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居酒屋店長の年収はどれくらい?きちんと残業代は出てる?

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「結構年収がいいと聞いて始めた居酒屋店長だけど、想像していたよりもキツいなぁ……。遅くまで働くことも多いし。今の年収は、仕事内容に見合ったものなのかな?」

居酒屋店長の平均年収は、250万~350万円程度と考えられます。
また、居酒屋店長の収入は業績給と連動することが多く、「求人広告に書いてあったほど、もらえない……」ということも起こりがちです。

さらに、居酒屋店長の場合、「もう残業代は支払い済み」「居酒屋店長は『管理監督職』だから、そもそも残業代が出ない」などと言われて、残業代を支払ってもらえないことがあります。

しかし、何時間分かの残業代が支払い済みだったとしても、実際の残業時間がオーバーしていれば、足りない分の残業代を回収できる可能性があります。
また、「店長」などの管理職らしい肩書があっても、残業代を請求できる可能性はあります。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 居酒屋店長の年収
  • 居酒屋店長に残業代が支払われない問題
  • 居酒屋店長の抱える労働問題の解決方法
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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居酒屋店長の年収は、どれくらい?

まず、居酒屋店長の年収や変動の仕組みなどについてご説明します。

(1)居酒屋店長の年収

厚生労働省の調査結果によりますと、居酒屋店長として働く方を含む「宿泊業・飲食サービス業」の方の1ヶ月あたりの賃金(※)の平均は、次のとおりです。

  • 男性:28万6800円
  • 女性:21万5000円

※2021年6月分として支払われた給与から、残業代などの手当を差し引いた金額(所得税などは控除せず)を指します。

参考:令和3年賃金構造基本統計調査の概要 12枚目|厚生労働省

この賃金に12をかけて1年分の賃金の平均を求めると、次のようになります。

  • 男性:344万1600円
  • 女性:258万円

いわゆる「オーナー店長」か「雇われ店長」かといった雇用形態などによっても変わってくるものの、この計算結果からは、

居酒屋店長の平均年収は250万~350万円程度と推測することができます。

(2)居酒屋店長の給与体系

居酒屋店長の給与体系はさまざまですが、例えば次のようなところも少なくありません。

また、業績に連動したボーナスが支給される居酒屋もあります。

このように、業績次第で受け取ることのできる金額が大きく変動する可能性があるのです。

居酒屋店長の求人広告には「月給40万円も夢じゃない!」って書いてあったけど、40万円ももらえたことがないな……

求人広告などでは、最大限の業績を上げた場合の給料の額を記載しているケースがあります。
そのため、居酒屋店長になった時に想像していた金額よりも、実際に受け取ることのできる金額が低いということが起こりがちです。

居酒屋店長には残業代が出ない!?

居酒屋での仕事は、夕方から深夜にかけてが中心で、ただでさえ過酷、長時間労働になりがちです。
そのうえ、責任ある店長の立場となると、一層負担も重くなる傾向にあります。

しかし、居酒屋店長には十分に残業代が支払われないケースが少なくありません
それでは、会社側が居酒屋店長に残業代を払わない主な理由についてご説明します。

(1)「もう残業代は支払い済み」と言われてしまう

来客相手という居酒屋の仕事の性質上、居酒屋店長にはどうしてもイレギュラーな対応が必要となる場合があります。
このように、居酒屋店長には残業が発生することが多いのですが、会社側から「毎月払っている給料の中に、残業代が含まれている。だから、これ以上は残業代を払わない」と言われてしまうことがあるのです。

「毎月払っている給料の中に、残業代が含まれている」仕組みの中でも代表的なものが、「固定残業制」です。

(1-1)「固定残業制」とは?

固定残業制とは、労働者が実際に残業したか(残業した場合、何時間残業したか)にかかわらず、一定時間残業したものとして、あらかじめ一定時間分の残業代を含めて給料を払うという仕組みです。

次のようなケースを考えてみます。

X社に雇われたAさんは、居酒屋などを経営するX社のチェーン店である「居酒屋Y店」の店長として働いています。
Y店は大学近くの立地ということもあり、日付をまたいでも大学生の客足が途絶えません。
Aさんは対応のため、夜遅くまで残業をする日々です。残業時間は、毎月40時間以上になっています。

しかし、毎月の給料はほとんど変わりません。
AさんがX社に確認すると、「うちは固定残業制だから、毎月の給料の中にもう残業代が入っている。だから、追加の残業代は払わない」と言われてしまいました。
困ったAさんがX社の就業規則を確認すると、30時間分の残業代を基本給に含めて支払うと書いてありました。

※Aさん、X社、Y店はいずれも仮名です。

X社での固定残業制の場合、基本給に30時間分の残業代が含まれています。
そのため、Aさんの残業時間が30時間以内だった場合には、追加の残業代は「基本的には」支払われないこととなります。

(1-2)固定残業制でも、追加の残業代を獲得できる可能性はある!

固定残業制の会社で働いている場合でも、追加の残業代が出る場合はあります
例えば、Aさんが40時間残業をした場合、X社の固定残業制でカバーできているのは「30時間」までですので、不足している10時間分の残業代を会社から支払ってもらえる可能性があります。

さらに、居酒屋店長の場合には仕事の性質上、深夜残業や法定休日の労働(休日労働)なども多く発生しがちです。
このような深夜残業や休日労働の場合には、通常の時間外労働よりもさらに割増された賃金が支払われることとなっています(通常の時間外労働: 25%~、深夜に及んだ時間外労働:50%~、法定休日の深夜労働:60%~)。
しかし、固定残業制では、深夜残業や休日労働の割増率まではカバーできていないケースも多いです。
そのため、しかるべき割増分を会社に対して請求できる可能性もあるのです。

固定残業制だから追加の残業代は払わないと言われてしまった場合の対処法について、詳しくはこちらをご覧ください。

残業代は出ない?みなし残業代制のよくある間違いを解説

(2)「管理職なんだから残業代は出さない」と言われる

会社が残業代を払わない理由として、「あなたは『管理監督者』だから、そもそも残業代が出ない」と言われるケースもあります。

確かに、労働基準法上の管理監督者に当たる人の場合、残業代は原則として出ません(労働基準法41条2号。深夜労働の場合には、賃金が割増になります)。
しかし、「店長」などの管理職らしい肩書がある人でも、残業代が出ない「管理監督者」には当たらない可能性もあるのです。

「名ばかり管理職」なら、残業代を請求できる可能性がある!

管理職らしい肩書がついているというだけでは、労働基準法上の管理監督者にはなりません。
管理監督者に残業代が原則として出ないのは、労働基準法の労働時間の規制を超えて働くことが求められる職務や責任を有し、実際にそうした働き方をしている者には、労働基準法の労働時間の規制を適用しないことにしたためです。

この管理監督者に該当するのかについては、労働時間を超えて働くことが求められる重要な職務や責任を有し(経営上の重要事項の決定に参画し、労務管理上の決定権限を有する)、自身の出退勤の時間などを自由に決めることができ、そうした地位に見合った待遇を与えられていることなどが判断要素とされます。

そのため、管理職らしい肩書がついていても、例えば次のような場合には管理監督者には当たらない「名ばかり管理職」である可能性があります。

  • 店長といっても、店舗運営上の重要な権限(例えば、会社から設定された店舗の売上目標を達成するため、一定の制限はあるものの、自分の判断で新たな集客の方法やサービス内容を導入するといったことが許されており、部下の店員の人事考課について自分の評価によって決めることができるといったこと)が付与されている訳ではなく、店舗にて就労する店員のなかで社歴が一番長いため店長とされたに過ぎず、仕事内容の殆どが他の店員と変わらない。
  • 営業時間中は、店長が居酒屋に常駐しなければならず、労働時間を自由に決めることができていない
  • 店長の1時間あたりの賃金が、その居酒屋の店員とほとんど変わらない

名ばかり管理職であれば、残業代を支払ってもらう権利があるということになります。

自分が「名ばかり管理職」で残業代を請求できる可能性があるかどうかについて、詳しくはこちらをご覧ください。

居酒屋店長の労働問題の解決方法

それでは、居酒屋店長が抱えがちな労働問題の解決方法をご紹介します。

(1)労働基準監督署に相談する

労働基準監督署とは、労働基準法などの労働基準関係法令を企業が守っているかどうか監督する公的機関です。
例えば残業代がきちんと支払われない場合、労働基準法37条などの違反ということになりますので、労働基準監督署に相談することができます。

労働基準監督署は、企業が労働基準関係法令に違反していることを把握すると、是正勧告を出したりすることで、違法な状態の是正を図ります。
労働基準監督署に動いてもらいやすくするためには、残業代が未払いになっていることなど違法な事実についての証拠をあらかじめ集めておくことがおすすめです。

なお、労働基準監督署は、労働者が実際に会社から過去の未払いの残業代の支払いを受けるところまでは面倒を看てくれません。会社は、是正勧告に応じ、残業代の支払いをするようになったとしても、過去の未払いの残業代の支払いをしないときには、労働者自身が会社に請求する必要があります。
その場合は、弁護士に依頼して請求することをお勧めします。ご自身で対応することの労力や時間から解放されるのみならず、専門的な判断に基づいた請求が可能となりますし、弁護士が就いたとなると会社が真摯に対応することが多いからです。

労働基準監督署がどのような業務をしているかについて、詳しくはこちらをご覧ください。

労働基準監督署とは?業務内容や相談をするメリットを解説

参考:全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

(2)転職を検討する

今の職場にとどまることが難しいと感じた場合には、転職を検討するという方法もあります。
自分ひとりの努力では、職場環境を改善するのには限界があるかもしれません。また、労働基準監督署が是正勧告などをしてくれたとしても、会社の上部の姿勢が根本的に変わらなければ、結局同じような問題で苦しむことともなりかねないからです。

辞めにくいときのための「退職代行」

転職先が見つかったりして、退職を会社に言いだそうとしても、「店長という立場から、退職のことを言い出すのは何となく気が引ける……」と思われる方がいるかもしれません。

また、退職の話を切り出すことができたにしても、「この忙しい時期に店長に退職されたら、店がつぶれる!そしたらどうやって責任を取るんだ」などと拒否されてしまうおそれもあります。

このように、退職しにくいときのための「退職代行」があります。
退職代行とは、退職届の提出や退職に関する手続きなどを労働者の代わりに行うサービスのことです。

退職代行について、詳しくはこちらをご覧ください。

(3)残業代請求を検討する

支払ってもらえていない残業代がある場合、残業代請求を検討してみてください。
「在職中に残業代を請求すると、職場に居にくくなってしまうかも」と、退職後に請求する方が多いのですが、在職中にも証拠を集めておくことがおすすめです。
それには、主に次のような理由があります。

  1. 在職中の方が、退職後よりも残業代を請求するために必要な出退勤の時間などの証拠を集めておきやすい
  2. 残業代を請求する権利には消滅時効があるので、なるべく早めに請求に移れるようにしたい

残業代請求のために集めておきたい証拠について、詳しくはこちらをご覧ください。

特に気を付けたいのが、消滅時効です。
残業代を請求する権利は、本来残業代が支払われるべきだった日から原則3年(支払われるべきだった日が2020年3月31日以前の場合は2年)で、時効にかかって消滅してしまうのです。
月給制の方の場合、イメージとしては「毎月の給料日が来るたびに、3年前の残業代が消えてしまう」ということになります。
残業代請求を迅速に進められるように、あらかじめ証拠集めをしておけると心強いです。

【まとめ】居酒屋店長の平均年収は推定250万~350万円程度!きちんと残業代が出ているかチェックしておきましょう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 厚生労働省の調査結果より、居酒屋店長の平均年収は250万~350万円程度と推測される。居酒屋店長の年収は業績と連動していることが多く、求人広告に書かれた最高額よりも低くなるケースもある。
  • 居酒屋店長は、会社から次のように言われて残業代を支払ってもらえないことがある。しかし、不足分を請求できる可能性はある。
    • 「もう残業代は支払い済み」(固定残業制)
      ⇔不足分の残業代を請求できる可能性
    • 「居酒屋店長は『管理監督職』だから、残業代は出ない」
      ⇔単に「店長」というだけで、残業代が出なくなるとは限らない
  • 居酒屋店長の労働問題の解決方法には、例えば次のものがある。
    • 労働基準監督署に相談する
    • 転職を検討する
    • 残業代請求を検討する

労働基準法などの労働基準関係法令違反が起きている場合には、労働基準監督署に相談できます。

また、スムーズに退職できない場合の退職代行や、未払いになっている残業代の請求については、弁護士へのご相談もおすすめです。

アディーレ法律事務所でも、退職代行や残業代請求についてのご相談を受け付けております。

まず、退職代行についてですが、アディーレ法律事務所では退職代行に関する相談料は何度でも無料です。

次に、残業代請求についてですが、アディーレ法律事務所は残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年8月時点

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