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中小企業でも残業代はもらえる!大企業との違いや請求方法も解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「うちの会社は小さい会社だから残業代が支払われなくても仕方がないのかな……」

中小企業にお勤めの方は、残業代が適切に支払われなくても仕方がないと諦めてしまうかもしれません。
しかし、どんなに小さな会社でも、法律にのっとって残業代を支払わなければならないことは大企業と変わりありません。

また、2023年4月以降は、中小企業も大企業と同様に月60時間超の割増賃金率が50%に引き上げられます。

このことを知っていれば、中小企業だからと諦めることなく残業代請求をできる可能性が高まります。

この記事を読んでわかること
  • 中小企業でも残業代はもらえることと残業代の3つの種類
  • 残業代が支払われない中小企業にありがちな4つのケース
  • 2023年からアップする中小企業の時間外労働の割増率について
  • 未払い残業代を会社に請求する流れ
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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規模の大小にかかわらず、中小企業でも残業代はもらえる

残業代支払の根拠である労働基準法37条は、会社が中小企業であるか大企業であるかを区別していません。
中小企業であっても、残業代を支払ってもらえることは大企業と基本的に変わりがないというのが法律のルールです。

法律上、残業代には次の3つがあります。

  • 時間外労働に対する残業代
  • 深夜労働に対する残業代
  • 休日労働に対する残業代

これらについて簡単にご説明します。

(1)時間外労働に対する残業代

会社は、原則として、労働者を「法定労働時間」を超えて働かせることができません。
法定労働時間とは、原則1日8時間・週40時間以内の労働時間です。
この法定労働時間を超えて労働者を働かせた場合(=「時間外労働」をさせた場合)には、原則25%以上という所定の割増率を加算した賃金を、労働者に対して支払わなければなりません。

(2)深夜労働に対する残業代

深夜労働とは、原則22時~5時の労働のことです。
深夜労働に対しては、会社は労働者に原則25%以上という所定の割増率を加算した賃金を支払わなければなりません。

(3)休日労働に対する残業代

「法定休日」に労働させた場合には、会社は労働者に、原則35%以上という所定の割増率を加算した賃金を支払わなければなりません。
法定休日とは、1週当たり1日または4週につき4日の休日のことです(労働基準法35条)。

残業代が支払われない!中小企業にありがちな4つのケース

中小企業にありがちな残業代が支払われないケースは、例えば次のものです。

  • 残業代は支払わない契約になっていると主張されるケース
  • 固定残業代としてすでに支払っていると主張されるケース
  • 管理職なので残業代を支払う必要がないと主張されるケース
  • 労働者が自主的に残業していると主張されるケース

これらについてご説明します。

(1)ケース1|残業代は支払わない契約になっていると主張されるケース

入社時に、残業代は支払わないという契約になっているということを理由にして、残業代の支払を拒絶するケースがあります。
ですが、このような残業代は支払わないという契約は、無効です。

労働基準法では、労働基準法で定めた基準に達しない条件で労働契約を結んだとしても、基準に達しない部分は無効となります。
そのうえで、無効となった部分は労働基準法の規定が適用されます(労働基準法13条)。

労働基準法37条で、時間外労働などについて割増賃金を加算した残業代を支払わなければならないとされている以上、「残業代は支払わない」という契約は、この基準に達していないということになります。
このため、「残業代は支払わない」という契約を仮に結んでいたとしても、労働基準法37条に違反するものとして、無効とされるのです。
そのうえで、労働基準法37条に従った割増賃金を加算した残業代を支払う義務が会社に生じます。

(2)ケース2|固定残業代としてすでに支払っていると主張されるケース

固定残業代として一定額の残業代を支払っているから、それ以上の残業代を支払う必要はないとして、残業代の支払を拒絶するケースがあります。
固定残業代とは、一定額の手当などの中に、あらかじめ想定した残業時間に応じた残業代を含めて支給するというものです。固定残業代は、実際に残業をしなかった場合であっても支払われます。

もっとも、固定残業代はどれだけたくさん残業をしても固定残業代以上の残業代を支払う必要がないというものではありません。
あらかじめ想定した残業時間を超えて残業をした場合には、その超えた分の残業代については別途請求できる可能性があります。

また、固定残業代については、固定残業代を引いた給与を時給換算すると最低賃金を下回っているなど、そもそも固定残業代の制度自体が無効であることも多いです。
固定残業代の制度自体が無効である場合には、固定残業代として支払われたものは、残業代の支払としても無効となります。そのため、残業代が未払いとなりますので、未払い残業代請求ができる可能性があります。

固定残業代の支払が残業代の支払と認められず、残業代請求が可能な場合について、詳しくはこちらをご覧ください。

固定残業代とは?みなし残業の違法性や残業代の請求方法も解説!

(3)ケース3|管理職なので残業代を支払う必要がないと主張されるケース

管理職であることを理由として、残業代を支払わないというケースがあります。
労働基準法上、「管理監督者」に該当するのであれば、残業代を支払う必要がありません(労働基準法41条2号)。

もっとも、管理職であれば常に管理監督者に該当するわけではありません。
ある管理職が管理監督者にあたるかは、その者が経営者と一体的な立場にあるかどうかによって判断されます。
そして、これにあたるかどうかは、役職の肩書きではなく、労働の実態に即して判断されることとされています。

管理監督者にあたる場合は多くはありません。
このため、管理監督者にあたらないのに管理職であることを理由に残業代を支払われていないのであれば、未払いとなっている残業代を請求できる可能性があります。

管理職の残業代や管理監督者の判断基準について、詳しくは次のページをご覧ください。

管理職に残業代は出ないもの?名ばかり管理職の残業についても解説

(4)ケース4|労働者が自主的に残業していると主張されるケース

会社から指示を出しているわけではないのに労働者が勝手に残業をしているので、残業代を支払う必要がないとされるケースがあります。
しかし、労働者が会社の明確な指示に基づかない残業をしていたとしても、会社の指揮命令のもとで残業をしていたと認められれば、残業代を支払う義務があります。

たとえば、会社の上司が、部下が残業をしているのを知っていながら特に止めることもなく黙って放置していたという場合や、会社が残業をしないようにはっきりと命令していなかった場合には、会社の指揮命令に基づいて残業をしていたと認められる可能性があります。

2023年4月からアップ!中小企業の時間外労働の割増率

時間外労働に対する割増率が、2023年4月1日から中小企業の一部の残業についてアップしました。
このことについてご説明します。

(1)時間外労働に対する割増率

時間外労働に対しては、法律で定められた割増率で計算された割増賃金が支給されます。

法律で定められた割増率は、具体的には次の表のとおりです。

割り増しの理由割増率
時間外労働(月60時間以下)25%以上
時間外労働(月60時間超)50%以上
休日労働(=法定休日に労働した場合)35%以上
深夜労働(=原則22時~5時までの時間帯に労働した場合)25%以上
時間外労働(月60時間以下)+深夜労働50%以上
時間外労働(月60時間超)+深夜労働75%以上
休日労働+深夜労働60%以上
※時間外労働(月60時間超)の場合の割増率について、2023年4月1日からは、中小企業にも適用されています。
※各条件が重複する場合は、各割増率を足した率で計算されます。例えば、時間外労働(月60時間以下)かつ深夜労働の部分には、25%+25%=50%の割増率が適用されます。

割増賃金の割増率について、詳しくは次のページをご覧ください。

「割増賃金率」とは?2023年4月からの引き上げも併せて解説

(2)2023年4月1日以降の月60時間超の残業の割増率

2023年3月以前は、月60時間超の時間外労働をした場合に大企業と中小企業との間で適用される割増率が異なっていました。

つまり、2023年3月以前は、月60時間超の時間外労働をした場合、大企業であれば50%の割増率が適用されますが、中小企業であれば25%の割増率が適用されていたのです。

ですが、この点、2023年4月以降は、中小企業であっても大企業と同様に50%の割増率が適用されています。

参考:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~|厚生労働省

未払いの残業代があるなら会社に請求しましょう

未払い残業代は、会社に対して請求することができる可能性があります。
未払い残業代請求の流れは、次のとおりです。

残業の証拠を集める

残業代を計算する

会社に請求する

これらについて簡単にご説明します。

(1)流れ1|残業の証拠を集める

残業代を請求するためには、残業があったことを示す証拠が必要となります。
残業があったことを示す証拠には、次のようなものがあります。

  • タイムカードの写し
  • PC打刻のスクリーンショット
  • 勤怠管理システムのスクリーンショット
  • タイムシートの写し
  • タコグラフ(タコメーター)の写し
    (タコグラフは、自動的に運行の記録(時間・速度・走行距離)を残していくもので、主にドライバーの方が集めるべき証拠です)
  • 出勤簿の写し   など

残業代請求で集めるべき証拠について、詳しくは次のページをご覧ください。

(2)流れ2|残業代を計算する

残業代は、次の式によって求めることができます。

「1時間当たりの基礎賃金×割増率×残業時間」

「1時間当たりの基礎賃金」とは、残業代計算の基礎となるいわば「時給」のようなものです。
ですが、実際の「時給」とは異なり、基本給と諸手当の合計額から一定の範囲の手当を除外して算出した基礎賃金を基に計算されます。

残業時間は、実際に残業をした時間のことです。

また、割増率は、すでにご説明したとおり、法律によって定められている、割り増して残業代を支払わなければならないという率のことです。

基礎賃金や残業代の計算方法について、詳しくは次のページをご覧ください。

残業代の計算方法とは?基本給と基礎賃金について

(3)流れ3|会社に請求する

会社に請求するには、次の方法があります。

  • 会社に直接残業代を支払うよう申し入れる
  • 内容証明郵便などの書面を送って残業代を支払うよう請求する
  • 法的手続き(労働審判・訴訟など)を取る

会社に残業代を請求するのは、中小企業だと人間関係などもあってなかなか難しいことも多いですよね。
中小企業の中には、会社側が労働基準法などを正しく理解していないという場合も多いです。
このような会社側と交渉しようとしても、会社が交渉のテーブルについてくれないということもあり得ます。

このようなことから、中小企業に対して残業代請求をしようという場合には、できるだけ早く弁護士に相談・依頼するというのも一つの選択肢です。
弁護士に相談・依頼することで、中小企業を相手とする豊富な経験やノウハウに基づいてスムーズに請求の手続きを進めることができる可能性が高まります。
また、なにより弁護士が代わりに交渉をしてくれるので、会社と直接交渉するストレスが軽減されるというメリットがあります。

【まとめ】中小企業でも残業代がもらえることは大企業と同じ

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 規模の大小にかかわらず、中小企業でも残業代はもらえる。
  • 2023年4月1日から、中小企業の時間外労働の割増率がアップし、月60時間超の残業の割増率が25%から50%へと上がって大企業と同じになった。
  • 未払い残業代請求は、弁護士に相談・依頼するのも選択肢の一つ。
    弁護士に相談・依頼することで、中小企業を相手とする豊富な経験やノウハウに基づいてスムーズに請求の手続きを進めることができる可能性が高まる。
    また、弁護士が代わりに交渉をしてくれるので、会社と直接交渉するストレスが軽減される。

中小企業だと残業代が出なくても仕方がないと諦めてしまいがちです。
ですが、残業のしんどさは、中小企業であっても変わらないはず。
中小企業だからと諦めてしまうことなく、ぜひとも残業代請求をして残業代を受け取りましょう。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からのお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2023年4月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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