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残業代を請求する前に知っておきたいことは?準備や請求方法を全解説

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「会社に対して残業代を請求しようと思っている。
残業代を請求する前に、あらかじめ知っておくべきことって何だろう?」

残業代を請求する前に知っておきたい知識がいくつかあります。
例えば、残業代の証拠集めについてや、残業代請求の消滅時効についてなどです。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 残業代請求の準備で知っておきたい5つの知識
  • 残業代の請求に関して知っておきたい3つのポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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残業代請求の準備で知っておきたい5つの知識

残業代請求の準備をするにあたっては、次のとおり、知っておきたい5つの知識があります。

  • 残業代の発生条件
  • 残業代の計算方法
  • 残業代の証拠集め
  • 残業代請求の消滅時効
  • 残業代の消滅時効の更新・完成猶予

これらの5つの知識についてご説明します。

(1)知識1|残業代の発生条件

残業代として割増賃金が発生する「残業」には、次の3つがあります。

  • 時間外労働
  • 休日労働
  • 深夜労働

これらについてご説明します。

(1-1)時間外労働

時間外労働とは、「法定労働時間」を超えて働くことです。
「法定労働時間」とは「1日8時間・週40時間」の労働基準法で定められた労働時間のことです。
これに対して、「所定労働時間」とは会社が独自に定める労働時間のことです。

多くの場合、時間外労働のことを指して「残業」と言います。
これに対して、法定労働時間は超えないものの所定労働時間を超えて働くことも、広い意味で「残業」と呼ぶことがあります。

例えば、所定労働時間が9~17時(休憩1時間)の7時間である会社があったとします。
この会社で、9~18時に労働をした場合には、8時間働いたことになり、所定労働時間を1時間超えて働いています。
しかし、法定労働時間である「1日8時間」は超えていません。
この場合、時間外労働をしたことにはなりませんが、所定労働時間を超えた残業をしたということになります。

時間外労働としての残業をしたか、時間外労働ではないものの所定労働時間を超えた残業をしたかは、割増賃金の支払いの要否について違いがあります。
このため、「残業」をしたといってもどちらの残業をしたのかが大切になります。

(1-2)休日労働・深夜労働

残業代が発生する「残業」には、休日労働や深夜労働もあります。
休日労働とは、1週間当たり1日または4週につき4日以上の法定休日における労働のことです。
深夜労働とは、原則22~5時の時間帯における労働のことです。

(1-3)割増賃金

時間外労働・休日労働・深夜労働に対しては、それぞれ所定の割増率で割り増した割増賃金を支払わなければなりません。
割増率は、具体的には、時間外労働・深夜労働に対しては1.25倍、休日労働に対しては1.35倍です。

割増率について、詳しくはこちらをご覧ください。

「割増賃金率」とは?2023年4月からの引き上げも併せて解説

(2)知識2|残業代の計算方法

残業代請求をする場合には、実際にどれだけの残業代が発生しているか、自分で計算する必要があります。

残業代を算出するための計算式は、次のとおりです。

1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間

「基礎賃金」とは、月の総支給額から所定の手当を差し引いて算出した月当たりの賃金のことです。
「1時間当たりの基礎賃金」とは、「基礎賃金」を月平均所定労働時間で割ることによって算出することができます。
いわば、残業代計算のための「時給」のようなものです。

残業代の計算方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

残業代の計算方法とは?残業代の基礎知識について弁護士が解説

(3)知識3|残業代の証拠集め

残業代を請求するにあたっては、いったいいくらの残業代が発生しているかを根拠づける証拠が必要となります。
証拠がなければ、会社が残業代の発生を認めない場合に、残業代が発生していることを主張することが難しくなります。

残業代の証拠は、大きく分けて次の2つがあります。

  • 給料に関する証拠
  • 実際の残業時間に関する証拠

(3-1)給料に関する証拠

給料に関する証拠としては、次のようなものがあります。

  • 雇用契約書、労働条件通知書
  • 給与明細、預金通帳
  • 就業規則、賃金規程

(3-2)実際の残業時間に関する証拠

残業代請求において最も重要なのが、実際の労働時間に関する証拠です。
実際の労働時間に関する証拠としては、次のようなものがあります。

  • タイムカード
  • タコグラフ(トラック運転手などの方)
  • 日報(始業・終業の時刻を記載しているもの)
  • web打刻ソフトのスクリーンショット
  • 出勤簿

(3-3)手元に証拠がない場合

タイムカードなどの証拠は、会社が管理しているから私の手元にはない……。
証拠がない以上は、残業代請求ができないの?

手元に証拠がなくても、まだ取り得る手段はあります。
諦めずに証拠を集めて残業代請求につなげていくことが大切です。

手元に証拠がない場合には、次のような手段を取ることができます。

  • 会社に対して任意の証拠開示を請求する
  • 証拠保全の手続きを取る
(3-3-1)会社に対して任意の証拠開示を請求する

手元に証拠がない場合には、会社に対して証拠となり得る資料を開示するように請求します。
多くの場合、会社は任意に証拠となり得る資料を開示してくれます。

会社に対する証拠開示の請求は、ご自身で行うこともできます。
しかし、ご自身で行った場合には、会社が真剣に取り合ってくれず、証拠を開示してくれないということも多くあります。
そのような場合には、弁護士に依頼し、弁護士を通して会社に対して証拠の開示を請求します。

弁護士が証拠の開示を請求した場合には、多くの場合、会社は真剣に対応してくれ、証拠を開示してくれます。

(3-3-2)証拠保全の手続きを取る(会社が任意の証拠開示を拒絶した場合)

弁護士が会社に証拠の開示を請求しても会社が証拠を開示しない場合はあるの?
そのような場合にはどうするの?

残念ながら、非常に非協力的な会社の場合には、弁護士が請求したとしても証拠を開示してくれないことがあります。
そのような場合でも、取り得る手段はあります!

弁護士が会社に証拠の開示を請求しても、会社が証拠の開示に真剣に応じない場合には、証拠保全の手続きを取ることで裁判所を通して強制的に証拠を収集することができます。

証拠保全の手続きとは、裁判所を通じた手続きで、会社に対して強制的に会社の手元にある証拠を提出させるものを言います。
証拠保全の手続きは、裁判所を通じた強制力のある手続きですので、会社も手元に証拠があるのにその提出を拒否することは基本的にはできません。

このような証拠保全の手続きは、裁判所に申立てて行う専門性の高い手続です。
そのため、証拠保全の手続きを取りたいという場合には、弁護士に依頼して手続きを代行してもらうことが一般的です。

証拠保全の手続きには、一定の手間や費用がかかってしまうというデメリットもあります。
証拠保全の手続きをとってまで証拠を収集するべきか、それとも証拠保全の手続きを見送るか、それぞれのメリット・デメリットを踏まえた判断が必要になります。
そのような判断のためには、残業代請求を多く取り扱う弁護士に相談するのが良いでしょう。

(4)知識4|残業代請求の消滅時効

残業代を請求するのは、いつまでの分までも遡って請求できるというわけではありません。
残業代は、一定の期間分までしか遡って請求できません。

残業代を請求する権利が、一定の期間の経過によって消滅してしまう制度のことを、「消滅時効」と言います。

残業代を請求する権利の消滅時効は、2年または3年です。
消滅時効期間が2年となるか3年となるかは、請求しようとしている残業代の支払日がいつ到来したかによります。
消滅時効期間が2年または3年のいずれになるかについての区別は、次のとおりです。

2020年4月1日より前に支払日が到来した残業代請求権:2年
2020年4月1日以降に支払日が到来する残業代請求権:3年

例えば、2020年3月25日に支払日が到来した残業代請求権は、2022年3月25日に消滅時効期間が経過することになります。
※現時点においては、2020年4月1日より前に支払日が到来した残業代請求権は、2年の消滅時効期間を経過しているため、下記の時効が更新されたとか、時効完成が猶予されたといった事情がない限り、会社から消滅時効を援用され、時効により消滅することになります。
また、2020年4月25日に支払日が到来した残業代請求権は、2023年4月25日に消滅時効期間が経過することになります。

(5)知識5|残業代の消滅時効の更新・完成猶予

残業代を請求する権利は、ここまでにご説明したとおり、消滅時効制度によって一定の期間(2年または3年)が経過するともはや請求できなくなります。

もっとも、2年または3年が経過すれば常に消滅時効により権利が消滅してしまうかといえば、そうではありません。
消滅時効が完成する前であれば、時効の「更新」や「完成猶予」という制度によって、消滅時効が完成しないようにすることができる場合があります。

時効の「更新」とは、その時点で消滅時効期間の経過がいったんリセットされ、更新の時点からあらためて新たに消滅時効期間の進行が開始するという制度のことです。

また、時効の「完成猶予」とは、その時点で消滅時効期間の進行がいったんストップし、完成猶予の期間は消滅時効が完成しないという制度のことです。

通常、弁護士が残業代請求の依頼を受けた場合には、まず会社に対して内容証明郵便を送って、消滅時効の完成を猶予させます。
そして、その間に会社と任意に交渉して残業代の支払を求めます。
会社が任意に残業代を支払わない場合には、労働審判や訴訟といった裁判手続きを起こし、その中で請求していきます。

残業代の請求に関して知っておきたい3つのポイント

残業代の請求に関して知っておきたい3つのポイントがあります。

  • 会社と直接交渉するときの注意点
  • 残業代請求における労働基準監督署の役割
  • 残業代請求を弁護士に依頼するメリット

これらについてご説明します。

(1)会社と直接交渉するときの注意点

残業の証拠を集め、残業代を計算したら、自分で会社に対して残業代請求を交渉することが可能となります。

先ほどご説明したように、残業代請求は消滅時効があります。
そのため、なるべく早く請求手続きをとることが大切です。

内容証明郵便で残業代請求の旨を通知する方法も有効です。
内容証明郵便で残業代請求をすれば、時効の完成を猶予させることもできます。

在職中であれば、残業代請求の交渉をするとパワハラや嫌がらせ、配置転換などの報復を受ける不安もあるでしょう。
しかし、不利益な扱いは原則として法律で禁止されています。
不利益な扱いをされる可能性がある場合は、交渉を録音しておくと良いです。

(2)残業代請求における労働基準監督署の役割

会社が残業代の支払に応じない場合には、労働基準監督署に相談・申告することもひとつの方法です。
労働基準監督署とは、会社が労働基準関係法令をしっかりと守っているかを監視・監督して、必要に応じて会社に対して調査・指導・是正勧告などを行う役割の公的機関です。

労働基準監督署に、残業代の不払いについて相談・申告することで、労働基準監督署が会社に対して調査・是正勧告を行う可能性があります。
調査・是正勧告を受けた会社は、そのことを受けてあなたに対して任意に未払いだった残業代を支払ってくれる可能性があります。

もっとも、労働基準監督署の是正勧告には、強制力はありません。
是正勧告を受けても頑として未払い残業代を支払わないという会社も、一定数あります。
そのような場合には、労働基準監督署への相談だけでは解決しません。
この後にご説明するように、弁護士に依頼して残業代請求をし、場合によっては裁判手続きを通じて請求することで、強制力を持って未払い残業代を支払わせることが可能となります。

(3)残業代請求を弁護士に依頼するメリット

残業代請求は、ご自身で行うことも不可能ではありません。
しかし、残業代請求は弁護士に相談・依頼して行うほうが良い場合も多いです。

残業代請求を弁護士に依頼するメリットには、さまざまなものがあります。
例えば、次のようなものがあります。

  • 弁護士が会社と直接交渉してくれるため、ご自身が会社と直接交渉する必要がなくなる。
    これにより、あなた自身が会社と直接交渉することに伴うストレスが軽減される。
  • 弁護士が複雑な残業代の計算を正確に行ってくれる。
    これにより、あなた自身が残業代の計算を行う必要がなくなる。
  • あなたがご自身で請求する場合に比べて、弁護士に依頼して請求すれば、あなたの真剣な気持ちが会社に伝わり、会社がより真剣に対応してくれる可能性が高まる。
  • 仮に任意の交渉で解決せずに裁判手続きになったとしても、弁護士があなたの代わりに一貫してサポートしてくれる。
    労働審判や尋問など一部の出頭しなければならない機会を除いては、弁護士があなたの代わりに裁判所に出頭してくれるので、あなたが裁判所に出頭しなくても済む。

弁護士に依頼するメリットには、このようにさまざまなものがあります。
他方、弁護士に依頼した場合には、一定のお金がかかってしまうことが通常です。

弁護士に依頼するメリットとデメリット(主に費用面)とをよく見極めて、弁護士に依頼するべきかを判断しましょう。

相談料や着手金を無料にしてあなたの負担を軽くするようにしている弁護士事務所もあります!
費用に不安がある場合には、そのような事務所を選ぶようにすると良いですよ。

【まとめ】残業代を請求するにあたっては弁護士のサポートがおすすめ

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 残業代請求の準備をするにあたっては、残業代の証拠集めや残業代請求の消滅時効についてなど、いくつか知っておきたい知識がある。
  • 残業代が発生する残業には、時間外労働、休日労働、深夜労働の3つがある。
  • 残業代を算出するための計算式は、「1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間」。
  • 残業代の証拠には、給料に関する証拠と実際の残業時間に関する証拠がある。
  • 残業代の請求は、いつまでの分までも遡って請求できるわけではなく、一定期間分までしか遡って請求できないという「消滅時効」制度が存在する。
  • 残業代の消滅時効は、「更新」したり「完成猶予」させたりできる。
  • 残業代の請求に関して知っておきたいポイントとして、残業代請求における労働基準監督署の役割や残業代請求を弁護士に依頼するメリットなどがある。

残業代を請求するにあたっては、しっかりと準備をしておくことが大切です。
残業代を請求する以上は、ぜひとも成功させたいですよね。
この記事でご紹介した知識や準備を基に、ぜひとも残業代請求を成功させましょう。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年8月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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