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産後クライシスの症状や原因とは?対処法についても解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

「産後クライシス」とは、出産後数年の間に急激に夫婦仲が悪化する現象のことで、2012年にNHKの情報提供番組である「あさイチ」の中で提唱され、社会的に広がった言葉です。
産後夫婦仲が急激に悪化したけれども、一時的な現象にすぎず、その後夫婦の努力により夫婦関係が改善する場合もあれば、最終的に夫婦関係が破綻してしまい、離婚に至る場合もあります。

この記事では、産後クライシスの症状や原因、現在産後クライシス真っ最中の夫婦や、今後出産を控えている夫婦に向けて、産後クライシスの対処法について解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

目次

産後クライシスになるとどうなるのか

産後は、夫婦の生活の中に、子育てという重大で新たなミッションが加わります。
夫婦ともに、子育てをするなかで、今までの生活との違いに戸惑うことがあります。

特に乳幼児の子育てを担うのは妻側ですが、妻側としては子育てで忙しいのに、夫が子育てを理解してくれない、子育てを優先せず仕事やプライベートを優先するなどの不満を持ち、夫に対するいら立ちを募らせることがあります。
夫側は、子育てをしたくても何をすればいいかわからない、産後妻は子どもにかかりっきりで自分に興味がなくなった、仕事が忙しくて子育てができないのは仕方がない、などと考え、妻に対する関係で悩むことがあります。

産後クライシスに陥っている夫婦の症状としては、次のようなものがあげられます。

  • 些細なことで配偶者にイライラする
  • 配偶者に対して愛情を感じなくなってしまった
  • 感情のコントロールができず攻撃的になる
  • 配偶者との触れ合いが苦痛に感じる
  • 夫(妻)からの愛情を感じられず冷たくされていると感じる
  • 夫が外出ばかりで家におらず、家事・育児に非協力的で不満がある
  • 妻が子どもにしか目を向けず自分を放置していることへ不満がある
  • 妻がいつもイライラしていて攻撃的になり、家にいてもくつろげないという不満がある

このような感情について我慢し、抑え込んで自分で処理しようとすると、精神的に疲弊し、話し合いにより歩み寄りをしようとする気持ちもなくなって、さらに夫婦関係が悪化するおそれがあります。
これは産後クライシスかな?と思ったら、冷静に夫婦の現状を把握して、対処するようにしましょう。

(1)産後クライシスの見極め方は?

では、産後クライシスに陥っているかどうかを、どのように見極めればよいのでしょうか。

産後、今までと異なり、些細なことで配偶者に対してイライラしたり、スキンシップに拒否感や嫌悪感を示したり、配偶者に対して冷たい態度や喧嘩腰の態度をとってしまう場合には、産後クライシスの状態に陥っている可能性があります。
また、夫婦喧嘩が絶えない状態や、家庭での会話が少なくなっている状態は、産後クライシスの影響を受けていて、お互いにイライラや不満を抱えている可能性があります。
このような夫婦の状態を放置してしまうと、夫が家庭に居場所を感じることができず、さらに家庭で過ごす時間が減って仕事やプライベートを優先するようになります。
結果として、夫婦で共有する時間が減り、妻は夫に対してますます不満を持つようになり、夫婦間のコミュニケーション不足が加速してさらに夫婦関係が悪化して、修復不可能になってしまう可能性もあります。

(2)産後クライシスはいつまで続く?

産後クライシスの状態が続く期間は、妻の産後の体調回復、夫婦の子育ての状況や環境、夫の出産や子育てへの理解や協力などにより異なりますが、一般的に産後数年といわれています。
産後クライシスに陥っていることを把握し、夫婦で対処するなどして協力して夫婦仲改善の努力をした夫婦は、短期間で終了するケースもありますが、お互いの理解が得られずに協力もできなかったりすると、長期にわたって産後クライシスの状態が続くケースもあります。

考えられる産後クライシスの原因

なぜ産後クライシスが起こってしまうのでしょうか。その原因は人それぞれですが、考えられる原因としては、子ども優先となる生活の変化、ホルモンバランスの乱れ、夫の非協力、コミュニケーション不足、育児についての考え方の違いなどが挙げられます。

(1)子ども優先となる生活の変化

産前と異なり、産後は、子どもが最優先の生活となります。
特に出産した妻にとって、この生活の変化は顕著です。
自分の時間はなくなり、自由に行動することもできなくなり、眠たくても眠ることはできず、すべてが子ども中心の生活となります。
特に乳幼児については、主に妻が世話をする家庭がほとんどだと思われます。
妻は、経腟分娩や帝王切開で傷ついた体を抱えながら、出産直後から母乳やミルクを3時間単位で飲ませて、おむつを替え、寝かしつけて、体調の変化に気を配って、24時間体制で子どもの世話をしなければなりません。
女性は、このような急激な生活の変化について、子どものために嫌でも受け入れて対処していかなければなりません。
一方で、妻からしたら、夫は仕事に行ったり、飲み会に行ったり、休日は友達と会ったり、夜も子どもが泣いても起きずに寝続けていたりと、これまでと変わらない生活を続けているように見えて、自分にばかり子育ての負担がかかっていると、ストレスに感じている場合があります。

(2)ホルモンバランスの影響

女性の妊娠中は、プロゲステロン、エストロゲンなどの女性ホルモンが急激に増えていますが、産後は急激に女性ホルモンが老人レベルまで低下します。
また、陣痛により全身が筋肉痛になり産後動けなかったり、会陰切開により座ることもままならなかったり、大きくなった子宮が元に戻ろうとする収縮による後陣痛など、産後は体に大きな負担がかかります。
このようなホルモンバランスの急激な変化、体への大きな負担、睡眠不足など子育ての負担などから、ストレスで感情をコントロールできなくなったり、攻撃的になったりすることがあります。

(3)夫が育児や家事に非協力的

夫が、出産・育児・家事に理解がなく、非協力的な場合、妻は夫に幻滅して愛情が薄れたり、強いストレスや徒労感を感じることがあります。
妻が、夫に対して不満を伝え、家事育児への協力を求めたりすることで、夫の理解が深まり、夫婦関係が改善することもありますが、逆に夫婦喧嘩になってしまうこともあります。
夫婦間の溝が埋まらないと、妻が夫を頼ることを止めて、実家などに助けを求めて実家に戻ったりしますが、夫がそれを「自分をないがしろにしている」と不満に思うこともあります。
このようなすれ違いが、急激な夫婦仲の悪化につながることがあります。

(4)コミュニケーション不足やセックスレス

妻は、産後の生活の変化、ホルモンバランスの変化などでストレスが溜まって疲労し、対して夫も仕事や生活の変化、妻の変化に対応できないなどでストレスが溜まって疲労してしまいます。
そのため、お互いに、夫婦での会話が減ったり、コミュニケーション不足になり、お互いへの愛情を感じられなくなることがあります。
性欲は人それぞれですが、産後のホルモンバランスの変化や身体の回復不足などが原因で、夫がセックスを望んでも、妻が拒否することはよくあります。
セックスについては、夫婦間でよく話し合うことが必要ですが、夫がセックスレスで、もはや愛されていないと感じ、浮気に走ってしまうこともあります。

(5)育児についての考え方の違いや温度差

育児についての考え方が夫婦で一致せず、相手の育児の方法や方針に不満を持ったりすることがあります。
また、「自分は一生懸命育児に取り組んでいるのに、相手は何も考えてくれない」と感じてしまうと、配偶者に対して子育ての不安や悩みを相談したりすることもなくなり、コミュニケーションが減って、産後クライシスの状態になってしまうことがあります。

産後クライシスを原因に離婚はできるのか

産後クライシスから、離婚したいと考える夫婦もいます。
産後クライシスを原因に、離婚することができるのでしょうか。

(1)協議離婚であれば産後クライシスが原因の離婚が可能

日本では、夫婦が話し合って離婚に合意すれば、理由や原因を問わず離婚することが可能です。
したがって、協議離婚(夫婦が話し合って離婚に合意すること)であれば、産後クライシスが原因であっても、離婚することが可能です。
離婚の際には、財産分与、親権者、養育費、面会交流など、事前に話し合って決めるべき事柄について整理し、話し合って合意を目指すようにしましょう。

(2)裁判離婚だと産後クライシスが原因の離婚は困難

一方が離婚を希望しても、他方が離婚を拒否すれば、協議離婚は成立しません。
離婚したい側は、その後、離婚調停や離婚訴訟を提起して、離婚を目指すことになりますが、最終的に裁判所に離婚が認められるためには、法律上離婚が認められる原因(法定離婚事由)の存在が必要です。
法定離婚事由(民法770条1項各号)は、以下の5つですが、産後クライシスは、直接には以下の5つに該当しませんので、裁判所で、産後クライシスを直接的な原因とする離婚が認められることは難しいと考えられます。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由

ただし、産後クライシスが原因で夫婦関係が破綻して修復不可能な状態となっていたり、また不貞行為を行った場合には、上記の法定事由に該当し、離婚が認められる可能性があります。

産後クライシスの対処法とは

産後クライシスの状態に陥っていることに気づいたら試してみたい対処法を紹介します。
夫婦の状況によって、紹介した対処法を試してみても、必ずしも夫婦関係が改善されるわけではありませんが、一例として紹介します。

(1)自分たちの状況を冷静に客観的に見る

産後クライシスは、どの夫婦にも起こりうることです。
産後クライシスの状況に陥っていると、なかなか冷静に客観的に自分たちの状況をみることは難しいかもしれませんが、夫婦関係を見直して改善し、よりよい家庭を作る機会だととらえて、話し合うようにしましょう。
話し合う際には、相手方を一方的に責めるのではなく、お互いに相手方の話しを聞く姿勢を持つようにしましょう。
双方の持つ不満や疑問を把握して問題を共有し、どのようにすればお互いが快適でよりよい結婚生活を送ることができるかについて、前向きに話し合うようにします。
夫は、産後女性の身体に起こっている変化について知識がなく、産後の妻の変化について理解できず、受け入れられないことがあります。
妻側も、夫に対して、自分のメンタルやホルモンバランス、身体の状況の変化などについて具体的に説明するようにすると、夫も妻の変化の原因について理解するようになり、夫婦関係が改善することがあります。

(2)頼れる人やサービスを利用してストレスを溜めない

子育ては大変な仕事ですので、実家に頼れるのであれば実家に子育ての応援を求めたり、ベビーシッターや託児所、ファミリーサポートセンターを利用するなどして、子育ての物理的な負担を軽減したり、人に相談して精神的な負担を軽減するようにします。
何よりも、1人で子育ての負担を背負い込まないようにすることが重要です。

(3)家事育児の協力についてしっかりと話し合う

家事育児の分担や協力について夫婦でしっかりと話し合い、どちらかに一方的に負担がかからないような方法を考え、実行するようにします。
産後は、夫婦ともに生活の変化や相手の態度にストレスを感じがちです。お互い不満やストレスを溜め込まないように、家事育児の協力についてはこまめに話し合いを行い、妥協点を見つけることが大切です。

(4)夫婦のコミュニケーションを大切にする

産後は子育てに時間がとられますが、できる限り夫婦で会話をしたり、一緒の時間を共有するなどして、夫婦の時間を持つようにしましょう。
子どもを一時的に親に預けて2人のデートを楽しむのもよいでしょう。
子育ての忙しさで、お互いの近況報告も難しいかもしれませんが、お互いの近況報告や喜怒哀楽を伝えたり、感謝の気持ちを表したり、愛情表現もしっかりと行うようにします。

(5)短時間でも自分の時間を確保する

プライベートな時間を確保することは、ストレス解消に極めて効果的です。
産後間もない子育てを担う妻は、夫に子どもの世話を頼んで、買い物や散歩、おいしいものを食べたり、友人と話す機会を設けたりしてプライベートな時間を過ごすことが、ストレス解消につながり、産後クライシス脱却のきっかけとなることがあります。
夫も、妻からしたら自由な時間が多いと思うかもしれませんが、夫なりに子育てのストレスを感じていますので、趣味や友人との付き合いについても回数や時間を決めて認める方向で話し合うとよいでしょう。

産後クライシスで離婚を検討している場合に知っておきたいこと

産後クライシスで離婚を検討している方もいるかもしれません。そのような方に向けて、知っておきたいことについて説明します。

(1)一時的な感情ではないかを冷静に判断することが大切

産後に急激に夫婦関係が悪化して離婚したくなった場合には、産後クライシスで一時的に情緒不安定になっていて冷静な判断ができていない可能性があります。
そのような不安定な状況下で、感情的に離婚を決めてしまうと、離婚後に後悔してしまうことがありますので、一旦冷静になって、本当に離婚する必要があるのか、離婚したいのかを考えるようにします。
配偶者に対して不満があるのであれば、不満を伝えて改善を求めたうえで、配偶者の努力や対応の変化を確認してから、離婚について決断するのでも遅くはありません。

(2)離婚して生活していけるのかをシミュレーションしておくとよい

現在の配偶者のいない、離婚後の人生を考えてみましょう。
考える主なポイントは、生活ができるか、仕事と子どもへの影響があるかということが多いです。
専業主婦(夫)の場合は、離婚後は子どもがいる場合に相手方から養育費をもらえるだけですので、基本的には、自分の生活費は自分で稼がなければなりません。
ですから、仕事を探したり、実家の援助を得られないか相談したりする必要があるでしょう。
子どもがいる場合で子どもを引き取る場合には、仕事と子どもへの影響も考えましょう。
引越し先を確保して初期費用を準備できるのか、フルタイムで働きながら子どもの世話を見られるのか、時短勤務が可能か、などが検討事項となるでしょう。

(3)実家を頼るなど一時的に別居して頭を冷やす選択も視野にいれる

産後クライシスに陥ると、顔を合わせるのも嫌になったりすることがあります。そのような状態になってしまった場合には、夫婦どちらかが実家に帰って一時的に別居するなどして、お互い冷静に夫婦関係を見直すという選択肢もあります。
別居して配偶者と離れることで、相手の長所や短所、自分の長所や短所、二人の関係性、子どもにとって配偶者が必要かなどを冷静に考えることができ、夫婦関係改善のための話し合いが進むことがあります。

【まとめ】産後クライシスはどの夫婦にも起こりうる問題!原因や対処法を理解しよう

産後クライシスはどの夫婦にも起こりうることです。
産後クライシスの原因や対処法を理解して実践することで、多くの夫婦で離婚に至るまで夫婦関係が悪化することを防ぐことはできますので、すぐに離婚を決断することはあまりお勧めしません。
しかしながら、産後クライシスがきっかけで不貞行為が起こったり、夫婦関係が完全に破綻してしまったなど、真剣に離婚を望む場合には、離婚条件(慰謝料、財産分与、親権など)や準備について、自分に不利にならないよう、事前に弁護士に相談してみるとよいでしょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

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