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離婚理由は妻の不倫!それでも養育費を支払う義務はある?

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「妻の不倫が原因で離婚の話し合いをしている。離婚理由は妻の不倫なのに、自分が養育費を支払う義務を負うのか?」

離婚の理由が妻にある場合でも、子どもを引き取ることになった妻に養育費を支払わなければならないのか、疑問に感じているかもしれません。

結論からいうと、養育費を支払う義務は、離婚理由によって左右されません。
養育費は、あくまで子どもの生活を守るために支払われるものだからです。

ただし、場合によっては養育費の減額を求めることができる可能性があります。

この記事を読んでわかること
  • 離婚理由と養育費の関係
  • 養育費の相場
  • 養育費の減額可能性
この記事の監修弁護士
弁護士 池田 貴之

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。

養育費の概要

夫婦間に未成熟子(※)がいる場合、その子どもの監護や養育に必要な費用のことを「養育費」といいます。養育費とは、一般的に、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な費用のことを指し、具体例としては、衣食住に必要な費用や、教育費、医療費などが挙げられます。

夫婦が離婚する場合、子どもを引き取って監護する親(監護親)は、子どもを監護しない親(非監護親)に対して養育費を請求することができます。

※未成熟子とは、成人していないことと必ずしもイコールではなく、経済的・社会的に自立して生活できるかどうかという点がポイントになります(民法改正により、2022年4月1日から18歳以上の方が成人となっています)。
例えば、大学生などの場合、18歳以上であっても経済的に自立しているわけではないため、未成熟子と考えることができます。

自分の生活に余裕がなくても、養育費は支払わなければならないのですか?

養育費を支払う義務は、「自分の生活を保持するのと同程度の生活を、子どもにも保持させる義務」(生活保持義務)であるといわれています。
たとえると、おにぎりが一つしかなかったとしても、それも半分に分けてでも子どもに与えるというレベルの義務と考えられています。自分の生活に余裕があれば支払う、というレベルの義務ではありません。
養育費は、自分の生活レベルを下げてでも支払わなくてはいけないのです。

離婚理由によって養育費を支払わなくて良いケースはある?

原則として、離婚理由が何であったとしても、親は子どもに対して生活保持義務を負っており、養育費を支払わない理由にはなりません。

でも、離婚したのは妻の不倫が理由です。離婚した責任は妻にあるのに、なぜ妻に対して養育費を支払わなければならないのでしょうか。

離婚理由や離婚の責任がどちらにあるかは、養育費の支払い義務とは法的に無関係です。養育費はあくまでも子どもの生活を守るための費用であり、離婚した妻の生活費のために支払うわけではありません。
一方、不倫によって精神的苦痛を受けたことに対しては、妻や不倫相手に慰謝料を請求できる可能性があります。

それでは、具体的な離婚理由と養育費・親権者との関係について、詳しく解説します。

(1)離婚理由と養育費の関係

養育費と離婚理由は別のものとして考えられており、たとえ不倫などの離婚理由を作った側(有責配偶者)が親権者(監護親)になったとしても、非監護親は養育費を支払う義務を負うことになります。

ただし、監護親に十分な収入があり、非監護親からの養育費を必要としない場合など、監護親が非監護親に対して養育費を請求しないケースは考えられます。
しかし、離婚の原因を作ったのはどちらであったのかということと、養育費の支払い義務の有無は無関係です。

(2)離婚理由の例と親権者の関係

では、具体的な離婚理由の例と、親権者と養育費の関係について解説します。

(2-1)離婚理由が妻の不倫で親権者が夫の場合

この場合、元夫が子どもの監護親となりますので、元夫は元妻に養育費を請求することができます。
さらに、夫は妻に不倫の慰謝料を請求できる可能性があります。

(2-2)離婚理由が妻の不倫で親権者が妻の場合

この場合、元妻が子どもの監護親となりますので、元妻は元夫に養育費を請求できることになります。
先ほども説明したとおり、養育費はあくまで子どもの養育のための費用ですので、離婚原因を作ったのはどちらなのか、ということとは基本的に無関係だからです。
不倫をしたことについては、養育費とは切り離して、「元妻に対して慰謝料を請求できるか」という点を検討することになるでしょう。

不倫以外にも、離婚理由となるものとしてさまざまなものが考えられます。
しかし、離婚理由が何であれ、親が子どもを養育する義務があることに変わりはありません。
不倫にかぎらず、離婚の原因を作ったことと養育の義務を負うこととは基本的に無関係であり、監護親が非監護親に対して養育費を請求すれば、非監護親は養育費を支払わなければなりません。

親権者はどうやって決まる?

親権者を父母のどちらにするのかについては、夫婦の合意により離婚時に決定することができます。

しかし、父母がどちらも親権者になりたいと考えどちらも譲らない場合には、裁判所が次のようなポイントを考慮して決定することになります。

  • 今まで主に子どもの世話を担ってきたこと(監護の実績)
  • 子どもの食事を作ったり身の回りの世話をする能力(監護能力)
  • 両親など子育てに協力してくれる人がいること(監護補助者の有無)
  • 快適な居住環境・教育環境を提供できること
  • 子どもへの愛情の強さ
  • 子どもの年齢・性別・発育状況
  • 子どもの意思     など

下の図を見ればわかるように、一般的に親権者は妻(母親)になるケースが多いといえるでしょう。

参考:令和2年度 「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち「子の親権者の定め」をすべき件数|裁判所 – Courts in Japan

養育費の相場と算出方法

次に、養育費の金額を決定する際の基準となる「算定表」や養育費の相場について解説します。

(1)裁判所による「養育費算定表」

裁判所が作成した「養育費算定表」というものがあり、家庭裁判所ではこの算定表の金額を標準的な養育費として考え、調停や裁判の際に利用しています。

養育費の金額を決定するにあたっては、特別の事情(算定表どおりにすると不公平になってしまうような場合)がないかぎり、この算定表を参考にするのが現在の実務の主流になっています。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所 – Courts in Japan

養育費算定表について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚時に取り決めるべき養育費の内訳は?養育費算定表の仕組みも解説

また、次のサイトでは養育費の目安を簡単にチェックできますので、目安をお知りになりたい方はぜひご確認ください(※あくまでも簡易な計算による目安で、裁判における結果を保証するものではありません)。

(2)養育費の相場

裁判所の算定表は、あくまで標準的な養育費の金額を簡単に素早く算定するためのものであり、実際の養育費は、それぞれの家庭の事情などを考慮して話し合いにより合意することができます。

ただし、子どものためのお金とはいえ、一方がお金を受け取り、他方がお金を支払うことになりますので、金額についての話し合いがうまくいかないことも少なくありません。
そこで、特別の事情がないかぎり、実務ではこの算定表に基づき計算した金額を養育費として認めることが多くなっています。

また、実際の家庭裁判所における離婚の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち、母を監護者と定めた未成年の子どもがあるケースでの夫から妻へ支払う養育費の金額は下の図のとおりです。

【母子世帯の子どもの数別養育費(令和2年度)】

金額
人数2万円以下4万円以下6万円以下8万円以下10万円以下10万円を超える額
1人約12%約39%約25.7%約11.6%約5.6%約6.2%
2人約10%約27.9%約25.4%約15.9%約9.1%約11.6%
3人約11.7%約21.1%約22.3%約9.8%約15.8%約19.2%
4人約18.5%約16.3%約17.6%約15.9%約9.9%約21.9%

参考:令和2年度 第25表 「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち母を監護者と定めた未成年の子有りの件数-夫から妻への養育費支払額別子の数別-全家庭裁判所|裁判所 – Courts in Japan

(3)養育費の減額可能性

養育費は、先ほどご説明した養育費算定表をもとに、非監護親の収入と子どもの年齢によって決定されることが一般的です。
離婚の際に取り決めた養育費について、非監護親の再婚など、その後に養育費を取り決めた際には予測できなかったような重大な事情の変更があった場合には、養育費の減額が認められる可能性はあります。

しかし、取り決め後にそのような事情の変更があった場合に減額が認められる可能性がある、ということであり、基本的に離婚理由が養育費の減額に影響することはありません。

養育費の減額について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

再婚したら養育費を減額できる?弁護士がケース別に解説

【まとめ】養育費の支払義務は、どちらが離婚理由を作ったのかによって左右されない

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 養育費とは、夫婦間に未成熟子がいる場合、子どもの監護や養育に必要な費用のことをいう
  • 離婚理由によって養育費支払い義務の有無や金額が決まるわけではない
  • 配偶者が不倫したのであれば慰謝料を請求できる可能性がある
  • 養育費の金額は、一般的には裁判所が利用する「算定表」をもとに決められる
  • 養育費を取り決めた後でも、再婚などの事情の変更があれば養育費の減額が認められる可能性がある

離婚理由は養育費の支払い義務には無関係ですが、不倫などが離婚の原因になった場合、不倫した配偶者あるいはその不倫相手に慰謝料を請求できる可能性があります。

養育費や慰謝料といった離婚条件についての話し合いがまとまらない場合には、一度、離婚を取り扱っている弁護士に相談してみても良いでしょう。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)
また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません。

(2023年7月時点)

離婚条件に納得できずにお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 池田 貴之

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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