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退職の引き止め、どこからが違法?6つの主なラインと対処法を解説

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会社を辞めたいのに辞められない、という方は多いかもしれません。

会社を辞めたい理由はさまざまだと思いますが、辞められない理由としては、会社に引き止められるということがひとつの大きなものとして挙げられます。

労働者自身が会社を辞めるという決意をした以上、会社に労働者を縛り付けておく権利はなく、労働者は自由に会社を辞められるというのが原則でしょう。

しかし、実際にはすんなりといかないケースも多く、そうした場合に無理を貫いて退職をすると、後になってトラブルとなってしまう可能性も考えられます。
違法な退職の引き止めに応じる必要はありませんが、会社と話し合うなどして、なるべくトラブルの種を残すことのないよう手続きを進めておく必要があります。

今回は、退職の引き止めが違法となるのはどのような場合なのか、違法な退職引き止めにあった場合にはどう対処すればいいのかなど、退職引き止めに関する問題について、解説していきます。

この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

労働者の任意退職は、民法で認められている

労働者には、会社との労働契約を解除する自由、すなわち「退職する自由」が民法で認められています。

また、締結した労働契約に期間の定めがあるかないかによって、どのタイミングで労働者が任意に退職できるかが異なってきます。

民法の規定と、就業規則で定められている退職を申し出るべき期間等に乖離(かいり)がある場合は、最終的には民法の規定が優先されるものの、合理的な範囲で就業規則に沿って退職手続きを進めることで、無用なトラブルを防ぐことができます。

(1)期間の定めのある労働契約(有期雇用契約)の場合

期間の定めのある労働契約の場合には、基本的に、期間の途中で退職することができません。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用:民法628条

条文から分かるように、「やむを得ない事由」がある場合に限っては期間途中でも退職が認められるケースがありますが、退職に至る原因が労働者の過失によるものであったときは、会社に対して損害賠償責任を負うリスクもあります。

「やむを得ない事由」としては、労働者の病気や怪我、家族の介護、妊娠や出産のほか、給料の未払いや違法性のある長時間労働、劣悪な労働環境等も含まれることが多いですが、どういった事情であれば該当するかどうかは一概には言えません。

自分の退職理由が「やむを得ない事由」に該当するかどうかが不安な場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

また、契約期間の初日から1年を経過した後は、「やむを得ない事由」かどうかにかかわらず、いつでも退職することができます(一部の労働者を除く、労働基準法附則137条)。

期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号(専門職・高齢者の例外)に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

引用:労働基準法附則137条

(2)期間の定めのない労働契約(無期雇用契約)の場合

「期間の定めのない労働契約」を結んでいる社員には、いわゆる「正社員」や「無期契約社員」が該当します。

期間の定めのない労働契約を結んでいる場合には、2週間前に退職の意思を告げることで、労働者は理由を問わず退職することができます(民法627条1項)。

1項 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

引用:民法627条

引き止めの法的ライン(1)「後任がいないから退職を認めない」は違法

労働者の退職は通常起こりうることであり、後任を見つけられないのは会社の都合でしかありません。
「後任が見つかるまで辞めないでほしい」というのも会社の願望に過ぎないですから、法的な強制力はないのです。

上で述べた通り、労働者は2週間前に退職の意思を告げることで、理由を問わず退職することができます(民法627条1項)。

引き止めの法的ライン(2)「退職金も、今月分の給料も支払わない」は違法

すでに発生している給料を支払うのは、労働基準法24条にて会社の義務とされており、同法120条にてこれに違反すると罰金を科すものとされております。
また、退職金規程等が存在し、これにより労働者が会社から退職金を受給できるのであれば、退職金の支払いも会社の義務となります。
こうした会社に義務があることを無視し、退職を引き止めるため、退職金も、今月分の給料も支払わないとすることは違法といえます。

未払いの給料や退職金、残業代は、退職後にも請求することができます。

ただし、証拠が集めやすい在職中のうちに、未払いの賃金・残業代・退職金を請求する根拠となる証拠を可能な限り集めておくと良いでしょう(給与明細、労働条件通知書、就業規則、退職金規程、シフト表、タイムカード、業務日報、パソコンのログオンログオフ記録、交通ICカードの利用記録等)。

退職後に証拠を手配するのは難しいため、集めておく証拠の種類や量について不安な場合は、在職中に弁護士に相談することをおすすめします。

また、未払いの給料や退職金、残業代には、消滅時効がありますので、注意しましょう。

 【未払いの給料、残業代の場合】

  • 2020年3月31日までに支払日が到来する未払い賃金→時効は2年
  • 2020年4月1日以降に支払日が到来する未払い賃金→時効は3年

※今後、法改正により時効が5年に延びる可能性がありますので、最新の情報にご注意ください。

【退職金の場合】

退職金の時効は5年

賃金支払日の翌日から各時効のカウントダウンが始まりますので、早めの請求をお勧めします。

引き止めの法的ライン(3)「有給消化は認めない」は違法

有給休暇の取得は、労働基準法で規定された労働者の権利です(労働基準法第39条)。

退職の意思を告げたからといって有給取得の権利が消滅するわけではないため、どれだけ有休を消化してから退職するかは労働者の自由になります。

なお、会社は、事業の正常な運営を妨げる場合、労働者が有給休暇を取得する時季を変更することができますが、この時季変更権は、原則として、労働者が退職するときには行使できないとされております(退職日まで数ヶ月あれば別ですが、例えば、退職日まで1ヶ月程しかなく、有給休暇が20日以上残存している場合、労働者が別の時季に有給休暇を取得することは物理的に不可能だからです)。

したがって、労働者が有給取得を望んだ場合に会社がそれを拒むのは違法であり、会社がどうしても取得させてくれない場合には、労働基準監督署に労働相談すると良いでしょう。

労働基準監督署は、労働条件の確保・改善や労働者の安全・健康の確保、的確な労災補償の実施などを通じて、労働者が安心、快適に働くことができる環境づくりを目指すための、全国にある厚生労働省の第一線機関です。

参考:全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

引き止めの法的ライン(4)「退職しても離職票は発行しない」は違法

会社には、退職者からの請求に応じて離職票を交付する義務があります(雇用保険法76条3項)。
離職票は、正式には「雇用保険被保険者離職票」といい、失業給付金を申請するにあたって必要な書類のひとつになります。

離職票を直接会社に請求しても交付してもらえない場合は、ハローワークに相談して、ハローワークから会社に促してもらうと良いでしょう。

それでも離職票を交付してもらえない場合は、ハローワークで雇用保険の「確認の請求」(雇用保険法第8条)の手続きを行ない、ハローワークから離職票を交付してもらう方法もあります。

参考:全国ハローワークの所在案内|厚生労働省

引き止めの法的ライン(5)「退職するなら、懲戒解雇として扱う」は違法

懲戒解雇になると、就業規則の定めによっては退職金を受け取れなかったり、離職票に「重責解雇」と記載されたりする等のデメリットが生じることがあります。

もっとも、会社が従業員を解雇処分や懲戒処分にできるのは、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当である」と認められるときに限られます(労働契約法15条、16条)。

そして、労働者が任意に退職することは、そもそも懲戒解雇の事由に該当しません。

もし、退職の意思を告げたことだけをもって懲戒解雇処分とされてしまったというような場合は、法的に争えば懲戒解雇処分が無効となる可能性が高いでしょう。
そのようなケースに直面した場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

引き止めの法的ライン(6)「退職するなら、損害賠償を請求する」は違法

損害賠償責任とは、故意又は過失によって違法な権利侵害行為を行い、他者に損害を与えた場合に、その損害を賠償する責任のことをいいます(民法709条)。

基本的に、任意退職は法律で認められた労働者の権利ですから、「違法な権利侵害行為」には該当しないため、労働者が損害賠償責任を負うことはありません。

ただし、退職の仕方によっては、損害を被ったとして使用者から損害賠償を請求される可能性がありますので注意が必要です。
例えば、有期雇用契約が始まってから1年以内の期間途中で「やむを得ない」事情なしに退職した場合、退職に伴ってほかの従業員を引き抜くなどして会社に損害を与えた場合、競業避止義務規定に違反した場合等に、労働者が損害賠償責任を負う可能性が出てきます。

なお、競業避止義務とは、所属する企業の不利益となるような競業行為をしてはならないという労働者が負う義務のことをいいます。
この義務は、労働者の在職中は特別の定めがなくても信義則に基づいてその存在が基礎づけられますが、退職後については、労働者から生計の途を奪うおそれがあると同時に、労働者の職業選択の自由を制限するおそれもあることなどから、特別の定めがある場合に限って認められると解釈されています。また、その特別の定めも、使用者の正当な利益の保護の必要性に照らして、労働者の職業選択の自由を制限する程度が必要かつ相当な限度なものでなければならず、限度を超える場合には、公序良俗に反して無効となることがあります。

以上のように、今回は退職の引き止めが問題となりうる6種類のケースを紹介しましたが、退職引き止めの対処法を考えるにあたっては、以下の記事なども参考になります。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

「仕事をやめたい」と思う理由は?退職させてもらえない場合の対処法についても紹介

参考:退職・解雇・雇止め(Q&A)|大阪労働局

【まとめ】労働者には退職する権利がある

基本的に、任意退職は、民法で認められた労働者の権利です。

円満退職できるならそれに越したことはありませんが、もし会社からの強引な引き止めで退職ができない場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

退職引き止めでお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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