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B型肝炎給付金は被害者の遺族も受給できる!対象者と注意点も解説

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「家族がB型肝炎で亡くなった。遺族でもB型肝炎給付金を受け取ることができるだろうか」

このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか。
B型肝炎給付金は、一定の要件を満たせば遺族でも受け取ることができます。
最大で3600万円を受け取れますので、ご自身が受給対象になるかきちんとチェックしておきましょう。

今回の記事では、

  • B型肝炎給付金の対象者や給付金額
  • 遺族がB型肝炎給付金を請求する場合の注意点

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 大西 亜希子

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。

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B型肝炎訴訟と給付金

まずは、B型肝炎訴訟の概要と、給付金の種類と金額を解説します。

(1)B型肝炎訴訟とは?

B型肝炎ウイルスの持続感染者は110万人以上とされ、そのうち最大40万人以上が幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用が原因とされています。
B型肝炎訴訟とは、このような注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方が、国にその賠償を求める訴訟です。
この訴訟の中で、国との間で裁判上の和解が成立した場合、給付金を受け取ることができます。

参考:B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)|厚生労働省

(2)B型肝炎給付金の種類と給付金額

B型肝炎訴訟で受け取ることができる給付金の額は、

  • 病態の種類
  • 20年の除斥期間等の経過の有無

によって異なります。

死亡・肝がん・肝硬変(重度)除斥期間等が経過していない方3600万円
除斥期間等が経過している方900万円
肝硬変(軽度)除斥期間等が経過していない方2500万円
除斥期間等が経過している方のうち、現に治療を受けている方等600万円
除斥期間等が経過している方で、上記以外の方300万円
慢性肝炎除斥期間等が経過していない方1250万円
除斥期間等が経過している方で、現に治療を受けている方等300万円
除斥期間等が経過している方で、上記以外の方150万円
無症候性キャリア除斥期間等が経過していない方600万円
除斥期間等が経過している方50万円

定期検査費の支給等の政策対応

※なお、除斥期間等の起算点は、無症候性キャリアの方についてはB型肝炎ウイルスに感染したときから20年、それ以外の方については対象となる病態を発症したときから20年です。

参考:B型肝炎訴訟の手引き〈第5版〉|厚生労働省

B型肝炎で家族が死亡した遺族も給付金を受け取れる

B型肝炎でご家族がお亡くなりになられたご遺族も、給付金を受給することが可能です。
ただし、お亡くなりになられたご家族が、B型肝炎給付金の対象者である場合に限ります。
そのため、ここではまず、B型肝炎給付金の対象者について解説しましょう。

(1)B型肝炎給付金の対象者

B型肝炎給付金の対象者は、1948年7月1日~1988年1月27日までの間で、かつ、満7歳の誕生日の前日までの間に集団予防接種等を受けた方で、集団予防接種等における注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに感染した方、および、そのご子息の方で母子感染や父子感染した方などが対象となります。

参考:B型肝炎訴訟の手引き〈第5版〉|厚生労働省

(1-1)一次感染者

一次感染者とは、幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用によって、B型肝炎に感染した方のことを指します。具体的な要件は次の通りです。

  • B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 満7歳となる誕生日の前日までに集団予防接種等※を受けていること
  • 集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
  • 母子感染でないこと
  • その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

※「集団予防接種等」とは、集団接種の方法で実施された予防接種およびツベルクリン反応検査を指します。

(1-2)二次感染者

二次感染者とは、上記一次感染者から母子感染または父子感染した方を指します。具体的な要件は次の通りです。

【母子感染の場合】

  • 母親が一次感染者の要件をすべて満たしていること
  • 二次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 下記アイウのいずれかから、二次感染者の感染原因が母子感染であるといえること
    ア:母子のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されていること
    イ:出生直後の時点でB型肝炎ウイルスに持続感染していること
    ウ:父子感染等の母子感染以外の感染原因がないこと

【父子感染の場合】

  • 父親が一次感染者の要件をすべて満たしていること
  • 二次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 二次感染者の感染原因が父子感染であるといえること

(1-3)三次感染者

三次感染者とは、二次感染者から母子感染または父子感染した方を指します。具体的な要件の例としては次の通りです。

【二次感染者からの母子感染の場合】

  • 母親が二次感染者の要件をすべて満たしていること
  • 三次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 下記アイウのいずれかから、三次感染者の感染の原因が母子感染であるといえること
    ア:母子のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されていること
    イ:出生直後の時点でB型肝炎ウイルスに持続感染していること
    ウ:父子感染等の母子感染以外の感染原因がないこと

【二次感染者からの父子感染の場合】

  • 母親が二次感染者の要件をすべて満たしていること
  • 三次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 三次感染者の感染原因が父子感染であるといえること

(2)遺族(法定相続人)でも請求は可能

被害者が既に亡くなられている場合、その遺族の方も給付金を請求することが可能です(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法3条1項本文かっこ書)。
請求することができる遺族は、典型的には「法定相続人」です。

【法定相続人】

ア 配偶者がいる場合、配偶者は常に法定相続人となります
イ その他の法定相続人
  第一順位:子
  第二順位:直系尊属
  第三順位:兄弟姉妹
ウ 本来相続人となるべき子や兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡していた場合、その子の子またはその兄弟姉妹の子が法定相続人となります

なお、次のページでは、ご遺族の方が、弁護士に依頼して3600万円の給付金を受給できた事例を紹介しています。このケースは、期間の経過までわずか3ヶ月しかないという状況でしたが、弁護士に依頼することによって、無事に期間経過前の給付金額である3600万円の給付金を受給することができたという事例です。

(3)給付金受給のために必要な資料

B型肝炎訴訟では、受給要件を満たしていることを証明する資料を提出する必要があります。この資料集めがB型肝炎給付金を受け取るうえで非常に重要となります。

例えば亡くなった方が一次感染者として給付金を受け取るには、次のような資料を集めることとなります。
なお、次にご紹介する書類は一例です。ここに記載された資料が収集できなかった場合であっても、国との和解が成立する場合がありますので、あきらめずにB型肝炎訴訟に詳しい弁護士にご相談ください。

【持続感染を証明する資料】

次のいずれかの本人の血液検査結果
  1. 6ヶ月以上の間隔を空けた2時点における以下のいずれかの検査結果
    ア HBs抗原陽性
    イ HBV-DNA陽性
    ウ HBe抗原陽性
  2. HBc抗体高力価陽性

【集団予防接種等を受けたことを証明する資料】
次のいずれかの資料

ア 母子健康手帳
イ 予防接種台帳
ウ 母子健康手帳、予防接種台帳を提出できない場合には
  • 陳述書
  • 住民票または戸籍の附票等

【母子感染でないことを証明する資料】
次のいずれかの血液検査結果

ア 母親の血液検査結果
  • 母親が生存している場合には、HBs抗原陰性かつHBc抗体が陰性(または低力価陽性)
  • 母親が死亡している場合には、80歳未満のHBs抗原陰性結果のみで可
イ 母親が死亡しており、母親の生前の検査結果が存在しない場合で、年長のきょうだいがいるときには、年長のきょうだいの血液検査結果

【その他集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明する資料】
次の資料

ア カルテ等の医療記録
イ 父親のHBs抗原陰性の検査結果(父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者である場合には、父子の塩基配列比較検査結果)
ウ ジェノタイプAeに感染しているのではないことを明らかにする資料

【相続人であることを証明する書類】
亡くなった方との関係を示す戸籍

なお、次のページでは、ここまで解説してきた必要書類が収集できないケースであっても、弁護士に相談することで給付金を受給することができた事例を紹介しています。ぜひご覧ください。

参考:B型肝炎訴訟の手引き〈第5版〉|厚生労働省

(4)B型肝炎給付金を受ける手続き

B型肝炎給付金を受給するための手続きは次のとおりです。

裁判に提出するための資料収集

裁判所で国を被告とする国家賠償訴訟を提起する

和解協議手続・国との間で裁判上の和解を成立させる(和解調書の作成)

社会保険診療報酬支払基金に給付金の請求をする

なお、個人差はありますが、訴えを提起するまでで6ヶ月前後、訴えを提起して国との和解が成立するまで1年前後の時間がかかります。

このように手続きにはそれなりの時間がかかりますし、B型肝炎給付金の額は除斥期間等の経過の有無により大きく異なりますので、B型肝炎給付金の手続きをお考えの方は、お早目に、B型肝炎に詳しい弁護士にご相談することをお勧めいたします。

参考:B型肝炎訴訟の手引き〈第5版〉|厚生労働省

B型肝炎給付金における注意点

B型肝炎給付金手続きにおいて、知っておくべき注意点を解説します。

(1)B型肝炎給付金の請求期限

B型肝炎給付金制度により実際に裁判を起こした方は、B型肝炎給付金の対象者として国が推測していた45万人に遠く及ばない8万5218人(2021年1月31日法務省HP発表による)で、そのうち和解した方は6万7541人にとどまっています(2022年1月時点)。

つまり、給付金を受給できるのに受給していない方が今でも多く存在するのです。
このような事情から、2021年6月11日、これまで2022年1月12日であった請求期限が、2027年3月31日まで延長されました。
この請求期限内に訴えを提起しなければ、受給権を失ってしまうことになりますので、注意が必要となります。

参考:特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案の概要|厚生労働省

(2)B型肝炎給付金の分配

B型肝炎給付金の場合は、相続人の内1人がB型肝炎給付金を請求すれば、当該相続人が全額を受け取ることができます(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法3条3項)。

ただし、一人の相続人がB型肝炎給付金を全部独占できるというわけではありません。
一人の相続人が、自己の取り分以外に、他の相続人の取り分を、国から預かるという形になりますので、B型肝炎給付金を国から受け取った相続人は、基本的に他の相続人らに、これを分配する必要があります。

なお、B型肝炎給付金は非課税となっていますので、B型肝炎給付金を国から受給する際に、遺族には税金はかかりません。

【まとめ】B型肝炎でご家族が亡くなられた場合でもB型肝炎給付金の受給は可能

今回の記事をまとめると次のようになります。

  • B型肝炎給付金は、幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用によってB型肝炎に感染した方等が、国を相手に国家賠償請求訴訟を提起して、裁判上の和解を成立させることによって受け取ることができるもの。
  • B型肝炎給付金の給付金額は、最大で3600万円。病態の種類や除斥期間等の経過の有無により金額は異なる。
  • B型肝炎給付金は遺族でも請求できるが、請求できる遺族は法定相続人に限られる。
    また、亡くなられた方が、B型肝炎給付金の受給要件を満たしている必要がある。
  • B型肝炎給付金を受け取るためには様々な書類を集める必要がある。
  • B型肝炎給付金制度には、請求期限があるので注意する。
  • B型肝炎給付金を国から受け取った相続人は、基本的に他の相続人らに、これを分配する必要がある。

「遺族がB型肝炎給付金を受給できる場合があるということは分かったけど、本人が死亡していてどこの病院に通院していたかなどがよく分からない。自分で書類を集めるのは大変そうだけど大丈夫?」

亡くなった方の事情がよく分からないというのは、よくあることです。
しかし、B型肝炎訴訟に詳しい弁護士であれば、その点を踏まえた上で、書類収取をサポートすることが可能です。

アディーレ法律事務所では、ご依頼いただいた場合、B型肝炎訴訟の資料収集の代行(※)から、B型肝炎訴訟、同給付金の申請まで全て代わりに行います。
(※)母子手帳など、弁護士では収集できない一部資料を除きます。

また、アディーレ法律事務所では、B型肝炎訴訟・給付金請求に関し、着手金、相談料はいただいておらず、原則として報酬は給付金受け取り後の後払いとなっております。

なお、B型肝炎給付金の支給が決定すれば、和解協議にあたり、弁護士等に報酬を支払った方に対して、各給付金額の4%の額が訴訟手当金として国から給付されます。

※以上につき、2022年6月時点

B型肝炎訴訟・給付金請求に関しては、B型肝炎訴訟・給付金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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