お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

不貞行為の慰謝料は二重取りできる?事実上可能なケースも

作成日:更新日:
yamazaki_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「不倫をした配偶者と不倫相手双方から慰謝料を二重取りできないか」
不倫をした配偶者はもちろんこと、その不倫相手も許せないという気持ちから、そのようにお考えの方もいるかもしれません。

不倫が法律上の「不貞行為」に該当するのであれば、原則として配偶者と不倫相手に双方に対して慰謝料を請求することができます。

しかし、残念ながら、双方から十分な慰謝料を二重に受け取るということは通常できません。
もっとも、事実上、双方から十分な慰謝料を二重に受け取ることができる場合もあります。

この記事を読んでわかること
  • 不貞行為を理由に慰謝料を請求するための条件
  • 不貞行為の慰謝料を配偶者・不倫相手双方に請求できない場合
  • 事実上、慰謝料の二重取りが可能となるケース
この記事の監修弁護士
弁護士 池田 貴之

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。

【Xアカウント】
@ikeda_adire_law

離婚、浮気・不倫の慰謝料に関するご相談はアディーレへ

費用倒れの不安を解消!「損はさせない保証」あり

ご相談・ご依頼は、安心の全国対応。国内65拠点以上(※1)

慰謝料請求の対象となるのは不倫が「不貞行為」に該当する場合

不倫をされたと感じてもすべての場合に慰謝料を請求できるわけではありません。

不倫のうち「不貞行為」にあたるものが「不法行為」(民法709条)といって、人の権利を侵害する行為として慰謝料の請求の対象となるのです。

「不貞行為」とは

では、どういった不倫が「不貞行為」にあたるのでしょうか。

「不貞行為」とは、一般的に、配偶者以外の第三者、もしくは既婚者と自由な意思で性行為・肉体関係を持つことをいいます。

もっとも、性行為・肉体関係とまではいかなくても、性的に密接な関係(一緒に風呂に入る、愛撫をするなどの性交類似行為など)をもつことも、「不貞行為」にあたるとされています。

一方、2人きりで会う、食事をする、手をつなぐといった行為だけでは、基本的に「不貞行為」にはあたりません。

「不貞行為」の判断基準について詳しくはこちらをご覧ください。

どこから不貞行為と判断できる?疑惑があるときに取るべき2つの行動

不貞行為を理由に慰謝料を請求するための条件

不貞行為を理由に慰謝料請求する場合には、慰謝料を請求するための条件を満たす必要があります。

配偶者や不倫相手にも慰謝料請求するためには、配偶者と不倫相手それぞれで次の条件を満たす必要があるのです。

  • 「不貞行為」の故意・過失
  • 「不貞行為」による権利侵害

(1)「不貞行為」の故意・過失

不倫を理由に慰謝料を請求するためには「故意・過失」、つまり、

  • 既婚者だとわかっていたこと、又は不注意により気づかなかったこと
  • 不倫が夫婦の婚姻生活の平穏を害するものであるとわかっていたこと、又は不注意により気づかなかったこと

が必要となります。

なお、「自由な意思で不貞行為に及んだこと」が必要ですので、例えば、不倫相手が配偶者から無理矢理性的関係を持たされたような場合には、そもそも不貞行為にはあたらず不倫相手に対して慰謝料を請求することはできません。

具体的には、次のとおりです。

故意・過失
〇認められるケース ×認められないケース
  • 既婚者であることを知りながら、肉体関係をもった

  • 不倫相手は、既婚者と不倫をしていると気づく状況であるにも関わらず、不注意で把握していなかった

  • 既婚者だと知っていたが、婚姻関係がすでに破綻していたと勘違いし、注意を払えば破綻していないことに気づく状況であったにもかかわらず肉体関係をもった
  • マッチングアプリなどで知り合い、お互いの素性を知らず、既婚者であることに気づく余地のないまま肉体関係を持った

  • 既婚者だと知っていたが、婚姻関係がすでに破綻していたと聞かされており、実際夫婦は別居しているなど夫婦関係はすでに破綻していると思わざる得ない状況で、肉体関係をもった

なお、配偶者は当然自身が既婚者であることを知っているため、配偶者の故意・過失は基本的に問題にはなりません。
したがって、不倫相手に故意・過失が認められず、慰謝料請求ができない場合であっても、配偶者に対する慰謝料請求は妨げられません。

(2)「不貞行為」による権利侵害

不倫を理由に、慰謝料を請求するためには、不倫によって「権利の侵害」を受けたこと、つまり、

  • 不倫によって婚姻生活の平穏が害されること

が必要となります。

つまり、不倫によって夫婦の仲が悪化してしまったことが必要だということです。

不倫された時点で、すでに婚姻生活が破綻していた(別居状態、離婚に向けて話し合っている最中ですでに夫婦仲が冷め切っているなど)状況である場合、不倫が行われたとしても、すでに婚姻生活が破綻している以上、不倫によってさらに夫婦仲が悪化することはないと考えられているため、不倫をされた時点ですでに婚姻生活が破綻していた場合には、慰謝料を請求することはできないとされています。

具体的には、次のとおりです。

権利の侵害
〇認められるケース ×認められないケース
  • 不倫が原因で夫婦関係が悪化した
  • 不倫が行われた時点で、夫婦の仲が悪く、夫婦の共同生活がすでに破綻していた(不倫が行われた時点ですでに夫婦が別居している場合、婚姻関係が破綻していたと判断される可能性が高い)

不貞行為の慰謝料は配偶者や不倫相手双方に請求可能

これまで説明した条件を配偶者と不倫相手が満たしている場合、原則として双方に慰謝料請求することが可能です。

しかし、次のような場合には、不倫相手に対して慰謝料請求ができない可能性がありますので、注意が必要です。

【例外】不倫相手に対し「不貞行為」を理由に慰謝料請求ができない場合

これまで説明した不貞行為の慰謝料請求の要件を満たしていても、次のケースに当てはまる場合には、慰謝料請求をすることはできません。

  1. 不倫相手の連絡先がわからない
  2. すでに十分な慰謝料を受け取っている

(1-1)不倫相手の連絡先がわからない

不倫相手の連絡先(氏名、電話番号、住所など)がわからなければ、不倫相手と連絡を取り合うことができないため、事実上、不倫相手に慰謝料を請求することができません。

もっとも、個人で調査しても不倫相手の連絡先がわからない場合には、弁護士や探偵などに調査を依頼し、不倫相手の住所などが判明することもあります。

(1-2)すでに十分な慰謝料を受け取っている

「不貞行為」は、配偶者とその不倫相手の2人が行うものです。そのため、不貞行為の慰謝料を支払うときは配偶者とその不倫相手の2人が支払うものとされています。

仮に、不貞行為によってあなたが受けた精神的ショックを償うためには慰謝料として200万円が相当であると考えられる場合には、配偶者と不倫相手が共同で慰謝料200万円を支払うことになるのです。

不倫に対する精神的苦痛ですでに配偶者から十分な慰謝料を受け取っている場合には、不倫相手から二重に慰謝料を受け取ることはできないとされています。

配偶者からすでに十分な慰謝料を受け取った場合、不倫による損害の賠償が済んでいるとされるためです。

(例)Aさん(仮名・妻)が不倫をしたAさん(夫)から200万円の慰謝料を受け取った場合、客観的に妥当な慰謝料金額200万円の場合には、Aさん(妻)はすでに不貞行為によって被った損害の全額の支払いを受けているため、不倫相手から慰謝料を受け取ることは難しくなります。

不貞行為の慰謝料は原則、二重取りはできない

これまで説明した通り、配偶者から十分な慰謝料が支払われた場合、不倫相手からも二重に慰謝料を獲得することは難しいでしょう。

しかし、事実上二重取りができる場合があります。
事実上、二重取りが可能なケースについて解説します。

事実上、慰謝料の二重取りが可能となるケース

事実上、慰謝料の二重取りが可能となるケースとしては、次の2つの場合が考えられます。

  1. 裁判外の交渉で配偶者と不倫相手双方が支払った場合
  2. 配偶者が支払った慰謝料が不倫以外の理由で支払われていた場合

(1-1)裁判外の交渉で配偶者と不倫相手双方が支払った場合

裁判外の交渉で配偶者と不倫相手が慰謝料を支払った場合、事実上慰謝料を二重取りすることが可能な場合があります。

例えば、客観的に妥当な慰謝料金額200万円の場合に、配偶者にも不倫相手にも200万円の慰謝料を請求し、双方が200万円を支払った場合です。

配偶者から十分な慰謝料を受け取った場合に、不倫相手からさらに慰謝料を受け取ることができないというのは裁判になった場合の、裁判所による法的判断の結果です。そのため、慰謝料の支払いについて交渉した結果、双方が任意に慰謝料の支払いに応じた場合には、慰謝料の二重取りが可能です。

もっとも、裁判外の交渉の場とはいえ、不倫相手から、配偶者からすでに十分な慰謝料を受け取ったはずだと反論された場合には、慰謝料を支払わせることは難しいでしょう。
仮に裁判になった場合、不倫相手が、あなたがすでに配偶者から十分な慰謝料を受け取ったことを主張・立証すれば、裁判所は慰謝料請求を認めないと考えられるからです。

(1-2)配偶者が支払った慰謝料が不貞行為以外の理由で支払われていた場合

配偶者から慰謝料が支払われた理由が、不貞行為だけではなく、暴力などの理由もあった場合には、配偶者だけではなく不倫相手に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

例えば、不貞行為の慰謝料として客観的に妥当な慰謝料金額200万円の場合に、配偶者からすでに200万円を受け取っていたとしても、その慰謝料にはDVやモラハラなど他の理由の慰謝料の意味もあった場合です。

この場合には、不貞行為だけを理由とした慰謝料としてはまだ十分な慰謝料を受け取ったとはいえないため、不倫相手にも慰謝料を請求できる可能性があります。

なお、配偶者から受け取った慰謝料が十分といえるか、そしてその慰謝料がどのような理由で支払われたといえるかについては、専門的な判断が必要ですので、弁護士へ相談することをおすすめします。

不貞行為の慰謝料の請求は弁護士に依頼することがおすすめです

慰謝料請求はもちろん、自分でも行うことができます。
しかし、弁護士に依頼をして慰謝料請求を行っている方も多くいます。

弁護費用をかけてまで、慰謝料請求を弁護士に依頼する理由とは何でしょうか。

慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットは、主に次の3つです。

  1. 弁護士からの請求であなたの本気の怒りを伝えることができる
  2. 高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まる
  3. 不倫相手や配偶者と慰謝料請求に関して連絡を取らなくてもよい

慰謝料を請求されても無視したり、適当にあしらったりしていた配偶者や不倫相手が、弁護士からの書面が届いた途端、態度を変えて話し合いに応じることは珍しくありません。
また、弁護士は法律の専門家として、過去の裁判例や法的根拠をもとに交渉しますので、自分で交渉する場合よりも高額な慰謝料を獲得できる可能性が高まります。
さらに、弁護士に交渉を依頼すれば、基本的に慰謝料請求に関して配偶者や不倫相手と直接連絡を取る必要はありませんので、精神的な負担を軽減できると考えられます。

弁護士は、依頼者の悩みに寄り添い、依頼者にとって一番よい解決を目指します。

【まとめ】慰謝料の二重取りは原則できないが、双方が任意で支払った場合などは可能!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 不貞行為の慰謝料は配偶者と不倫相手の双方に請求可能だが、1.不倫相手の連絡先がわからない場合や、2.すでに配偶者から十分な慰謝料を受け取っている場合には、不倫相手から慰謝料を獲得できない可能性が高い
  • 配偶者から十分な慰謝料が支払われた場合であっても1.裁判外の交渉で配偶者と不倫相手双方が任意に支払った場合、2.配偶者が支払った慰謝料が不倫以外の理由で支払われていた場合には二重に慰謝料を受け取れる可能性がある

アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
(以上につき、2023年2月時点)

不倫の慰謝料請求でお悩みの方は、不倫の慰謝料請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。