お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

定年後再雇用とは?拒否や雇止めが違法な場合の対処法も解説

作成日:更新日:
kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「会社は60歳で定年。定年後再雇用を希望しているけれど、会社は再雇用に前向きな返事をしてくれない。定年後再雇用の拒否って許されるの?」 

定年を迎える日が近づいてくると、その後の雇用がどうなるのかは気になるところですよね。 

定年を迎えたのだから、その後は一切雇用し続けてもらうことはできないと考える方もいるかもしれません。 

しかし、定年後も再び雇用を継続してもらえる、定年後再雇用という制度があります。 

定年を65歳未満と定めている会社において、定年後再雇用の拒否や雇い止めは、原則として違法であるため許されません。 

この記事を読んでわかること
  • 定年後再雇用とは何か
  • 定年後再雇用の拒否や雇い止めが原則として許されないこと
  • 定年後再雇用の違法な拒否や雇い止めへの対処法

ここを押さえればOK!

定年後再雇用制度は、高齢者の雇用安定を図るため、定年退職後に新たな雇用契約を結ぶ制度です。
日本の高齢化社会において、労働力の確保や経験豊富な人材の活用が重要な課題となっており、定年後も働き続けたい労働者に再雇用の機会を提供することが求められています。
この制度により、労働者は定年後も一定の条件のもとで再び雇用契約を結び、働き続けることが可能となります。

定年を65歳未満に定め、定年後再雇用制度を採用している会社は、原則として65歳までの再雇用を拒否できないため、再雇用を希望する労働者の再雇用を拒否することは法的に許されません。
例外的に再雇用の拒否や雇い止めが認められる場合としては、合理的な労働条件による再雇用申込みを労働者が拒絶した場合や、適法に解雇できる事情がある場合が挙げられます。

違法な再雇用拒否や雇い止めに対しては、労働基準監督署への相談や法的手続きを通じて対処することが可能です。
また、弁護士に相談・依頼することで、会社との交渉や労働審判・訴訟における代理人としての支援を受けることができます。

残業代請求・退職代行・不当解雇に関するご相談は何度でも無料

会社とのやり取りは弁護士におまかせ!

些細な疑問や不安、お気軽にご相談ください!

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

定年後再雇用制度とは

定年後再雇用制度とは、定年に達した時点でいったん退職してその直後に引き続き新たに雇用契約を結ぶ、高年齢者の雇用の安定を図るための制度で、高齢者等の雇用の安定等に関する法律(高齢者雇用安定法)の要請に基づくものです。 

日本の労働市場においては、高齢化社会の進展に伴い、労働力の確保や経験豊富な人材の活用が重要な課題となっています。そのため、定年後も働き続けたいと考える労働者に対して、再雇用の機会を提供することが求められています。 

この制度は、労働者が定年を迎えたあとも、一定の条件のもとで再び雇用契約を結び、働き続けることを可能にするものです。 

具体的には、定年を迎えた労働者が再雇用を希望する場合、企業はその希望に応じて再雇用契約を締結し、労働者が引き続き働けるようにすることが求められます。 

定年後再雇用制度の導入は、高年齢の労働者にとっては経済的な安定を確保する手段となり、企業にとっては経験豊富な人材を活用することで生産性の向上やノウハウの継承が期待されます。また、社会全体としても、労働力不足の解消や社会保障制度の維持への寄与が期待できます。 

しかし、定年後再雇用制度にはいくつかの課題も存在します。 

例えば、再雇用後の労働条件や賃金の設定、労働者のモチベーションの維持、企業側の負担などが挙げられます。

定年後再雇用制度の基本原則

定年後再雇用制度があるため、定年を65歳未満に定めている会社は、原則65歳までの再雇用を拒否できないなどの制約を受けます。 

ここからは、定年後再雇用制度の基本的原則について、詳しくご説明します。 

(1)会社は再雇用を拒否できない

定年を65歳未満に定め、定年後再雇用制度を採用している会社は、原則として定年後も働き続けることを希望している労働者の再雇用を拒否できません(※)。 

そのため場合によっては、「定年後に再雇用するかどうかは会社の自由だ」と会社が誤解していることもあります。 

しかし、これは法的義務であり、努力義務ではありません。 

定年後再雇用制度を採用している会社であれば、再雇用は義務です。 

直接その旨を会社に申し入れても会社が再雇用を拒否する場合には、労働基準監督署などに相談するようにしましょう。 

(※)2013年3月以前に、労使協定により再雇用の対象となる高年齢者の選別基準を定めていた会社は、基準の対象者の年齢を2025年3月31日まで段階的に引き上げながら、同基準によって再雇用対象者を選別することができます。 

(2)会社は「雇い止め」ができない

定年後の再雇用では、1年ごとに雇用契約を更新する有期契約が結ばれるケースなどがあります。 

このような場合、定年後再雇用の労働者は、65歳まで契約が更新されることを期待していると考えるのが通常です。 

実際に、有期雇用契約の労働者が契約更新に対して合理的な期待を有している場合には、客観的合理性・社会的相当性を欠く更新拒絶(いわゆる雇い止め)をすることは許されません(労働契約法19条2号)。このような客観的合理性または社会的相当性を欠く雇い止めは違法・無効とされ、契約が更新されたのと同様の取扱いがなされることとなります。 

もっとも、客観的合理性や社会的相当性を欠く場合とはどのような場合なのか、一律には言えません。 

さまざまな具体的事情を総合的に考慮して、客観的合理性・社会的相当性を欠くかどうかが判断されることになるでしょう。 

例外的に定年後再雇用の拒否・雇い止めが認められる場合

次のようなケースに該当する場合には、例外的に会社による定年後再雇用の拒否や雇い止めが認められる可能性があります。 

  • 合理的な労働条件による再雇用申込みを労働者が拒絶した場合 
  • 労働者を適法に解雇できるような事情がある場合 

(1)例外1|合理的な労働条件による再雇用申込みを労働者が拒絶した場合

会社が、定年後再雇用について合理的な労働条件による再雇用契約を申し込んだにもかかわらず、労働者が再雇用契約の締結を拒絶した場合には、定年後再雇用の雇用契約が成立しないことも認められる可能性があります(東京地裁判決令和元年5月21日・アルパイン事件)。 

会社は、必ずしも労働者の要求する労働条件での定年後再雇用に応じなければならないわけではありません。

(2)例外2|労働者を適法に解雇できるような事情がある場合

会社が労働者を適法に解雇できるような事情がある場合にも、定年後再雇用の拒否が認められる可能性があります。 

会社は、客観的に合理的な理由があり、かつ、社会通念上相当であると認められる場合に限り、労働者を解雇することができます(労働契約法16条)。つまり、この解雇における客観的合理的理由・社会的相当性のいずれも満たす事情があれば、定年後再雇用の拒否が許される可能性があるのです。 

定年後再雇用の雇い止めを適法に行うことにも、解雇におけるのと同程度の客観的合理的理由・社会的相当性のいずれも満たす事情まで要求される可能性が高いでしょう。 

不当解雇とは?正当な解雇との違いとその対処法を解説

定年後再雇用の違法な拒否や雇い止めへの対処法

会社が定年後再雇用を違法に拒否したり雇い止めをしたりして、それが違法な解雇・雇い止めにあ会社が定年後再雇用を違法に拒否したり雇い止めをしたりして、それが違法な解雇・雇い止めにあたる場合には、解雇・雇い止めが無効であることを主張できます。 

また、本来働いていれば得られたはずの賃金の支払を請求できることもあります。 

会社が定年後再雇用を違法に拒否したなどの場合には、次のような対処法があります。 

  • 労働基準監督署に相談・申告する 
  • 会社と交渉したり、労働審判や訴訟などの法的手続きをとる 

会社との交渉や労働審判などの法的手続きを自分で行えるか不安な場合は、弁護士への相談・依頼をご検討ください。 

労働トラブルを積極的に扱っている弁護士に相談・依頼すれば、弁護士があなたに代わって会社との交渉を行ってくれたり、労働審判・訴訟における代理人としてあなたに代わって裁判所に主張を伝えたりしてくれます。 

これにより、定年後再雇用をめぐるトラブルを解決できる可能性があります。 

労働基準監督署と弁護士、どちらに相談すべき?両者の違いを解説

【まとめ】定年後再雇用の拒否や雇い止めは基本的に違法である

今回の記事のまとめは、次のとおりです。 

  • 定年後再雇用制度とは、定年に達した時点でいったん退職してその直後に引き続き新たに雇用契約を結ぶ、高年齢者の雇用の安定を図るための制度。 
  • 会社は、法律上、60歳未満を定年と定めることはできない。また、定年を65歳未満に定めている会社は、65歳までの継続雇用制度を導入するなど、65歳までの雇用確保措置を講じなければいけない。 
  • 定年を65歳未満に定めた会社が定年後再雇用制度を採用している場合には、会社は原則として再雇用を拒否できない。 
  • 定年後再雇用の違法な拒否や雇い止めへの対処法として、弁護士に相談・依頼して会社と交渉などを行うという方法などがある。 

定年後の雇用が安定しないと、安心して働けませんよね。 
定年後再雇用の違法な拒否や雇い止めに対しては、弁護士に相談・依頼するなどの対処法があります。 

アディーレ法律事務所では、不当解雇に関するご相談は、何度でも無料です(2024年11月時点)。 

不当解雇でお悩みの方は、不当解雇を積極的に扱っているアディーレ法律事務所へご相談ください。 

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

残業代請求・退職代行・不当解雇に関するご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-554-212
Webで相談予約
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています