お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

【弁護士監修】性病を隠して結婚!バレたら離婚される?

作成日:更新日:
kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「性病にかかっていることを隠して結婚したけど、そのことがバレたら嫌われるかもしれない」
「病気だということを隠して結婚したら、離婚されてしまうのでしょうか?」

結婚を考えている相手に、自分が性病にかかっていることを打ち明けるのは、かなりハードルが高いですよね。

性病にかかっていることがバレた場合、配偶者から「離婚したい」と言われてしまう可能性があります。ただし、あなたが離婚を拒否した場合には、話し合いで離婚することはできません。配偶者がそれでも離婚したい場合には、裁判所に離婚を求める必要がありますが、 性病にかかっていることだけを理由に、裁判所が離婚を認める可能性は低いです。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 配偶者から離婚請求されても、それが認められる可能性は高くない
  • 配偶者に性病をうつしたら、場合によっては傷害罪が成立する可能性がある
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

配偶者の離婚意思が固ければ、協議離婚になる場合もある

当事者同士が離婚に同意すれば、どんな理由であっても離婚することができます。これを 「協議離婚」といいます。

自分に性病を隠して結婚したことを、隠されていた側がどうしても許せず、離婚の意思が固い場合、もはや関係を修復し、結婚生活を維持していくことが不可能だと感じることもあるでしょう。そういった場合は、二人で離婚届を記入し、役所に提出するだけで、協議離婚が成立します。

協議離婚について詳しくはこちらをご覧ください。

協議離婚がまとまらなければ、調停離婚や審判離婚へと移行する場合がある

協議離婚がまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停の申立てをすることになります。
調停とは、調停委員が夫婦の双方の話を聞き、夫婦の意見の調整をしながら進める話し合いのようなもので、裁判官が一方的に離婚を認めるか認めないかを決める裁判とは異なります。
また、離婚調停が、些細な条件について折り合わずに不成立になりそうな場合などに、裁判官が決定して成立させる離婚を、審判離婚といいます。

審判離婚は、離婚すること自体や、大まかな離婚条件については、当事者の意見がまとまっているような場合に利用されることが多く、めったに使われることはありません。

調停離婚も審判離婚も、要は話し合いですよね?
離婚するのがイヤなら、拒否すればいいだけの話ではないのですか?

いいえ。調停離婚や審判離婚が成立しなければ、離婚を請求している側は、裁判所に離婚裁判を提起することができます。その結果、裁判所が離婚を認める判決を出せば、離婚は成立してしまいます。

離婚を拒否すれば、裁判所に離婚を求める裁判を提起される場合がある

調停や審判でも話がまとまらない場合、 離婚したい側は裁判所に離婚を認めてくださいと裁判を提起することがあります。裁判をした結果認められて、成立する離婚を、 裁判離婚といいます。

(1)法定離婚理由について

ただし、裁判所が裁判で離婚を認める場合は、民法770条で定められている5つの場合に限られています。

  • 不貞行為(いわゆる浮気・不倫)
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 重度の精神病で、かつ回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事由

性病にかかっていることを隠して結婚した場合、「婚姻を継続しがたい重大な事由」の有無が問題になります。

まず、 性病に限らず病気にかかっていることや、それを隠していたこと「だけ」を理由に、裁判所が離婚を認める可能性は、あまり高くありません。
特に、感染症にかかった経緯が、母子感染など、不倫や風俗店などでの第三者との性行為が原因ではない場合、離婚が認められる可能性はかなり低いでしょう。

しかし、病気を隠して結婚したことに加えて、病気を原因とする様々な悪影響が生じ、結婚生活を継続することはもはや難しい、と裁判所が判断すれば、離婚が認められることはあり得ます。

例えば、病気の症状により日常生活すら困難になった場合や、著しく高額な医療費が継続的にかかる場合などです。そして、性病の場合、それが男女問わず不妊につながることもあるため、その点も考慮されることになるでしょう。

早めに治療すれば比較的簡単に治る性病もあります。そのような性病の場合には「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たると判断される可能性は低くなります。性病にかかったら早めに医師の診断を受けるようにしましょう。

法定離婚理由について詳しくはこちらをご覧ください。

民法770条が定める裁判離婚に必要な5つの離婚原因とは?弁護士が解説

(2)性病が不妊の原因となっている場合について

結婚する理由は人それぞれですが、子どもを持つか持たないか、といった将来の家族計画にかかわることは、人生にとって非常に重要な要素です。
したがって、次のような要素がある場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」が認められやすくなるといえるでしょう。

  • 自分が性病にかかっており、それが原因で不妊である(またはその可能性がある)ことを知っていた
  • 配偶者が、将来は子供を持ちたいという希望を持っており、結婚前からそのような希望を持っていることを知っていた

こういった事情があったにもかかわらず、自分が性病であることや、それが原因で不妊である(またはその可能性がある)ことを隠して結婚した場合、悪質である、と判断されやすいからです。

性病であることが妻にバレたら、少なくとも離婚を切り出されるかもしれないということですね。どうしよう……

しかし、いつまでも隠し通せるとは限りません。時間が経てば経つほど、発覚したときの衝撃は大きいです。また、嘘をついていた期間が長くなれば、配偶者の怒りや悲しみもより強いものになると思いますよ。

それに、性病といっても、不倫したり風俗店に行ったりしてもらってきた場合もあれば、母子感染や予防接種のように性行為とは関係なく感染してしまった場合もありますよね。
事情によっては、配偶者も理解してくださるのではないでしょうか。

むしろ、このまま隠し続ける方が、問題が大きくなってしまうかもしれません。
あなたが今後の人生を共に過ごしていきたいと思うなら、早めに打ち明けることも検討してみましょう。

配偶者に性病をうつした場合、傷害罪が成立する可能性がある

ご存じのとおり、性病は、性行為によって感染します。あなたが性病にかかっているなら、当然配偶者にうつしてしまう可能性もあるはずです。
傷害罪(刑法第204条)とは、通常、他人に怪我を負わせた場合に成立する犯罪ですが、次の条件を満たす場合には性病をうつした場合にも成立する可能性があります。

  1. あなたが、自分は性病にかかっていると知っていた
  2. 相手に性病をうつす可能性を認識しながら、あえて性行為に及んだ
  3. 相手が性病にかかった
  4. 相手が性病にかかったのは、あなたとの性行為が原因である
    ただし、夫婦間の感染であれば、うつされた方が浮気・不倫している証拠があるなどの事情がない限り、4は比較的簡単に認められるといえます。

自身が性病にかかっていることがわかったら、配偶者に病気を移さないように適切な予防策(コンドームの使用など)を取る必要があります。具体的な方法については医師に相談するようにしましょう。

※あなたが性病にかかっていること及びその病気がうつるかもしれないことを認識しながら、それでも同意のうえで相手があなたとの性行為に及んだ場合には、例外的に傷害罪が成立しない可能性があります。

【まとめ】性病だけを理由に一方的に離婚をするのは難しい場合が多い

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 性病であること、それを隠して結婚したことだけを理由に、離婚が認められる可能性は高くない。
  • ただし、性病であることが原因で、他に悪影響が生じているなら、法定離婚理由のひとつである「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たると判断される場合がある。
    法定離婚理由は、次のとおり。
    1. 不貞行為(いわゆる浮気・不倫)
    2. 悪意の遺棄
    3. 3年以上の生死不明
    4. 重度の精神病で、かつ回復の見込みがない
    5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由
  • 性病によっては、男女問わず不妊のリスクがあるため、結婚生活において重要視されることがある。
  • 配偶者に性病をうつした場合、傷害罪が成立するリスクもある。
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

浮気・不貞による慰謝料のご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-783-184
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています