があります。
また、夫婦の実態がない仮面夫婦を長く続けていると、夫婦関係は破綻していて修復は極めて難しいと考えられるため、最終的に離婚せざるを得なくなるかもしれません。

仮面夫婦を続けるのに疲れてしまったら…

子どものためなどの理由で仮面夫婦を続けていても、やがて疲れてしまい、限界を感じることがあるかもしれません。
そのような場合には、まずは夫婦で話合いをしてみることをおすすめします。

話合いすら難しい状況や、解決の糸口も見付からない状況であれば、一時的な別居を検討してもよいでしょう。
どうしても夫婦関係の継続が難しいという結論に至ったのであれば、子どもや自分のために離婚を検討するのも選択肢の1つです。
離婚の際には、さまざまな取決めが必要なので、自分にとって不利な離婚にならないためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

【まとめ】仮面夫婦の原因には、生活リズムや価値観のズレ、どちらかの不倫などが挙げられる

一般的に仮面夫婦とは、表面的には仲のよい夫婦だけれども、実態が伴っていない夫婦のことをいいます。
対外的には夫婦として振舞うけれども、お互いに愛情や興味がないといった特徴があるようです。
経済的な事情や、子どものために離婚はせず仮面夫婦になったとしても、かえってそのような家庭環境が子どもに悪影響を与えることがあります。
また、不倫をしても仮面夫婦だから違法ではないとは言い切れないといった問題もあります。

仮面夫婦を続けていたけれど、疲れてしまって離婚したいと考えている方は、弁護士に相談するとよいでしょう。
離婚の際には財産分与や、未成年の子どもの親権、養育費、面会交流などについても話し合わなければなりません。
弁護士は、あなたの利益を第一に考え、あなたが有利な条件で離婚できるように交渉します。
そのため、離婚の際は弁護士に依頼するとよいでしょう。

アディーレ法律事務所では、離婚を決意した方のご相談を承っておりますので、まずはご相談ください。
そのほか、離婚について詳しくは「離婚問題の知識と法律」もご覧ください。

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この記事の監修弁護士

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

林 頼信の顔写真
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