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塾講師が抱える残業要因とは?未払い残業代の請求方法を解説!

作成日:更新日:
yamazaki_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「塾講師として働いているけれど残業が多い気がするなあ。
残業代も、残業に見合った分だけもらえていない。
塾講師でも残業をした分の残業代をもらいたい!」

塾講師が抱える残業要因には、授業準備、テスト採点などさまざまなものがあります。

このような残業をしているにもかかわらず、残業代がもらえていない場合には、塾に対して未払い残業代の請求をすることができます。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 塾講師の労働時間と勤務体系
  • 塾講師の残業を招く授業以外の6つの業務
  • 塾講師のサービス残業の実態
  • 塾講師の残業代未払い問題と対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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塾講師の労働時間と勤務体系

塾講師の労働時間に関する統計データや、塾講師の勤務体系についてご説明します。

(1)塾講師の労働時間

2020年度分の毎月勤労統計調査によると、塾講師が含まれる「教育、学習支援業」の月間総実労働時間は154.7時間(所定内142.2時間、所定外12.5時間)、月の出勤日数は18.9日でした。

労働時間が多い業種は、次のとおりです。

  • 運輸業・郵便業:172.8時間
  • 鉱業・採石業等:170.0時間
  • 建設業:169.1時間

教育、学習支援業の総実労働時間はやや少なめですが、所定外労働時間の12.5時間は他業種と比較しても多い傾向にあります。

参考:毎月勤労統計調査 令和2年度分結果確報|厚生労働省

(2)塾講師の勤務体系

塾講師の勤務時間帯は、13~22時などが一般的です。
遅い場合には15時から勤務が始まることもあります。

指導対象が小学生の場合は夕方頃の授業の需要が高く、中学生以上の場合は夜間の授業の需要が高いです。
このため、このように遅い時間帯の勤務となりやすいのです。

また、塾講師の仕事は、生徒に授業をするだけではありません。
授業以外にもさまざまな業務がたくさんあります。
このため、塾講師は残業を強いられる環境にあるといえます。

塾講師の残業を招く授業以外の6つの業務

塾講師の残業を招く授業以外の6つの業務があります。
それは、次の6つです。

  • 授業の準備・テスト採点
  • 休日出勤
  • テスト対策・季節講習
  • 会議・研修
  • 生徒・保護者への対応
  • 電話対応などの雑務

これらについてご説明します。

(1)授業の準備・テスト採点

授業に必要な教材やテキストの作成、テストの採点なども塾講師の業務です。
塾によっては、既製品の教材を使わずに、独自の教材を作成するケースもあります。
このような塾では、授業に必要な教材等の作成の負担が大きくなります。

授業に必要な教材等の準備などのために、早めに出勤してこれらの授業準備を行うことは、塾講師にとってよくあることです。
早めに出勤することで、残業が増えるということにもつながります。

このような、教材作成などの負担が、塾講師の残業を招く一つの要因です。

(2)休日出勤

塾講師は、休日出勤をすることもあります。
学校と異なり、塾は土日も授業を行っているため、必然的に休日出勤が多くなります。
平日は通常の授業を行い、土日も授業を行ったり、授業を行わなかったとしても自習室を開放するために出勤するケースもあります。

このほかに、受験当日には、塾講師が試験会場まで応援に駆けつけることもあります。
受験は複数の日程があるため、このような応援は、休日出勤を招きやすくなります。

休日出勤をすることで、塾講師の残業は増えがちとなってしまうのです。

(3)テスト対策・季節講習

学校の定期テストに合わせて、塾でも同様に塾講師がテスト対策の授業をするケースがあります。

また、塾での通常授業とは別に、補習をすることもあります。さらに、夏休みには夏期講習を行うなど、学校が長期の休みに入っている間には、その時期に合わせた季節講習を行うことが一般的です。

季節講習は、通常授業とは異なり、学校がない分、朝から授業をすることも多いです。朝から授業をすることにより、塾講師の労働時間は長時間となりやすく、残業も増えやすくなってしまいます。

(4)会議・研修

塾は、会議が多い傾向にあります。
会議は、授業前の昼間や、授業後の夜遅くに行われることが多いです。
研修も、同様に授業前や授業後に行われることが多くあります。

会議や研修では、生徒の指導方法や塾講師の技能向上、業務への取り組み方など、さまざまなことについて話し合います。

会議のみならず参加が強制される研修も、当然労働時間に含まれます
これらの会議や研修を授業前や授業後に行うことから、これにより労働時間が長時間となりやすくなってしまいます。
授業後に会議を行う塾では、退勤時刻が深夜に及んでしまうこともあります。

(5)生徒・保護者への対応

塾講師は、授業を終えたら業務が終了となるわけではありません。
授業後に生徒から質問があれば、対応する必要があります。

また、授業の前後に生徒と面談をしたり、土日などに保護者も交えて面談をするケースもあります。

このように、授業時間以外にも生徒・保護者への対応が必要となることがあるため、この分だけ残業が増えてしまうことになりやすいのです。

(6)電話対応などの雑務

塾講師は、勤務時間中全ての時間授業をしているわけではありません。
授業のコマ割りの都合により、勤務時間中でも授業がない時間が発生することがあります。
このような時間には、塾講師であっても電話対応等の雑務を行うことが多くあります。

また、塾講師とは別に事務員などがいない小規模な塾では、塾講師が自ら電話対応するケースもよくあります。

塾講師のサービス残業の実態

塾講師は、サービス残業が発生しがちな職業です。
実際にも、塾講師のサービス残業はよく行われています。

塾講師のサービス残業の実態についてご説明します。

(1)コマ給に関するサービス残業

塾講師のアルバイトに多いのが、コマ給によるサービス残業です。
「コマ給」とは、「塾で何時間働いたか」によって給与を計算するのではなく、「何コマ授業をしたか」によって給与を計算する方法のことです。

コマ給では、授業に対する賃金しか支払われていません。
しかし、実際には授業だけをしていればいいというものではありません。
次のような雑務を任されることも多くあります。

  • 授業の準備
  • 資料の作成
  • 授業の結果報告
  • 打合せ・ミーティング
  • 片付け

コマ給では、このような授業以外の業務をしたとしても授業分の賃金しか支払われないことが問題となります。
このようなコマ給による賃金の支払い方では働いているのに賃金が支払われない部分が発生することになり、サービス残業の温床となりやすくなってしまいます。

(2)授業以外の業務に関するサービス残業

コマ給は、大学生などのアルバイト塾講師が多く直面する問題ですが、正社員の塾講師であってもサービス残業を強いられることがあります。

例えば、次のような雑務に対しては残業代が支払われず、サービス残業となることが多いです。

  • 授業の準備
  • テストの採点
  • 生徒からの質問対応
  • その他授業以外の業務

授業以外の業務に対しても賃金や残業代が支払われるのが本来の姿です。
これらの業務に対して賃金や残業代が支払われていなければ、ぜひ残業代請求をしてみましょう!

(3)ずさんな労働管理によるサービス残業

ずさんな労働管理によってサービス残業が発生することもあります。

例えば、複数の校舎を持つ規模が大きな塾の場合には、本部が各校舎の労働時間をきっちりと把握していないことがあります。

本来所属している校舎以外の校舎で授業をしたり、本部の会議や研修に出席したりすることがあります。このような場合でも、本来は労働時間を管理されていなければなりません。

しかし、このような場合に労働時間をしっかりと管理していないということがあります。このようなずさんな労働管理は、サービス残業につながるものとなります。

塾業界は、残業時間の捉え方があいまいな傾向があるというのが実情です。

例えば生徒からの相談に対応したり、質問に答えたりする時間は、塾から指示命令されてのものではなく、塾講師の「熱意」の表れとして自発的に対応したものということで、労働時間とみなされないこともあります。

これも、ずさんな労働管理の一例です。

塾業界といえども労働時間をしっかりと管理しておかなければならないことは、他の業界と変わりありません。
ずさんな労働管理によってサービス残業が発生している場合には、ぜひそれを是正するためにも、残業代請求をすることがおすすめです。

塾講師の残業代未払い問題と対処法

塾講師の残業代未払い問題とその対処法についてご説明します。

(1)「サービス残業は残業代が出ない」は間違い

塾講師は、ここまでご説明したようにサービス残業が多い仕事です。

ですが、塾講師といえども労働者であることに変わりはありません。労働者は、残業をすれば当然に残業代を受け取ることができます

ここでは、次のことについてご説明します。

  • どのような業務に残業代が発生するのか
  • 割増賃金が発生するのはどのような場合か

(1-1)授業以外の業務にも残業代が発生する

授業が長引いて残業になってしまった場合には残業代をもらえているけれど、それ以外の場合には何か業務をしていても残業代をもらったことはないなあ。

それはおかしなことです。
授業以外の業務をして残業をした場合であっても、残業代はもらえます!

使用者(塾)の指揮命令下で労務を提供している時間については、労務を提供している労働者(塾講師)に残業代(賃金)が発生します。

塾から労働することを命じられた場合や、労働せざるを得ない場合であって塾がそれを黙認している場合には、残業代(賃金)が発生する労働時間となります。

例えば、次のような場合が労働時間にあたり得ます。

  • 業務量が多く定時に仕事が終わらない場合
  • 生徒からの質問に対応しなければならない場合
  • 授業に使用する教材作成のために働く場合
  • 塾の会議や研修に出席している場合

このように、塾講師は授業以外にも残業代が発生する場面が多くあります。
これらの仕事をしているのに、授業ではないからという理由で残業代がもらえていないのであれば、そのような塾の取扱いは労働基準法に違反していることになります。
労働基準法に違反して残業代がもらえていない場合には、塾に対して残業代を請求することができます

私は正社員じゃなくてコマ給で働くアルバイトだから、残業代をもらうことはできないのかな。

正社員ではなくコマ給で働くアルバイトの方も、残業代に関する扱いは正社員の方と変わりません。
授業以外の業務で残業をしている場合には、その分の残業代(賃金)をしっかりともらうことができます。

(1-2)時間外・休日・深夜の労働は割増賃金が発生する

塾講師も、「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」には、割増賃金が発生します。

「時間外労働」とは、法定労働時間を超えた労働のことです。
法定労働時間とは、1日8時間・週40時間という労働時間の原則的な上限のことです。

「休日労働」とは、法定休日における労働のことです。
法定休日とは、週に1日または4週につき4日の休日のことです。

「深夜労働」とは、原則22~5時の時間帯における労働のことです。

これら3つの労働に対しては、「割増賃金」として、通常の賃金よりも割り増した率による賃金が支払われることとされています。

割増賃金の率は、法令で定められています。
割増賃金の率は、次の表のとおりです。

割り増しの理由割増率
時間外労働(月60時間以下)25%以上
時間外労働(月60時間超)50%以上
休日労働(=法定休日に労働した場合)35%以上
深夜労働(=原則22時から5時までの時間帯に労働した場合)25%以上
時間外労働(月60時間以下)+深夜労働50%以上
時間外労働(月60時間超)+深夜労働75%以上
休日労働+深夜労働60%以上

※時間外労働(月60時間超)の場合の割増率について、2023年4月1日より前までは中小企業への適用が猶予されています。
2023年4月1日からは、中小企業にも適用されます。
※各条件が重複する場合は、各割増率を足した率で計算されます。
例えば、時間外労働(月60時間以下)かつ深夜労働の部分には、25%+25%=50%の割増率が適用されます。

割増賃金の割増率について、詳しくは次のページをご覧ください。

「割増賃金率」とは?2023年4月からの引き上げも併せて解説

(2)未払い残業代の請求は弁護士への相談がおすすめ

未払い残業代が発生している場合には、塾に対して未払い残業代の支払請求をすることができます。

未払い残業代請求はどんな流れで行うの?

未払い残業代請求は、証拠収集、残業代計算、会社への請求の順で行います。
いきなり「未払い残業代を支払え」と会社に対して言うのではなく、まずは証拠収集や残業代計算をしなければならないことがポイントです。

未払い残業代請求について、詳しくはこちらをご覧ください。

未払い残業代を取り戻す方法とは?残業代請求で準備すること

証拠収集や残業代計算、それに塾との交渉なんて、自分ひとりでできそうにないなあ。

自分ひとりで残業代請求を行うのは難しいかもしれません。
そんな場合には、弁護士に相談・依頼するのがおすすめですよ。

残業代請求を弁護士に依頼するメリットには、次のようなものがあります。

  • 弁護士が勤務先の塾と直接やり取りを代わりに行ってくれるため、塾講師であるご自身が塾と直接やり取りをするストレスが軽減される。
  • どのような証拠を収集すればいいのか適切にアドバイスをしてくれる。
    必要に応じて塾に証拠の開示請求を行ってくれるので、手元に証拠が少なくても新たに証拠を手に入れることができる可能性が高まる。
  • 複雑な残業代計算を代わりに正確に行ってくれる。
  • 労働審判などの裁判手続きを取る必要が生じても、一貫して代理人としてサポート・対応してくれる。
    訴訟の場には、尋問などの手続きを除いて、塾講師のあなたが自ら出頭する必要がなくなる。

このように、未払い残業代請求を弁護士に依頼するメリットにはさまざまなものがあります。
ためらうことなく、まずは弁護士に相談・依頼するようにしてみましょう。

【まとめ】塾講師の残業要因は「授業準備・テスト採点」などさまざま

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 2020年度分の統計データによると、塾講師が含まれる「教育、学習支援業」の月間総実労働時間は154.7時間、月の出勤日数は18.9日。
    所定外労働時間の12.5時間は、他業種と比較しても多い傾向にある。
  • 塾講師の勤務時間帯は、13~22時などが一般的。
    生徒の需要に合わせて、遅い時間帯の勤務となりやすい。
  • 塾講師の残業を招く授業以外の6つの業務がある。
    例えば、「授業の準備・テスト採点」「テスト対策・季節演習」などがある。
  • 塾講師は、サービス残業が発生しがちな職業。
    例えば、コマ給によるサービス残業や、授業以外の業務に関するサービス残業などがある。
  • 塾講師の残業代未払い問題に関して、「サービス残業は残業代が出ない」は間違い。
    未払い残業代の請求は、弁護士への相談がおすすめ。

塾講師として働いていると、どうしてもサービス残業などの残業代未払いでの残業が増えてしまいがちです。そのようなサービス残業は、生徒のためだから仕方がないと思って受け入れている方もいるかもしれません。

しかし、サービス残業をすることと、生徒のために精一杯働くこととは、全く別のことです。しっかりと残業代をもらっているからこそ、生徒のためにしっかりと働くことができると考えることもできるのではないでしょうか。

塾講師だから残業代は満額もらえないと諦めてしまわないでください。塾講師でも、労働者であることに変わりはありません。塾講師でも、残業代請求はできます

ぜひ、未払い残業代をしっかりと塾に対して請求するようにしましょう。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年11月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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